【中国編】 常に誰かが産休中。働く女性の権利が守られている中国

Reported by ラオゴン
中国の大連市に住み、現地にある日系メーカーに勤務。休日の楽しみは、大連市街での外食や、街歩きなど。最近は中華料理のおいしさに気づいて、大連の地元料理である水餃子(ギョーザ)専門店や四川料理、上海料理、台湾料理、海鮮料理などさまざまなレストランに行くように。牛タンが食べたくなると、日式(“日本の”という意味でよく使われる言い方)焼き肉レストランを訪れている。

労働時間内に1時間の哺乳時間が

はじめまして。ラオゴンです。中国の大連市に住み、現地にある日系メーカーに勤務しています。

現地での同僚は、日本からの出向者が10人強で、あとは10名弱の部下を含めて、全員が中国人です。割合で言うと、日本人は1パーセント程度とごくわずか。社外でやりとりがあるのは、現地の企業となります。

仕事で使用する言語は、口頭のやりとりでは、日本語が主となります。というのも、口頭のやりとりは通訳を介して行うので、日本語だけで用が足りるからです。メールでは、日本語以外に中国語、英語も使用します。また、現地での公式な書類はほぼすべて中国語なので、私が作成することはなく、確認が主となります。現地での報告資料や、日本の本社向けの管理資料は、日本語で作成します。

スタッフは、基本的に時間内で帰宅し、残業はほとんどしませんが、時間内で仕事を終わらせようという意識がとても高く、だらだらと仕事を続けてしまう日本との違いを強く感じます。会社が運行している通勤バスを利用している社員の割合が多く、バスに間に合うために頑張って仕事を終わらせることも、残業が少ない要因なのかもしれません。ただし、中には期限のある業務もあり、どうしても間に合わない場合は、残業することもあります。

日本との違いを感じるのは、結婚しても働く女性が多く、夫婦も共働きが基本ということです。もともと中国は、男女平等の社会であり、働く女性の権利もしっかりと守られていて、日本よりも働きやすいようなのです。産休中でも一定の給与が保証され、働く環境が整っているせいかもしれません。その上、中国の法律では、産休明けの授乳期間中、子どもが満1歳になるまでは、労働時間内に1時間の哺乳時間を与えるように決められています。また当社には、子どもが満1歳になるまでは休暇を取りやすくするような配慮があり、これは周辺の他企業も同様のよう。加えて、親族の援助が受けやすかったり、保育園などの設備も整備されているなど、日本より社会全体によるサポートが手厚い印象です。こうした恵まれた環境のおかげなのか、全員が女性である私の部下は、いつも誰かしらが産休中。私が赴任して以来、部下が全員そろったことは一度もありません(笑)。

依頼する業務の背景や意義をじっくり説明

仕事のやり方で意識しているのは、連絡事項を明確に伝えることです。日本語にありがちな“あいまいな表現”は極力しないよう心がけています。というのも、こちらの人たちは、指示されたこと以外の方策を考えて自ら実行したりはしないので、あいまいな指示では、より良い成果が望めないからです。また、何かを依頼したときも、簡単に「できません」という答えが返ってきてしまうので、はじめのうちは本当に苦労しました。そのため、最近では、依頼する業務の背景や意義について、多少、時間がかかっても、最初に明確に伝えるよう気をつけています。期限についても、「なぜこの期限なのか」という理由をできるだけ伝えるようにして、納得して業務に取り組んでもらえるように心がけています。

次回は、大連という都市についてお話しします。

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大連市内「中山広場」の一角。日本が租借していたころの旧大連市役所(手前)と近代的な高層ビルが共存している。旧大連市役所は日本人の設計によるもの。

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旧大連市役所と同じ日本人設計者が設計した旧関東逓信(ていしん)局。現在は大連市郵政局となっている。

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レトロな雰囲気の郵便ポスト。投函(とうかん)口はひとつだけで、「普通郵便」「速達」「国際郵便」といった区分はないのが特徴。

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日本が租借していた時代に敷設された大連市内の路面電車。今も現役で市民の足となっている。

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司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』の舞台にもなった大連。高層ビルが林立する大都会の一角には、馬で行商する人の姿も。

構成/日笠由紀

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