ベルギーのブリュッセルにある多国籍企業のオフィスに勤務。ワインや産地直送の新鮮な食材のおかげで、現地での食生活も充実中。週末を利用して、パリ、ロンドンやそのほかのヨーロッパの都市を気軽に訪れる小旅行が、気分転換にもなっている。
街を歩いて住む家を見つけた
こんにちは。コーラルです。今回は、私のブリュッセルでの生活についてお話しします。
ブリュッセルでの住まいは、現地に赴いたのち、自分で探しました。ベルギーでは、インターネットを通じて部屋を探すというやり方が一番一般的ですが、私の場合は、「インターネットでの貸し部屋紹介サイトで検索」「不動産業者による紹介」「原始的に歩いて探す」という3つの方法を試しました。不動産業者は、主に家族用の広い部屋を扱っていることが多く、私のように単身用の物件は扱いが少なかったので、あまり収穫はありませんでした。インターネットでは、空き部屋の情報を手に入れることはできるものの、サイト上では、日本の「区」に相当するおおまかなエリアまでしか紹介されておらず、電話で家主に問い合わせない限り、具体的な住所がわかりません。そのため、問い合わせてみて初めて自分の希望でないエリアであることがわかったりして、効率良く探すことができませんでした。
そこで、最後の手段として、週末などに自分の住みたいエリアを歩き、「A louer(貸します)」と書かれた空き部屋の張り紙を探して歩きました。ベルギーでは、空き部屋や、空く予定の部屋の入り口のところに張り紙が出ていることが多いからです。張り紙には、問い合わせ先の電話番号のみが書かれていることが多いのですが、中には、部屋の広さや家賃、シャワーかバスか、いつから入居可能かといった情報が掲載されていることも。立地、建物の雰囲気や日当たり状況もその場でチェックできるため、原始的なようでいて、実は一番効率が良かったですね。実際、今住んでいるアパルトマンは、そうして張り紙を探して歩いていた際に見つけたものです。
このアパルトマン、大家さんが一棟丸ごとオーナーという賃貸マンションなのですが、居住者は私を入れて3世帯。1階に不動産業者がテナントとして入っています。大家さんは高齢の女性で、比較的面倒見の良い大家さんだと思います。なお、家賃は全額自己負担です。
職場へは、「トラム(路面電車)のみ」「トラム+地下鉄」「バスのみ」という3通りの行き方が可能です。「トラム+地下鉄」が一番早いのですが、結局大差はなく、どれを利用しても、通勤時間は20~25分程度。トラムは2~4分間隔で来るのに比べ、バスは10分前後と頻度に差があるので、必然的にトラムを利用する回数が多くなります。トラムだけで行った場合は、職場最寄りの停留所が公園横にあり、公園の中を通って職場に行くことになるので、時間に余裕のある天気の良い日に利用するようにしています。
バスや地下鉄も、一応時刻表はあるようですが、最近導入された電光掲示板には「あと何分で到着」という具合に分数が表示され、比較的信頼できるので、そちらを頼りにしています。朝は頻度が多いので、それで十分だからです。ごくたまに表示がないときがありますが、そんなときも「また故障か」と、おおらかに受け止めるようになりました。
トラムは、ひどく混雑することはなく、基本的に座れますが、週に1度程度、5分以上待たされた上に車両が古かったりすると、車内が狭いために大混雑となります。日本の地下鉄のように、入り口付近に辛うじて乗れるくらいの混み具合になってしまいます。
なお、週末・休日になると公共交通機関の本数はグンと減るので、週末に出かけるときや休日出勤するときは、事前にこれを計算に入れておかないと大変なことになります。また、年に数回、ストがあり、完全に運休してしまうため、会社に歩いて行く羽目になることも。利用者同士でシェアする仕組みの自転車もありますが、こういう日は、誰もが利用したがるので、まず使えません。また、G7サミットが開かれるときは、道路が封鎖され、公共交通機関の運行も乱れがちになります。
ベルギーのイタリア料理がおいしい理由
ベルギーで暮らしていてうれしいのは、日本より低価格でおいしいワインに出合えること。フランスの有名どころのワインの価格は、残念なことに日本とそう変わらないのですが、1000~1500円、あるいは2000円くらいまでで購入できるワインは種類が多く、選ぶ楽しみがあります。日常で飲むには、1000円までのワインでも十分おいしく頂けますね。いずれも、日本で2000~3000円くらいの価格帯のものと同じくらいのクオリティです。また、非常に低価格のものであれば、500円まで(2~3ユーロ)でも手に入ります。
お酒だけでなく、“食”も充実しています。産地直送の新鮮な食材や、オーガニック食品が手に入りやすいので、手を加えなくてもおいしいものが食べられるのです。仕事で夜遅く帰ったときなども、さっとサラダを作るだけで、十分、満足できる一品となります。
外食も充実していて、生牡蠣(がき)などの海鮮、イタリア料理がおいしいと思います。特にイタリア料理は、パスタ類がきちんと「アルデンテ」で出てくることが多くて助かります。なにしろ、以前、フランスに住んでいたころは、茹(ゆ)で加減に常に不満を感じていたので…。なんでも、ベルギーのイタリア料理がおいしいのは、昔、炭鉱業に従事するためベルギーに移住したイタリア人が多いからなのだとか。特に、「シャルロワ」というブリュッセルから車で1時間弱の距離にある街は、近くに炭鉱があったために周囲にイタリア人のコミュニティが残っており、イタリア系の住人が多いそう。そのため、イタリアのラジオ放送があったり、独自のイタリアコミュニティが存在したりしていると聞きます。
週末や、前後に休みをとって少し長めの休暇がとれたときには、パリやロンドン、その他ヨーロッパの都市へと旅行して、気分転換することも多いですね。直近では、3月にパリ、4月にニース、6月にノルマンディと、いずれもフランスの都市を訪れました。パリは週末だけでも十分だし、ニースは飛行機を利用して3泊4日で。ノルマンディには、月曜日が祝日となる週末に、2泊3日で行きました。パリまでThalys(フランス・ベルギー・オランダ・ドイツの4カ国を結ぶ高速列車)で移動し、パリからはフランス国鉄で目的地まで。長めの休暇が取れた7月は1週間ギリシャに行き、アテネおよび島を巡りました。週末にフランクフルト在住の友人に会ってくることも可能で、こうして気軽に行き来していると、つくづくヨーロッパへのアクセスの良さを実感します。
次回は、海外駐在を通じて得たものなどについてお話しします。
自宅からの眺め。ブリュッセル市街には集合住宅が多い。
今の住まいに越したばかりのときの室内の様子。今は物が増えて、かなり生活感にあふれた空間に。
自宅に現地在住の日本人の友人を呼んで催す「ワイン会」。おいしいツマミを用意して気の置けない仲間と盛り上がるのが楽しみ。
ワイン会で開けたり、自宅で飲むワインは、800~1500円程度とリーズナブルなものばかりだが、充分満足できるクオリティだ。
構成/日笠由紀