【イギリス編】雨に濡れたまま出勤するロンドン市民

Reported by REN
イギリスのロンドンにある日系企業の現地法人の経営に携わる。休日の楽しみは、ゴルフや子どもとのサッカー観戦、オペラ鑑賞など。

土砂降りでも10人に2人は傘を差さない

こんにちは。RENです。今回は、イギリスの人々の生活習慣についてお話しします。

ロンドンの街を歩いていて、まず目を引くのが、歩行者の交通マナー。信号が赤でも平気で横断歩道を渡ったり、横断歩道のないところでも構わず道路を横断する歩行者を毎日見かけます。ところが、不思議と事故を目撃したことは一度もありません。歩行者は、車道を通り過ぎていく車の流れを見ながら、車間距離が開いたときや、車が詰まって一瞬ストップしたときを狙って、その間をすり抜けるようにして渡っていますが、きちんと左右を確認してから渡っていますし、車が来たら渡るのをやめます。渡っている途中に車が来たときは、「ゴメンゴメン」というジェスチャーをしながら小走りに渡り切るか、戻るかですね。あくまでも車が優先ということがわかっているのです。

車の方も、人通りのある所では歩行者が横断する可能性を常に視野に入れて運転しているようですが、子どもを連れていたり、ベビーカーに子どもを載せて押している歩行者は、横断歩道を利用するように気をつけている印象があります。しかし、それでも赤信号で渡るのは平気なようです。

雨や雪が降っているのに傘を差さない人が多いことにも驚きます。ロンドンでは、季節によっては毎日のように雨が降るのですが、土砂降りか、あるいは一日中雨が降っている日でも、傘を差している人は全体の8割くらいの印象です。フード付きの服を着ている人はフードをかぶるし、そうでない人は濡れたまま。スーツが濡れたまま出勤する人もよく見かけます。あくまでも感覚値ですが、土砂降りとまではいかないザーザー降りのときは4~5割、ポツポツ降っている程度なら2~3割、霧雨のときは約1割の人が傘を差していますね。雪が降りしきっているときなどでも、傘を差しているのは2割程度。日本にいるときと同じ感覚で、降り始めにさっと傘を差すのは私ぐらいです。

傘を差さない人が多いのは、秋冬の季節なら、帽子をかぶっている人が多いことと、コートのフードをかぶれば事足りるせいでしょうか。日本でよく見る防水仕様の、いかにもレインコート然としたコートはあまり目にしません。日本と違って、一日中降り続くことが少なく、すぐに乾くということも理由の一つかもしれません。雨に濡れてしまったときはどうするのかとイギリス人の友人に尋ねたら、「基本的にそのままだが、仕事の場面で大事な顧客に会う予定があれば、多少整えるかもしれない」とのこと。「大体、ロンドンのボリス・ジョンソン市長だって、あんなボサボサ頭でもちゃんと市長になれるんだし、髪形が崩れたからと言って仕事の効率が下がるわけじゃないよ」という答えが返ってきました。

トイレを借りるだけではホテルに入れない!?

日本とは、ホテルの雰囲気も違います。日本では、どんなグレードのホテルでも、ある程度のロビーがあり、人の出入りも自由ですが、イギリスでは、特段の用がない限り中には入りにくいですね。特に五つ星クラスのホテルになると、なおさらです。

まず、入り口から中に入った途端に、「How may I help you?」とホテルの従業員から声をかけられます。これは「どのようなご用でしょうか」という意味で、「ここでホテル宿泊客と待ち合わせている」「ホテル内のレストランやバーで飲食する」という客なら歓迎されますし、「レストランを予約したいが、その前に下見をさせてほしい」という事情なら、きちんと説明すれば、快く通してもらえるでしょう。

ただ、「中を見に来ただけ」とか「トイレを借りたい」などとは、とてもではありませんが切り出しにくい雰囲気です。入り口付近には、待ち合わせ用の席もいくつか用意されていますが、ホテル従業員の目が行き届いていて、用がなければとても居心地が悪くて座ってはいられません。また、日本のホテルには魅力的なショップも入っていますが、こちらのホテルには、宝飾品のお店ぐらいしかなく、「ホテルで買い物をする」という発想は、こちらの人にはありません。ケーキ売り場を設けているホテルもありますが、かなり少数派です。

次回は、私のロンドンでの暮らしについてお話しします。

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歩行者用信号が赤でも平気で車道を横断するロンドンの人々。

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横断歩道がない箇所でも、車道をスイスイ横切る歩行者たち。

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ロンドンの高級デパート。入り口にはやはり屈強な警備員が。

構成/日笠由紀

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