初任給の額より大事なことは?社会人になってからのお金の不安を減らす「お金のキホン」

内定が出てやっと就活が終わり、あとは学生最後の時間の計画に余念がない最終学年の皆さん。卒論の追い込み、卒業旅行、バイトに精を出す予定…。今のうちに思いきり大学・大学院生活を味わってください。いずれにしても卒業後は新社会人として経済的にも親から独立し、名実共に自分の道を歩み始めることになります。

ところで、新社会人予備軍の皆さんの中には「これから将来にわたって、自分はホントに自立してやっていけるのか」という不安を感じている方もいるのではないでしょうか。奨学金の返済にクレジットカードの返済などが加わり、20代で自己破産寸前になる例も少なくありません。ほとんどの新社会人は、本当に大事な「お金のキホン」を教わる機会はありません。

そこで、ファイナンシャルプランナーとして普通のサラリーマンからから資産総額数百億円の富裕層までさまざまな立場の3万を超える世帯の家計や資産運用の相談に乗ってきた家計の見直し相談センター代表の藤川太さんに、新社会人になる皆さんが、将来お金で失敗しないためのいくつかのポイントとヒントをうかがいました。
今から知っておくだけで、未来のお金の不安が減り、お金との付き合い方が上達すること、間違いありません。

生活デザイン株式会社代表取締役 藤川太さんプロフィール写真プロフィール藤川 太(ふじかわ・ふとし)生活デザイン株式会社代表取締役。ファイナンシャルプランナー。慶應義塾大学大学院理工学研究科修了。自動車会社での研究者を経てファイナンシャルプランナーに。「家計の見直し相談センター」で個人向け相談サービスを展開し、3万を超える世帯の家計相談を受けてきた。ご自身も大学生のお子さんがいて、今どきの大学生にお金との付き合い方を教えることをまさに実践中。

新社会人が、「どう転んでもやっていける自信をつける」方法は2つ

これからお金の話をしますが、そもそも、どうしてお金が大事なのでしょう。
それは言うまでもなく、自分で自分の生活を支えるため、経済的に自立するためです。お金は自立のために必要不可欠なものだからです。

社会の変化の速度が速い現代では、これからの10年、20年で暮らしも産業も、AIなどの技術革新で劇的に変化するかもしれません。誰にとっても先が見えない時代です。
不透明な将来への不安を乗り越えるには2つのタイプがあります。

1つは、稼ぐ力を磨いていく人。必ずしも業界や企業に関係ありません。目の前の仕事に懸命に取り組み、任せてもらえる仕事を増やし、スキルを磨き、社会に必要とされる自分の価値を高め、結果として「稼ぐ力」を身につけていく人です。
もう1つの不安を感じなくて済む人は、意外かもしれませんが、実は家計管理能力のある人です。
少なくともこのどちらかを持っていれば、会社がどう変わっても、自分がどう転んでも、不安に押しつぶされにくい。自力でなんとかやっていける自信が根底にあるから、前に進んでいけるのです。

では、「家計管理能力」とはどんな力なのでしょう。ひと言で言えば、収入の中で貯蓄や支出をコントロールする力です。

新社会人が最初にやるべきは「ためる仕組みづくり」

新社会人が最初に身につけるべきお金のスキルは、ためる習慣づくりです。

会社に財形貯蓄制度があるなら利用しましょう。給与から天引きして積み立てしてくれます。財形貯蓄が利用できないなら、給与振込口座を作った金融機関で自動積立定期を申し込みましょう。話題の積み立てNISAを活用する方法もあります。いずれも定期的に一定額を積み立てしてくれます。最初は金利(の低さ)などを気にする必要はありません。高金利を探して0.01パーセントの金利差に目を向けるよりも、まずは「ためる仕組み」を整え、手をつけにくい貯蓄をキープすることが肝心です。貯蓄の習慣がついていずれ資金がたまったら、金利や預け先にこだわればいいのです。

例えば毎月2万円、ボーナス月に5万円を積み立てていけば、3年で102万円を貯めることができます。金利や投資を考えるのは、お金がたまる習慣が定着し、ある程度まとまった額がたまってからで十分です。将来、仮に最初の就職先がどうしても自分に合わなくても、月収の数カ月分の貯蓄(という余裕)があれば、仮に転職活動をすることになっても、心にゆとりを持って行えます。

新社会人に大事なお金のキホンのイメージ画像

支出コントロールのカギは、クレジットカードとの付き合い方

家計管理で一番大切なのは、収入の範囲内で支出することです。
当たり前のことですが、この基本ができているかどうかで、入社10年目、20年目と時間がたつにつれ、同期同士でも家計状況に大きな差が生じていくのです。

この当たり前のことを実践するのを難しくするのが、クレジットカードの存在です。クレジットカードを使えば、手元にお金がなくても買い物ができ、その代金の引き落としが1~2カ月後になるため、「たぶん大丈夫だろう」と安易に捉えがち。家計管理を難しくする要因です。
家計に余裕が生まれてくる人というのは、クレジットカードを使う場合も、「お金がたまってから買う」「使うときは分割払いを選択しない」「利用額を把握する」ことを徹底しています。オススメなのは、カード利用と同時に銀行口座から引き落とされるデビットカードです。これなら、そもそも使い過ぎることがありません。

