【メキシコ編】真面目で勤勉なメキシコのビジネスパーソン

Reported by アガベ
メキシコにある日系企業に勤務。現地での楽しみは、週末の食べ歩きや旅行など。車で2~3時間で行ける範囲に魅力的な地方都市が多いため、この機会にメキシコの文化に触れようと、週末ごとに小旅行を楽しんでいる。

コツコツ働き、比較的ミスも少ないメキシコの人々

はじめまして。アガベです。メキシコにある日系企業に勤務しています。

同僚は、約1割の日本人を除いて、すべてメキシコ人。社内を統括する役職なので、業務でのやりとりは基本的に社内で完結します。仕事では英語を使っていますが、英語が一切通じない社員もおり、その場合はなんとかスペイン語でコミュニケーションを図るようにしています。社内の公式文書やメールなどはすべてスペイン語なので、かなり苦労しています。

メキシコで仕事をしてわかったのが、メキシコ人は基本的に真面目で勤勉だということ。もちろん、個人差はありますが、失礼ながら「ラテンの人は陽気だけどちょっといいかげん」という先入観があっただけに、これは意外でした。世界全体から見ると、日本人の勤勉さ、勤労意欲の高さはピカイチだと思いますが、メキシコ人にも日本人と通じるものを感じます。メキシコには現在、自動車産業をはじめとする日本企業が多数進出しており、これにはいろいろな理由がありますが、その一つに良質な労働力が比較的低賃金で調達できるという点が挙げられます。実際、メキシコの人々は、非常にコツコツと働く上に、エラー率が低い。つまりミスも少ないという印象があります。

その一方で、自分の間違いを認めたがらないという傾向も見られます。これは、彼らのプライドの高さに起因するのかもしれませんが、自分の非を認めることに抵抗感があり、認めたら負けと思っているかのようです。こちらは、類似のトラブルが起こるのを防止するために、問題の内容を確認しようとして事情を聞いているだけなのに、そうした意図はなかなか理解してもらえません。現地では、間違いを認めた途端に処罰されることが多いという事情も背景にあるようです。

というのも、現地の人に話を聞いてみると、こうしたメキシコの人々の態度には、メキシコの悲しい歴史が関係しているようなのです。メキシコには、スペインに征服され、徹底的に破壊されたという歴史があり、被征服民であるメキシコ人は、征服者からの命令に対して絶対服従を強いられてきました。その結果、「どんな依頼をされても『できません』とは言えない」という意識が脈々と受け継がれているというのです。「命令には黙って従う」ことになじんでいるため、たとえ不満があったり納得できなかったりしても、相手に向かって文句を言うようなことには慣れていないのだと。決して、これだけが理由とは限りませんが、確かに私には一理あるように思えます。メキシコには、おそらくスペインにはないであろうメキシコ特有のスペイン語表現があり、それらはまさに「ご主人さまの仰せの通りに」といったような、奴隷が主人に答えるときに使用する言葉だそうです。今でも、お店や会社で、この言葉を使う人がいて、そのたびに、この国が背負う歴史の重さを実感します。

そうした歴史的背景があるせいなのか、単なる原因究明のための質問をしているだけなのに、彼らの答えは言い訳に終始してしまい、その結果、問題の本質が見えにくくなってしまいがち。こんなときは、「あなたを責めたり、責任を負わせようとしているのではない。今後、同じようなミスが起こらないように聞いているだけだ」という点を粘り強く説明することで、納得してもらうしかありません。そして、どんなにイライラしても、威圧的に接するのはNG。そうすると、彼らはますますシュンとなって、言い訳を重ねていくだけになってしまうからです。

「今すぐに」は「数日後」

仕事の進め方については、現地のスタイルに合わせることも大事だと思いますが、マネジメントとしてこちらが要求するものはきちんとその背景を説明して、日本的な仕事のやり方に慣れてもらうことも大事と考え、部下にも要求しています。ところがこちらは、人的関係が何よりも優先する「アミーゴ(親友)社会」。親しい者同士の信頼関係の中でうまく仕事を回すのが得意な人が多く、実際、その中で仕事をしようとする傾向があるのです。「お前が言うなら信じる」「お前を信用したから後は任せた」といった具合です。

とはいえ、こちらはそういうわけにはいきませんから、当然「なぜそう考えたのか?」と根拠を尋ねます。すると彼らは、一様にキョトンとしてしまうのです。その胸の内は、「僕がこう言うんだから、いいじゃないですか。僕を信じてくれないんですか? 僕の結論に反対なんですか?」といったところでしょうか。どうも、論理的に物事を考え、根拠を示して人に説明するといったことが苦手な人が多いようなのです。そんなときは、事実に基づいて論理的に結論を導くことの重要性を根気強く説明して、納得してもらいます。彼らは割合に素直で、そのときは「ああ、なるほど。わかりました」と理解を示してくれるのですが、次にはまたキレイさっぱり忘れていることも多く、何度でも説明を繰り返さなければなりません。持久戦です。

時間の感覚も、私たちとは違います。例えば、部下に仕事を依頼したとき。「いつできますか?」と聞くと、「今すぐに」と回答があるので、1時間以内か、遅くともその日のうちにはできあがってくるのではないかと期待しますが、実際に受け取るのは数日後だったりします。当日中だと思って待っていると、いつの間にか帰宅してしまっていたなどということもしばしば。翌日になって、「昨日、待っていたんだけど」と声をかけると、「え? あれって昨日中に出せっておっしゃってましたっけ?」という反応。まったく悪気はないのです。

どうやら、「今すぐに(スペイン語で『アオリータ』)」という言葉は、私のスペイン語の先生に言わせると、「その人の時間感覚における極めて主観的・相対的な尺度でしかない」とのこと。すぐに手を止めてやってくれるわけではないのです。「アオリータ」と言われたからといって決して安心してはいけないことを学んだ今は、「あなたの『アオリータ』はいつまでなんだ?」と聞き返して、具体的な期限を約束させるようにしています。日本人の感覚では、ここまでやると相手に失礼な気がしますが、メキシコではそうでもないそうです。

次回は、高地メキシコシティでの人々の暮らしについてお話しします。

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多くの塔を持つサンミゲル教区教会。世界遺産に登録されているメキシコの都市「サンミゲル・デ・アジェンデ」のシンボル的存在だ。メキシコは非常に敬虔(けいけん)なキリスト教国でもある。

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同じくサンミゲル・デ・アジェンデの街並み。建物の色合いや石畳などに、スペインの植民地となっていたときの雰囲気が残っている。

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サンミゲル教区教会で開かれていた結婚式。観光で訪れたときにちょうど式が開かれており、参列させてもらうことができた。

構成/日笠由紀

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