面接で「苦手な人」との接し方を聞かれたときの答え方【例文付き】

就活の面接で「苦手な人はいますか?」「苦手な人にどう接しますか?」などの質問をされることがあります。ネガティブな内容にもなりかねない質問のため、「マイナス評価になりそうで怖い…」「苦手な人はいないと回答した方がいいんじゃないか」など、不安や疑問を抱えている学生もいるでしょう。

そこで、就活塾を主宰する我究館の立川雄太さんに、面接で苦手な人との接し方を聞く理由や答え方のポイントを教えてもらいました。回答例文も紹介するので、自分の考えを上手に伝えるための参考にしてみましょう。

我究館の立川さんプロフィール 我究館 就活コーチ 立川雄太(たちかわ・ゆうた)さんオーストラリアへの留学・学習塾講師やアパレル販売店員など9つのアルバイトを掛け持ちした後「人生の転機にポジティブな影響を与えられる存在になりたい」と決意。
2019年にエン・ジャパン(株)へ新卒入社。人材紹介事業部の営業担当として関西の大手から中小まで300社の担当企業の採用支援に携わる。落ち込んだIT領域の立て直しや積極的な面接対策等の求職者対応を通じて確固たる地位を築く。3年の勤務を通じ、目の前の人の「やりたい」を実現できる仕事に就きたいと考えて上京。2022年、我究館コーチに就任し、300名以上の就活生の支援を実施。
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面接で「苦手な人との接し方」を聞かれる理由

まずは面接で「苦手な人との接し方」を聞く理由について、立川さんから紹介していただきます。

「入社後、苦手な人にどう対応するのか」を知りたい

立川さん: 社会人になると、仕事を通じて多くの人とかかわることになりますが、自分と相性のいい人ばかりとは限りません。仕事では接する人を自分で選ぶことはできないので、苦手な人に対してもきちんと接し、スムーズに仕事を進めてパフォーマンスを上げることが大事です。

面接担当者は、「これまでの経験の中、苦手な人に対してどのような接し方をしてきたのか」を聞くことで、「入社後、苦手な人にどう対応するのか」を知りたいと考えているのです。

「自分のコミュニケーションパターンを理解しているか」を知りたい

立川さん:面接担当者にとって、実はこれが一番知りたいポイントではないかと思います。

面接で「苦手な人」を聞くのは、学生自身が「自分はどういう人間なのか」という特性を理解した上で、「だからこういう人が苦手なのだ」という結論まで、客観的に分析できているかどうかを知るためです。

また、面接担当者が苦手な人との「接し方」を聞くのは、自分の特性だけでなく、「苦手な相手に対処する際のコミュニケーションパターン」まで客観的に理解しているのか知りたいと考えているからです。

苦手な相手をただやり過ごすのではなく、適切な対処に向かう思考があることが大事です。それにより、「入社後、ネガティブな事柄にも客観性を持って対処していける素養がある」ということが伝わります。

もちろん、コミュニケーションパターンは人それぞれに違うものであるため、これが正解という答えはありません。面接担当者は正解を求めているわけではなく、「苦手な人との接し方」の背景にある学生の思考や人柄が、自社の企業文化や仕事の進め方にマッチするかどうかを見ていると考えましょう。

「ネガティブな質問にも正直に答えるか」を知りたい

立川さん:面接の際、「自分を少しでもよく見せたい」と考え、ネガティブなことを一切言わない学生は少なくありません。しかし、本音を話さない人は信頼しづらく、面接担当者は正直に自分の考えを話してほしいと考えています。

そのため、あえてネガティブな質問をして、「回答しにくいことでも、正直に答えるかどうか」を見ているといえるでしょう。建前だけで話したり、うまく取り繕おうとしたりするのではなく、素直に自分の考えを話すことが大事です。

社風とのマッチングや仕事への適性を見ている企業もある

立川さん:企業によっては、「苦手な人との接し方」から社風や入社後の職場の人間関係などにマッチするかまで見ることもあります。

その理由は、チームワーク重視の社風や、職場で活発にコミュニケーションする風土がある場合は、世代や立場の違うさまざまな人と、日ごろから密接に付き合う必要がある、と考えているからです。

また、顧客や取引先など多くの人に対応する職種の場合は、「苦手な人がいても、自分なりに対処して関係性を築くことができるのか」という面から、仕事への適性を見ている可能性もあるでしょう。

「苦手な人との接し方」を上手に答える3つのポイント

「苦手な人との接し方」に回答する際、意識したい3つのポイントを紹介します。

ポイント1:「苦手な人」を伝えるだけでなく、その理由も添えることが大事

立川さん:最初に「苦手な人」について伝えるだけでなく、その理由も添えることが大事です。自分がどのような人間なのかを伝え、苦手だと思う理由を客観的に答えるといいでしょう。

<理由まで伝える回答例>
時間にルーズな人が苦手です。私は物事に真面目に取り組み、コツコツ積み上げることを大事にしてきたので、遅刻などで予定や計画を変更することになったり、自分のペースを崩されたりすることが苦手だと感じます。

