【スロバキア編】知識を共有しようとしないスロバキアのビジネス

Reported by MARU
スロバキアにある日系メーカーの現地法人に勤務。現地での楽しみは、地の利を生かしたヨーロッパ内の旅行や、日本から持ってきた自転車でのサイクリング、スキーなど。

メールの同報機能は使わない

はじめまして。MARUです。東欧のスロバキアにある日系企業の現地法人に勤務しています。

 

同僚は、ほぼ全員がスロバキア人。ヨーロッパにある現地法人とのやりとりがあるため、ヨーロッパのほかの国々の人とも仕事のやりとりがあります。社外では、チェコやポーランド、ハンガリーといった近隣国の顧客、業者との接点が多いのですが、彼らはたいてい英語が話せます。そのため、仕事で使う言語は100パーセント英語になります。現地語を仕事で使う場面は、まずありません。

 

スロバキアの人々の仕事の仕方で特徴的なのは、残業をしないということ。必要があればしてくれますが、あくまでもそれは緊急事態のときに限られます。人の残業も気になるようで、残業しようとしている私に、「もう帰る時間だよ」と声をかけてくれることもあるほど。こんなとき、「もしかすると、はじめから残業ありきの仕事量になっている日本の方が異常なのかもしれないな」と思います。

 

彼らは基本的に残業はしませんが、何かトラブルがあれば、終業後でもちょっと残るとか、土曜日に休日出勤してでもなんとかしようといった熱意は感じますね。ヨーロッパのほかの国のスタッフだと、顧客が困っていても平気で帰ってしまう傾向があるので、こうしたスロバキアの人々の律儀さは、もしかしたら旧共産圏ならではのものなのかもしれないと感じています。

 

また、仕事で得た知識をチーム間で共有しようという意識をあまり持っていないようで、それはメールで㏄(同報機能)を使わないところなどにも表れているように思います。「私の知識は私のもの」という感じでしょうか。役割分担が明確で、「ここまでは自分の仕事、あとはあなたの仕事」という区切りがはっきりしていることとも関係があるのかもしれません。

 

もちろん、日本でも業務範囲は決まっていますが、必要であればそれを超えて部署間で協力するのは当たり前のこと。顧客から製品の製造を受注したときなどは、営業が受注したら、設計、製造、アフターサービス…というように、社内のいろいろな部署が業務を次の部署に受け渡していく流れになりますが、日本であれば、自分の部署での業務が終わっていても、受け渡してからしばらくは問題がないかどうか様子を見て、どうやら大丈夫だとなった時点でようやく手を離れるというのが一般的な感覚かと思います。ところがスロバキアでは、自分の仕事が終われば、居残ったりはせずにさっさと帰ってしまうのです。そのため、問題が生じた場合は、帰宅した社員を呼び戻さなければなりません。そんなときはきちんと戻ってきてくれるので、そういう意味では責任感のあるしっかりしたスタッフたちなのですが…。

 

特に引き継ぎなどがからまない場合も同様で、自分の方が早く解決できそうな問題で誰かがもめているのが耳に入っても、担当外であれば口出しはせずに静観しているスタッフが多い印象です。からんできてほしい一心で他国の現地法人のスタッフもメールのccに入れて同報しているのに、あきらかにその人のレスポンスがほしいという流れになっても、自分からは何も反応してくれないのが普通。「巻き込まれない限りは部外者」という認識のようで、これはスロバキアに限ったことというよりは、ヨーロッパ全体の傾向なのかもしれません。

 

日本と比較すると圧倒的に転職が多いことも特筆に値します。そのため、どうしても経験の蓄積や技術の伝承が日本に比べると少ないように思います。前段でお話しした「知識は個人のもの」という意識は、こうしたこととどこか通底しているような気がしますね。日本は、ベテランの方々の経験や知識が組織単位で蓄積され、有意義に活用されていることにあらためて気づかされます。

 

日本のエンジニアとの橋渡し役に

スロバキアで仕事をする上で気をつけているのは、現地の技術者に、日本のエンジニアと積極的に交流を持つように働きかけること。当社の業界は経験がものを言う部分が大きいのですが、当現地法人は設立後まだ日が浅いこともあり、十分な経験を積んだベテランがまだまだ不足しています。日本の熟練したエンジニアから、どんどん知恵や技術を盗んでもらいたいと考えています。

 

ただし、現地スタッフの多くが、「日本人は英語が苦手」というイメージを抱いているせいか、とかく日本人技術者とのやりとりが中途半端で終わってしまいがち。駐在員である私が間に入ることで、お互いに理解が深まるよう橋渡し役を務めています。

 

また、当社の方針として、「現地法人は現地人に任せる」と言う原則があるため、私自身はあまり出しゃばらずに裏方に回るようにしています。何かアドバイスするときも、直接「こうしなさい」と指示するのではなく、「日本ではこうしてたよ」と伝え、最終判断は自分たちで行うという状況を作るようにして工夫しています。

 

次回は、スロバキアの運転事情などについてお話しします。

 

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ブラチスラバ市内で一番目立つブラティスラバ城。その形状からひっくり返したテーブルと呼ばれている。

 

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ブラティスラバの旧市街。こじんまりしているので半日あれば十分回れる。

 

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冒頭の写真でも紹介したデヴィーン城。自宅からサイクリングで行くのにもちょうどよい距離にある。

 

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世界遺産のスピシュスキー城。スロバキア東部の街にあり、まるで天空の城のよう。

 

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スロバキア国旗の図柄にもなっているタトラ山。ロープウェイで上まで行ける。

 

構成/日笠由紀

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