【スペイン編】スペインを知ることで日本を知った

Reported by SAKURADA
スペインにある日系企業子会社に勤務。現地での楽しみは、スペインの軽食喫茶兼居酒屋であるバルで、おいしいタパスをつまみながらワインを味わうこと。朝市で新鮮な野菜や地元の特産品を手に入れるのも現地でのうれしい習慣のひとつ。

駐在許可の審査手続きが複雑に

こんにちは。SAKURADAです。今回は、海外で働くことの意味についてお話しします。

 

ご存じの通り、スペインでは現在、失業率が悪化の一途をたどっており、その影響で外国人への労働許可受理がかなり難しくなっています。そのため、当社のような日系企業の子会社に日本人駐在員が赴任してくる場合ですら、審査の手続きがここ数年でかなり複雑になってきているのです。これは、最近、若くて有望な人材がスペイン国内での就職に見切りをつけ、国外に相当数流出してしまっているため。外国人労働者の流入を抑えることで、国内での若年層の失業率を改善し、その国外流出に歯止めをかけることも審査強化の目的のひとつなのです。

 

審査期間の長さは以前とさほど変わりませんが、提出書類が格段に増えました。手続き方法や申請書類は自治体ごとに異なりますが、最近当社に日本人が技術者として赴任してきた際などは、以前は不要だった「技術大学の卒業証明書」と「成績証明書」(いずれもスペイン語訳版)の提出を求められたケースもありました。

 

そもそも、駐在員が存在しないと、当社のような日系企業の子会社は成り立ちません。そして、日系企業が進出して経済活動を行うことで雇用機会が創出され、ひいてはスペイン経済にとってもプラスに働いていることと信じています。ヨーロッパのほかの国の中には、自国にプラスになる国からの駐在員に対しては、労働許可手続きを簡素化することで、優遇している国もあると聞いたことがあります。一方、スペインでは、国ごとの配慮などなしに実に硬直的に審査が行われているように思います。ただし、親会社からのバックアップがある場合、よほどのことがない限り申請が却下されることはないようです。

 

権利を主張できるようになった

海外で仕事をすることで、今までよりも日本についての理解が深まったことも確かです。「スペインを知る」ことで、「日本はどうだったっけ?」と認識を新たにすることがとても多くなりました。例えば、日本にいるときは、「英語ができる=すごいこと」と思っていましたが、そういった考えはある意味「島国根性」なのかもしれません。なぜなら、海外では2カ国語、3カ国語を当たり前のように話す人がたくさんいるからです。

 

また、これまでいかに自分が日本の社会に守られてきていたのかということにも気づかされました。ルールが細かく決められている日本では、その指示に従って集団行動をとっていれば、おおむね失敗せずに済むことが多かったからです。しかし、そのせいで、日本人は自分の頭で考えて判断し、行動に移すことが苦手になってしまったのではないかと思うようになりました。グループ行動はときとして必要な場面もありますが、ヨーロッパでは、集団の規律云々(うんぬん)以前に、まずは自己主張しなければ、おのずと存在感が薄くなり、周りに認めてもらえなくなります。私自身、もともとあまり人に意見したりはしない性格だったのですが、スペインで暮らしているうちに、思ったことをはっきりと口に出したり、不平等と思うことについてはきちんと自分の権利を主張することができるようになりました。

 

海外で働いてみたいと考えている皆さん。皆さんにこのようなことは言わずもがなとは思いますが、まずは英語をしっかり勉強していくといいと思います。どんな国で働く場合でも、ビジネスシーンでは英語は役に立つからです。一方、スペインのように、英語だけでは生活しにくい国が多いのも事実。そういった国に赴任する場合は、日本にいるうちに、現地語について文法などの基礎を固めてから来られることを強くお勧めします。語彙力や言い回しなどは現地に来てからでも、徐々に身についてきます。

 

また、海外では日本文化に関心を示す人が多いので、何かしら日本らしい特技を身につけておくのも良いでしょう。私自身は、その心構えが足りなかったので、こちらに来てから慌てて巻き寿司の作り方などをマスターしました。自宅に現地の友人などを招いた際には、こういった和食が非常に喜ばれるのです。女性であれば、生け花やお茶、着付けなどができると良いですね。男性なら武道でしょうか。こちらで知り合った親日家の男性たちの中には、空手や合気道、書道や盆栽が好きだという方も多いので。

 

海外駐在経験を通じて身につけたスキルは、国際化を促進しようとする日本企業においては、大いに役に立つと思います。日系企業の駐在員は、現地スタッフを啓蒙(けいもう)することで、本社の方針やノウハウを共有し、子会社の経営活動のプラスとなるように努めるのが本来の役割ではありますが、実は現地スタッフから教わることも非常に多いのです。皆さんも、日本と海外の懸け橋として、大いに活躍してください。そして、海外駐在が、双方の国の文化交流の良い機会となり、お互いの理解がいっそう深まることを願ってやみません。

 

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持ち寄りパーティー用に作った太巻きと手毬寿司。現地の人々には、こうした和風の一品が喜ばれる。

 

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スペインの高級ホテル「パラドール」。城や修道院などが改装されてホテルとなっているものが多い。

 

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パラドールの内部。内装もシックでゴージャス。

 

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マドリード名物「子豚の丸焼き」。皮はパリパリで中身はとてもジューシー。

 

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住まいから少し足を伸ばすとキノコ狩りができるが、たまにはこんな毒キノコにも遭遇する。

 

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マドリードのマヨール広場。中央にフェリペ3世騎馬像が飾られている。

 

構成/日笠由紀

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