覚えたら一生モノ!就活で役立つ「傾聴力」実践のポイントをプロが解説

インターンシップやOB・OG訪問、面接など、就活では初対面の人とコミュニケーションを取る機会が多くなります。そんなときに役立つ「傾聴力」というスキルと、就活シーンで傾聴スキルを実践的に使っていくときのポイントについて、企業向けの新人研修などに携わっている浅野裕将さんに聞きました。

浅野裕将さんプロフィール写真プロフィール 浅野 裕将(あさの・ひろまさ)

エディフィストラーニング株式会社 マネジメント/ビジネススキル担当トレーナー。独立系SIerでシステム企画、開発に従事後、ライン管理職時代に自部門の教育推進をきっかけに、全社向けの新入社員研修の企画プロジェクトに参画。その後、人材育成部門で人材育成体系の構築、研修企画、運営、社内講師の経験を経て、人材育成ベンダーで講師を担当。SIerでの開発現場と人事部門の立場、人材育成ベンダーでの営業と講師の立場、それぞれの立場での経験を踏まえ、実践的なファシリテーションを得意とする。

傾聴力とは?

傾聴力とは、「耳を傾けて、話し手に寄り添って聴く力」を指します。相手の立場になって“話しやすい”と思ってもらえるように話を聞く力、とも言えます。傾聴力を発揮できると、「話をしっかり聞いてもらえて安心する」「もっと話したい」と相手に思ってもらえることでしょう。
就活でも、相手からより深い内容を引き出したり、ほかの人には話さないことを聞いたりすることができる可能性も高まります。

また、社会人になって仕事をする上でも傾聴力は必要とされるスキルで、新入社員研修でも、傾聴力をテーマにすることがあります。入社1年目は上司や先輩から教わることが多く、相手の話にしっかり耳を傾けて聴く姿勢ができていると、「もっと教えてあげたい」と思ってもらえることも。そのことで、得られる情報の量と質、ひいてはその後の成長にまで影響を与えうるのです。

浅野裕将さんインタビューカット

では、就活中には具体的にどのような傾聴スキルが生かせるのでしょうか。OB・OG訪問やグループワーク、面接など、就活中によくあるシチュエーションごとに実践に当たってのポイントを紹介します。

相手から情報を引き出す場合

インターンシップやOB・OG訪問では、先輩社員に仕事内容やホームページなどに載っていない会社のことなど、自分の気になる点を質問する場面も多くあるでしょう。

まずは、「しっかり聴く」ことを意識しよう

このとき意識したいのは、最初の質問はこちらから投げつつも、返ってきた答えをしっかり聴くことです。聞きたい内容を事前に考えていくのはもちろん重要ですが、「わからないことを聞いて解消しよう」という思いが強くなりすぎると、一問一答のような聞き方になってしまい、コミュニケーションが深まりにくくなります。

どんな人にも「自分の話を聞いてほしい」という潜在的な欲求があります。また、先輩社員が質問に対応してくれるということは、仕事や企業について伝えたいことがあるはず。
自分の知りたいことを矢継ぎ早に聞くだけでなく、相手が話したい内容に乗っかっていく方が、よりスムーズに話を引き出しやすいでしょう。

話を聞いていてわからないことがあったときはどうする?

また、先輩社員は、採用選考に携わっている人事部の社員と比べると就活生と話をする機会は多くありません。そのため、話の中で知らない単語が出てくる場合もあるかもしれません。
そのような場合は、そのままにせずに質問してみましょう。「そんなこともわからないのかと思われないか」「聞き直すのは恥ずかしい」と思うこともあると思いますが、「知っているふり」「わかったつもり」で、正しく理解できなければ本末転倒です。

事前準備、勉強をせずに、何でもかんでも聞いてしまうのは相手に失礼ですが、わからない点をおろそかにせず、素直に質問して理解しようとする姿勢は、話し手に「自分の話をちゃんと聞いている」「興味を持って聞いている」という印象を与え、安心して話してもらえるようになるでしょう。

質問する際には、相手の話を遮る形にならないように注意してみてください。
相手がひと息ついたタイミングで、「少し話が戻ってしまいますが、〇〇について教えていただいてもいいですか」「〇〇を聞きそびれてしまったので教えてください」のようにあらためて質問してみましょう。

相手の言ったことを、自分の言葉に置き換えて確認することも、一つの方法です。「それは、こういう認識で合っていますか」と理解の擦り合わせができると、「あなたの話をきちんと聞いています。わかっています」ということが伝わり、相手はより話しやすくなります。

普段から家族や友人と話すときに、「それってこういうこと?」のように、相手の発言を自分の言葉に置き換える練習をしておくと、傾聴力を深める訓練になるでしょう。

また、言葉を置き換える力がつくと、社会人になって上司やお客さまとのコミュニケーションの際にも生かすことができるでしょう。「自分の話を受け止めた上で、いろんな質問をしてくれる」と思ってもらえるようなコミュニケーションを心がけましょう。

自分の聞きたいこととずれた回答の場合はどう対処する?

