就活の不安をできるだけ解消し、前向きに臨むための方法とは?

本格的な就活を前に、「うまく就活を進められるだろうか」と不安を覚えている人もいることでしょう。就活は、ほとんどの人にとって未知のこと。不安に感じるのも当たり前です。
この記事では、先輩たちが何に不安を感じたのかポイントを紹介するとともに、キャリアカウンセラーの山田英子さんに不安への対処法を教えてもらいました。事前に不安の芽を摘み、自信を持って就活を進めるためにも、ぜひ参考にしてみてください。

山田英子さん 写真プロフィール
山田 英子さん(やまだ・えいこ)
早稲田大学教育学部社会科社会科学専修卒業。
大手ファーストフードサービス企業、人材サービス企業を経て、IT系コンサルティングファームに入社。採用部門のリーダーとして新卒・中途採用業務全般に加え、就職セミナーでの講演等の広報活動や人事制度設計等に携わる。2005年5月に個人事業主として独立し、大学生の就職活動支援、社会人の転職支援などを中心に活動中。
【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント。米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー

就活に対し不安があった先輩は8割を超える

2024年卒業の先輩たち500名を対象にした就活についてのアンケートにおいて、「就職活動に対して不安はありましたか」と質問したところ、実に8割以上の人が、就活に不安を覚えていたことが明らかになりました。

●就職活動に対して不安はありましたか。(単一回答・n=500)

「就職活動に対して不安はありましたか。」に関するアンケートの回答グラフ

「不安があった」と答えた人に、何に対する不安があったのかを聞いたところ、選考に対する不安や自己分析、自己PRに関する不安を抱えていたことがわかりました。

●就職活動を行うに当たり、何に対する不安がありましたか。(複数回答・n=412)

「就職活動を行うに当たり、何に対する不安がありましたか。」に関するアンケートの回答グラフ

具体的にどのような点に不安を覚えたのか、項目別に先輩たちの声をご紹介します。

書類や面接など、選考に対する不安

筆記試験について

  • 筆記試験のための勉強が大変だったのでうまくいくか不安だった。
  • 適性検査に対する能力の不足。

ES(エントリーシート)について

  • ESが書きにくかった。
  • ESの完成度に不安があった。
  • ESでどのように自己表現すればいいのか苦労した。

面接について

  • 面接に通るのか、うまく話せるか。
  • 面接の経験がほとんどなかったので、うまく話せるか不安だった。
  • 質問をしっかり理解して、的確に答えられるか。

自己PRに対する不安

  • どうすれば伝えたいことが最大限伝えられるかがわからず、不安だった。
  • 話すのが苦手、アピールできるような長所がない。

自己分析に対する不安

  • 自分自身のことをあまりよくわかっていない。業界のことを調べても、本当に合っているのか疑問に思う。
  • 自分の魅力、良さが何か、それをどう伝えれば良いかに悩んだ。
  • どう自己分析をすればいいいかわからなかった。

スケジュール管理・学業との両立に対する不安

  • テストがかぶっていたりと、学業との両立が難しかった。
  • 本当に自分の道が正しいのか、どんなスケジュールを組めば良いのかなどがわからなかった。

自分が納得できる企業を見つけられるか…という不安

  • 働きやすい環境かどうか。
  • 正解がない中で自分に合うところを見つけなければいけないこと。うまくいくビジョンが描けなかったこと。

業界・企業研究に対する不安

  • 志望動機についてあやふやな点があり、そこを突っ込まれないかということ。
  • 自分に合っている企業はどこなのかを探すのが難しかった。
  • 周りと志望する業界が異なっていたこともあり、情報収集や就職活動がどの程度進んでいるのかわからなかった。

具体的に何をしたらいいのか…という不安

  • やっていることが正しいのか何もわからなかった。
  • 当然だけど初めての経験だし、何が正解かもわからないし、自分が何をしたいかというのも明確でないから。
  • 受験の時と違って自分からいろいろ動く必要があるため、何をしたらいいかよくわからなかったこと。

考える若い男性

「就活に関する不安」の対処法

これらの「先輩たちの不安の声」を受け、“就活のプロ”であるキャリアカウンセラーの山田英子さんに、不安ポイント別にアドバイスを頂きました。

まずはさまざまな不安につながりやすい「自己分析不足」を解消しよう

就活準備の第一歩は「自己分析」です。しかし、今回の調査でも明らかになったように、多くの人が自己分析に不安を感じています。

自己分析が不足すると、自分の志向ややりたいことが明確にならず、どの業界や企業に応募すればいいか迷ってしまいます。また、自分の強みや特徴を言語化できなければ、ESや面接での自己PRもうまくいきません。

