内定取り消しの可能性ってある?取り消されたらどうすればよいでしょうか?【就活なんでも相談室Vol.16】

新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染拡大の影響を受けた業界・企業もあり、「内定取り消し」という言葉を目にするようになりました。内定取り消しは増えているのか、もし内定が取り消しになったらどうすればいいのか――。そんな不安についてキャリアアドバイザーに聞きました。

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今回のお悩み:「自分も内定取り消しになる可能性はあるのでしょうか…」

2021年卒の学生です。内定をもらった企業はあるのですが、新型コロナや景気悪化で内定取り消しが増えていると聞きました。自分もそうなったらどうしよう…と気になってしまいます。実際に内定を取り消されたら、どうすればよいでしょうか?

内定取り消しとは?

初めに「内定」「内定取り消し」について確認しておきましょう。

「内定」とは、企業と学生との間に労働契約が成立した状態を指します。ただし、「実際に働き始めるのが卒業後であること」と「内定取り消し=労働契約の解約がありうる」留保をつけた上での契約となっています。

とはいえ、一度労働契約を結んでいる以上、企業が内定を取り消すには相応の理由が求められます。内定の際に示される「内定取消事由」には、主に以下の4つがあります。

・内定者が単位取得不足などで学校を卒業できなかった場合

・内定者が病気やけがなどの健康上の理由により働けない状態になった場合

・内定者に犯罪行為があった場合

・企業の業績悪化など経営上やむを得ない場合

関連記事:【専門家に聞く】「内定」と「内々定」の違い、内定取り消しの対処法

新型コロナの影響で内定取り消しは増えている?

では、新型コロナの影響による内定取り消しは増えているのでしょうか。多くの学生の就活支援を行っている「リクナビ就職エージェント」のキャリアアドバイザー・渡辺真弓さんに聞きました。

    リクナビ就職エージェント 渡辺真弓さんプロフィール画像プロフィール 渡辺真弓リクナビ就職エージェントのキャリアアドバイザー。主に理系学生を担当。企業の採用支援を行うリクルーティングアドバイザー、学生の就業支援を行うキャリアアドバイザーを歴任。学生が自分でも気がつかないような「その人自身の良さや適性」を見つけるのが得意。情報は多いが正解がない就職活動において、少しでも前向きに社会に出てもらえるよう、学生の悩みと日々向き合い、その人の希望や適性に合う求人情報を紹介しながら、数多くの学生の就活を支援している。休日は子どもと映画を見たり、サイクリングをしたりして過ごす。
→リクナビ就職エージェント公式サイト

2020年卒の内定取り消し件数は前年より増えた

例年内定取り消しの理由として多いのは、単位が足りず学校を卒業できなかったケースです。そのほかの企業都合の内定取り消しは法的に訴えられるリスクが高く、企業イメージの低下にもつながります。通常「本当にやむを得ない」事態でなければ、企業から内定取り消しを申し出ることはありません。新型コロナの影響による業績悪化で内定取り消しを決めた企業は、まさに苦渋の決断だったといえるでしょう。

厚生労働省(※)によると、新型コロナの感染者が増えてきていた2020年卒の内定取り消しは80事業所、取り消しにあった大学生、短期大学生、専修学校生など164人(2019年卒は109人)でした。

※厚生労働省「令和元年度卒内定取消し等の状況について」(令和2年11月末現在)

2021年卒の就活生への影響は?

2021年卒の就活も、採用選考のスケジュールが遅れたり、選考がオンライン化したりするなど新型コロナの流行の影響を受けています。中には、採用予定人数を変更(減少)した、採用自体がなくなった、というケースも出ています。

緊急事態宣言によって採用活動が休止し、業績の見通しが厳しくなって採用計画の変更を余儀なくされる…。航空業界や飲食・旅行・ホテル・アパレル・小売業界など、特に打撃を受けた業界では、そのような方向転換が見られました。

また、既に内定をもらっていた学生の動きにも変化が出ています。「内定をもらったけれど、コロナで先行きが不透明なので、まだ就活を続ける」「春に就活をしていたときと世の中が変わっている。今の志望業界・職種でいいのか再考している」というケースです。

内定取り消しまではいかなくとも、早期に内定をもらった企業から、「新型コロナの影響で業績が悪化しているので、もしほかの企業も見たいのなら就活を継続してください」など、現状を伝えられた学生もいます。

内定取り消しは、企業にとってリスクをはらむ重大な決断です。業績が悪化したことですぐ内定取り消しを決める企業は少なく、学生に内定取り消しの可能性を伝えることもないでしょう。ただ、「入社後も会社の経営状況は厳しい」という現実を伝え、ほかの選択肢を考えてもらうというケースはあるようです。

内定取り消しの連絡を受けて悩む学生のイメージ

内定取り消しになったら、どうするといい?

