就活を始めると、「文系はアピールできることが少ないのでは」「仕事に直結するスキルや専門知識を学んでいる理系学生の方が有利なのでは」と、自分が文系であることに不安を感じる学生もいるのではないでしょうか?文系・理系の就活の違いや、文系学生が選考でアピールできることについて、リクナビ就職エージェントのキャリアアドバイザーがお答えします。
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目次
今回のご相談:「文系学生は就活で不利なのでしょうか?」
就活で文理の違い、有利・不利はある?
就活で理系が有利と聞いて、「自分は就職できないのでは…」と不安になる文系学生さんの気持ちはよくわかります。ただ、2023年卒の就職内定率を見てみると、2022年12月1日時点で文系は93.3%、理系は95.7%とほぼ同率(就職みらい研究所「就職プロセス調査(2023年卒)」)。文系か理系かということは、最終的な内定率にはあまり影響していないと言えるでしょう。
ただ、内定取得の時期を見ると、文系・理系で違いが見えてきます。2022年5月1日時点の内定率を見ると、文系が56.1%に対し、理系は64.1%と8.0%の差があるのです。最終的な内定率に差はないものの、理系の方が早めに内定をもらう傾向から、「就活は理系が有利」「内定をもらいやすい」というイメージにつながっていると考えられます。
理系学生の内定取得時期が早い理由は?
では、理系学生の内定取得時期が早い理由はなんでしょうか。一つは、理系学生に限定した専門の職種の採用活動が、早めに動き始めるということがあります。企業が求めるスキルや知識を学んできた理系学生の採用ニーズは高く、企業側の採用競争も激化しているため、多くの企業で採用活動を早めに開始する傾向があると考えられます。
もう一つの理由として、理系では「推薦応募」を利用するケースが文系よりも多いことが挙げられると思います。推薦応募では、学校あてに届いた求人にふさわしい学生を学内で選抜した上で選考に臨むことになります。そのため、気になる企業に自分で応募する形式と比べて選考回数が少なくなるため、内定の時期が早まるのでしょう。
企業が学生に求める資質・能力は、文系・理系で変わらない
研究職や開発職など、勉強してきたことが生かせる仕事があるのは、理系ならではの強みでしょう。ただそれ以外では、文系・理系に能力の差はないと思います。
日本経済団体連合会(経団連)によると、文系・理系学生ともに企業が学生に求める資質は「主体性」「チームワーク・リーダーシップ・協調性」が、能力は「課題設定・解決能力」「論理的思考力」「創造力」が上位になっています(2022年1月18日「採用と大学改革への期待に関するアンケート結果」主要結果)。選考に応募する時点で、理系の専門的なスキルや知識を求められる職種は一部ありますが、多くの選考ではスキルや知識よりも、上記のような仕事をする上で求められる力を備えているかどうかを見ていると思います。
文系学生は、選考で何をアピールするといい?
企業が学生に求める資質・能力がわかっても、志望動機や自己PRを考える際、「具体的にどんなことを伝えるといいのだろう」とイメージするのが難しい人もいるでしょう。そんなとき、まず行ってほしいのが“過去の経験の棚卸し”による自己分析です。
これまでの経験を振り返る中で、自分がポジティブな気持ちで取り組めた出来事に対して、「どんな課題を捉え、行動し、その結果何が起こったか(変化したか)」を整理してみましょう。すると、「自分が何をモチベーションにして動くのか」「どんなことに喜びや面白さを見いだすのか」という特徴や、あなたならではの強みが見えてきます。
関連記事:3ステップでできる!自己分析のやり方と例をプロが解説
一人で考えていると「選んだ出来事でいいのか」「整理の仕方は合っているのか」と不安になってくることもあると思います。そんなときは、リクナビ就職エージェントのノウハウを基に作成した「一人ひとりの持ち味の14分類」を参考にしてみるのもオススメです。ここで挙げているのは、企業で仕事をしていく中で求められる力とも言えます。自分がポジティブに取り組めた出来事の中で、どんな力が発揮できていたか考えてみてはいかがでしょうか。
【一人ひとりの持ち味(14種類の大分類)】
・フットワーク軽く動く力(行動力/瞬発力/スピード)
・前例のないことに挑戦する力(チャレンジ精神/発想力)
・多くの人と良い関係を築く力(関係性構築/コミュニケーション)
・周囲と助け合って進める力(共感性/受容する力)
・変化に柔軟に対応する力(柔軟性/対応力/変化対応力)
・プレッシャーの中でやりぬく力(忍耐力/ガッツ/ポジティブ)
・計画的に物事を進めていく力(計画性/準備)
