マレーシアにある日系企業の拠点に勤務。現地では、社内の仲間や顧客、駐在員仲間とのゴルフや日々の食事が楽しみ。
マレーシア人特有のアクセントに慣れた
こんにちは。ブンガラヤです。今回は、海外駐在で得られる収穫についてお話しします。
私の場合、赴任前のTOEIC(R)Testのスコアは770点。読み書きこそ業務に支障はありませんでしたが、リスニングとスピーキングについては苦労が多く、スキル不足を痛感しています。赴任してからは、“マレーシア訛(なま)り”の英語にも慣れ、リスニングは若干向上したと思います。なにしろ、赴任当初はどんなに真剣に耳を傾けていても、人によっては半分も理解できなかったことがあったくらいです。スピーキングについても、何とか自分の言いたいことは伝えられるようになりました。
とはいえ、リスニングもスピーキングも、まだまだ課題が多いので、できれば現地の英会話スクールに通って、さらに向上させたいと思っています。週3回スクールに通っている妻がどんどん上手になっていくのを見ると、余計にそう思います。
さまざまな文化・商慣習に合わせる柔軟性が身についた
マレーシアに来てからも、日本で一緒に仕事をしていたチームと協働しているのですが、当時とは別の立場から業務を俯瞰(ふかん)することになったことで、自分がしていた仕事を客観的に眺めることができるようになりました。私たちの仕事がどんな影響を周りに及ぼしていたのか、その結果、どのぐらい効率が上がっていたのか…。業務を、より立体的に深く理解できる機会が得られたのは、ひとえに海外駐在のおかげです。
また、マレーシアのような多民族国家に駐在したことで、マレー系、中国系、インド系、そして欧米人と、いろいろな民族・人種と接することもできました。欧米人は、自分の意思や考えをはっきり口に出して伝えることを好みますが、マレーシア人は決してそうではありません。相手の文化や商慣習を学び、尊重しながら柔軟に仕事を進めていく経験が積めたのも、マレーシアならではかもしれません。
実は、私自身は、決して海外志向が強い社員ではありませんでした。にもかかわらずマレーシア駐在員に選ばれてしまい、海外に行きたがっていた同期から軽く恨まれたほどです。そんな私ですが、今は、日本では味わえないマレーシアの高度経済成長を目の当たりにできたばかりか、ダイナミックな経済の波のなかで思い切り仕事ができています。海外に出て本当に良かったと感じています。
今後、皆さんがどんな職種に就くにせよ、仕事が日本だけで完結するということはなくなっていくのではないでしょうか。マレーシアの大学教授に聞いたところ、マレーシアのエリート学生は、グローバルに活躍するために、欧米やオーストラリアなどに留学しているそうです。しかし、そうした留学先に、中国や韓国からの留学生はいても、日本の学生はいないか、非常に少ないのだとか。「世界がどんどんグローバル化しているこの時代に、日本の学生はなぜ留学しないのか」と聞かれてしまいました。残念ながら、海外から見ても、日本の学生はとても消極的な印象を与えてしまっているようです。これからの日本を担う学生の皆さんには、意識を日本の中だけに向けることなく、ぜひ積極的にグローバルな視点や意識を養ってほしいですね。
「ピンクモスク」は、外観もやはりピンク一色で壮観。
マレーシアの精肉店では、輪切りの丸太をまな板代わりにしているところが多い。
クアラルンプールのシンボルであるペトロナスツインタワー。20世紀の超高層ビルとしては最も高い、高さ452mの88階建てだ。(2013年9月現在)
構成/日笠由紀