「カラコンを着けて就活」は、果たしてアリなのでしょうか?「いつもカラコンをしているから、普通のコンタクトに戻れない」「カラコンをしているのが本当の自分だから、このままで就活に臨みたい」という人もいるでしょう。
そこで、人事の視点を知るため、検証を実施。企業の採用選考にも携わっている人事コンサルタントに、エントリーシート、筆記試験、面接において、カラコンが気になるかどうか、率直な意見をもらいました。
目次
【アンケート実施】カラコンを着けて就活に臨んだ人は、全体の1割未満という結果に
内定者&社会人歴5年以内の就活経験者200人に、「就活の選考にカラコンを着けて臨んだことはありますか?」と質問したところ、「はい」と答えた人は6%という結果に。カラコンをつけて選考に臨む人は少数派のようです。
■就活の選考にカラコンをつけて臨んだことはありますか?(n=200、単一回答)
エントリーシートの写真、筆記試験、面接問わず、カラコンを着けて臨んでいた
次に、カラコンを着けて臨んだ200人中の12人に「どの選考にカラコンを着けて臨みましたか?」と聞いたところ、「適性検査や筆記試験などのテスト」は58.3%、「面接」は50.0%、そして「エントリーシートや履歴書の写真」は41.7%という結果に。3項目の割合に大差は見られず、先輩たちは選考の種類に関係なく、カラコンを着けて臨んでいたことがわかります。
■どの選考にカラコンを着けて臨みましたか?(n=12、複数回答)
カラコンのアリ・ナシは選考結果には影響が少なそう
続いて、カラコンを着けて就活の選考に臨んだ12人に「カラコンを着けて臨んだ選考は受かりましたか?」と聞いたところ、9割以上の人が選考を無事に通過できたようです。
■カラコンを着けて臨んだ選考は受かりましたか?(n=12、単一回答)
先輩たちの多くは、黒と茶のカラコンを使用
なお、今回のアンケートで「カラコンを着けた」という人が使用していたのは、主に「黒」と「茶」の「フチあり」「フチなし」でした。
そこで、普段からカラコンを着けている学生に「黒のフチなし」「茶のフチあり」2種類のカラコンを装着してもらい、違和感を覚えるかどうか検証してみました。
【エントリーシート】写真を見ただけでは、カラコンだとはバレなそう
<人事コンサルタントプロフィール>
実践型就活&キャリアデザインゼミナールReaL代表 西村武士さん
都内カーディーラーでトップセールス。大手人材紹介企業、コンサルティングファームでの採用統括マネージャーを経て2012年より独立。大手からベンチャーまで幅広い企業規模の採用コンサルティングや、企業研修の企画実施に従事。スポーツ選手のキャリア研修も手掛ける。また、「全国就活学外ゼミ」である、実践型就活&キャリアデザインゼミナールReaLは15年間で1030名の卒業生を輩出し、現在も全国8拠点で大学生が主体的に活動中。
株式会社人材研究所 稲石千奈未さん
専門学校卒業後、飲食業界に就職。店舗責任者として、店舗の運営を行いながら、アルバイト採用の責任者を兼任し、新卒採用にも携わる。4年ほど勤めたのち、人事の道を極めたいと現在の株式会社人材研究所に転職し、現在では学生のキャリア支援を中心に行っている。
<今回検証する学生>
日本大学3年生 はるかさん
普段からカラコンを愛用している。目は悪くないので、度なしのカラコンを友人と遊ぶときなどに着けることが多い。普段は、茶色のフチありを愛用中。
日本大学3年生のはるかさんに「黒のフチなし」「茶のフチあり」それぞれを装着してもらい、エントリーシート用の写真を撮影。その写真を人事コンサルタントの西村さん、稲石さんに見てもらいました。
稲石さん「どちらも全然違和感ないですね…」
西村さん「もっと明るい色だと違和感を覚えるかもしれませんが、黒や茶だとわからないですね」
稲石さん「裸眼の写真と比べるとさすがにわかりますが、この写真だけ見ればおそらく誰も気づかないと思いますよ」
西村さん「写真だけに注目して見るとわかるかもしれませんが、エントリーシートって、写真だけを見るものではないので、特に気になりません」
人事コンサルタントのお二人は、エントリーシート貼付サイズの写真では、カラコン装着の有無すら判断できないという意見でした。
【筆記試験】バレない可能性が高い。下を向いている時間が長いから、目を見る機会が少ない
次は筆記試験の模様を再現。2種のカラコンを装着した学生に筆記試験を受けてもらい、人事コンサルタントのお二人には、見回り役として学生をチェックしてもらいました。
稲石さん「うーん、基本下を向いているから、目はもちろん、表情すらあまり見えないなあ…」
西村さん「そもそも筆記試験だと、顔よりも手元を見ますよね。どれぐらい進んでいるか確認したいから」
稲石さん「横から目をじーっと見たら、わかるかもしれないけれど(笑)、筆記試験中はそんな見方はしないですからね」
基本的に下を向いている時間が長い筆記試験では、顔を見る機会も少ないし、ましてや目もほとんど見ない、との意見でした。
【面接】ここで初めて違和感が!「フチありカラコン」は要注意
最後の検証は、面接。人事と学生が向かい合い、目と目を見ながら話す機会。さて、カラコンに気づくものでしょうか?まずは「黒のフチなし」から。
西村さん「うーん、わからないなあ…。目が大きくて印象的だと感じますが、カラコンをつけているとは思わないかも…」
稲石さん 「確かに、思ったより違和感を覚えないものですね。面と向かったらさすがに気づくかも…と予想していたのですが、意外に自然でした」
面接でも「フチなし」だと気づかないという結果に。
そこで、「茶のフチあり」にチェンジして、面接に臨んでもらいました。すると…!