・指示を待たず自ら考え動く力(自律/主張)
・チームをまとめるリーダーシップ(統率力/巻き込み力)
・利害の調整や交渉する力(本質的/ロジカル)
・一つひとつ着実に取り組む力(着実性/努力/継続力)
・素早く決断し進めていく力(課題解決/目標達成)
・データや数値など客観的な事実や情報を元に判断する力(分析力/課題発見力)
・細やかな気配りをして周りを気遣う力(サポート/協調性/チームワーク)
上記のうち「データや数値など客観的な事実や情報を元に判断する力」はビジネスをする上で重要な力で、一見すると理系学生特有のものに見えます。しかし、ゼミやアルバイトの経験でこうした力を生かしたエピソードがあれば、文系学生でもアピールすることができるでしょう。
リクナビ就職エージェントが作成した資料では、さまざまなガクチカ(学生時代に力を入れたこと)のエピソードが「一人ひとりの持ち味」のどの力に当てはまるかを紹介しています。経験を棚卸しするときの参考にしてみましょう。
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文系に向いている/向いていない業界・職種はある?
応募条件に「理系学生」と明記されている求人に、文系学生が応募しても選考に進むことは難しいでしょう。ただ、そのほかについては「文系だから向いている・向いていない」と判断することはできません。なぜならば、採用では文系か理系かよりも、個人の行動の特徴や強みが仕事内容と結び付いているかを重視しているからです。
新卒採用では、特定の業務に応募するのではなく、採用後に配属先が決まるケースが大半で、総合職の場合には、入社してからも部署異動があります。そのため、企業は特定の仕事に直結するスキルや知識を持っているか以上に、どんな部署でも自社で仕事をしていく上で求められる力を備えているかを選考で見ているのです。
自分の気になる企業がどんな力を求めているのかについては、インターンシップ等のキャリア形成支援プログラムや説明会、OB・OG訪問などで、その企業で働いている社員の方に質問してみるとよいでしょう。
質問の機会までに、自分の強みと企業の仕事内容について考えておくと、「自分の強みは〇〇です。御社の××や△△といった仕事で生かせるのではないかと思っていますが、認識は合っていますか」というように、具体的に仕事をしているイメージを持ちながら質問することができます。
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IT業界には、文系学生の応募を歓迎するケースもある
文系の学生からは「ITは成長業界だから興味があるけれど、文系の自分には向いていないのでは…」といった悩みを聞くこともあります。
理系に向いていると思われがちなIT領域ですが、今やITはどんな業界でも必須です。文系・理系の区別なく誰もがITスキルや知識が求められ、文系出身のエンジニアも多く活躍しています。営業職であっても、お客さまがIT業界、扱う商材がITサービスであれば、スキルや知識のインプットは欠かせません。また、「カスタマーサクセス」と呼ばれる、ITサービス受注後のお客さまをフォローする営業へのニーズも増えてきています。
また、理系学生でないと務まらないと思われがちなSE(システムエンジニア)職も、応募条件が専攻不問であれば、チャレンジできる可能性は十分あります。文系歓迎としているSE職の求人もあり、入社後の研修制度を整えている企業もあるでしょう。
プログラミングは、インターネット上で体験したり、学校によっては選択授業で学んだりすることができます。まずは自分でやってみて、興味が持てそうか、どんなところに自分の強みを発揮できそうか知っておくといいと思います。
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「文系だから就活は不利」はない。自分の強みを生かせる企業選びを
理系学生が応募条件になっている企業や、研究内容や成果など企業にアピールできる理系学生も確かに存在するでしょう。しかし、ここまで説明してきたように文系だから不利ということはありません。自分ならではの強みは何かを考え、それを生かせる企業はどんなところかを調べて就活準備を進めてみてください。
自分で進めてみて悩んだときには、学校のキャリアセンターや社会人の先輩、文系学生向けのキャリアアドバイザーなど、第三者に客観的に話を聞いてもらうことで、強みを考えていく方法もあります。周りの力も上手に借りながら、就活準備を進めてみてください。
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取材/文 田中瑠子