中国の大連市に住み、現地にある日系メーカーに勤務。休日の楽しみは、大連市街での外食や、街歩きなど。最近は中華料理のおいしさに気づいて、大連の地元料理である水餃子(ギョーザ)専門店や四川料理、上海料理、台湾料理、海鮮料理などさまざまなレストランに行くように。牛タンが食べたくなると、日式(“日本の”という意味でよく使われる言い方)焼き肉レストランを訪れている。
あてにならないインターネット
こんにちは。ラオゴンです。今回は、中国に駐在する意味についてお話しします。
中国に駐在するには、中国語が使えることが必要になりますが、正直言って、私の中国語スキルはまだまだ。そのため現在は、週2回、1回2時間で中国語のプライベートレッスンを受けています。仕事のメールで中国語を使うこともありますが、それもメール冒頭のあいさつと締めの言葉、あとは単語レベルでの簡単な指示だけです。ただし、その場合でも念のためインターネットの翻訳ツールで確認するので、日本語なら3分程度で済むところを、その倍の時間はかかっています。
中国は、あらゆる情報が中国語で提供されている「中国語社会」ですが、ここで暮らすためには、語学力だけでなく、情報収集力も必要。日本と違い、インターネットから正確な情報を得ることがとても難しいので、口コミの情報だけが頼りになるからです。例えば、インターネットやフリーペーパーに載っている情報が、実はしばらく更新されていなくて古い情報だったり、地図が大雑把すぎてわからなかったりするのは日常茶飯事。また、フリーペーパーに「○月○日オープン」となっていても、実際に足を運ぶとまだ工事中だったり、「○○ビル」と書いてあっても、行ってみるとそのビルが複数棟あったりして、途方に暮れてしまうことも珍しくありません。
だからこそ、現地で知り合いを作ることがとても大切。初めての場所に行かなければならないときも、事前に日本の人に聞いておけば、「このビルにはいくつも入り口があるので、この入り口から入るのが一番わかりやすいですよ」「この駅で降りるときは、この階段を使うと外に出られるので、道を渡って何番のバスに乗ると良いですよ」といった細かいことを教えてもらえて、スムーズに行かれるからです。また、こちらに来て、日本にいた時よりも頻繁に胃腸炎にかかるようになってしまったのですが、初めて病院に行った時も、事前に日本人の知人から流れをひと通り聞いていたので、安心して受診できました。
子どもがいる家庭では、教育に関する情報も重要です。大連には、インターナショナルスクールや日本人学校があり、幼稚園は現地の幼稚園に通わせる人もいます。日本人学校に通う場合は、通学バスの手配や学校サイドとの面談など、事前に知っておいた方が良いことがいろいろあるので、特に日本人同士の付き合いが大切になります。
また、大連での大きな事故や火災、地震の情報は、やはり中国の人の方が早く情報をキャッチしているので、現地の人と仲良しになっておくことも必要。情報が得られるだけでなく、彼らの考え方や嗜好(しこう)なども理解することができるので、ネットワークがさらに広がると思います。
「世界の工場」中国の今後は!?
もともと海外赴任の希望があったので、入社以来、一貫して海外赴任の希望をアピールしていたのですが、家族と一緒に赴任できる場所を希望していたこともあり、初めての駐在先が中国と決まった時は、正直不安もおぼえました。その後、「大連は日本人にとって住みやすい街だ」と聞いて少し安心したことを覚えています。
今はこちらに来てようやく1年がたったところですが、日本ではマネージャーとしての管理業務はまったく行っていなかったので、こちらでマネジメントの立場で業務に携わることは、視野を広げる良い機会になりました。あらためて仕事の基本を考え直すチャンスにもなっていると思います。
中国駐在を経験したことで言うと、まず、歴史的な側面からアジアにおける日本の立場を強く意識することができるようになりました。また。現在の国際社会においては、中国のことを無視することはできません。この時期に、ダイナミックで変化の速い中国という国の「今」を実感できたことは、得難い経験となっています。「世界の工場」と言われた中国が、現在どう変わろうとしているのかを、これからも注意深く見守っていきたいと考えています。
将来、海外で仕事をしたいと考えている皆さんは、ぜひ若いうちに海外駐在を経験すべきだと思います。若い時の方が、臆せずにいろいろなことにチャレンジできるし、失敗してもやり直して再び挑戦するチャンスがあるからです。もちろん、苦労することも多いと思いますが、必ず自分のスキルアップにつながるはずですよ。
中国語の教材。基礎から実用的なビジネス用のものまで、必要に応じて組み合わせながら学んでいる。
大連で手に入るフリーペーパー。日系企業の進出に伴い、在留邦人数は6000人前後で推移しており、さまざまな日本人コミュニティーが形成されている。
市内にはいくつかのショッピングモールが。シネコン併設の大規模なものもある。
映画館のチケット。これは『ジュラシック・ワールド』を見た時のもの。
オート三輪が現役で活躍する大連の街。路上の屋台では、屋根のおかげで雨天時でも問題なく買い物ができる。
構成/日笠由紀