【ニューヨーク編】「海外に行きたくない」では通用しない時代が来る

Reported by てっちゃん
アメリカ・ニューヨークにある日系金融機関の拠点に勤務。現地での楽しみは、ランニング。毎朝のジョギングだけでなく、アメリカ各地で開催されるマラソン大会に参加している。

英字新聞で英語を読むスピードが速くなった

こんにちは。てっちゃんです。今回は、これからの海外駐在の在り方についてお話しします。

まず、私自身が駐在となった経緯について。今回の駐在まで一度も海外経験がなく、仕事でも英語を使う機会がなかった私がニューヨーク駐在となったのは、当社の海外業務拡大という大きな流れがあったためだと思われます。もちろん、自費で英会話学校に通ったり、上司や人事部の担当者と面談する機会があれば、海外に出てみたいという話はするようにしていました。思ったより早く希望が叶(かな)ったのは、会社が海外の拠点で大量の人材を必要としていたという背景があったのではないかと考えています。

語学力について言うと、赴任前のTOEIC(R)テストのスコアは890点、TOEFL(R)テストは78点でした。しかし、赴任当初、現地スタッフとはほとんど話せなかったことを覚えています。その後、TOEFL(R)テストのスコアは90点に上がりましたが、ニューヨークでは思ったほど英語を話す機会が多くないことに危機感を覚えたため、こちらでも自費で現地の英会話学校に通っています。土日のいずれかに90分×2レッスンなので、貴重な週末の半日を費やしている計算。テキストにある会話を反復するなど、耳と口を使う練習を主として、書き取りも行います。テキストの内容をベースに実際に講師と会話することを繰り返すことで、最近は少しずつ言いたいことが口をついて出てくるようになってきました。

読む力も向上したと思います。これは、毎日、マーケットの情報を得るために『ウォールストリート・ジャーナル』や『ファイナンシャル・タイムズ』といった経済新聞を読んだり、稟議書(りんぎしょ)を英語で読み書きしたおかげでしょう。以前よりも速く読めるようになりました。

国際人だけが海外部門を背負う時代は終わった

ニューヨークで仕事をしてわかったことは、日本は思った以上に注目されているということ。現地の新聞を読んでいると、アベノミクスや日中関係などの扱いが大きく、特に日本の政治の注目度が高いことに驚いています。そして、自分の国をポジティブに評価するアメリカの人々と接することで、自分も日本という国の素晴らしさをあらためて実感するようになりました。衣食住が満ち足りていて、サービスもすみずみまで手厚い「おもてなし」精神に貫かれている日本を、メディアは自虐的に取り上げすぎなのではないでしょうか。こちらに来てからそうした日本のメディアに触れなくなったせいか、私自身にも、自分の国を卑下する姿勢や、シニカル(冷ややか)な物の見方をすることがなくなったように思います。また、仕事の内容は極めて日本的ではあるものの、ニューヨークの拠点に身を置くことで、北米や南米の非日系企業のマーケットを俯瞰(ふかん)することができたのも収穫でした。

最後に、将来海外で働きたいと思っている学生の皆さんはもちろんのこと、「海外には行きたくない」というような学生さんにもぜひ言っておきたいことがあります。それは、これから日本の企業は、なんらかの形で海外とつながっていくことになるということ。正直言って私は、現地の人と丁々発止と渡り合うようなことが求められている人材ではありませんが、そういったタイプの社員さえも、日本には閉じこもっていられない時代が来つつあるように思うのです。今後は、一部の部署を除けば、あらゆる部署のあらゆるポストの人に、海外とのやりとりが生じるようなこともあり得るかと思います。当社に関して言えば、海外経験のある人材を社内に増やすことを意図して2年程度の短いジョブローテーションを組み、すでにどんどん海外に社員を出しています。「私は海外には行きたくないので行きません」という消極的な姿勢が許されない会社も出てくるでしょう。

裏を返せば、流暢(りゅうちょう)な英語が話せる「国際人」だけが海外部門を引っ張るという時代は終わったということ。ずば抜けた語学力や海外経験がない人にも、海外で働くチャンスが巡ってきたということになります。これからビジネスパーソンとしてやっていきたいと思っているのであれば、こうした流れに乗っかっておくのも一案です。これだけ世界とつながりやすい時代なのですから、グローバルな視点を養っておいて損はありません。情報を得るにしても、海外の情報なら、オリジナルのソースである英語の情報に触れた方が、幅広く、奥深い情報が得られますよ。語学力などを理由にあきらめるのはもったいないので、ぜひ積極的にチャレンジしてください。

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ニューヨークで一番好きな場所であるセントラルパーク。芝生でのんびり過ごすのが究極のリラックス法だ。

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同じくセントラルパークの中にある湖。セントラルパークは、南北に4キロメートル、東西に0.8キロメートルという非常に広大な公園だ。

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会社の同期が、赴任を終えて帰国する際に日本に買って帰るニューヨーク土産の数々。手ごろな値段で、実にニューヨークらしい品ばかりだ。

構成/日笠由紀

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