ベンチャー企業とは?活躍している社員の特徴・探すときのポイントをプロが解説

就活をしていると「ベンチャー企業」という言葉を耳にする機会があるのではないでしょうか。「そもそもベンチャー企業とは?」「メガベンチャーやスタートアップとどう違うの?」など、わかりにくい面も多いですよね。

ベンチャー企業の特徴やどんな社員が活躍しているかについて、日本総合研究所リサーチ・コンサルティング部門の太田壮祐さんにうかがいました。

日本総合研究所・太田氏インタビューカットプロフィール
太田壮祐(おおた・そうすけ)
株式会社日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門 シニアマネジャー。企業を「人事」や「組織」の観点から支援する業務に従事している。「働き方改革」への対応のあり方や、労働人口減少時代における人材活用方法などについての研究にも参画。

そもそもベンチャー企業とは?

「ベンチャー企業」というと、新しい技術やビジネスモデルを展開している、設立年数が5~10年以内といった比較的若い企業を指すことが多くありますが、はっきりとした定義はありません。ただ、共通する要素として「成長志向」「新規性」「スピード感」を持っていることが挙げられます。また、新しい分野へのチャレンジには変化が伴うため、業務内容や社内の体制が流動的で曖昧な状況があることも、ベンチャー企業の特徴といえるでしょう。

ベンチャー企業と似た言葉に「スタートアップ」「メガベンチャー」があります。これらの言葉にも、いずれも明確な定義はありません。

スタートアップとは?

一般的にスタートアップは、会社を立ち上げて間もない段階のベンチャー企業を指します。事業にリソースを集中させているため、一般的には育成に時間のかかる新卒採用に積極的なところは多くありません。

メガベンチャーとは?

メガベンチャーは、成長と新規性を追求したまま、規模が拡大した組織を指します。「ベンチャーマインドを持ち続けている元ベンチャー企業」ともいえます。ベンチャー企業は会社として成長過程にあることが多いものの、成長し規模が拡大したメガベンチャーは、組織として比較的安定しているといえるでしょう。

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ベンチャー企業が多い業界は?

ベンチャー企業の業界や社風はさまざまですが、「成長志向」と「新規性」といった特徴から「成長している業界」には多くのベンチャー企業が集中しています。技術刷新の著しいIT業界をはじめ、産学連携で進める創薬などの医療業界も、ベンチャー企業が多くひしめく領域です。

また、金融や情報通信、不動産など、法規制が厳しく、商慣習が古くから固まっている業界には、「新たな風穴を開ける」という意味でベンチャー企業が入り込むケースもあります。これらの既存業界は一定の需要があり、マーケット規模が大きいため、従来の慣習にとらわれないサービスやアイデア、技術力で、一定の存在感を示すことができます。既存企業がやっていることの後追いでは、大手企業や先行する競合企業とシェアを奪い合うことになり、設立間もないベンチャー企業が収益を上げることは難しいものです。既存企業の後追いではなく、新しいアイデアと、それを模倣されない技術力・サービス力を持っていることが、ベンチャー企業として成功する条件になるでしょう。

昨今は、大企業がベンチャー企業に対して資金的な援助・投資を行い、Win-Winの関係を築く案件も増えています。大企業にとっては、事業拡大のメリットがあり、ベンチャー企業にとっては、サービス・技術開発への資金的な余裕が生まれるからです。

ベンチャー企業の組織風土の特徴は?3つのタイプを紹介

組織風土や文化も企業によってさまざまです。ただし、ベンチャー企業の経営者や、企業の成り立ちといった特徴に注目すると、大抵は次の3つのいずれかになるようです。

(1)「大手企業からスピンアウトした経営プロ主導」タイプ

大手企業出身者が立ち上げたベンチャー企業。前職でさまざまなビジネスモデルに触れる中で、新規サービスを構想し、起業するケースです。経営陣が、金融業界やコンサルティング業界を経験していることが多く、専門的スキルを持った優秀なビジネスパーソンで占められている企業も少なくありません。

組織風土の特徴

  • 経営者の出身企業の企業文化がベースにあることが多い
  • 起業に当たり、必要な人材を知り合いの中からヘッドハンティング(優秀な人材を他社から自社に引き入れること)をしているケースもある
  • これまでの社会人経験で構築した人脈から、経営企画・財務経理・営業など、会社の骨格をなす部分を任せられる人材を獲得しており、経営人材の経歴としては質の高い人材がそろっていることが多い
  • 経営者が前職で経営アドバイスやコンサルティングを経験したことはあっても、実際に事業を動かした経験が多くないことも
  • 採用は即戦力重視で、多くは転職者を受け入れる傾向があり、育成に時間がかかる新卒採用には力を入れていない企業もある

(2)「学生時代から起業している学生ベンチャー」タイプ

学生時代に一人あるいは仲間同士で起業し、失敗や挫折を繰り返しながら成長してきた学生ベンチャータイプです。就職という選択肢がある中でやりたいことを貫いてきた熱量の高い経営陣が多いといえます。

組織風土の特徴

  • 何かを成し遂げたい、という経営陣の情熱が強い企業もある
  • 経営者に就職経験がない場合もあり、勢いのある学生サークルの延長という雰囲気があるところも
  • 経営者の思い、ビジョン、事業ミッションなどに共感できれば、同じ熱量で走り抜く面白さがある
  • 学生時代の仲間で立ち上げているケースも多く、人材は一般的な企業に比べ、一様性が高い
  • 社員同士の人間関係が濃密なことが多い

