【マレーシア編】親しみやすいマレーシアの人々

Reported by ブンガラヤ
マレーシアにある日系企業の拠点に勤務。現地では、社内の仲間や顧客、駐在員仲間とのゴルフや日々の食事が楽しみ。

翌日には日本の選挙結果を知っている現地スタッフ

こんにちは。ブンガラヤです。今回は、マレーシアの人々についてお話しします。

マレーシアの人々は、とても人懐こく、友好的です。親日家も多いと思います。赴任前、マレーシアに出張で来たときも、ふと「週末ヒマだなあ」とつぶやいたところ、仕事相手が、「ホームパーティーに招かれているから、あなたも一緒に行く?」と誘ってくれたことがあります。パーティーのホストも、初対面の私を大歓迎してくれました。「どこか観光できるところないかなあ?」と聞けば、「じゃあ連れて行ってあげる」と、こちらから頼まなくても自然に申し出てくれたりします。とても親切な人々なのです。

日本のニュースにも詳しく、2013年7月の参議院選挙のときも、翌日にはオフィスで「自民党圧勝だったね」と声をかけられました。日本車への関心も高く、「あの車、最近モデルチェンジして新しくなったんでしょ?」と話しかけてくるほどです。彼らが日系企業に勤務していることを割り引いても、日本に対する関心の高さがうかがえます。

このようにマレーシアの人々が親日的な理由として考えられるのは、80年代~90年代のマハティール首相(当時)による「ルックイースト(Look East)政策」の影響です。首相の「欧米よりも、極東にある日本の集団主義や労働倫理に学ぼう」という提言のもとに進められた政策の影響で、マレーシア政府は当時から日本企業を積極的に誘致し続けています。日本人が多く訪れるレストランなどでは、日本語のメニューが置かれているだけでなく、日本語で「何にしますか?」と聞かれるほどに日本の文化になじみがあるようです。

民族ごとに異なる文化

マレーシアは多民族国家なので、民族ごとに文化の違いがあり、特にマレー系マレーシア人はイスラム教徒なので、ほかのマレーシア人とは違う特徴がいくつもあります。とはいえ、ほかの国のイスラム教徒と比べると、戒律は少しゆるやかなようです。例えば、イスラム教の戒律ではアルコールは飲めないことになっていますが、留学経験のあるような若者だと、目上の人が同席していない場では、飲酒することも少なくありません。マレーシアの人々は目上の人をきちんと敬うので、そういった人の目の前で戒律を破るのは「行儀が悪い」と感じるようですが、若者同士のくだけた場や、私のような外国人の前では平気なのだそうです。「飲みに連れて行ってよ」と言えば、お酒が飲めるお店で一緒に飲んでくれるし、彼らが日本に出張に来たときは、「居酒屋に連れて行ってよ」とせがまれたりもします。中国や韓国とビジネスする際は、とりわけお酒の付き合いが重要になるので、彼らのような「飲めるムスリム(イスラム教徒)」は、「接待要員」として重宝されることもあるようです。

一方、豚肉については、戒律で禁じられている以上に生理的な抵抗感があるのか、イスラム教徒の人が口にしている光景を見たことは一度もありません。あまり敬虔(けいけん)でない信者も、決して食べないようにしているようです。ラマダン(断食月)期間になると、イスラム教徒は日中の飲食が一切できないため、元気がなかったり、少々イライラするようになります。以前、私たちのオフィスを訪れた顧客が、お土産に持ってきたお菓子を、イスラム教徒ではないスタッフだけに「どうぞ」と勧めてくれたことがあったのですが、そのときは露骨にいやな顔をしたり、イスラム教徒同士でコソコソ話をしたりしていました。やはり、期間中、彼らの目の前での飲食は控えた方が良いのだと痛感したものです。普段、デスクで飲んでいるお茶も、期間中は食堂で飲むように気をつけるようになりました。

中国系マレーシア人は、多くの中国人がそうであるように、乾杯が大好き。それも、注いでもらったら必ず飲み干さなければならず、どんどん杯を空けていくことが要求される中国式の乾杯です。飲みっぷりが悪いと仲良くなれないため、弱い方が倒れるまで飲まされる容赦のない飲み会となりますが、マレー系マレーシア人にとっても、この中国独自の文化は興味深い模様。自分たちはジンジャーエールを平和に飲みつつ、日本人が我慢しながら乾杯しているのを囃(はや)し立てて楽しんでいる人もいます。

次回は、マレーシアでの私の生活についてお話しします。

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市場の中の鶏肉店。マレーシアは鶏肉の流通量が多いためか、新鮮なものが手に入りやすいという。

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マレーシアには、カジノが置かれているリゾート地も。イスラム教ではギャンブルが禁じられているため、イスラム教徒以外が賭けごとを楽しんでいる。

構成/日笠由紀

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