SMBCフレンド証券株式会社 山本潤さん【人事部長インタビュー】

お客さまにとって最適のサービスを自ら考え「カスタマー・ファースト」を本気で貫く

証券業界の業績動向は、アベノミクスによる株高を背景に個人投資家の売買が活発となったことに加え、上場基準の緩和という後押しもあり、新たに株式を上場させる企業が増えてきたことから、リーマン・ショック以前に迫る水準にまで回復しました。

14年4~6月こそ、4月からの消費増税の影響や海外での地政学リスク(※1)の高まりなどから業界全体で若干の足踏みとなりましたが、世界経済は豊富な流動性を背景にリスク選好(※2)への回帰が想定され、また、日本では年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用改革が実施されるなど、今後の巻き返しが期待されます。

(※1)テロや戦争といった特定の地域の政治的・軍事的・社会的な緊張の高まりから生じるリスクのこと。
(※2)投資家が高いリターンを期待し、リスクある取り引きを行うこと。

 さらには、投資のすそ野を広げていくことを目的として、14年1月1日に日本でもNISA(少額投資非課税制度)が導入され、新しく投資を始める人も増えております。

弊社、SMBCフレンド証券は、三井住友フィナンシャルグループの一員として、日本を代表するリテール証券会社を目指し、全社を挙げて、 “人”(お客さま「カスタマー」と社員「スタッフ」の双方)を大切にする「思いやりの経営」の実践に取り組んでいます。

経営理念の1番目には「お客さまのために」を掲げていますが、これはお客さま第一主義、「カスタマー・ファースト」を本気で実践するということです。お客さまに日々向き合う支店の営業員がお客さまの投資のご経験、投資に対するお考えなどを十分に理解したうえで、最適のサービスを提供し続け、その結果、「お客さまから『ありがとう』と一番多く言われる証券会社」になろうということです。

「カスタマー・ファースト」を徹底し、お客さまの信頼を得て基盤をさらに拡充していけば、お客さまからは喜ばれ、また、結果として、自社の収益も確保され、社員の処遇も安定し、「スタッフ・ファースト」も実現する。そして、社員が誇りと喜びを持って働くことで 「カスタマー・ファースト」がより確かなものになっていくという好循環が生まれると考えています。

弊社のお客さまの多くは個人の投資家です。ですから、既存のお客さまお一人おひとりとの信頼関係の強化を図るとともに、まだお取引のないお客さまに対しては、証券取引の面白さや醍醐味、或いは、投資は将来のライフプランを考えるうえでも必要だということをご理解していただく活動にも力を入れています。投資未経験のお客さまとの接点を増やす工夫としては、コールセンターやセミナーなどを通じて各種ご案内を実施しています。また、営業店においては、担当エリアのお客さまと一人でも多く接点を持てるよう、社員には効率の良い時間管理と行動管理を行うよう指導をしています。

お客さまのためを思い、最大限の力を発揮する“自考自動できる人材”を育成

「カスタマー・ファースト」の実現には、何より“人”が重要です。と申しますのも、「カスタマー・ファースト」を実践するためには、お客さまの顕在的・潜在的ニーズを察知できることはもちろん、マーケット状況やお客さまの家族構成、資産状況、投資経験・理解度、リスク許容力なども考え合わせた上で、お客さまの立場になって、相応しい商品を提案できる力が求められるからです。そこで、注力しているのが“自考自動できる人材”の育成です。自考自動とは、自分で考え、動くこと。弊社の仕事でいえば、マーケット状況やお客さまの特性を考えて商品を提案し、アフタ-フォロ-するということです。

自考自動できる人材の育成を基本コンセプトに、部店長研修や課長研修をはじめ、次世代リーダー研修、女性営業員の研修など、さまざまな研修を頻繁に行っています。また、ちょっとユニークな研修として、1年次、5年次、7年次、10年次など、年次ごとの研修も実施しています。同期は入社した時点では横並びですが、徐々に階層やポストが変わっていきますし、やっている仕事も本部、支店と異なってきます。さらに、配属が全国の支店となるため、なかなか同期が一堂に会する機会がありません。そこ で、年次別研修という切り口で、同期が一度に会する機会を提供しているのです。こうした研修は、同期の絆を確認する機会ともなり、同期同士の連帯感の強化に役立っていると考えています。