稲石さん「あ!これわかりますね!フチがあると黒目がすごくクッキリして、少し違和感を覚えます」
西村さん「本当だ。カラコンの存在感がぐんと際立ちますね」
稲石さん「面接前はまだしも、話し始めると黒目がくるくる動くから、さらにカラコンが際立ちます」
西村さん「うーん、このタイプのカラコンだと、違和感を覚えるなあ。話の内容よりも、『この人、なんで面接にカラコンを着けてきたんだろう?』と気になってしまう。若い人事相手ならいいかもしれないけれど、少なくとも役員面接では避けた方がよさそうですね。というのも、企業にもよりますが、役員は年配の場合が多いので、カラコンになじみが少ないと思うんです。カラコンの存在は知っていても、学生さんにとって身近なものだとは思っていない可能性がある。ですから、『面接に着けてくるなんて、遊びとの区別がついていないのでは?』なんて誤解されてしまうこともあるかもしれません」
「フチなし」よりも目力が強くなる「フチあり」は、人工的な印象を与え、人事に気づかれる可能性が高そうです。特に、選考過程の中盤以降は役員が出てくるケースが多い上、面接での選択眼も厳しくなるため、フチありカラコンは避けた方が無難かもしれません。
就活中にカラコンを着ける、着けないは自由だが、印象の強い「フチあり」は悪目立ちしてしまい損かも
今回の検証を通じて、カラコンに対してどういう印象を持ったのか、あらためてうかがってみました。着けるか、着けないか、専門家の意見を参考に自分自身で判断しましょう。
西村さん「フチなしだと、思った以上に違和感はありませんでした。『カラコンがないといつもの自分じゃない…』などと気になってしまい、力が発揮できないというのであれば、着けてもいいと思います。テンションを上げるための一つのツールとして活用できればいいですね。ただ、フチありは面接ではかなり目立つので注意が必要だと感じました。中身ではなく、見た目で採否を判断されてしまってはもったいない。特に、比較的堅い社風で誠実さを重視する企業の場合は、避けた方が良いでしょう」
稲石さん「実は私自身、就活ではずっとフチなしのカラコンをしていました。普段から着けていたので、わざわざ取ることに違和感があったのです。結果、自分に自信を持って選考に臨むことができました。実際、今回の検証でもほとんど違和感がなかったので、私のように、カラコンしていた方が緊張せず自信を持てるのであれば、着けていてもいいと思います。ただ、フチありの場合は、面接の場では悪目立ちしてしまうと感じました。フチなしで、かつ自分の目の色や髪の色に合った色みのものを選んだ方がいいと思います」
どうしてもカラコンを着けたい場合の注意点
- フチありは避けた方が無難。着けるならばフチなしで
- 黒か茶の自然な色みのものを。目の色や、髪の毛の色に合わせると違和感がない
- 「着色直径」(色がついているレンズの直径)にも注意。大きすぎるものは、たとえフチなしでも違和感を与える恐れがあるため、「黒目よりも少しだけ大きいサイズ」がオススメ
- カラコンは正面よりも、横から見るとわかりやすい。例えばグループディスカッションなど、「横からの目線」がある場合には注意しよう
- 付けまつげやエクステとの併用はNG。カラコンとの相乗効果で「人工的な目力」を感じてしまうかも
【調査概要】
調査期間:2018年8月7日~8月9日
調査サンプル:就職活動を経験した大学生・大学院生と社会人1~5年目の200人
協力会社:株式会社クロス・マーケティング
取材・文/伊藤理子
撮影/刑部友康
\リクナビからのお知らせ/
簡単5分で、あなたの強み・特徴や向いている仕事がわかる、リクナビ診断!就活準備に役立ててみませんか。
▼2026年卒向けはこちら▼
▼2025年卒向けはこちら▼