【ロシア編】ロシアの高齢者が空き瓶を捨てない理由とは?

Reported by しんのすけ
ロシアの首都モスクワにある日系販売会社の現地法人に勤務。モスクワには、思った以上にさまざまな種類の博物館があるので、休日は博物館や美術館を巡るのが楽しみ。仕事帰りに、コンサートやオペラ鑑賞に行くのも貴重な息抜きとなっている。

ヨーグルトの買い物を頼むのにも電話

こんにちは。しんのすけです。今回は、ロシアの人々の暮らしぶりについてお話しします。

 

モスクワで暮らしていて、日本と違うなと思ったことの一つに、ごみの捨て方があります。住んでいる集合住宅には、ダストシューターがあり、なんでもかんでも放り込めるのですが、それは、ごみを分別して捨てるルールが一切ないからなのです。可燃物と不燃物の区別もなければ、リサイクルも一切なし。「さすがに電池は別にしなければ」と思って分けておいても、結局、住んでいる集合住宅の管理人に一緒くたに捨てられてしまいます。詳しくはわかりませんが、いったん燃やしてみて、燃え残ったものを埋めているような気がしています。

 

それから、電話が大好き。些細(ささい)なことでも、すぐに電話して話します。本来は禁じられているはずの運転中の通話も、皆、平気でしていて、ハラハラしてしまいます。わが家のメイドも、仕事はきっちりとこなしてくれるのですが、ちょっと手が空くと、隙あらばという感じで、いつも家族に電話しています。こちらの携帯電話はプリペイド式なので、デポジットの残額をいつも気にしていて、お金が入るとすぐにデポジットを入金しに行っているので、「電話で話せなくなる」ことを、とても怖がっているようにも見えます。オフィスでも、よく家族から電話がかかってきている社員を見かけますが、用件はと言うと、「今日は、冷蔵庫にヨーグルトがないから、帰りに買って来て」とかその程度だったりして、笑ってしまいます。

 

日本製品には絶大な信頼を抱いているようです。少々、語弊がありますが、日本製品が「松」なら、韓国製品は「竹」、中国製品は「梅以下」、という見えない序列があるように思えます。どうやら、「日本製品なら品質が確かで、きちんと作られている」という印象が強いようで、電化製品や車など、「可能であればすべて日本製でそろえたい」と思っているフシがあります。日本製だと、中国製の3倍くらいの価格になりますが、中国製を3台買い替えるよりも、日本製を1台使い続ける方が長持ちするイメージがある印象です。

 

また、これは歴史的かつ社会的な背景があるせいだと思うのですが、多くの人が、「宵越しの金は持たない」というような消費スタイルのようです。何度も経済危機があり、インフレや為替変動も激しく、金融機関の信頼度も低いので、「現金や預貯金で持っていても仕方ない」ということなのでしょう。貯蓄率はかなり低いと思います。富裕層の人々は、「現金を持っているよりは」と、不動産や高級車に換えて資産保全をしている印象があります。ロシアの通貨であるルーブルが下がったときなどは、輸入品の価格が連動して値上がりするのに少し時間差があるためか、値上がり前にと日本車を駆け込みで購入する人が多かったようです。

 

さほど裕福ではない人たちも、思考が短期的で、将来に備えるという感覚が乏しいのか、持っているお金は使ってしまう傾向があるように思います。当社では、月給を月2回に分けて払っているのですが、それは一度に全額渡してしまうと、すぐに使い切ってしまい、前借りが必要になる社員が多かった時代の名残なのだとか。当社の現地社員も、ここではかなりぜいたくなはずのスターバックスコーヒーのラテを毎日飲んでいたりして、お財布が多少寂しくなっても決して倹約したりしないのだなと驚いてしまいます。

 

石油や天然ガスといった資源開発に関連して財を成した資産家も多く、彼らも差し当たっての投資先として車を買う傾向にあるようです。そのせいか、モスクワ市内には、東京でもなかなかお目にかかれないようなスポーツカーやSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)がガンガン走っています。なぜかこういう車は「5台目の車」と呼ばれています。こうした人たちは、すでに2台くらいは実際に使うための車を持っていて、実用目的ではない車を、なぜか「3台目」「4台目」ではなく、「5台目」と呼ぶらしいのです。

 

“別荘”兼“自給自足農園”としての「ダーチャ」

なお、前回、ロシアでは年間28日間の有給休暇が労働法で定められているとお話ししましたが、ロシアの年配の人たちは、こうした休暇を「ダーチャ」と呼ばれる別荘で過ごすことが多いようです。というのも、ロシア国民は皆、ソ連時代に郊外に土地を配給されており、そこにダーチャを所有しているから。そのため、夏は、長期休暇だけでなく、週末ごとにもっぱら別荘生活を送るというわけです。ただし、富裕層の豪華な別荘と比べると、一般の人々のダーチャは、農園の小屋程度。水道や電気・ガスも自分でつける、手作り感覚の別荘です。

 

彼らは、夏はダーチャの庭で野菜や果物を作り、酢漬けやジャムにして長い冬のビタミン補給に備えています。野菜なら、きゅうりやにんじん、トマトやにんにくなど。ジャムにするのは、ブルーベリーやいちご、木いちごなどのベリー類が多いでしょうか。秋は近くの森でキノコ狩りをして、これも酢漬けにして保存しているようです。ロシアの年配の人は、空き瓶が出ると捨てないでおく癖がついていますが、これもジャムや酢漬けの保存に使えるから。何度も経済危機があったのに、餓死者が出なかったのは、こうした保存食のおかげなのではないでしょうか。ダーチャは別荘であると同時に、“自給自足農園”としての機能も果たしていると思うのです。

 

一方、若い世代は海外旅行など、もう少しアクティブに休暇を過ごす傾向がありますが、最近は、ロシア経済にかげりが見えてきていることもあり、国内旅行の方が現実的なようです。冬季五輪が開かれたソチや、2014年にロシアに編入されたとされるクリミア半島などが、リゾート地として人気ですね。また、若者たちもキノコ狩りはするようで、若手社員のグループでキノコ狩りに行ったりもしているようです。小さいころから「キノコの見分け方」という本を読んでキノコに親しんでいたり、毒キノコの見分け方を教えてくれる指南役が同行してくれたりするので、キノコ狩りは実益を兼ねたレジャーになっているようです。

 

次回は、私のモスクワでの暮らしについてお話しします。

 

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集合住宅のダストシューター。蓋を閉じているときはこの状態。

 

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蓋を開けた状態のダストシューター。この大きさなので、大きなものは捨てられないが、こまめにゴミが出せて便利だ。

 

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モスクワ市内で見かける数千万円クラスの自動車。このレベルの車が、道路を走り、路上駐車をしている。

 

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街を歩くモスクワの女性たち。女性たちは、総じてファッション感度が高く、思い思いのスタイリングを楽しんでいる。

 

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冬が暗くて寒いせいか、夏になると思いっきり肌を露出する傾向があるロシアの人々。

 

構成/日笠由紀

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