就活するに当たり、「まずは企業研究から」と始めてみたものの、「事業内容」「業務内容」「職務内容」と似たような言葉が出てきて違いがわからない…と戸惑うことはありませんか?
それぞれの言葉の意味を理解し、「事業内容」を中心に読み解いていくと、企業研究の幅がより広がっていきます。本記事では、事業内容の意味と、企業研究に役立つ「事業内容」理解のポイントをキャリアアドバイザーが解説します。
岡本 健(おかもと・けん)キャリアアドバイザー。2018年、株式会社リクルートキャリアに入社。転職エージェント事業に携わり、入社後約1年で転職支援者数部門にて全国MVP(最優秀者賞)を受賞。常に意識しているのは、転職相談者と気持ちの周波数を合わせること。現在は、経営企画やコンサルティング、経理財務などの管理部門経験者を中心に、マネジメントクラスから若手まで幅広い年齢層の転職をサポートしている。
目次
「事業内容」の意味、「業務内容」「職務内容」との違いは?
事業内容、業務内容、職務内容は、業界や企業によって異なりますが、これらの意味は、一般的に以下の通りに理解されています。
事業内容 | 会社が取り組んでいる仕事内容 |
業務内容 | 部署(事業部)全体で担ってる仕事内容 |
職務内容 | 部署で働く社員個々の仕事内容 |
企業ホームページの会社情報などでよく見る「事業内容」とは、会社が取り組んでいる仕事内容のこと。事業内容を見ると、その企業がどのような事業活動で利益を得ているのかがわかります。
「業務内容」とは、事業内容を細分化したもの。その事業に取り組んでいる部署(事業部)全体で担っている仕事内容です。さらに、業務内容を細分化したものが「職務内容」です。
ですから、まず事業内容があり、それを部署ごとに分けると業務内容に、そしてさらに個々人に分けることで職務内容へと細分化されていくイメージです。
私が以前勤務していた百貨店業界を例に、説明してみましょう。
百貨店と聞いて、誰もが思い浮かべるのは、百貨店の運営といった「百貨店業」でしょう。主軸の事業である百貨店業の業務内容の1つが、婦人営業部が担当している仕入れと販売です。さらに、その婦人営業部で働く社員の職務内容は役割により異なります。商品の仕入れをしているのがバイヤー、それを店頭で販売するのが販売員、人員・在庫・金銭など店舗全体の運営を管理するのが店舗マネージャーとなるのです。
多くの企業で事業の多角化が進む。企業研究で「事業内容」を読み込もう
百貨店の事業内容を見ると、主軸である百貨店業に連動して、事業の多角化が図られていることがわかります。
例えば、自社の店舗を核としてショッピングセンターなどの商業施設を運営し、そのテナント料を主な収益とする「不動産事業」や、カード会社と提携し店舗でお得に買い物ができるようなクレジットカードを発行している「金融事業」、近年ではオンラインでもショッピングができるよう「EC(Electronic Commerce、電子商取引)事業」など、グループ会社を含めて多様な事業内容を展開しているのです。これには、時代や顧客ニーズに合った形で事業の間口を広げ、百貨店業一本では厳しくなっている収益を確保していこうという狙いがあります。
ですから、「百貨店=百貨店業だけ」というイメージしか持っていなかった人は、企業ごとの事業内容をきちんと調べることでさまざまな気づきがあるでしょう。また、「なぜ、主軸以外の事業を始めたのか」を深掘りしていくと、その企業が目指す方向性が見えてきて、新たな興味につながるかもしれません。あるいは、小売業だと思って視野に入れていなかった百貨店で、自分が関心を持っているIT系の仕事や、商業施設の開発・運営を通して街づくりを推進していく仕事に携われる可能性があることを知るきっかけになるかもしれません。
このように、事業内容を分析し、業務内容や職務内容にまで落とし込んで考えていくと、その企業での仕事が思っていた以上に多岐にわたっていることにも気づくことができ、企業全体の理解(=企業研究)がさらに深まっていくはずです。
事業の多角化は、多くの業界で見られる傾向なので、事業内容をきちんと調べずに、企業名から想起されるイメージや自分が知っている範囲の情報だけで安易に判断してしまうと、会社選びの幅を狭めてしまうことになりかねません。事業内容を深掘りし、企業を研究していくことが、自分の未来の可能性を広げることにつながるのです。
事業内容と合わせて、事業別の「売上高」も調べよう
事業内容を調べるには、企業ホームページ、リクナビなどのナビサイト、説明会、企業について書かれた書籍など、さまざまな方法があります。こうした情報を基に事業内容を調べるのと併せて、売上高などの数字、特に事業別売上高をチェックしてみると参考になるでしょう。
事業別売上高を同業他社ごとに比較し、現状や今後注力する事業を知ることは、その企業の未来を知るヒントになります。例えば、同じ百貨店業界のA社とB社が不動産事業を展開していたとき「A社は不動産事業の売上高が高いから、テナント料などの安定的な収入基盤がある」「B社の不動産事業売上高が低い理由は、本業である百貨店業の不振を補うために、不動産を売却しているのかもしれない」といったことが読み取れるかもしれません。もしくは、B社は不動産事業に注力しているわけではなく、不動産事業以外の事業に舵(かじ)を切り、収益を上げているなどの可能性も考えられます。
事業別売上高は、すべての企業が公表しているわけではありませんが、IR情報にある有価証券報告書(事業年度ごとに作成する企業内容の開示資料)のセグメント情報(企業が展開する事業内容ごとの情報)などを参照しましょう。企業を調べ、ほかにも気になるポイントを洗い出してみたら、会社説明会やOB・OG訪問を利用して社員に聞いてみるとより理解が深まると思います。
事業内容をさらに深掘りして、「自分のやりたいこと」との接点を見つけよう
事業内容を切り口に企業研究してみると、企業の現状や未来までもが読み取れるということがわかったかと思います。
最後に、私自身の就活の経験を振り返ると、事業別の売上高を知りたいとき私は新聞や株式の掲示板などにも目を通していました。投資家の生の声も会社の現状や未来を知るヒントになるので、企業研究の参考にしていました。
また、考えるだけでなく、行動することも事業内容の理解に役立ったと思います。中でも当時役立ったのが、新しいビジネスモデルを考え、発表するグループワークがあるインターンシップでした。最初に事業内容のレクチャーを受け、それを踏まえてその企業で展開する新しいビジネスを考え、最後に優秀賞が発表されるという内容です。学生の提案とはいえ、優秀と評価される事業は、会社が目指す事業の方向性に合っているということ。こういったきっかけから、事業内容や将来の方向性、さらには企業のカラーなども知ることができるのでは?と思います。
就職活動で重要となるのは、「入社後にその企業で活躍できるか」「自分のやりたいことがその企業で実現できるか」を長い時間軸で考えることです。企業研究として、事業内容の理解から今後の事業展開にまで落とし込むことで、企業のビジョンと「自分のやりたいこと」との接点を見つけられると思います。接点があれば、「なぜその企業を選んだのか」より説得力を持って語れるようになるでしょう。興味のある企業を見つけたら、ぜひ事業内容への理解を中心に企業研究に取り組んでみてください。
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取材・文/笠井貞子