「志望業界・企業を絞って選考を受けてきたら、内定先がない」「ほかの業界を受けようと動き始めたときには、選考が締め切られていた」…そんな事態にならないために、選考までの就活準備で気をつけてほしい志望業界・企業選びの考え方について、リクナビ就職エージェントのキャリアアドバイザーに聞きました。
目次
今回のご相談「志望の業界、企業は決まったので、そこしか選考は受けないつもりです」
「志望業界・企業が決まっているから大丈夫!」の前に知っておきたいこと
毎年各企業のエントリーシートや面接などの選考が進んだころに、「業界や企業を絞って選考を受けてきたが、すべての企業の選考に落ちてしまった」「志望業界・企業の選考に落ちたので、ほかの業界を見始めたが、行きたいと思える企業の選考は締め切られていた」という相談を一定数の学生から受けます。
志望業界・企業の見当を付けて調べ、理解を深めて選考に臨むことは大切です。ただし、「志望業界・企業の見当を付ける」ことと、「志望業界・企業だけを調べて、そこしか選考を受けない」は異なるということは、就活準備を進める上で気をつけてほしいところです。
「志望業界・企業の幅を広げて、選考に臨めばよかった…」と後悔しないように、選考を受ける業界・企業を考えるときに押さえておきたいポイントについて、解説します。
「好きだから」「身近だから」が志望理由になっていないか
志望業界・企業を絞って選考に臨み、落ちてしまう学生に志望動機を聞くと、自分自身と企業との共通点が伝わってこないと感じることが多くあります。
例えば、志望する学生の多い「食品業界」。志望動機を聞くと、以下のような答えがよく返ってきます。
- 食べることが好きだから
- 子どものころから身近だった商品作りに携わりたいから
- 食を通じて、世の中を元気にしたいから
これらは、確かに業界・企業に興味を持った理由ですが、選考の際に企業が知りたいのは、「 “あなた”が、当社を志望する理由」です。そのためには、「あなたがどんな人なのか」「入社後にどう活躍できるのか」について、エピソードなどで具体的に伝える必要があります。採用する側の視点に立つと、「好きだから」「身近な商品だから」だけでは、興味・関心があることしかわからないのです。
こだわりすぎて就職浪人を選ぶのは?
中には行きたい業界・企業に受からなかったら「就職浪人をして来年再チャレンジすればいい」と考える学生もいるかもしれません。
ただ、次年度の企業の採用計画や就活の状況は予測できず、時間をかけたからといって就職が有利になるということはありません。企業から見ても、「1年という時間を使ってまで再チャレンジするには、相当な思いがあるのだろう」と期待も高まるでしょう。
「ほかの内定も頂いたけれど、やっぱりもう一度**業界にチャレンジしたい」という強い思いがあれば、納得感はあるかもしれませんが、就活浪人には、デメリットも大きいと思います。
「自分はこれが好きだから志望業界・企業はここに決めた。ほかは見ない」と考える前に、自分が活躍できそうな業界・企業はほかにないかどうかも広く考えてほしいと思います。
志望業界・企業の選択肢を広げるときのポイント
自分の強みを知って、「活躍できる業界・企業」を探してみよう
志望業界・企業の選択肢を考える際、ぜひやってほしいのが自己分析です。と言うのも、業界・企業についていくら知識を深めても、自分の強みや弱みをわかっていないと、「そこで自分が活躍できそうか」をイメージするのが難しいからです。
例えば、これまでのトラブルや壁にぶつかった経験を思い出してみて、その時どんな行動を取ってきたかを振り返ってみましょう。
このようにいくつか経験を振り返ってみると、「自分は情報を集めて、問題の解決方法を考えるらしい」というように、共通する行動特性が見えてきます。そして、その特性は社会人になって仕事をしていく上でも発揮される、あなたの“強み”になるでしょう。
このように自己分析をして自分の強みを知った上で業界・企業の仕事内容を見ていくと、「この仕事には、強みを生かしてこんなふうに活躍できるかもしれない」と具体的にイメージをしやすくなります。
また、「情報を集めて問題を解決する」強みはさまざまな業界・企業で生かされるでしょう。このように行動特性を基にした自分の強みを見つけることができると、興味を持っている業界・企業以外で働く姿をイメージするための良いきっかけとなるでしょう。
自己分析の方法については、こちらの記事でも紹介しています↓
自己分析の目的は?先輩たちに聞いたオススメの方法を詳しく紹介!
「仕事を通して実現したいこと」から志望業界・企業を考えてみよう
志望業界、企業を広げるときのもう一つのアプローチとしては、「その仕事を通じて何を実現したいのか」から考える方法があります。
例えば、自分のアルバイトでの経験から若者の就労環境に課題を感じ、「どんな人もイキイキと働ける社会をつくりたい」と考えたとします。一見すると働く環境に影響を与えたいのだから、それを実現するには人材業界だと思うかもしれません。しかし、同じ目標でも、IT業界でエンジニアとして、より良い働き方を実現するためのツールの開発を手掛けるというまったく別の業界からのかかわり方もあるのです。
「自分の強みが生きるのはどこか」「自分は仕事を通して何を実現したいのか」という観点で業界・企業を見ていくと、思っていたよりいろんな選択肢があることに気づけると思います。
志望の業界・企業の見当が付いたら、調べておきたいことは?
「求める人物像」と「採用人数」をチェック
志望業界・企業がいくつか見えてきたら、自分の強みが生きるのか、「求める人物像」と照らしてチェックすることと、内定が出る可能性がどれくらいかを見ておくといいでしょう。
企業の採用ホームページやナビサイトなどには「求める人物像」が記されています。これは、その企業で活躍している人に共通した要素で、今後の事業展開に向けて求められる力でもあります。自分の強みと「求める人物像」に共通しているものがあるなら、内定につながる可能性、入社後に活躍できる可能性も広がるでしょう。
また、業界内の企業数や企業の採用予定人数は比べてみるとばらつきがあります。企業数や採用数が多いところは、内定が出る確率も高まります。
選考が終了してから、「どこからも内定が出ていない!」と焦らないように、内定をもらえる可能性のある業界・企業にも早めにアプローチしておくことが大切です。
インターンシップや説明会で幅広い情報収集を
「ほかの業界を見始めたが、行きたいと思える企業の選考は締め切られていた」とならないようにするためには、インターンシップ等のキャリア形成支援プログラムや説明会に参加して「こんな企業・仕事があるんだ」という引き出しをたくさん持っておくことも大切です。
興味のある業界・企業があるのなら、その企業の取引先を追っていくのもいいでしょう。例えば普段何げなく使っている商品が自分の手に渡るまでには、製造元以外にも原材料(素材)を手掛ける企業から、パッケージのデザイン、広告やPRに携わる企業まで、さまざまな専門領域の企業が関係しています。「こんなかかわり方もできるのだ」と知ることで、やりたい仕事の幅も広がるかもしれません。
また、業界・企業の仕事内容に近い体験をしてみるのも一つの方法です。例えば、IT業界に少し興味を持ったら、オンライン上の無料ツールなどでプログラミングを試してみてください。そこで面白いと思えたら、IT業界のエンジニアも選択肢に入ってくるでしょう。体験してみて発見できることもたくさんあるので、選考が本格的に始まる前にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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