ガクチカの書き方|構成・例文400字・テーマ・本当にないときの対処法を解説

ガクチカの書き方ポイントを徹底解説。構成や、就活でアピールしやすいテーマ、エントリーシート(ES)で400字以内に書くコツを例文と共に紹介します。学生時代に力を入れたことが本当にないときの対処法も含めて、就活のプロである山田英子さんにうかがいました。 

山田英子さん 写真プロフィール
山田 英子さん(やまだ・えいこ)
早稲田大学教育学部社会科社会科学専修卒業。
大手ファーストフードサービス企業、人材サービス企業を経て、IT系コンサルティングファームに入社。採用部門のリーダーとして新卒・中途採用業務全般に加え、就職セミナーでの講演等の広報活動や人事制度設計等に携わる。2005年5月に個人事業主として独立し、大学生の就職活動支援、社会人の転職支援などを中心に活動中。
【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント。米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー

ガクチカとは

ガクチカとは「学生時代に最も力を入れたこと」の略称です。就活では、ESや面接で聞かれる代表的な質問の一つと言えるでしょう。

実際の選考では、「学生時代に頑張ったこと」「学生時代に成し遂げたこと」「学生時代に打ち込んだこと」など、さまざまな言い回しで質問されますが、問われていることはどれも同じです。

ガクチカと自己PRの違い

ガクチカと自己PRの明確な線引きについては諸説あり、応募する企業によって定義が異なる可能性があります。私個人としては、以下の表のように企業が確認したいポイントが異なると考えています。

そのため、ガクチカと自己PRでは、同じ取り組みであっても、アピールするエピソードを変えることをオススメしています。

企業が「ガクチカ」と「自己PR」で確認するポイントの違い

   ガクチカ  自己PR 
目的  自社との相性を判断  入社後に戦力になるかを判断 
確認点  ・自発性 

・モチベーションの源泉 

・価値観や人柄 

強みや長所 

どのような成果を上げたか 

書くと良い
エピソード 
物事への取り組み姿勢が
伝わるエピソード
 
強みや長所を発揮した
エピソード
 

企業がガクチカを質問する意図

企業の質問意図や判断基準を知ることは、実際にガクチカを書くときに参考になるでしょう。

ここでは、企業がガクチカを質問する理由を、さらに深掘りして解説します。

(1)「自発性」があるか知りたい

企業はガクチカを通して、「自発性」を確認しようとしています。なぜなら、自発的に業務に取り組む人と、上司や先輩からの指示を待つ受け身の人とでは、入社後の成長カーブに大きな差が出る傾向にあるからです。

新卒採用は一部の専門職や技術職を除いて、基本的には採用時点での能力やスキルだけではなく、将来的な成長の伸びしろやポテンシャルを重視する傾向にあります。そのため多くの企業は、自ら考えて行動する自発性を備え、入社後に大きく成長する可能性の高い人材を採用したい、と考えているでしょう。

(2)「モチベーションの源泉」が自社とマッチするか知りたい

企業はガクチカを通して、「どのようなときに頑張ったか、頑張れるか」などモチベーションの源泉を知りたいと考えています。なぜなら、モチベーションの源泉を知ることで、成長意欲や壁にぶつかったときに乗り越えるための原動力を知ることができるからです。

例えば、他者からの感謝が原動力になる人もいれば、報酬やインセンティブなどが原動力になる人もいるでしょう。就活生がそれぞれ持つ「頑張れる原動力」が、自社の価値観やビジョンと合っているかを確認したい、と企業は考えているのです。

(3)「価値観や人柄」が自社とマッチするか知りたい

企業はガクチカを通して、就活生の価値観や人柄が、企業理念やビジョン、行動規範など企業の価値観とマッチするかを確認しようとしています。どんなに優秀な人材でも、自社の環境や文化になじめないと、思うように力を発揮することができないからです。