ポイント2:「接し方」では、自分自身の課題や心がけていることも伝える

立川さん:「接し方」を伝える際には、ただ「こうしています」と回答するのではなく、「苦手な人に対峙(たいじ)するときの自分自身の課題や心がけていること」まで伝えることがポイントです。実際に苦手な人に接したエピソードに絡めて伝えると、より説得力が増すでしょう。

<接し方を伝える回答例>
大学でフットサルサークルの活動をする中、時間に遅れがちなメンバーがいて、練習メニューを予定通りにこなせないことや、ほかのメンバーのモチベーションが下がることを問題に感じていました。

しかし、私自身が、予定通りに行動する重要性をきちんと伝えられていないことや、ルーズな人の特性を踏まえた行動ができていないことも問題だと考えました。そこで、時間通りに人数がそろわないことの問題点を話したり、ほかのメンバーより30分早く集合する方法を取ったりして、練習開始の時間に間に合わせることができるようになりました。

以来、苦手な相手でも、客観的な問題点を伝え、先回りした対応をすることが大事だと考えています。

ポイント3:「苦手な人」だけ質問されたら接し方まで回答しなくていい

立川さん:面接担当者によっては、「苦手な人」だけを質問するケースもあります。その場合は、苦手な人とその理由のみを簡潔に答えましょう。よりアピールするために、「接し方」や「苦手な人を克服したエピソード」まで伝えようとする学生もいますが、聞かれてから答えた方がいいでしょう。

面接担当者の質問には意図があります。掘り下げて聞きたいことや確認したいポイントがあれば、順次質問されるはずなので、1つずつ対応していきましょう。

また、「質問されなかったけれど、対処法まで伝えたい」という場合は、「対処法についてもお話ししましょうか?」など、自分から確認する方法もあります。面接担当者がそれについて聞きたい場合は、「お願いします」と言われるでしょう。

在宅ワークしながら悩む女性
Photo by PIXTA

「苦手な人」の具体例

立川さん:苦手な人の具体例としては、「高圧的」「話を聞かない」「協調性がない」「時間にルーズ」「ネガティブなことばかり話す」「物事に対して否定的」「責任感がない」「すぐ感情的になる」などが挙げられます。

しかし、これらの例に当てはまらない場合でも、苦手だと感じる理由や、自分自身に対する課題まで、客観性を持って話すことができれば問題はないでしょう。

また、「ネガティブな印象を与えたくない」と考え、これらの具体例を参考にして回答を準備する学生もいますが、回答内容が自分のキャラクターと合致していない場合は、面接担当者にも見透かされてしまうものです。

自分のキャラクターと一貫性がなくては、自分らしさを伝えることはできないので、評価を気にして回答を作り込むのではなく、自分自身の考えをベースにすることが大事です。

「苦手な人との接し方」の回答で、悩みがちな疑問を解決!

「苦手な人との接し方」で悩みがちな疑問に対し、どう考えればいいのかを紹介します。

苦手な人に対処した経験やうまく対処できた経験がない場合は?

立川さん:苦手な人に対処した経験がない場合は、無理に対処したエピソードを答えようとするより、正直にそのまま伝えた方がいいでしょう。

また、結果的にうまく対処できなかった場合でも、苦手な相手にも対峙して頑張った経験を伝えることで、課題解決に取り組む姿勢が伝わります。

ただし、自分なりに考えた今後の対処法も併せて伝えることをお勧めします。

苦手な理由や自分自身が抱えている課題を踏まえた上で、「今までは苦手な人は避けていたが、今後はこのように接していきたいと考えている」「このように接した結果、うまくいかなかったため、今後はこうしていこうと思っている」など、自身が目指すコミュニケーションパターンを伝えましょう。

ネガティブな印象を与えてしまう回答とは?

立川さん:苦手な人やその理由だけを話し続けてしまうケースがありますが、一方的に相手の良くない部分だけを挙げるのみになれば、面接担当者は「相手だけでなく、自分自身に対して客観的に捉えることができているか」を判断することができなくなってしまいます。

ネガティブな内容だけでなく、前向きにどう対処しているのか、あるいは、どう対処しようと考えているのかをきちんと伝えることが大事です。

「苦手な人がいない」という回答は評価されない?

立川さん:苦手な人がいても、ポジティブな印象を与えたいと考え、「いない」と回答してしまう学生もいるでしょう。しかし、苦手な人がいることを隠しても、また違う角度からの質問で掘り下げられるものなので、どこかで答えに行き詰まってしまう可能性があります。

自分を偽ったり、取り繕ったりしていることが伝わってしまった場合は、マイナスな印象を与えてしまうので、避けた方がいいでしょう。

ネガティブに思える質問であっても、誠実に回答した方が評価につながります。

「本当に苦手な人がいない」という場合は?

