【ニューヨーク編】会話は丁寧、Eメールは簡潔なニューヨーク

Reported by てっちゃん
アメリカ・ニューヨークにある日系金融機関の拠点に勤務。現地での楽しみは、ランニング。毎朝のジョギングだけでなく、アメリカ各地で開催されるマラソン大会に参加している。

日本流を押し付けるやり方はNG

はじめまして。てっちゃんです。アメリカ・ニューヨークにある日系金融機関の拠点に勤務しています。

同僚の約3分の1はアメリカ人。日本人も約3分の1の割合に上り、残りは中国や韓国、台湾やシンガポールなどのアジア諸国、東欧などのヨーロッパから来ています。取引先としては、北米・中南米の現地企業などがありますが、私自身は、業務で直接やりとりをすることはありません。

では、やりとりをしている相手は誰かというと、まずは同僚である現地スタッフたち。そして、日本の担当者となります。したがって、仕事で使う言語は、英語と日本語が半々というところでしょうか。

ニューヨークで仕事をしていて感じるのは、「言われなくても、なんとなくわかる」「空気を読む」といった行動様式を良しとする部分がある日本とは対照的に、アメリカでは、「徹底的に言葉で説明すること」が求められるということ。バラエティに富んだ国籍の同僚たちとは、言語や文化、コミュニケーション方法といったものを共有していないので、今まで無意識に省略してしまっていた部分を意識的に言語化しないといけない気がするのです。例えば、コピーを頼んだ場合、日本人的な感覚では、両面コピーした上で、そろえてホチキス留めして渡してもらえるといったことを期待してしまいますが、そういうことはまずありません。リストをもらうときも、アルファベット順に並べてくれるとうれしいのですが、そういう気づかいもないですね。些細(ささい)なことなので、ことさら指摘したりはしませんが、丁寧できめ細かい仕事をしてもらおうとするのであれば、そのときは一つ一つ指示をしないと難しいなと感じています。

一方、電子メールは比較的シンプルです。必要最小限の要点だけが記され、長々としたメールが送られてくることはあまりありません。おそらく、日本人のように丁寧で長々としたメールをやりとりする習慣がないのではと思います。ただし、稟議書(りんぎしょ)・契約書などの正式な文書は、米国の方が文字数が多く、ページ数もかさむ傾向があります。なお、日本のテレビコマーシャルには、携帯電話で仕事相手と話しながらさっそうと歩く欧米のビジネスパーソンがよく登場しますが、ニューヨークには、実際にそのようにして歩く人が多く、その割合は日本と比べてかなり高いと思います。

こうした仕事の進め方・考え方や、コミュニケーション方法の違いはお互いのバックグラウンドの違いに起因するものなので、「日本流」を押し付けることには無理があると考えています。現地の人たちのやり方に合わせていくことが求められているのでしょう。

ポジションに応じて二極化する働き方

当社の現地スタッフは、プライベートライフを大事にする人が多く、あまり残業はしません。始業時刻の9時ギリギリに出社して、終業時刻である17時にはさっさと退社する人も多いですね。やるべき仕事が多少残っていても、「今日はできないからやらない」という考え方のようです。長期休暇も2週間程度はきっちり取りますし、有給休暇もすべて消化します。

ただし、こうした働き方をするのは、リタイア直前だったりして昇進に関心のない社員に限られます。当社でもマネージャー職以上の役職になると、重要な案件であれば休日出勤もいとわずにかなりハードな働き方をしています。そうしたパフォーマンスが収入にも反映するという事情もあってのことだと思われます。

なお、こうして海外で仕事をしてみると、国籍や人種、言語の違いは、仕事の出来不出来にはあまり関係ないと思うようになりました。国籍・人種にかかわらず、きちんと自分で合理的に考えて主体的に行動できる人、常に自分の仕事に責任感を持ってスピーディーに行動する人は、素晴らしい成果を収めています。例えば、上司や同僚から依頼されたことは、些細(ささい)なことでも覚えていて期限を守ってくれる人や、遅れてしまうときは事前にその旨相談してくれる人などは、どんな国籍・人種の人でも、周囲の人から信頼されていますね。

ただ、当社に関しては、残念ながらそのようなパフォーマンスを示してニューヨークの拠点を背負っていくような人材は今のところ多くないというのが現状です。現在、海外進出している日系企業の多くに、現地のスタッフに権限を持たせる「現地化」を進めようとする動きが見られますが、当社の場合、日本の本社の合意をとりつけなければならない場面も多いせいか、各部署のキーパーソンは依然として日本から来ている駐在員のまま。こうしたポストが現地の人材に置き換わっていくにはまだ機が熟していないという印象です。

次回は、ニューヨークの社会についてお話しします。

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ニューヨークの豊かさを象徴する5番街。大邸宅や高級デパート、ブランド旗艦店が多い。

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グローバル企業の本社やアメリカ支社などのビルが建ち並ぶニューヨークのオフィス街。

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ニューヨークの繁華街タイムズスクエア。ブロードウェイ・ミュージカルを上演する劇場が集まっている。

構成/日笠由紀

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