例えば、チームワーク重視の企業に、個人主義で結果重視の人材を採用してしまうと、お互いに合わず、ミスマッチを招きかねません。仕事の進め方なども含めて、「自社が大切にしていることを、共有できる人なのか」を確認したい、と企業は考えているのです。

企業の質問意図を踏まえたガクチカの書き方を4ステップで解説

ステップ1:これまでの経験を振り返る

まずは大学時代の経験を中心に、自分が主体的に行動した経験とその結果、そこから得た学びや気づきをピックアップしましょう。

企業が知りたいことに合わせて「どのような思いで取り組んだか」「この経験から何を学んだか」「学びや気づきを社会に出てからどのように生かしたいか」も一緒にリストアップするのがオススメです。

ステップ2:企業の求める人材を把握する

企業の採用サイトや、リクナビなど就職情報サイトで、その企業の「求める人物像」を調べましょう。学校のキャリアセンターや就職エージェントなどで確認したり、OB・OG訪問をして情報収集したりする方法もあります。

ほかにも、企業の社員インタビュー記事で、入社理由や入社して良かったこと、苦労したこと、困難を乗り越えたプロセスなどに注目すると、その企業で活躍している人の特徴が見えてくるでしょう。

ステップ3:自分の経験と企業の求める人物像との共通項を探す

企業はガクチカを通して、自社との相性を確認しようとしています。そのため、アピールする内容やエピソードは、その企業が求める力や価値観と合ったものだとより良いでしょう。

例えば、「チームワークを大切にできる人」を求めている企業には、アルバイト先で複数の人と力を合わせて成果につなげたエピソードを、「学び続ける姿勢」を大切にしている企業には、大学でのゼミや専攻、資格試験の勉強などをエピソードにすると良いでしょう。

ステップ4:ガクチカの基本構成に合わせて400字以内でまとめて書く

企業によってESで設定している文字数制限は異なりますが、ベースとなる文章があれば、その後の文字数の調整が楽になります。

まずは文字数を意識せずに、ガクチカの基本構成に沿って書いてみましょう。その後、内容を調整して400字以内にまとめます。ESは提出の締め切り日が重なることもあるので、余裕があれば200文字、300文字など複数案を用意しておくと、慌てずに済むでしょう。

ガクチカの基本構成については、次の段落で詳しく解説します。

ガクチカの基本構成

ガクチカは、以下の7つの基本構成に沿ってまとめると、企業の採用担当者にもわかりやすく魅力的な内容になります。

ガクチカの基本構成

1:結論・取り組んだこと

企業の採用担当者に「これからこういう話が始まるな」と意識づけるためにも、まずは結論から書きましょう。

2:きっかけ・背景

どんな課題や問題があったのかを具体的に書きましょう。
なぜ取り組むことになったのか、きっかけや背景がわかると、企業の採用担当者に頑張り度合いがよりわかりやすく伝わります。

3:設定したゴール

企業の採用担当者にわかりやすいよう、設定した目標を具体的に書きましょう。
数値で示すことができれば、より良いでしょう。

4:体制・役割

個人で取り組んだことなのか、複数の人と協力し合った取り組みなのかを書きましょう。

複数人で取り組んだ場合は、その中で自分がどんな役割を担っていたのかを明記することが大切です。

5:こだわったこと

自分がどう問題に向き合って、どう取り組んだか、工夫した点を交えて書きましょう。企業の採用担当者が、その場面を想像できるように具体的に書くのがポイントです。

6:結果・学んだこと

取り組みの結果は、数値の変化や第三者からの意見や感謝の声などで具体的に書きましょう。客観的な数字や、第三者の視点を入れることで「自己満足ではない成果だ」と示すことにもつながります。

また、成功体験でも失敗体験でも、「この経験から何を学んだか」を明記することが大切です。

7:学んだことをどう生かすか

学びを今後にどう生かすつもりか書きましょう。企業が、自社との相性や入社後の成長性を判断するのに役立ちます。

失敗体験の場合でも、経験を糧にしていることが伝われば、「仕事の進め方や価値観と共通項の多い学生だな」などと、企業の採用担当者にも刺さるガクチカになるでしょう。

400文字で書くガクチカ例文(テンプレート)