女性の活用は、政府目標にも掲げられており、今後とも重要な課題です。営業の第一線では数多くの女性社員に活躍いただいていますが、女性ならではのきめ細やかな心配りがお客さまからは大変好評をいただいています。また、女性管理職の登用も、積極的に推進しています。弊社の女性管理職比率は14年9 月1日時点で9.1パーセントと、民間企業の平均6.6パーセント(2013年度、厚生労働省発表の雇用均等基本調査より)を上回っています。

また、多くの女性が長く勤め、持てる力を思う存分に発揮できるよう、産前・産後休暇制度や育児休暇制度のほかに、配偶者の転勤などによる勤務地の変更に対応する勤務地変更制度、さらにはライフサポート制度として、経済的に一定額を補助する託児補給金制度など、仕事と家庭の両立支援制度の整備にも力を入れています。実際に、2010年度~13年度は、毎年 20名以上の社員が育児休業制度を利用しています。また、退職時には人事部で面接を行い、結婚や育児を理由に退職した社員に対して退職者再雇用制度を利用して職場に復帰するよう呼びかけていることから、復職してくる女性も徐々に増えています。

「カスタマ-・ファ-スト」の実践を部下社員に指導するとともに、職場での「スタッフ・ファースト」実践の担い手となる管理職社員には、研修を通じて、「高いコミュニケーション能力」、「自ら考え自ら行動する力」、「部下育成へのコミットメント」、「明るく前向きな職場づくり」、「旺盛な好奇心・探究心」の5つを体得させています。私たちは、今後とも、お客さまに心からご満足いただける商品を提供できる、金融のプロフェッショナル育成に向け、引続き人材の教育、育成に取り組んでいきたいと考えています。

学生の皆さんへ

社会に出て最も大切なチカラは3つあると考えています。1つめは、周囲の信頼を得て、人としっかりとした関係を作っていくこと。2つめは、責任感や困難に逃げずに立ち向かう気概を持つこと。3つめは、熱い思いを持って勤勉に働き、努力し続けることです。その上で、お客さまに「この人と会って話をして みたい」、「この人の話は面白い」と思っていただける人間力を養ってほしいのです。なぜなら、人間としての豊かさや深みを持っていれば、お客さまと実りのある会話が生まれ、長いお付き合いをしていただけるからです。

学生の皆さんには「社会でどう役立つか」、単なる知識の習得ではなく、人間がその素質を全人的に開花・発展させるために、教養を高め、人間性を高める努力をしてほしいと思っています。社会経験豊かなお客さまとお付き合いするためには、自分自身の人間的な魅力を高めることが是非とも必要です。こういった経験が、証券営業を行う上で、非常に重要な鍵になると考えています。

同社10年の歩み

明光証券(1948年設立)、ナショナル証券(48年設立)、山種証券(33年設立)、神栄石野証券(33年設立)を母体とし、2003年4月よりSMBCフレンド証券としてスタート。翌年、泉証券と合併。歴史と伝統を兼ね備えた証券会社として、大都市圏はもちろんのこと、独自の店舗戦略による出店により、国内に強固たる地盤とリテール網を持つ。03年から10年以上の間、「世銀債(※3)」を積極的に販売し、投資した資金が開発途上国の支援に役立つことでお客さまに投資の意義を感じていただくなど、価値ある商品の提供に努めている。

(※3)開発途上国の各種プロジェクトを支援するために、世界銀行[国際復興開発銀行(IBRD))]が発行する債券のこと。

2003年
4月、明光ナショナル証券(明光証券・ナショナル証券)とさくらフレンド証券(山種証券・神栄石野証券)が合併し、商号をSMBCフレンド証券に変更。
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2004年
4月、泉証券と合併。
2006年
9月、三井住友フィナンシャルグループの100パーセント出資会社に移行。
2012年
お客さまに、より満足度の高いサービスを提供するために「全社、投資コンシェルジュ宣言。」を掲げる。

取材・文/笠井貞子 撮影/鈴木慶子

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