会話の中で、質問したことに対する答えが、自分が知りたい論点とずれている…と感じる場合もあるかもしれません。その場合は「そういうことではなくて…」のように、否定的な表現ではなく、「〇〇という点ではどう考えますか?」のように、ほかの質問で聞き直せると理想的です。

OB・OG訪問で先輩社員に質問をしている就活生のイメージ

複数の学生とコミュニケーションを取る場合

グループディスカッション・グループワークで傾聴力を発揮するためには?

インターンシップや本選考で実施されるグループワークやグループディスカッションでは、与えられたテーマについて同じグループの学生と話し合ったり、成果物を作ったりして発表します。自分が発言するだけでなく、相手の話を聞く場面も多くあるでしょう。

こうした場で傾聴力を発揮できると、話している人に「ちゃんと聞いてくれている」という安心感を与えるため、話し合いの場の雰囲気を良くしてくれます。議論しやすい土台ができることはグループでの活動を進めるに当たって重要です。
相手の話に聞きながらうなずいたり、「それはこういうことだよね」と助け舟を出したりする役回りもグループには必要です。

グループワークやグループディスカッションと聞くと、「評価してもらうためには、グループのリーダーにならないといけない」と思ってしまう就活生も多いと思います。しかし、グループで話し合う際には、場を温かく盛り上げる役回りも必要です。リーダーとしてグループを引っ張っていくことが向いていないと思う人は、無理に苦手な役回りをしようとせず、話をきちんと聞くことを意識してみるとよいかもしれません。

「ほかの就活生の話をきちんと聞いている」姿勢も大切

また、話している人の方に体を少し向けて聞いている姿勢を示したり、自分の番になったときに「先ほどお話しされていた内容にも共通するところがありますが…」などと絡めて話をしたりすると、傾聴の姿勢を伝えることができます。

ほかの人が話をしているときに、内容をあまり聞いていなかったり、「自分は何を話そうか」と上の空だったりした経験はないでしょうか。そういう人は意外と多いもの。しかし、周りの学生の意見を踏まえて自分の発言につなげることができると、きちんと相手の話を聞いた上で自分の意見を言える人だということが伝わるでしょう。

複数の学生が同時に面接を受ける集団面接でも、ほかの学生が話しているときに傾聴の姿勢が取れると、傾聴力があると評価につながるかもしれません。

自分のことを相手に伝える場合

個人面接は、自分のことを一人あるいは複数の面接担当者に伝えていかなくてはいけません。このとき大切なのは、「相手の質問をしっかり聞き、相手の知りたいことに回答する」という、コミュニケーションの基本のやりとりです。

そのため、あらかじめ準備していた内容を話すのではなく、まずは相手の言うことを聞いて質問の意図を把握し、自分が答えようとしていることは、相手の聞きたいことと合っているのかを考えてから、答えるようにしましょう。

避けたいのは、質問の意図が曖昧なまま答えて、面接担当者から「論点がずれている」という評価をされてしまうこと。意図がわからない場合には、答える前に「その質問は、こういう理解でよろしいでしょうか」「〇〇についてお答えする、という認識で合っていますか」など、認識を擦り合わせることが大切です。

面接では、どうしても「一生懸命準備してきた答えを、全部伝えよう」と意気込むあまり、余裕がなくなってしまいがちです。しかし、そこで相手の質問内容をかみ砕いて理解し、それに応じて答えられるようになれば、「どんな場でも、相手の話をしっかり聞ける」という傾聴力を示すことになります。

面接後に「聞かれた質問」と「回答した内容」を書き出すなどして整理して、相手の意図をきちんとくみ取れていたかを確認する時間を取るのも有効だと思います。

浅野裕将さんインタビューカット

相手のことを考えたコミュニケーションを意識しよう

傾聴のスキルには、「ミラーリング(相手のしぐさや話し方をまねすること)」や、「おうむ返し(相手の言葉を繰り返すこと)」など、相手に安心感を抱かせる手法がいくつかあります。

傾聴力は、相手と心地よいコミュニケーションを取れるようにするためのものなので、目的を忘れて、「スキルを使おう」という意識が先立ってしまうと、面接などコミュニケーションのプロを相手にした場では逆効果になることもあります。

傾聴力に限らず、コミュニケーションで最も重要なのは「相手」です。相手が何を知りたいのか、自分が話す内容を相手がどこまで知っているのか。自分が知っていることを相手も知っているとは限らず、その逆もしかり。自分視点から離れた想像力を持つことが何よりも大切です。

文/田中瑠子
撮影/鈴木慶子

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