REINAさん(タレント)の「仕事とは?」|後編

れいな●本名・佐伯玲奈。1988年、アメリカ合衆国ニュージャージー州生まれ。米国・ブラウン大学で国際安全保障について学び、2010年卒業。インターンシップでクリントン元大統領の事務所に勤務。当時、中央情報局(CIA)の内定をもらうが、辞退。2011年よりハーバード大学院で中東について学ぶ。大学院1年生と2年生の夏休みには国際刑事警察機構(通称インターポール)にインターンとして勤務。テロ対策課に属し、ソマリアの海賊を追跡する任務を経験したこともある。2013年大学院修了後、ロイター通信に入社。ロイター勤務中に連邦捜査局(FBI)の最終選考に進んだが、辞退。2014年日本に移住後、芸人を志してワタナベエンターテインメントのコメディースクールに入学。2015年9月卒業後にお笑いコンビ・セクシーチョコレートとしてデビュー(2016年9月解散)。ベンチャー企業・ワンドロップス株式会社の執行役員も務めている。2017年4月からテレビ朝日系『陸海空 こんな時間に地球征服するなんて』にレギュラー出演。

前編では米国の名門学府で学び、FBIやCIAで働きたいと考えていたREINAさんが日本のお笑いの世界に入るまでの経緯をうかがいました。
後編では日本の芸能界での試行錯誤や、仕事の面白さ、今後の展望についてお話しいただきます。

バラエティー番組で「空気」を読めず、場が凍ることも

-日本に来てカルチャーショックを受けたこともあったのでは?

生まれ育った文化との違いを感じることは、やはり多いですね。特に芸能界は上下関係が厳しく固有のルールも少なくありません。知らずに失礼なことをしてしまい、マネージャーさんが謝りに行ってくれたことも。バラエティー番組でも空気を読まない発言をして場が凍るというようなことはしょっちゅうでした。

だけど、それを思い悩むことはなかったです。もちろん相手の文化を尊重して失礼のないようにとは心がけていますが、自分の思っていることはハッキリ言ってしまいます。空気を読んで発言しようとしてもできないんですよ。できないことを今から勉強しても時間がもったいないので、できないことはやらないことにしたんです。ただ、状況によって「ここは黙っておいた方がいいかな」という場面もあります。最初のころはその見極めができませんでしたが、体当たりで失敗を繰り返した結果、最近では少しずつ勘所がわかってきました。今でも間違えてしまうことはありますけど(笑)。

「キャラ」を演じなければ、素の自分が名刺代わりになる

-お笑いコンビ「セクシーチョコレート」でデビューされましたが、2016年に解散。最近ではワイドショーやニュース番組のコメンテーターの仕事や海外ロケも多いとか。

2017年春には、テレビ朝日の冒険バラエティー番組『陸海空 こんな時間に地球征服するなんて』のロケで豪華客船「クイーン・エリザベス号」で50日間のクルーズをしてきました。乗船客のセレブと仲良くなり、普段は目にすることのできない世界をカメラに収めるのが私のミッション。海外の人とコミュニケーションを取り、その人たちの面白さを日本語で伝える仕事でした。自分の持っているものを丸ごと生かせてすごく楽しかったです。

-国際情勢の知識や英語、交渉術などREINAさんの強みを生かせる仕事ですよね。そういう仕事に出合うために大事なことは何でしょう?
うーん。オファーを下さったプロデューサーの方のおかげです。ただ、なぜ私に目を留めてくれたかを考えると、それまでのお仕事で素の自分を出していたからだと思います。日本でよく「キャラ」という言葉を使いますよね。それが私には不思議で仕方なかったんです。「キャラ」というのはやはり「演じる」という要素が大きい。でも、「キャラ」を演じてしまったら、本当はどういう人なのかが周囲からはわかりにくくなってしまうと思うんですよ。「キャラ」を演じないようにしていたら、素のままの自分がやってきたことすべてが名刺代わりになる。就職活動の面接も同じかもしれませんね。

-芸能界でデビューしてもうすぐ3年目。今後の展望は?
枠を設けず、いろいろなことをやってみたいです。芸能界ってCIAやFBIで働くよりも明日が見えない気がするんです。国際政治とかテロ対策にかかわる仕事というのも、もちろん答えが1つというわけではないのですが、割と正解・不正解がわかりやすいと感じていました。組織ごとにルールが明確にありますから。ところが、芸能界には強い拘束力のあるルールはなく、自分の持っている経験やスキルを組み合わせてレシピを何通りでも作れる。正解・不正解のわからない世界で自分の答えを出していくことがすごく楽しいです。

学生へのメッセージ

学生さんに伝えたいのは、仕事選びについて人の話はあまり聞かない方がいいということ。私自身は親から「自分がやりたいことをやって、責任は自分で取りなさい」という教育を受けて育ち、トライアンドエラーこそ繰り返したものの、仕事について悩むことはあまりありませんでした。就職活動で悩む人の多くは、「この会社に入ったら親はどう言うかな」「この仕事に就いたら、友達はどう思うかな」と周りの意見を気にし過ぎているのかもしれません。日本はコミュニティーベースの社会なので、周りが気になるのはよくわかります。でも、人生は自分のもの。周囲の意見を情報として聞くのはプラスになりますが、「親が言ったから」「あの人からこんなアドバイスをもらったから」と他人の意見に引きずられてしまうと、うまくいかなかったときに人のせいにしてしまいます。「自分軸」で生きていった方が、楽しい社会人生活を送れると思いますよ。

REINAさんにとって仕事とは?

−その1 根底にあるのは「社会に役立ちたい」「貢献したい」という思い

−その2 まずはやってみて、100パーセント自分の目で見ないと、何もわからない

−その3 正解・不正解の決まっていない世界で、自分の答えを出していく

INFORMATION

インターネットテレビ局「AbemaTV」のニュースチャンネル「AbemaNews」で生配信されている報道番組『AbemaPrime』(毎週月〜金曜日/21:00〜23:00)。「オトナの事情をスルーしまくる」若者向けのとがった情報を伝えており、REINAさんは水曜日のコメンテーターを務めている。
『AbemaPrime』公式サイト http://news-prime.abema.tv

編集後記

CIAやFBIで働くチャンスもあったREINAさん。気になる選考試験の内容についてうかがったところ、CIAの試験について教えてくれました。「IQテストや性格診断テストから始まって、選考が進むにつれていろいろな記事が自宅に送られてきてレポートにまとめる課題が出されたり、CIAの施設でいろいろな方たちとのインタビューがありました。それまでの自分の人生や、『イラク』などあるテーマに関する考えについて聞かれたりするのですが、質問はいつもほぼ同じ。多分、答えにブレがないかを見ていたのだと思います。性格診断テストは『誰かと話すときに相手のどこを見ますか』『パーティー会場に入るときに、壁の方から進んでいくか、真っすぐ中央に向かうか』など不思議な質問が多かったですね。意図がわからないので対策のしようもなくて。だからこそ、素のままの自分を出せました」。どんな環境でもチャレンジを楽しむ姿にパワーをもらいました。(編集担当I)

取材・文/泉 彩子 撮影/刑部友康

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