立川さん:自分自身の過去を振り返った結果、「本当に苦手な人がいない」「苦手な人はいたけれどすでに克服したため、今はもういない」という学生もいるかと思います。しかし、ただ「苦手な人はいない」と回答すれば、「自己分析ができていないのでは?」と思われてしまう可能性があります。

先ほども述べたように、面接担当者の質問には意図があり、なんらかの確認をしておきたいことがあるものなので、「苦手な人の定義」をまず聞いてみるといいでしょう。

例えば、「私は基本的にポジティブなタイプなので、誰とでもかかわっていこうと思っています。しかし、かかわることで苦労しそうだなと思う人はいるので、そのような認識でよろしいでしょうか?」など、苦手な人がいないと考える理由・背景を伝え、「苦手な人の定義」を確認してみましょう。

質問の意図を把握した上で、自分の考えを伝えることがポイントです。

一般的ではない「苦手な人」を挙げるのはやめた方がいい?

立川さん:社会人として疑問に思うような例を挙げた場合、「社会人となる心構えができていない」と受け取られてしまう可能性があります。

例えば「時間に厳しい人が苦手です。私は朝に弱く、よく遅刻をしてしまうので」などの回答をすれば、「今の意識のまま入社されては困る」と思われてしまうでしょう。

しかし、そこに対し、「朝9時前の待ち合わせをしないことで対処している」「目覚まし時計をたくさん用意することで、約束に間に合うように気をつけている」などの対処ができていれば問題はないかと思います。

どのような回答であっても、「社会人となった際に、きちんと働けないのでは?」と思われるような内容は避けた方がいいでしょう。

「苦手な人との接し方」への回答として参考にしたい例文集

最後に、「苦手な人との接し方」を回答する例文を紹介します。自分自身の考えを基に、回答を考える際の参考にしてみましょう。

「協調性がない人」が苦手な場合の例文

私は協調性がない人が苦手だと感じます。「全体において最適な方法」を大事にしたいタイプなので、かかわる人たち全員と一緒に、同じ目的に向かって頑張り、物事を成功させたいと思っています。そのため、目的に背く行動をする協調性のない人が苦手だと感じます。

大学の音楽サークルで幹事を務めた時、幹事メンバーが集まる毎月の定例会議に参加してくれない人がいました。最初はただ「参加してほしい」とだけ伝えていましたが、それでも改善されないので、相手がどう考えているのかを聞くことにしました。

全体の和を乱していることを伝えた上で、「なぜ参加できないのか」を聞いたところ、「日程がアルバイトのシフトに重なっている。人が足りないので休めない」という答えが返ってきたので、ほかのメンバーと調整し、参加しやすい曜日に会議を設定することにしました。

人にはそれぞれの事情があると思うので、本人に理由を確認した上で、全体も含めた最適な形を探すことで対処していこうと考えています。

「責任感がない人」が苦手な場合の例文

責任感がない人が苦手だと感じます。私は組織の中でやるべきことや決まったことをきちんと行い、信頼を得ることを大切にしてきたので、自分の責任を果たさない人が苦手です。

コンビニエンスストアでアルバイトをしていた時、商品の陳列やトイレ清掃をきちんとやらない新人スタッフにいら立ちを感じました。自分の感情を表に出すのは良くないと考え、最初は我慢していましたが、ほかのスタッフからも不満を聞いたため、店舗全体のために注意することにしました。

まず本人に「なぜちゃんと仕事しないのか」を聞き、「アルバイトだからそこまで真面目にやらなくてもいいと思う」という答えが返ってきたので、自分も含めてほかのアルバイトスタッフが困っている状況や不満を感じていることを伝え、「改善した方が自分自身も楽しく働けるはず」と伝えました。また、一緒に品出しやトイレ清掃の作業をして、やり方をあらためて理解してもらいました。

本人に客観的な立場を理解してもらい、改善のために一緒にできることまで探すのが大事だと考えています。

「ネガティブな人」が苦手な場合の例文

私は何事も前向きに捉えたいタイプなので、ネガティブな発言ばかりする人が苦手です。

大学で仲のいい友達の中に、いつもネガティブなことを言う人がいて、一緒にいても楽しくないと感じていました。ポジティブな話に持っていこうとしても、「自分には前向きな考え方ができない」「楽観的な人がうらやましい」という話になり、いつの間にか周囲から浮いた存在になっていました。

私は友人の一人として、ちゃんと向き合うことが大事だと考え、1対1で話すことにしました。客観的に周囲から浮いていることを伝えたり、ネガティブになる理由を聞いて、自分なりにアドバイスしたりするうちに、少しずつ変化してくれたと感じます。

友人がネガティブになる背景には、「もっとこうしたいと思うのに、それができない自分がいる」という葛藤があったので、最初から苦手意識を持たず、本人の考えをちゃんと引き出し、それに向き合うことが大事だと思うようになりました。


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取材・文/上野真理子

記事作成日:2023年5月24日 記事更新日:2024年2月1日

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