(3)「研究・技術開発にまい進する職人」タイプ

極めたい技術分野が明確で、技術革新によって事業拡大につなげたいという技術専門家タイプ。大手メーカーで開発に携わるも、「もっと自由に没頭したい」「この技術には可能性がある」という思いで起業したケースもあります。

組織風土の特徴

  • 技術力を持った専門家で組織が成り立っている場合が多い
  • 「収益を上げる」ことより「技術で社会に貢献したい」という思いが強い企業も多い
  • 社内の人と人とのかかわりよりも、個人の研究に没頭する時間を大切にしている場合もある
  • 技術革新を起こすことができれば、社会構造や日常生活に変化を起こせるような場合もあり、技術者としての夢を実現させることにやりがいを感じられる

上記のように、大きく3つに分けて説明をしましたが、どのベンチャー企業のタイプにも共通するのは「スピード感」があることです。企業として、事業成長のために収益を上げることは大前提としてありますが、「上場を目指して収益アップのスピードを重視する」のか、「サービスやアイデア、技術力を着実に育てる」のか、どちらのビジネスモデルに近いかによっても、組織風土は異なるでしょう。

ベンチャー企業のイメージ画像

ベンチャー企業で活躍している社員に共通する2つの特徴

ベンチャー企業の成り立ちによって、求められるスキルや活躍する社員のタイプは異なります。その上で活躍する社員に共通する特徴を挙げるとすれば「自走力」と「変化への対応力」を持っていることといえるでしょう。

(1)自走力がある

少数精鋭のベンチャー企業では、体系的な教育制度が整っていないところもあります。大企業のように「当社に入ればいろいろ教えてあげます」という手厚いフォローがない場合も多く、環境や機会を生かして自分で学び、自分で動く「自走力」のある人材が求められます。しっかりとした教育体制の下、安定したお給料をもらって働きたいという方には、厳しい環境かもしれません。ただ、その分、挑戦できる範囲は広く、成長のスピードを実感できる面白さもあるでしょう。

(2)変化への対応力がある

また、「変化への対応力」も求められます。ベンチャー企業では、全員が営業として動くケースが多く、業務分担をする余裕がないため、一人ひとりが業務に幅広く携わり、事業を回しています。「任されたこの部分だけやっています」というマインドは受け入れられにくく、本人にとってもきつい環境でしょう。大変な面もありますが、企業の成長軌道を生身で感じ、経営の実務を体験できるのは、ベンチャー企業ならではの醍醐味(だいごみ)です。「将来は起業したい」という経営者志向の人にとっては、実践で学べる環境だといえます。

ベンチャー企業で働くからこそ経験できることもある

ここまで、ベンチャー企業の組織風土や、活躍する社員に共通する特徴について、さまざまな観点で解説をしました。これらの情報を整理すると、ベンチャー企業で働くからこそ得られる経験というものも見えてきます。

圧倒的な経験値を積める

例えば、ベンチャー企業の社員は、一人ひとりが業務に幅広く携わるということから、規模が小さいベンチャー企業であればあるほど、それだけ裁量が大きい仕事を任される可能性が高いと考えられます。また、一般的にベンチャー企業では手厚い教育研修よりは、実地で学ぶスタイルを重視する企業が多い傾向があります。新卒から自分で考え、取り組まなくてはいけない一方で、さまざまなスキルや経験を得ることができるため、いち早くビジネスパーソンとして成長することができるでしょう。

たくさん「失敗」ができる

さらに、「失敗」を経験できるということも大きな魅力といえるでしょう。一般的にベンチャー企業は、試行錯誤を繰り返しながら事業を進めていくことが多いため、どこまでのリスクを取って挑戦すべきかの判断を経験できたり、成功確率が低いことにも挑戦できる機会があったりします。そして、その結果失敗することも多くあります。安定した企業においては、リスクを取ることや失敗をすること自体が敬遠されることが多いため、将来の成長を考える上では、「どこまでの失敗であればリカバーできるのか」など、肌身を持って知れることは、非常に貴重な経験となるでしょう。

ベンチャー企業を探す際は、できるだけ幅広く、積極的な情報収集を

ベンチャー企業といっても業界、企業規模、設立年数など多岐にわたります。企業文化も創業者(経営トップ)のタイプがそのまま反映されていることが少なくありません。自分はどんな企業に魅力を感じるのか、経営者の思いに共感し、自分も同じ志を追いたいと思えるか、事業内容に興味を持てるかをしっかりと見極めることが大切です。ですからベンチャー企業を探すときは、企業の基本情報だけでなく、創業者の思いや、働いている社員の熱意、事業の将来性などにも注目しながら、丁寧に情報収集しましょう。

またベンチャー企業は、新卒採用を行っていないところも少なくありません。幅広くベンチャー企業を探すなら、就活ナビサイトの情報だけではなく、企業ホームページなどから自ら情報収集を行い、直接採用状況を確認してみましょう。さらに、実際に働いている人物、特に経営を担っている人物と実際に会う機会を設け、自らの実現したいこと、仕事に対するスタンス、思いに共感できるかなどを把握することが重要でしょう。

取材・文/田中瑠子

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