リボ払いとカードローンのリスクを知っておく

クレジットカード利用で特に注意したいのがリボ払いとカードローンです。リボ払いは毎月の支払額を一定に抑えられる利便性がある半面、返済総額がいくら増えても実感が伴わないため、支払い感覚がマヒしてしまうリスクがあります。しかも新たな買い物をすると支払いの終了時期が延びるか毎月の支払額が増えます。リボ払いの手数料率は一般的には年15パーセント。買い物額が増えるほど、毎月の支払額の内訳に利息分が多くを占めるようになり、一向に元金が減らない、つまりそれだけ返済期間が延び続けることにもなりかねません。

カードローンも同様です。一般的なカードローンの金利14.5パーセントというのは、放っておいたら5~6年で2倍になってしまう水準です。返済が間に合わずに、ほかのカードローンから借りて穴埋めをして多重債務に陥る人も。カードローンはほんの数万円から始まるケースが大半ですが、返済できなければ気がつくと高額になって返済に追い立てられてしまいます。精神的に追いつめられて仕事にも影響が出かねません。社会人として伸び盛りである20代の時期を大事にするためにも、リボ払いとカードローンは安易に利用せず、リスクを知った上で自己判断することが大事です。

いざというときのための保険は必須か?

「社会人になったら保険に入った方がいい?」という質問をよく受けます。新社会人は、高額な生命保険に急いで入らなくても、結婚や子どもができたときに考えれば大丈夫です。保険料は家計の固定支出になります。独身のうちは、加入するとしても医療保険程度にし、むしろそのお金を定期積立などに回した方がいいでしょう。

ただし、生命保険は健康状態がよくなければ加入できないことには注意が必要です。保険料が固定支出になることを理解し、将来を考えて加入するなら早いうちに加入しても問題ありません。

むしろ、若い人にも加入をオススメしたい保険は「個人賠償責任保険」です。これは日常生活で他人に対する賠償責任をサポートする保険で、例えば自転車で人とぶつかってケガをさせてしまった、洗濯機の水が漏れて階下に迷惑をかけた、などの場合に保険金がおります。例えばコープ共済の場合、個人賠償責任保険だけでの加入はできませんが、死亡保障や医療保障などの基本の保障の掛け金プラス140円(月額)で、最大3億円まで補償されます。個人賠償責任保険に加入すると本人だけでなく、配偶者や同居の親族、別居の未婚の子まで補償範囲になります。家族が加入している自動車保険、火災保険などに付帯されていることも多いので、補償に重なりがないか確認してみるといいでしょう。

いつまでも「携帯代は親が払う」タイプは危険信号?

私のところに家計相談に来る方の中には、収入と支出のバランスは明らかに赤字なのに、なぜか破綻していないケースがあります。理由は「親からの資金援助」。中には結婚資金も住宅資金も、さらには生まれた子どもの教育費まで、親に援助してもらっているケースもあります。本人たちの実力を超えた家計が実現できますが、多くの場合、親からの援助は未来永劫(えいごう)続くわけではありません。特に住宅ローンや教育費は長丁場の固定費なので、親世帯に何かあると親子2世帯が共倒れになることもあり得るのです。

そんな極端な例を出すまでもありませんが、経済的な自立は社会人の基本です。就職するタイミングで、まず自分の携帯代は自分で払うところから始めてみてはどうでしょう。これまで親に払ってもらっていた人も、自分の携帯使用料を把握したり節約を工夫することは意味があります。ちなみに、家族割引などは継続したままで請求先を家族と分けることは可能です。

新生活の始まりは何かと費用がかさみますから、親の援助をすべてダメというつもりはありませんが、これからの時代はもう、年齢とともに誰もが給与が上がっていく右肩上がりの時代ではありません。親の側も、期間や項目を限定して、子ども自身の経済的自立を促した方が双方のためになると思います。
その文脈で言うと、親が子どもの保険料を払って保険に加入しているケースもあると思いますが、もし、この保険料の支払いを引き継ぐなら、保険そのものを見直すことを勧めたいと思います。中には時代や状況に合わない保険に払い続けているケースもあるからです。

消費と投資は別。未来の自分への投資はケチらない

ここまで家計管理の肝となる、貯蓄と支出コントロールについてお話ししてきましたが、すべての支出を控えめにすることがいいわけではありません。
お金の使い方には「消費」だけでなく「投資」もあります。
収入の範囲で生活することは大切ですが、収入の何パーセントかは、自分の将来への投資に使っていただきたいのです。特に20代は稼ぐ力を磨く時。スキルアップや知識の習得に、お金と時間を投資しておくことが、30代・40代で花開く仕事の基礎体力を鍛えることにつながります。

社会人のスタートラインに立つ皆さんは、ぜひ、変化が激しい時代を乗り切るための最強スキル、家計管理能力を身につけてください。応援しています。

取材・文/中城邦子


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