就活の軸とは?就活準備は何から始めればよいのでしょうか?【就活なんでも相談室】Vol.19

新型コロナウイルスの影響で通学する機会が減り、友人と気軽に就活の情報交換ができないといった不安を抱く学生も増えているようです。

  • 思うように説明会やインターンシップに参加できなかった
  • 就活準備をしようにも、何から手を付ければいいのかわからない
  • 情報収集をしても例年通りとはいかず参考にならない

と感じて焦ってしまう方もいるのではないでしょうか?

そんな就活生の不安に対して、キャリアアドバイザーが、これから就活準備をする学生に役立つ「就活の軸の見つけ方」をご紹介します。

 

プロフィール濱田千佳(はまだ・ちか)

リクナビ就職エージェントのキャリアアドバイザー。新卒入社後からリクナビ就職エージェントで、年間300~400人ほどの学生の相談を受け、一人ひとりの思考や価値観に合ったアドバイスを行っている。

→リクナビ就職エージェント

今回のご相談「就活の軸はどうすれば見つかる?就活準備を始めたいのですが、何から手を付けていいのかわかりません…」

企業を知るために参加したかったインターンシップや説明会も、コロナで思うように参加できていませんでした。

何から手を付ければよいかわからず、学校の先輩に相談したところ、「就活の軸」を持つといいよ」と言われました。就活の軸を見つけるにはどうしたらよいでしょうか?

就活の軸とは「企業選びの判断基準」。軸を持つメリットとは?

就活の軸とは端的に言うと“企業選びの判断基準”のことです。企業や仕事を選ぶ際に「自分が大切にしたいのは何か」に立ち返って考える際の基準になるものです。就活の軸を持つメリットは2つあります。

  • 企業研究や説明会などで、企業を見るポイントが明確になる
  • 企業と自分の間にある合致点が見つけやすくなる

就活の軸がないまま就活を進めると、知名度がある企業や興味がある業種だけを調べてしまったり、説明会に参加しても業務内容を理解したりするだけになるかもしれません。

一方で就活の軸を持つと、自分がどういう理由でその業界や企業に興味があり、強みを生かし、安心した環境で働けるか、企業と自分の間にある合致点を確認しながら、自己分析や企業研究などを進めることができます。常に軸と照らし合わせることで企業を見るポイントが磨かれていくのです。そして、履歴書・ES(エントリーシート)や面接で聞かれる企業の志望理由なども、その合致点を根拠に深く考え、答えることができるでしょう。

就活準備の段階での軸は「仮置き」でいい

今回の相談内容のように、就活準備の段階で何をすればいいかわからないと悩む学生は少なくありません。そういう方こそ、就活準備の段階で軸を「仮置き」してほしいと思います。

中には、軸という言葉のイメージから、一度決めたら絶対にブレないもの、変わることがないものこそが「就活の軸」だと思う方もいらっしゃいますが、そうではありません。なぜなら「就活の軸」は、社会を知り、さまざまな企業を見ることで、新たな気づきを得て、アップデートしていくものだからです。そのため、選考が進む中で、多様な働き方を知ったり、新たな価値観に触れたりすることで軸が変わっていくこともあります。ですから、「完璧な軸を作ろうとしなくてもいい」ということを理解しておきましょう。

では、就活の軸はどうやって仮置きすればよいでしょうか。必要なプロセスは

  1. これまでの経験を棚卸しする
  2. 棚卸した経験を5つの観点に当てはめてみる

の2つです。

『リクナビ就職エージェント』では、これから就活準備をしたい学生さんでも軸の仮置きに取り組みやすいように、自己分析のワークシートを活用しています。続いて、ワークシートと合わせて、軸を見つけるためのプロセスをご紹介します。

就活の軸について考えている学生のイメージ

就活の軸を仮置きしてみよう(1)これまでの経験を棚卸しする

まずは、あなたのこれまでの経験を棚卸ししていきましょう。使用するワークシートはこちらからダウンロードができます。

『リクナビ就職エージェント』就職活動のファーストステップである自己分析の準備をしましょう!

ワークシートでは、以下のような4つのSTEPを紹介しています。

STEP1 初めに、あなたが大学生の間に取り組んだことをすべて挙げてください。

STEP2 STEP1で挙げたそれぞれの取り組みの中で自分が主体者となった出来事を挙げてみましょう。

STEP3 次に、STEP2で列挙したものの中で、自分がポジティブな感情で取り組めたこと順にランキングを付けてみましょう。

STEP4 STEP3で付けたランキングの1位~3位の出来事に関して、詳しく書き出してみましょう。

これらを埋めていくことで、自分の強みや経験、苦手が明らかになり、簡単に経験の棚卸しができます。また、ESや面接で問われることが多い「学生時代に最も打ち込んだこと」についても作ることができるようになっています

