【インド編】IT大国インドの意外なビジネススタイル

Reported by Haruko
インドにある日系企業の現地法人で、営業を担当。日本に夫がおり、単身赴任中。休日は、小旅行やテニスなどを楽しんでいる。

ほめると伸びるインドの人々

はじめまして。Harukoです。インドにある日系企業の現地法人で、営業に携わっています。

オフィスで一緒に仕事をしている同僚のほとんどがインドの人々で、日本人はごくわずかですが、お客さまには日本の方もかなりいらっしゃいます。したがって、仕事で使う言葉は6割が英語で、残り4割が日本語という感じでしょうか。

インドで仕事をしていて感じるのは、役割分担が細かく、自分の担当以外の業務に対しては関与しないということ。そのため、その場の状況に応じて臨機応変に対応するようなことはまず期待できません。ごく簡単な業務に関しても、細分化されていてそれぞれ担当が異なるので、解決に時間がかかります。例えば、至急の書類作成を同じビルの別フロアにいる部下に依頼した場合、その担当者は、書類の作成までは急いでくれますが、その受け渡しを社内の雑務を担当するオフィスボーイに依頼しておしまい。なかなか書類が届かないので催促すると、「とっくに終了した」というのです。確認したら、なんとそのフロアに残ったままでした。指示をした私が甘かったのか、機転を働かせるところまで期待するのはなかなかハードルが高いようです。

また、失敗しても自分の非をなかなか認めません。約束の時間に遅れることが特に多いのですが、そんなときは、100パーセント交通渋滞のせいにします。メールの返信がなく催促したときは、届いていなかったと答えます。責めても、何かのせいにするだけで、自分が悪かったとは認めないし、改善しようともしません。赴任当初は、そんな彼らの態度に苛(いら)立ち、怒ることで態度をあらためさせようとしたのですが、彼らはまったく変わりません。そこであるとき、部下の仕事ぶりがよかったときに、「あなたがこうしたから、こんなふうにうまくできたね」とほめてみたのです。すると、その逆のパターンではダメということに気づいてくれて、うまくいくようになってきました。どうやら、悪かったことをあげつらうのではなく、良かったことをクローズアップするやり方の方が彼らには効果があるようなのです。

その後は、約束の時間にきちんと間に合ったときや、期日通りか素早い回答があったときなどは、その都度「素晴らしい!」と絶賛するなど、ややおおげさにほめるようにしています。メールでも、「Thank you」「Good job」などの言葉を入れたり、成果をほめるメールを彼らの上司にもccで共有するなどして、彼らの意欲を高める工夫をしています。

まだまだ手作業が主流なインド

IT大国として知られるインドですが、社内での情報共有や書類作成業務などのシステムはまだまだ発展途上だと感じます。例えば、社内で共有のドライブを使って、プレゼンテーションのファイルを関係者全員で共有できるようにするとか、業務提携している会社と端末をオンラインで結ぶといったレベルには及びません。契約書のような書類を作成する際、顧客の社名・氏名ほか基本的な情報を盛り込む必要がありますが、日本であれば、一度、入力した情報は、その後もコンピューターに保存され、レターや書類を作成するときにも、その情報がそのまま引き継がれます。ところが、こちらではその都度、オペレーターが手作業で入力するのです。したがって、タイプミスなども多く、そのたびに確認しなければなりません。

高速道路やゴルフ練習場、駐車場の料金支払いシステムなどにも、まだまだ手作業の部分が多く、この国に日本のシステムを導入すれば、どんなに業務が効率化されるのかと思います。とはいえ、効率化を進めてしまうと、その分、単純作業を請け負っている人々が失業してしまい、それはそれで問題になるのかもしれません。

なお、インドには、日系企業現地採用の20~30代の日本人女性スタッフも多く働いています。ほとんどが未婚者で、給与は決して高くはないと思いますが、皆さん次のステップを目指して頑張っています。インドのようなハードシップの高い(生活環境が厳しい)土地で仕事ができる能力、とりわけ精神力が備わっているということは、どこの国でも働ける、あるいはもっと大きな会社でも仕事ができることと思います。

ときどき、日本人女性スタッフだけで“女子会”をやります。ローカルのレストランで開くときもありますが、外食では食べるメニューも限られるので、誰かの家に集まって、手料理を持ち寄るか、皆で作るパターンが多いですね。「仕事の話」「彼氏や家族の話」「今度のバカンスの話」「インド生活の愚痴や不満」などの話題で盛り上がります。

次回は、インドの興味深い文化についてお話しします。

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夕方のアラビア海沿岸。観光客や、観光客目当ての土産売りで大賑わい。

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イギリスによって支配されていた1911年、ジョージ5世と王妃のインド初上陸を記念して設けられた「インド門」。

構成/日笠由紀

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