まずは自己分析をしっかり行い、就活中の不安を軽減していきましょう。

自己分析の方法の一例として、モチベーショングラフをご紹介します。まずは人生を振り返り、うれしかったことやつらかったことを時系列で書き出し、それを基に曲線グラフを作成します。そして、グラフを見ながら「なぜうれしい・つらいと感じたのか」「つらい経験からどのように立ち直ったのか」を考えることで、自分の強みや価値観が見えてきます。

昔のことを思い出せない場合は、自分のSNS投稿や保存画像を見返すといいでしょう。投稿や写真を見ることで記憶がよみがえり、自己分析に役立ちます。

就活を進めていく中で、「自己分析で洗い出した軸が実は違っていた」「自分の強みや持ち味と思っていたことが違っていた」というズレに気づくこともあるかも知れません。それは悪いことではありません。自分の情報量が増えたからこそ、ズレを見つけられたのです。この時点で自己分析をブラッシュアップしていけば、より自己理解が深まります。

ESの内容は、企業側の視点に立って書き分けよう

ESに不安を覚える人も多いですが、相談を受けることが多いのは「自己PRとガクチカが似てしまう」というもの。選考でアピールできそうなエピソードが少なく、どうしても内容が似通ってしまう…という不安を抱える人は少なくないようです。

自己PRとガクチカで別々のエピソードを用意するのがベターではありますが、どうしても難しい場合は、企業の視点に立って「同じエピソードを書き分ける」ことをお勧めします。

企業は主に、ESの自己PRでは「自社が求める人材像に合っているかどうか」を、ガクチカでは「学生の価値観やモチベーションの源泉」を見ています。これらの視点を意識して、1つのエピソードを書き分けるといいでしょう。

例えば、自分がゼミ長を務めていたゼミのエピソードの場合は、

  • 自己PRではどのようにリーダーシップを発揮してゼミ全体をまとめたのかを伝える
  • ガクチカではゼミでどんな研究を行い、どんな工夫をして発表内容をまとめ上げたのかを伝える

というように分けると、同じエピソードであっても異なる視点で伝えることができます。

面接で緊張せず自分をアピールするには、それまでの準備が大切

面接に不安を感じる人は多いですが、面接だけを切り取って考えないことが重要です。

面接では、自己分析・業界研究・企業研究をまとめたESが質問のベースとなります。そのため、面接は就活の集大成とも言えます。つまり、事前の準備がしっかりできていれば心配は要らないのです。

ただし、面接は「企業の面接担当者」に「限られた時間内で自分を伝える」必要があります。

緊張して伝えきれないことを防ぐためには、模擬面接で練習するのが一番です。ゼミやサークルの先輩、学校のキャリアセンターや就職エージェントに協力してもらい、客観的なアドバイスをもらいましょう。

一人で練習したい場合は、自己PRや志望動機を本番さながらに話す様子をスマホ等で録画し、見返すといいでしょう。

普段から人前で話す経験を積むことも有効です。ゼミの発表や会社説明会で積極的に質問するなど、緊張する場で平常心を保つトレーニングを行いましょう。

特に志望度が高い企業の面接では緊張してしまうかも知れませんが、企業からの評価など、自分でコントロールできないことを気にし過ぎると、余計に緊張が増してしまいます。模擬面接や実際の面接の振り返りを重ねるなど、自分でコントロールできることに集中して、自信を持って本番の面接に臨める準備をしていきましょう。

「何が向いているのかわからない」場合は、いったん仕事から離れて考えてみる

自分が何をやりたいのか、何に向いているのかわからず、就活の一歩が踏み出せない人は少なくありません。

そのような場合、「まずは仕事の種類を知る」ことから始めてみましょう。

例えば合同企業説明会に参加したり、就職情報サイトで仕事をチェックしたり、オープン・カンパニーやインターンシップ等のキャリア形成支援プログラムに参加して、さまざまな仕事に触れてみましょう。その後、自己分析を行うことで、自分の志向や価値観と実際の仕事を結び付けやすくなります。

