【マレーシア編】さまざまな配慮が必要な多民族国家マレーシアでの仕事と生活

Reported by りん
マレーシアにある日系メーカーの現地法人に勤務。現地での楽しみは、マレーシア国内ならびに周辺のアジア諸国への旅行やゴルフ、ダイビングなど。

民族ごとの宗教や文化を尊重する

こんにちは。りんです。今回は、多民族国家であるマレーシアについてお話しします。

 

多民族国家マレーシアの人口構成は、マレー系約65パーセント、華僑約25パーセント、インド系
約10パーセントとなっており、宗教もさまざまです。まず、ほとんどのマレー系はイスラム教徒「ムスリム」であり、「豚肉を食べない」「アルコールを飲まない」「豚肉を一度でも調理したことのある調理器具で料理したものは食べない」「殺されるときに決められた絞め方をされていない鶏肉は食べない」といった食文化の違いがあります。豚肉やアルコールはノンハラルコーナーでしか購入することができません。また、1年のうち1カ月間程度、断食(ラマダン)期があり、仕事の効率に支障をきたすケースも少なからずあります。ラマダンの間は、日の出から日没までは飲食を断たなければならないので、やはりお腹が空くのでしょう。集中力が目に見えて低下する社員や、体調を崩して会社を休む社員も出てきます。そうは言っても、信仰や文化は尊重しなければなりません。お祈りの時間にSurauと呼ばれるお祈り部屋に行くときも、そっと見守るようにしています。

 

顧客を連れて日本に出張することもあるのですが、ムスリムの方をお連れするときには、そのSurauの代わりになる場所を探さなければなりません。また、ムスリムの方と食事するときは、「豚肉やアルコールなどを使わない」といった、イスラム教の戒律に従って製造したことが証明されている「ハラル認証」のレストランに行かなければなりませんが、ハラル認証を受けたレストランはまだまだ日本には数が少ないため、探すのが困難で、アレンジに苦しんだ経験があります。

 

複数の民族が共存しているだけに、民族間格差のようなものも実際はあります。民族間格差は、特に職種に反映されている場面が少なくないように思います。掃除をする人や単純作業を請け負う人たちには、マレー系マレーシア人や、ミャンマーなどアジア各国からの移民が多く、クリエイティブな仕事やマネジメントは華僑が多い、といったイメージです。

 

ただし、マレーシアにはマレー系マレーシア人を優遇する「ブミプトラ政策(マレー人優遇政策)」があり、雇用や教育、さまざまな場面でマレー系マレーシア人が守られています。例えば、人事採用の場面では、一定のマレー人がその職種に携わるようにしなければならないといったルールがあるのだとか。大学に在籍する学生の内訳にも一定の「マレー系枠」があるそうで、成績順に上から合格にするというわけにはいかないようです。

 

くよくよ悩まないマレーシアの人々

どの民族にも共通して言えるのは、日本と比べて、楽観的な人が多いということ。「心配しすぎるな」「真面目に考えすぎるな」という、良い意味での“いいかげんさ”、さらに言うと“器の大きさ”があるように思います。うまくいかないことがあっても、いつまでもうじうじ悩んでいるような人はあまりいないように見受けられ、常に前を向いて明るく生きている人が多いという印象です。

 

そうした大らかさに救われたことも多々あります。あるとき、プロジェクトが失敗してしまったことがあり、私はとても落ち込んでしまっていたのですが、周囲の現地社員たちがさかんに「深刻になるな」「落ち込むなよ」と励ましてくれて、ずいぶんと心が軽くなったものです。日本だと、「再発防止のために原因を究明する」という理由で、反省を求められることも多いと思うのですが、こちらではそうした追及は一切なし。おかげで、落ち込んでから立ち直るまでのスピードがずいぶん速くなった気がします。

 

以前、アメリカにいた経験から言うと、アジアにおける日本人のステイタスは非常に高いと感じますが、マレーシアでは特にそう思います。日本や日本人に対する憧れがあるのです。これは私個人の意見ですが、アメリカでは、日本人が認めてもらうためには、人一倍の努力が必要だという印象がありました。アメリカで働く友人から、差別を受ける場面もあると聞いたこともあります。しかし、マレーシアでは、日本人であることから生じるハンデを感じることは、まずありません。

 

マレーシアが「Look East政策」で、日本を発展のお手本としたこともあり、マレーシアの人々には日本に対する憧れもあるようです。ファッションや化粧品などの美容、食べ物、電化製品など、日本のものを取り入れる人は多いですね。

 

次回は、首都クアラルンプールでの私の暮らしについてお話しします。

 

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イスラム教徒のためのお祈り部屋「Surau」の標示。Surauは、各鉄道駅、ショッピングセンター、ホテルなどに設けられている。

 

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別名「ピンクモスク」と呼ばれる、クアラルンプール近郊のイスラム寺院「プトラ・モスク」。夜はライトアップされてさらに幻想的な光景に。

 

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イスラミックアートミュージアムのドーム天井は、さすが“アート”の総本山なだけあって、装飾も繊細で芸術的。

 

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マレーシアが国家を挙げて日々開発している行政都市・プトラジャヤのプトラジャヤ湖にかかるスリ・ワワサン橋。美しいライトアップはお気に入りの風景だ。

 

構成/日笠由紀

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