【タイ編】日本人と似ているタイの人々のメンタリティ

Reported by リュウ
タイのバンコクにある日系企業の現地法人に勤務。赴任後に始めたゴルフにはまり、妻と早朝ゴルフを楽しんだり、おいしいタイ料理レストランを教えてもらって食べ歩いたりと、タイ生活を満喫中。

本心がわかりにくい現地のスタッフたち

はじめまして。リュウです。タイのバンコクにある日系企業の現地法人で、経営企画全般などに携わっています。

現地法人は数百人の従業員を抱える非常に大規模なものですが、日本人駐在員は十数名、現地採用の日本人も数名で、あとはすべてタイ人です。私の部署も、部下は全員タイ人で、基本的に社内で仕事のやりとりが生じるのはタイ人ばかりとなっています。

仕事で使用する言語は、原則として英語。当社は、マネージャー以上の役職者は、タイ人でも英語を必須としているため、日常会話程度であれば、マネージャー以上とのやりとりは英語でまったく支障ありません。ただし、タイ人向けの営業を担当している部門のタイ人スタッフたちは、総じてあまり英語が得意ではないため、タイ語での会話が必要になる場面も。込みいった話になったときは、私の部署にいる英語が得意なタイ人スタッフに通訳を頼むこともあります。

タイ人スタッフに対してよく感じるのは、考えていることがわかりにくいということ。これは、まさに日本人が外国の方からよく言われることでもあるので、メンタリティがある意味、日本人と似ているのかもしれません。別の言い方をすると、「表と裏がある」「本心を見せない」ということでしょうか。いったん会議で決まったことでも、後で個別に確認すると、会議の場では言わなかった意見が出てきたりすることもあります。しかし、自分から反論を伝えにくるようなことはありません。上司に対して、自分の意見を声高に主張するような文化ではないのです。それでいて、会議で決まったことをしれっと実行しなかったりするので要注意。タイミングを見計らいながら、進捗(しんちょく)をチェックしなければなりません。

プレゼン当日は勝負服! 目立つ仕事に大張りきり

彼らは、基本的に真面目な一方、のんびりしているところもあり、先々まで見通して必要なタイミングで必要な作業を行うような仕事の進め方はあまり得意ではないようです。そこで、ある程度ラフな全体計画は担当のマネージャーと相談して作成し、詳細は任せるようにしています。とかく目の前の業務に集中する傾向があるため、詳細なスケジュールを作ってもらおうとすると、どうしてもそのスケジュールを作成することに熱中してしまいがち。かといってスケジュールがないとまったく実行しなくなってしまうため、初めのうちはひたすら忍耐強く対応しなければなりません。その後は、都度、スケジュールを確認しながら、定期的な打ち合わせに加えて、朝や昼などに短時間、スタッフの席で話したりしながらフォローを行います。私からマネージャーたちに対するフォローを頻繁に実施し、同じことをマネージャーからさらに下位者に言ってもらうことで、仕事の進捗を確認するわけです。会議の場では発言してくれないこともあるので、会議以外の場での確認も必要。こうして工程管理をしていれば、個別に注意をしなくても済むのです。

というのも、タイの人々は非常に体面を重んじるので、たとえ部下であってもプライドを傷つけるような行為は避けなければならないからです。どうしても注意をしなければならないときは、会議室などほかのスタッフから見られない場所で、あまりきつくなりすぎないように気をつけながら。私がよく注意するのは、「スケジュール通りに進めていると報告していたのに、実は実行していなかった」といった種類のものが主で、日常の細々とした仕事の仕方などについての注意は、タイ人のマネージャーからしてもらいます。それは、お互いに事情がわかっているタイ人同士の方がうまくいくから。例えば、雨の日に大幅に遅刻することが多いスタッフは、「雨が降ると特に渋滞がひどくなるエリアに住んでいるので、家を6時に出ても遅刻してしまう」などと言い訳をするのですが、そのエリアの状況がわからない私には、それが真実なのか嘘なのかがわかりません。そんなときこそが、タイ人マネージャーの出番なのです。

好景気のために離職率が極めて高く、気に入らないとすぐ転職してしまう傾向があるため、スタッフへの仕事の与え方などにも注意しています。仕事の量が多過ぎたり、責任が重過ぎたりと、負荷をかけ過ぎるのはよくありませんが、何度か転職をしてから日系企業に来ているベテランのスタッフは、日系企業での仕事の仕方を理解している人も。そういったスタッフの場合、ラクな仕事よりも、むしろ自分のキャリアにプラスとなるようなチャレンジングな仕事を好むため、様子を見ながら調整しています。

人前でプレゼンテーションしたり、業界団体での会合など社外の業務が好きなスタッフも多いですね。そのため、そういった機会を与えることも、ある種のベネフィット(特典)と考えています。赴任当初に、普段はものすごく地味な女性スタッフにセミナーでの発表の機会を与えたところ、発表当日に白のボディコンドレスと派手な化粧で現れたことがありました。よほど張り切っていたのでしょう。当時はとても驚きましたが、タイでの仕事に慣れてくるにつれて、だんだんそれも当たり前のことのように感じるようになりました。

次回は、タイの文化についてお話しします。

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バンコクのオフィス街。バンコクには50階を超える超高層ビルも少なくない。

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レッドカレーはタイ語では「ゲーンペッ」。「ゲーン」は「汁物」を、「ペッ」は「辛い」を意味している。

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バンコクの街には野良犬が多いが、中には餌をくれる人に首輪をつけられている犬も。

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市街地の道路は、帰宅ラッシュで夜も大渋滞。

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バンコクの街中で所狭しと軒を並べる屋台。衣料品から服飾品と、身につけるものも一通りそろう。

構成/日笠由紀

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