【チリ編】生活を楽しむことが現地に溶け込む秘訣

Reported by 南一郎(仮名)
チリにある日系商社と現地企業の合弁会社の副会長兼ディレクターとして、サーモンの養殖・加工・輸出に携わる。現地での楽しみは、 釣りやゴルフ、山歩き、自然散策など。

チリ版「盆踊り」を習って仲間意識が生まれた

こんにちは。南一郎です。今回は、私のチリでの生活についてお話しします。

 

チリでは、職場のあるプエルトモントから20キロメートルほど離れたプエルトバラスという街にあるアパートに住んでいます。治安が良くて安全なことや、利便性が圧倒的に良いこと、ほかの幹部も近くに住んでいるので、万が一、何かあっても助けが呼べる距離であることが決め手となりました。この街は人口が少ないので、なかなか適当なアパートが見つかりません。最初に住んだアパートは、入居1年後の契約更新に応じてもらえず、やむなく街の中心部に引っ越しました。どうやら、更新してもらえなかったのは、離婚したアパートオーナーの元妻が戻ってくるという事情があったからのようです。今のアパートも、偶然、退去が出たのですぐに契約してようやく入居できた次第。2つの寝室とリビング、小さな部屋(メイド部屋と思われます)が1部屋ついた100平方メートルほどのアパートです。

 

チリは9月18日が独立記念日です。正式には、18日と19日の2日だけが祭日となりますが、学校はその週がまるまる休みになります。独立記念日の前の週の金曜日、学校ごとにパレードを行って広場に集合するというイベントが終わると、それから1週間が休みとなるわけです。チリでは、「子どもが休みなら親も休み」ということになるようで、親もその間は仕事が休みになるのだとか。18日を挟んで前半を休むグループと、後半を休むグループに分かれて休みを取っています。子どものいない夫婦も、この時期は休みを取りますが、独身の人はわかりません。

 

このように、独立記念日の前後は休みの人が多く会議も成立しないので、2月の夏季休暇シーズンと同様、ビジネスは実質的に休業状態となり、最低限のレベルでしか動いていません。とはいえ、18・19日以外は正式な休みではないので、この期間ののんびりした状態を南米以外の国の人に理解してもらうのが大変。特に輸出の際、船に荷を積むスケジュールを交渉するときにひと悶着(もんちゃく)あることも少なくありません。

 

独立記念日には、広場で民族ダンスの衣装を着けた男女がペアになって、南米風の音楽に合わせてクエーカという伝統舞踊を踊ります。クエーカは、日本の盆踊りのように年齢を問わず老若男女で踊れるダンス。この日は、大統領もクエーカを踊り、テレビのニュースでその光景が流れるそうです。

 

私も、赴任した年の独立記念日には、現地の人々が踊るクエーカを見ているだけでしたが、その光景を見ながら、「やはり、これが踊れないと仲間になれない」と一念発起。ホテルのクエーカ・スクールに通い、社員がくれたクエーカのCDで家でも練習したおかげで、2年目にはステップを踏めるようになりました。クエーカには、基本ステップが3つあり、1時間~1時間半ほど習えば、ゆっくりならステップを踏めるようになるのです。ただ、靴で床を踏んで音を出そうとするのが大変で、足が痛くなるのは必至。2年目の独立記念日にはちょうど海外出張が入って残念ながら踊れませんでしたが、「日本から来た南一郎さんがクエーカを習ったらしい」ということがすでに噂(うわさ)になっていたようですね。まだクエーカを踊れない男性幹部には驚かれ、「どこで習ったの?」と盛んに聞かれました。女性社員の反応はさらに好意的で、普段、直接話をすることのない女性2~3人から「クエーカ習ったの?」と尋ねられたりもしました。このころから、現地社員との間に仲間意識のようなものが生まれたように思います。

 

クエーカを習おうと思ったのは、前述の通り現地の人々に仲間として認めてもらうためでしたが、もう少し詳しく言うと、クエーカを一緒に楽しく踊ることで、「この人には、チリを理解して楽しもうという意欲がある」と受け止めてもらえることになり、そうしてチリ人の友人ができれば、チリの人々の気持ちの一端を理解できると考えたからです。噂が浸透したこともあり、今年はきっと私にも踊りの誘いの手が伸びることでしょう。

 

現地の人と同じ遊びを共に楽しむ姿勢が大事

チリとアルゼンチンにまたがる「パタゴニア」は、非常に自然に恵まれた地域のため、雄大な自然を生かしたさまざまなアクティビティを楽しむことができます。まず、魚釣り。ランチ会議の時などは、釣った魚の写真を見せ合いながら盛り上がります。次がトレッキング。やはりトレッキング中に撮影した美しい風景写真などを自慢し合います。乗馬やラフティング(川下り)も面白いですね。木と木の間に張られたロープにターザンのようにぶら下がりながら山の斜面を降りる「カノピー」も、チリならではのアクティビティ。チリでは、こうして自分自身が現地での生活を楽しんでいることで、現地の人々との共通の話題が多くなり、おのずと仲良くなれることを実感しています。

 

なお、隣町のオソルノにはゴルフ場があり、設備もシンプルでさほど高くはありませんが、自然の中で楽しめるスポーツの選択肢が多く、それらの方がゴルフよりもダイナミックで大自然を味わえるためか、ゴルフ自体はあまり盛んではありません。

 

次回は、海外駐在を通じて得たものについてお話しします。

 

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チリ独立記念日のお祭りのための飾りつけ。鮭が帽子を被っている。

 

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同じく独立記念日の飾りつけ。国旗に使われている赤と青と白を基調としている。

 

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独立記念日前のパレード。学校ごとにパレードを行う。

 

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趣味で始めた釣りで、キングサーモンが釣れた時の写真。キングサーモンがあまりに活発に動くので、支えるのがやっとで、鮭の頭が下、腹が上になってしまった。

 

構成/日笠由紀

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