それでも見つからない場合は、「仕事」や「就活」という枠を取り払い、自分が楽しい、うれしい、面白いと感じる瞬間を考えてみましょう。

例えばゲームが好きならば、どんなときが一番楽しいかを掘り下げてみます。「一人で没頭して集中できるのが楽しい」なら、「一つのことに集中して取り組める仕事」が向いているかもしれません。「大勢の仲間と団結して敵を攻めるのが楽しい」なら、「チームワークを大切にする仕事」が向いているかもしれません。

このように、自分の興味を仕事に結び付けることで、ピンと来る仕事に出会う確率が高まるでしょう。

業界・企業研究を「自分が納得できる企業」につなげるには

自分に合った1社を選べるか不安に感じる、という声もあるように、企業選びに悩む人も多いようです。

ここでも、やはり自己分析が鍵になります。インターンシップ等のキャリア形成支援プログラムや合同企業説明会でさまざまな業界・企業を見て視野を広げながら、自己分析で洗い出した志向や価値観を基に絞り込んでいきましょう。

ターゲット企業がある程度絞られてきたら、同業他社との比較も行うこと。他社との差異を明らかにすることで、「なぜこの会社に入社したいのか」の理由が明確になり、志望動機にも厚みが出ます。

最終的にどの会社に入社すればいいか迷ったら、「誰と働くのか」という視点も大切にしてください。というのは、思い通りの仕事に就けたとしても、「一緒に働く人が合わない」ケースがあるからです。

事前にできる方法の1つは、インターンシップ等のキャリア形成支援プログラムで仕事を体感し、人事担当者や先輩社員と話すこと。社風や文化、社員のカラーを、ここで把握しましょう。

特に人事担当者は「自社の理念や文化を体現する役割」を担っているため、できるだけコミュニケーションを取り、会社の全容を理解することが重要です。

就活と学業の両立は「事前計画」が鍵

ゼミや研究で忙しく、就活の時間が取れないという悩みを持つ人は多いです。卒論や国家試験の勉強との両立に不安を感じる声もよく聞かれます。

ある学生の両立法として、「就活スケジュールが決まっているので、学業を前倒しで進める」というのがあります。自分のスケジュールを小まめに記録し、1カ月単位で俯瞰(ふかん)することで、「今月の初旬にゆとりがあるから来月のレポートを仕上げよう」「下旬は会社説明会が多いのでテスト勉強を今週進めよう」と計画できるのです。目先の予定に追われず、1~2カ月先を見て考えることがポイントです。

また、別の学生は「出席に厳しい教授の場合は、普段から綿密にコミュニケーションを取る」ことで対応しています。就活の予定をあらかじめ教授に共有した上で「来週は会社説明会でゼミを欠席しますが、今週中に研究を進めます」などと伝えると、柔軟に対応してもらえる場合もあるようです。

就活の不安は、自己分析である程度解消できる

就活の環境は年々変化し、選考の早期化や企業からのアプローチ強化が進んでいます。しかし、自己分析による「自己理解」に立ち返れば、環境の変化に惑わされずに活動を進められます。

中には自己肯定感が低く、自分に自信がないために就活に不安を覚える人もいます。そうした人は、「自分に強みがあるのか」「うまく企業にアピールできるのか」「自分を受け入れてくれる企業があるのか」と不安にとらわれてしまう傾向があるようです。

しかし、誰にでも自分ならではの持ち味があります。自分では「たいしたことない」と思っている特徴も、他人から見れば強みであることはよくあります。

自己肯定感を高めるためにも、まずはじっくり自己分析を行い、自分の特徴を洗い出し、認めることから始めてみましょう。

それでも不安が残る場合、自己分析がうまくできない場合は、就職エージェントに相談してみるのも良いでしょう。リクナビ就職エージェントでは、専任のキャリアアドバイザーが一人ひとりの就活に伴走します。自己分析のサポートなど、就活に関する不安の解消のお手伝いもしていますので、ぜひ活用してみてください。


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【調査概要】
調査期間:2024年3月1日~3月6日
調査サンプル:2024年3月卒業予定の大学生、大学院生500人(文系250人、理系250人)
調査協力:株式会社クロスマーケティング

就活をはじめる以前に、本当はいろんな不安や悩みがありますよね。
「面倒くさい、自信がない、就職したくない。」
大丈夫。みんなが最初からうまく動き出せているわけではありません。

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