「『学生時代に最も打ち込んだこと』が見つからない…」と悩んでしまったら、以下の記事を参考にしてみるとよいでしょう。

ワークシートを完成させたら「STEP4」で詳しく書き出したランキングの出来事について、さらに以下の点で振り返ってみましょう。

【経験の中でプラスになったことは?】

・何が楽しかったのか

・何がやりがいだったのか

【経験の中でマイナスになったことは?】

・何がストレスになったのか

・何が苦手と感じたのか

先ほど説明した通り、就活の軸は「自分がどういう理由でその業界や企業に興味があり、強みを生かし、安心した環境で働けるか」を知るためのものです。

経験の棚卸しをすることで、何かに取り組む際、「どういったことにやりがいを感じ、どのような強みを発揮できるのか(プラス)」、「どういった状況に陥るとストレスを感じてしまうのか、苦手と思うことは何か(マイナス)」を把握できます。はかどらないときは、家族や友人、学校のキャリアセンターや、キャリアアドバイザーなどと対話しながら進めてみてもよいかもしれません。

また、ここで紹介したワークシートを使わずに、自己分析のプロセスの中で経験の棚卸しを行う方法もあります。以下の記事や「リクナビ診断」などを使ってみてもよいでしょう。

関連記事:「就活の軸」って何のこと?見つけ方、面接で聞かれたときの答え方の例を紹介


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次に経験の棚卸しからわかったことを「5つの観点」でさらに理解していきましょう。

就活の軸を仮置きしてみよう(2)軸を5つの観点で整理してみる

経験の棚卸しによって「大切にしたいこと」がわかったら、企業との合致点を探してみます。その上で大切なのは、「就活の軸」を構成する5つの観点です。

1. Will(やりたいこと)

棚卸しした内容 企業との接点
  • 自然と興味が向くもの
  • 好きだと感じるもの
事業内容

2.Can(できること・得意なこと)

棚卸しした内容 企業との接点
  • 自然とやっている行動
  • 得意なこと(強みだと思うこと)
職務内容(入社後の役割)

3.Culture(環境)

棚卸しした内容 企業との接点
  • 上記を発揮するのに必要な環境
職場の環境や風土

 

4.キャリア志向(どんなキャリアを歩みたいか)

棚卸しした内容 企業との接点
  • 将来のキャリアステップのイメージ
  • 理想の働き方
先輩社員のキャリアや働き方

 

5.条件(どんな条件で働きたいか)

棚卸しした内容 企業との接点
  • 譲れない労働条件
入社後の条件(勤務地/休日の取り方など)

5つの観点で、特に重要なのは「Will(やりたいこと)」や「Can(できること・得意なこと)」の2つです。(1)経験の棚卸しで見えてきた「自分が興味を持つことに対して、どのような強みが発揮できるか」を具体的に言語化することで、就活の軸として語れるようになり、企業とのミスマッチを防ぐことができるでしょう。なお、「Culture(環境)」や「キャリア志向」「条件」に関する情報は、企業ホームページやリクナビのようなナビサイトで調べることができます。

「就活の軸」について答えるときのポイント解説を詳しく知りたい方はこちら。先輩たちの声や質問する企業の意図なども紹介しています。
関連記事:「就活の軸」って何のこと?見つけ方、面接で聞かれたときの答え方の例を紹介

就活の軸をアップデートしながら、入社後も自分らしく働ける会社を選ぼう

前述の通り、就活の軸は就活を進めながらアップデートできます。そのために、業界や企業を研究しながら「どこがいいと感じたか?」というプラスの感想と、「どこが気になった(引っ掛かった)か?」というマイナスの感想も書き出してみてください。そして、軸として仮置きしていたこと以外でよいと思える点が見つかれば、それが棚卸しした経験にひも付くかどうかを見てみましょう。ひも付くのであれば、就活の軸に加えます。

軸は1本である必要はないので、複数あってもよいでしょう。無理にまとめようとする必要はありません。企業に伝えるときは、最も大切にしている3つの軸だけを述べるなどして工夫しましょう。

また、インターンシップ等のキャリア形成支援プログラムや説明会に参加できなくても、企業の情報を集めることはできます。例えば、「人から感謝されることが好き」という軸を持っているなら、企業ホームページなどに掲載された先輩インタビュー記事などからも読み取ることができます。気になる企業が展開している商品に触れ、調べてみてもよいでしょう。さまざまな角度から情報を集め、就活の軸をアップデートしましょう。

「就活の軸」の考え方が明確になることで、就活が進み、これからどんな企業に出会えるのか楽しみになってくるかもしれません。皆さんの就活が納得できる良い結果で終えられることを願っています。

取材・文/笠井貞子


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記事作成日:2021年5月31日 記事更新日:2024年2月1日

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