企業都合による内定取り消しは、企業側からすれば極力避けたい事態。学生の皆さんがそこまで不安視することはないと思います。

けれど、もし内定取り消しになってしまったら…。「行きたかった企業に行けなくなった」という悔しさや悲しさで、しばらくは気持ちも落ち込んでしまうと思います。ただ、業績悪化による内定取り消しであれば、もし仮に入社できていたとしても、その先も思い描いていたように働けるとは限りません。無念さはあると思いますが、次の内定先を得るために、気持ちを切り替えて行動していくことが大切です。

内定取り消しの連絡を受けたら、企業に内定取り消しの理由を聞きましょう。電話で連絡を受けた場合には、書面やメールなど記録が残る形での連絡もお願いすると、あとで事実確認がしやすくなります。その上で、学校のキャリアセンターや新卒応援ハローワークに相談に行ってみましょう。内定を取り消そうとしている企業に事実確認や申し入れをしてくれる場合もあります。

各都道府県にある労働局や全国の労働基準監督署内にある「総合労働相談コーナー」で専門家に相談するのも一つの方法です。総合労働相談員や労働局の専門官など、専門の相談員が電話や面談での相談に対応しています。

内定取り消し後に就活を再開する学生向けのアドバイス

内定取り消しの後で就活を再開するとき、学生が気になる点を解説します。

Q. もう一度就活する気力がないです。採用している企業も少ないだろうし、就職留年した方がいいでしょうか。

A. 落ち込んでしまうのも無理はないと思います。ただ、就職留年すると決める前にできることがまだまだあります。年度末ぎりぎりまで採用を続けている企業はありますし、新型コロナの影響で採用スケジュールも流動的になっています。まずは当該年度の間に就活を再開して、あらためて行きたい業界や企業を整理するのもいいと思います。

留年すると、企業は「去年1年間は何をしていたのだろう」という疑問を抱きます。内定取り消しでも早い段階で決まったのであれば、その後さまざまな選択肢があったのでは、と思われる可能性もあるでしょう。就活を再開してあらためて企業を見た上で就職留年を決めたのであれば、次年度の選考ではその理由を企業にきちんと伝えられるように準備しておきましょう。

就職留年については、こちらの記事でも解説しています。
関連記事:就職留年はぶっちゃけ不利?メリット・デメリットと迷った時の“理由別”アドバイス

Q. 就活を再開したとき、内定取り消しになったことを伝えたら不利になりますか?

A. 企業都合の内定取り消しなので、正直に伝えて問題ありません。懸念があるとすれば、「内定取り消しになった会社に行きたかったのだろうから、当社の志望度はそこまで高くないだろう」と思われる可能性があることです。面接では、内定取り消しの理由を簡単に伝えた上で、「もう気持ちを切り替えて御社を志望している」という前向きな姿勢を示すことができるとよいでしょう。

不安な人は、企業に現状を確認してみよう

内定取り消しが不安な場合は、内定先の企業に正直に質問をしてみるのも一つの方法です。「最近のニュースを見て保護者が心配しているので、業績や売り上げの状況について教えてほしい」「入社したらこんなふうに頑張りたいと思っているのだけれど、企業の現状について教えてほしい」などと併せて伝えると、企業も安心して答えられるでしょう。

中には、内定取り消しが不安で複数企業に内定承諾している方もいるかもしれません。先行きが不安で1社に絞ることを先延ばしにしてしまう気持ちもわかります。ただ、新卒採用のために企業は時間とお金を投下しています。内定辞退を受けて、採用活動を再開する必要性が出てくることもあるでしょう。「どの企業に入社したとしても、自分の選択を正解にしていこう」という前向きな姿勢で、できれば早めに決断してほしいと思います。

複数内定については、こちらの記事でも解説しています。
関連記事:複数企業に対して、内定承諾してしまいました。いつまでに決めないといけないのでしょうか?【就活なんでも相談室】Vol.13


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監修:社会保険労務士法人 岡佳伸事務所 岡 佳伸(おか・よしのぶ)さんアパレルメーカー、大手人材派遣会社などでマネジメントや人事労務管理業務に従事した後に、労働局職員(ハローワーク勤務)として求職者のキャリア支援や雇用保険給付業務に携わる。現在は、雇用保険を活用した人事設計やキャリアコンサルティング、ライフプラン設計などを幅広くサポート。特定社会保険労務士(第15970009号)、2級キャリアコンサルティング技能士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士など保有資格多数。

取材・文/田中瑠子

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