「就活に有利」と言われることもある理系学生ですが、実際に就活を進めてみると悩んでしまう学生も少なくないようです。これまで理系学生の就活のサポートを多く手掛けてきたキャリアアドバイザーによると、以下の3つの悩みについてよく相談を受けるそうです。
・研究が忙しくて、就活の時間が取れない…。
・学校推薦に応募したいけれど、就活を進める中で志望度が変わったらどうしよう…。
こうした悩みをどう解消するとよいか、ご紹介します。
目次
【理系学生によくある悩み1】学んできたこと・研究成果を生かした仕事に就きたい
研究に時間とパワーをかけてきた理系学生にとって、「学んできたことを生かせる仕事に就きたい」と考えるのは、自然なことでしょう。例えば、生物系の学生は食品業界の商品開発職、情報系の学生はBtoC向けのWebサービスのエンジニアや、AIなど最先端技術を扱うスペシャリストなどを志望する傾向があります。
しかし、上に挙げたような職種はもともとの採用数が少なく、そこに多くの理系学生が応募するため、内定を得るのが難しい現状です。応募企業や職種を絞って就活を進めた結果、採用数が少ないところに応募が偏ってしまい、なかなか内定が出ずに苦戦してしまうという声はよく聞きます。
アドバイス:企業選びの判断軸を振り返って、応募する企業を増やせないか考えよう
応募する企業を絞って就活をしていて、うまく進んでいないと感じる人は、企業選びの判断軸で妥協できる点、できない点を今一度整理してみましょう。具体的には、業界と職種について「変えたいか」「変えたくないか」。以下にそれぞれのケースについてアドバイスを紹介するので、参考にしてみてください。
業界も職種も変えたくない場合
“企業規模”にはこだわらず、中小企業にも目を向けてみたり、“勤務地”を全国まで広げることで、受ける企業を増やしていきましょう。
業界は変えたくない場合
“職種”の選択肢を広げて考えてみましょう。商品開発職ではなく品質管理、生産管理職など、これまでの研究内容とつながりがある職種はほかにないのか、研究によって得た知識をどう活用できるかを考えてみましょう。
職種は変えたくない場合
志望している職種の仕事内容について具体的に考えてみると、選択肢が広がるかもしれません。例えば、研究開発職を「0から何かを生み出していくこと」や「探究していくこと」、生産技術職は「製品を作る工程を整備したり効率化したりすること」を仕事内容だと具体化してみましょう。その後で別の業界で同じような仕事内容ができないかを考えてみてください。
また、職種名は企業ごとに定義や担当する仕事内容が違う場合があるので、具体化した仕事内容ができるのはどこなのか職種名にこだわりすぎずに調べてみるとよいでしょう。
業界も職種も変えていい場合
自分の強みを整理して、入社後に活躍できそうな業界・職種を新たに探していきましょう。その際には、研究活動を通して得た学びや、研究以外のサークル活動、アルバイト経験などをあらためて振り返ることで、自分の特性が見えてくるかもしれません。
例えば、研究を進める中で「仮説を立て、うまくいかないことがあれば原因を追究して次につなげる」「期日から逆算し、1週間、1日単位の活動目標を決めて実行する」ことをやってきた学生さんもいるのでは?こうした力は、IT・エンジニアやコンサルティングをはじめ、さまざまな業界で仕事をする上で求められるものです。このように別の業界や職種で生かせる特性がわかると、本人の希望次第で、企業の選択肢は一気に広がると思います。
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【理系学生によくある悩み2】研究で忙しく、就活に使える時間がない
「指導教授からの課題が多く、就活準備になかなか時間が割けない」「研究室にいなくてはいけない時間が決まっている」「研究対象の管理・観察のため物理的に離れられない」など、毎年多くの理系学生から、研究と就活の両立に関する悩みを聞きます。
時間がない原因はさまざまですが、研究と就活準備・就活を両立するためには、工夫が求められる点が共通しています。
アドバイス:研究・就活に充てられる時間をあらかじめ把握してスケジュールを組もう