前述した7つの基本構成に沿って400字でガクチカを書くと、以下の例文のようになります。テンプレートの一つとして参考にしてみてください。

私が学生時代に力を入れたことは、コンビニでのアルバイトです。(1:結論・取り組んだこと

「会計までが遅い、10分も並んだ」というクレームをきっかけに、「最長待ち時間5分」を目標にスタッフ3人でレジ打ち業務の改善プロジェクトを立ち上げ、リーダーとして活動しました。(2:きっかけ・背景、3:設定したゴール、4:体制・役割

最もこだわったのは、人やスキルに依存しない方法で目標実現させることです。ピークタイムの把握から始め、新人スタッフのシフトや教育時間を調整し、社員の方にお願いして電子レンジの再加熱が不要な方専用のレジ列なども作りました。(5:こだわったこと

結果、最も短いレジの平均待ち時間は4分にまで削減でき、お客さまから「目的別に選べるレジは急いでいるときに便利だ」と喜びの声を頂きました。私はこの経験を通して、課題を解決するためには、状況を把握することと、既存の仕組みにとらわれない想像力を持つことが重要だと学びました。(6:結果・学んだこと

貴社に入社後も、この学びを生かして、顧客の課題解決に貢献したいです。(7:学んだことをどう生かすか

ガクチカにしやすいテーマ

アルバイト

学生にとって身近なアルバイトでの経験は、社会との接点を持つ第一歩とも言えます。そのため、企業にとっても仕事に対する姿勢や価値観を推測するのにちょうど良いテーマと言えるでしょう。

ゼミ

ゼミでの研究テーマが、志望企業の業務内容と親和性が高い場合は、ゼミでの経験をエピソードにするのも良いでしょう。
志望先とゼミの研究テーマが特に関連性がない場合も、論理的思考力や研究に対する意欲、ゼミ内でのチームワークなどをアピールすることができます。

学業(学校での勉強や資格取得など)

企業にとって、新たな知識やスキルの習得のための学習意欲は大切です。
学生にとっても学業は、「真面目に取り組んだ」「優秀な成績を収めた」などのエピソードを通して、学び続ける力や、継続的に物事に取り組める根気強さをアピールしやすいテーマです。

サークル活動

サークルは、小さな社会とも言えます。学生にとってはコミュニティーの中での役割や貢献を伝えやすく、企業にとっては社会に出てからの人とのかかわり方や、コミュニティーの中での人間性などを推測することができるテーマです。

推し活・オンラインゲームなどの趣味

力を入れて取り組み、試行錯誤した経験は趣味であってもガクチカになります。
例えば、オンラインゲームで世界ランキングに入るために戦略を立てた経験、推している海外アーティストの情報を手に入れるため外国語の検定にトライした経験など、自分なりに時間をかけて取り組んだことがあれば、ぜひアピールしてみましょう。

ガクチカが本当にない人は、リクナビ就職エージェントへ相談してみよう

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キャリアアドバイザーは「頑張った経験がない」という就活生も数多くサポートしているので、これまでの経験を聞きながら、本人でも気づけていなかった長所を引き出すのが得意。「こんなことガクチカにしていいのかな?」という迷いも受け止めます。

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ガクチカ作成のサポートを通して把握した就活生の価値観や人柄、志向を基に、その人に合った企業の求人紹介も行っています。

紹介する企業はどんな人物を採用したいかなど、企業の採用要件をヒアリングしているので、会社ごとのES添削や面接準備にもしっかりとサポートが可能です。

面接を通過できなかった場合にも、できる限り企業から面接評価とその理由を取得。「なぜ面接で落ちたのか」「何が足りなかったのか」を就活生にフィードバックすることを心がけているので、他社の選考に生かすこともできるでしょう。


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