【UAE編】断食月とうまく付き合うUAEでのビジネス

Reported by シュクラン
UAE(アラブ首長国連邦)のドバイ首長国にある日系企業の現地法人に勤務。現地で大切にしているのは、家族と過ごす時間。特に、マンション内のプールで子どもと遊ぶのが楽しみ。

断食月は朝9時から15時までの時短業務に

はじめまして。シュクランです。UAE(アラブ首長国連邦)のドバイ首長国にある日系企業の現地法人に勤務しています。

 

ドバイや、連携して業務を行う中東各国のオフィスの同僚は、少数の日本人を除けば、出身国は実にさまざま。取引先は日系企業が主となるため、業務では日本語と英語を、同じくらいの割合で使っています。

 

UAEでの仕事で特徴的なのは、金曜日と土曜日が「週末」となり、日曜日が「平日」であること。そのため、週の後半は、金・土・日と3日間、日本とのやりとりができなくなります。その上、日本は海外と比べて祝日の数が多く、その祝日も金曜日や月曜日に重なることが多いので、月曜日に重なったときなどは、4日間、こちらか先方いずれかが休んでいるという状況に。うっかり日本の祝日を忘れていると、日本にメールや電話をしてもまったく反応がなく、焦ることになってしまいます。また、ドバイには中東での地域統括の機能を担っている会社が多いため、当社がサウジアラビアに関する案件を扱うこともあるのですが、なんとサウジアラビアは木曜日と金曜日が「週末」。サウジアラビアの案件で日本と連絡をとる必要がある際は、想定外にやりとりに時間がかかるような事態も発生します。しかし、そんなサウジアラビアも、この7月からついに金・土曜日を週末とすることになりました。海外とのやりとりが、より効率的になり、経済的な効果が上がることが期待されています。

 

加えて、移民の割合がとても高いことも、特徴の一つです。特に、インド、パキスタン、バングラデシュ出身者が多いのは、UAEと距離が近いことに加え、同じイスラム教徒だからではないかと思います。インドは、イスラム教徒の割合こそそれほど高くはありませんが、世界第2位を誇る人口の多さゆえに、イスラム教徒の数は決して少なくありませんし、パキスタン・バングラデシュは共に人口も多く国教もイスラム教。彼ら移民たちの安価で豊富な労働力が常に供給されるところがドバイの経済の強みの一つなのではないかと思います。また、治安がいいことに加えて、職種によっては給与水準が高いことも魅力なのか、これら3国をはじめとした周辺国から、専門性の高い人材も集まってきています。

 

従業員にイスラム教徒が多いということは、すなわちイスラム教の習慣がビジネスにも持ち込まれることを意味します。例えば、業務時間中のお祈り。1回あたりの時間はせいぜい5分間くらいで、それほど長くありませんが、戒律では1日5回お祈りをする必要があるようです。決まった時間にみんなで一斉にお祈りするというよりは、空いた時間を見つけてそれぞれが自分のペースでお祈りをしています。それぞれ自分の“お祈りマット”を持っており、それを床に敷いてメッカの方向に向かって祈りを捧げています。

 

イスラム教で定められたラマダン(断食月)の1カ月間、会社の業務時間は短縮となります。この期間、一般的なイスラム教徒の1日は、「朝3時ごろに起床」→「4時ごろの日の出とお祈りの時間までに朝食」→「出社まで睡眠および休憩」「朝9時出社」という具合に始まり、昼休みなしで15時まで仕事をしてから帰宅となるためです。帰宅後は、「20時の最後のお祈りの時間まで睡眠および休憩」→「20時ごろに最後のお祈り」を終え、その後、「イフタール」と呼ばれるビュッフェディナーで夜中まで盛り上がるそうです。ここ数年は、ラマダンの時期が真夏と重なり、断食時間が長くなる上に暑さも手伝って、イスラム教徒のスタッフの業務効率はどうしても落ちがち。加えて、比較的イライラしやすくなっているようなので、私も「郷に入ったら郷に従え」と考え、ラマダン中のオフィスでの飲食は控えるようにしています。もちろん、彼らの帰宅後は、飲食を解禁しますが。

 

ラマダンの開始日と終了日は、開始当日、政府から発表があるまでわかりません。月の満ち欠けを見て決めるので、おおむね予想はついているのですが、国の「ムーンサイトコミッティー」という機関が正式に新月であることを確認してから決定となるため、予想と1日程度前後することはあるようです。多少の前後も想定しながらスケジュールを組むので、特に支障はありませんが、調整できる打ち合わせはできるだけラマダン前に終わらせるようにしています。

 

また、アルコールが禁じられているイスラム教徒のスタッフは、会社でバーベキューをしたり、ほかのスタッフとディナーを一緒に食べるときは、水やコーラ、ジュースなどのソフトドリンクを飲んでいます。ただし、お酒と豚肉がない以外は、私たちと同じごく普通の内容の食事をとっています。イスラム教徒の中には、信仰の度合いによってお酒を飲む方もいるので、そうした方とは一緒にお酒を飲むこともありますね。

 

指示待ちスタッフを動かす工夫とは

また、これは個々人の価値観の違いゆえかと思いますが、こちらでは、日本よりも「指示を待つ人」が多いのも特徴ですね。自発的に動かない部下の分を自分でカバーしようとして、業務量が多くなってしまうこともしばしば。そこで、自分から積極的に指示を出したり、確認をしたりすることで、彼らを動かすように心がけています。

 

加えて、自発的に行動できるようになってもらうために、必要な行動を自ら考えさせることを意図したコミュニケーションも行っています。例えば、達成したい目標があるときも、こちらから「目標」「必要なステップ」を教えたり指示するのではなく、できる限り自分自身で考えさせるのです。「なぜ今こうした議論をしているのか」「なぜこの目標を達成しないといけないのか」「その目標を達成するにはどのようなステップをいつまでに実行することが必要か」「誰に対して働きかける必要があるか」、というようなことを、一連のストーリーとして考えさせるといった具合です。そこまでしても、その通りに実行させて、一定の成果につなげるには相当のエネルギーが必要となります。

 

物事が思った通りに進まないことも多いですね。官公庁からの返事が遅かったり、申請を拒否された上に、その理由がわからなかったり…。そんなときに、よく聞く言葉が「インシャーラー(アラーのおぼし召しのままに)」。おそらく英語の「Hopefully」に近い感覚で使っているのだと思いますが、「〆切までに提出お願いね」というと、「インシャーラー」という返事が「頑張るね」というニュアンスで返ってきたりします。「きっとね」といった感じで冗談めかして言うこともあれば、普段の会話の中でこの言葉と共にサラリとかわされることも。最初はイライラしましたが、今は、「まあ、しょうがないか」と思えるようになりました。同じような場面で自分が使うこともあるほどです。

 

次回は、ドバイ首長国とその人々についてお話しします。

 

ドバイの金融街に位置する二連のエミレーツタワー。近未来的な建築デザインが斬新だ。

 

ミントレモネードは、ミキサーで砕いたミントの葉をレモネードに混ぜた飲み物。中東では人気の味。

 

ドバイで盛んなラクダレース。日中だと暑くなるため、朝に行われている。

 

ドバイにある美しいイスラム寺院「ジュメイラ・モスク」。観光客にも公開されている。

 

構成/日笠由紀

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