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、2021年卒の就活からオンラインで会社説明会や選考を実施する企業が増えたことは、多忙な理系学生にとって追い風と言えるでしょう。会場への移動時間がなくなることで、研究室に行く日でも就活準備を進めたり、対面よりも多くの説明会や選考に参加できるチャンスが広がったからです。
例えばリクナビでは、「日程」や「オンライン開催」などの条件を指定して検索することができるので、自分が参加できる条件を絞って、会社説明会・面接を探してみると、研究と両立できるかと思います。
研究室にいなくてはいけない日が決まっているなどの制約がある場合には、就活に割ける時期や日程を把握した上で、「この日にいくつかオンラインで会社説明会に参加して、企業研究をしよう」「エントリーシートの提出や面接が始まるのがこの時期だから、それまでに自己分析を進めておこう」など、やることを設定するように意識してみてください。就活をした同じ研究室の先輩などに、研究・就活それぞれが忙しくなる時期はいつごろか聞いてみると、参考になるかもしれません。
研究発表のための準備や研究の特性で、スケジュール調整が難しい時期が出てくる場合は、応募する企業を多めに検討しておくことも一つの方法です。例えば1社応募して、その企業の選考が駄目だったら、次に応募する企業を考える…という進め方をすると、採用が終わって応募できる企業の選択肢が少なくなってしまう可能性が大きいのです。選考の過程で企業理解が深まり、志望度が変わることもあるので、いくつかの企業の選考に並行して臨めるように、応募することをお勧めします。
また、企業から提示される会社説明会や面接の日時に、研究発表などが重なり都合がつかないケースも出てくるかもしれません。企業によってはスケジュール調整に対応してくれることもあるので、事情を説明して日程変更が可能か相談してみましょう。
【理系学生によくある悩み3】教授推薦・学校推薦に受かった企業でホントにいいの?
教授推薦・学校推薦による応募を検討する人は、文系に比べると理系学生は多いかと思います。“推薦”という言葉は一見魅力的ですが、学生からはさまざまな悩みも寄せられています。
「受かるかわからないので、並行して自分でも応募して選考に臨んでいたら、推薦先企業よりいいなと思うように…。推薦先企業に決まったら、選考辞退をしなければいけないが大丈夫だろうか」「きっと落ちるだろうと気軽な気持ちで学校推薦に応募したら、内定が決まった。企業についてあまり調べていなかったので今になって不安になっている」といった、戸惑いの声を耳にすることがあります。
アドバイス:推薦に応募する前に自己分析、企業理解を進め、自分の志向に合うか確認しておこう
学校ごとにスケジュールの違いはありますが、大学3年(大学院1年)の1~3月ごろから教授推薦・学校推薦の求人が公開され始めます。一般応募の選考が本格化する前なので、自己分析や企業研究が浅いまま、応募を決める人もいるかもしれません。しかし、推薦が決まって内定をもらった後に不安を感じたり、後悔したりすることがあっては、本人にとっても企業にとっても、推薦した大学や教授にとっても不幸です。
こうしたミスマッチがないように、推薦応募を決める前に以下の点を確認しておきましょう。
- どんな企業でどんな仕事を任されるのか(自分がやりたいこと、できることとマッチしているか)
- どんな環境でどんな人が働いているのか(自分がパフォーマンスを発揮しやすいカルチャーなのか)
- どんな企業理念なのか(自分が大事にしている価値観とマッチしているか)
これらについて、入社後に働くイメージが持てるまで情報を集めることが大切です。
また、これまでの先輩たちの採用実績や選考通過率を確認したり、学内選考や内定までの通過の可能性がどれくらいなのか、教授や大学のキャリアセンターの職員に応募する前に相談したりしてみてもよいと思います。
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取材・文/田中瑠子