【シンガポール編】慣れるのに時間がかかるシンガポールの文化

Reported by ベコ
シンガポールにある日系メーカーの営業拠点に勤務している。休日の楽しみは、シンガポール川沿いの倉庫跡地を再開発した観光スポット「クラークキー」のカフェで昼間からビールを飲むこと。

バス車内で大音量でテレビを視聴

こんにちは。ベコです。今回は、シンガポールの文化についてお話しします。

こちらに来て一番びっくりしたのは、日本とのテーブルマナーの違いでしょうか。例えば、こちらの人々は、フードコートや屋台食堂で食事をするときに、魚の骨や皮、肉の骨などを、口から直接トレイに吐き出すのです。トレイがなければ、テーブルに吐き出す人もいます。中には食事が済んで空になったお皿に集める人もいますが、お店には食後の片づけをする専門の担当者がいるので、たいていはそのままにしていく人の方が多いですね。

加えて、食事中に自分が飲んでいる水やお茶で汚れた手を洗うのにも驚きました。ソースなどで手が汚れた場合などに、さっと指先をすすいでいるのです。中華料理のレストランなどでは、手をすすぐための水が用意されていることもありますが、飲むための水と“兼用”するのは、日本人にとってはなかなか抵抗があるのではないでしょうか。私も一度、試したことがありますが、日本人でこのようにして手を洗う人は見たことがありません。

公共交通機関でのふるまいも、日本とは異なります。電車やバスの中でも、大声で電話したり、スマートフォンなどのポータブル機器を使って、大音量でテレビを見たりしているのです。イヤホンを使う人も一部はいますが、そうではない人の方が多いですね。あまりのうるささに、つい日本語で「あの人うるさいなー」と文句を言ってしまったこともあります。そんな私も、次第にこの環境に慣れてしまい、今はまったく気にならなくなりました。それどころか、日本に一時帰国した際、電車の中でシンガポールと同じ感覚で会話をしていたら、相当うるさかったのか、周囲からにらまれてしまったこともあるほどです。

子どもや高齢者に親切な社会

社会全体が子ども連れやお年寄りにとても寛容だということも感じます。バスに小さい子どもやお年寄りが乗ると、必ず誰かが席を譲ってくれるのです。妻が2人の子どもを連れて外出した際、ベビーカーを持ってバスに乗ろうとしたら、現地の女性がベビーカーを代わりに持ってくれたそうです。しかも、上の子の手を取ってバスに乗せてくれてから、すでに座っていた乗客に席を空けさせて、妻を座らせてくれたとのこと。その上、妻の行き先が自分と同じスーパーだとわかると、バスを降りるまで面倒を見てくれたそうです。帰りも、バスから荷物を降ろしてくれる人がいたりして、とても親切にされたと感激していました。日本に一時帰国した際は、子連れでバスに乗っても誰も席を譲ってくれませんでしたから。

なお、電車やバス、タクシーなどの公共交通機関の料金は、日本と比べて安いと思います。シンガポールは東京23区と同じ広さだと言われていますが、シンガポールのほぼ東端にある空港から西の端までタクシーに乗ったとしても、道が空いていれば3000円程度で行けるでしょう。10kmほど先までバスに乗っても、料金はおよそ200円弱とリーズナブルで、とても便利です。

電車やバスには、日本のような時刻表はありませんが、電車は5分おき、バスも頻繁に来るので、さほど時間を気にしなくても大丈夫。タクシーも便利ですが、雨が降ると道路が混んで、かえって時間がかかってしまうこともあるので、なるべく電車か、専用レーンが整備されているバスで移動するようにしています。

このように公共交通機関が使いやすいこともあり、自家用車の必要は感じません。そもそも、こちらは車の価格が非常に高くて買えないのです。日本で150万円程度の車は、おそらくシンガポールでは800万円以上になると思います。それは、車両代が2~3倍になってしまうことに加えて、税金やナンバープレート代などが500万円ほどかかってしまうから。しかも登録を10年で更新しなければならない上に、車を買うためのローンも、頭金の割合や返済年数に制限があるようです。

次回は、シンガポールでの暮らしについてお話しします。

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屋台が集まったホーカーセンター。シンガポールには、鉄道駅など人が集まる場所にホーカーセンターが設けられている。

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シンガポールのバスターミナル。これらの路線バスとMRT(Mass Rapid Transitの略。都市部では地下鉄、郊外では高架を走る電車のこと)がシンガポールのほぼ全域をカバーしている。

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バスの車内には、匂いのきついフルーツである「ドリアン」持ち込み禁止の張り紙が。

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MRTの各駅には、安全に配慮したホームドアが設置されている。

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公園やオープンスペースによくある遊具。一年中暑いシンガポールでも、子どもたちは外遊びが大好きだ。

構成/日笠由紀

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