インフラ業界の一番の魅力と想定外は?就職先を決める前に知っておきたい、200人の本音集

インフラ業界イラスト

就活に当たって業界への理解を深めるためには、そこで働く先輩たちの声を聞くのがいちばんの早道。だからこそOB・OG訪問は貴重な機会ですが、実際に足を運べる回数は限られています。そこで当企画では、若手先輩たちにアンケートを実施。中の人だからこそわかる業界の魅力や、「本当のところはどうなの? 」という実情に迫ってみました。今回は電力・ガスなどのエネルギーや道路、鉄道など公共交通機関など社会基盤を支える「インフラ業界」にスポットを当て、212人の先輩の生の声をお届けします!

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先輩たちがインフラ業界を選んだ理由は?

アンケートに参加したのは、鉄道、道路、航空、エネルギー関連などのインフラ業界で働く入社1年目〜5年目の先輩212人(男性106人、女性106人)。まず、就活時代のインフラ業界に対する志望度はどのくらいだったのでしょうか。また、業界のどんなところに魅力を感じて志望したのかを聞いてみました。

■現在お勤めの企業は、就職活動時に志望していた業界ですか。(n=212、単一回答)
「現在お勤めの企業は、就職活動時に志望していた業界ですか。」についてのアンケート結果

■現在お勤めの業界のどういう点に魅力を感じて志望(入社)したか教えてください。(n=212、複数回答)

「現在お勤めの業界のどういう点に魅力を感じて志望(入社)したか教えてください。」についてのアンケート結果

就活時からこの業界を「強く」志望していたと答えた人は26.4%で、これは他業界と比較すると高い割合。「まあ」志望していた人と合わせると7割を超えることから、就活時から積極的にインフラ業界を目指した先輩が多いようですね。志望の理由としては「業界の安定感」が46.2%でトップ。次いで「業界への興味関心」39.2%、「仕事の内容」34.0%となりました。

働いて実感。インフラ業界最大の魅力は「安定感」

■実際に働いてみて、この業界で、最も魅力的だと感じた点はどこですか? (n=212、単一回答)

「実際に働いてみて、この業界で、最も魅力的だと感じた点はどこですか? 」についてのアンケート結果

では先輩たちが実際に入社して感じた魅力は何だったのでしょうか。
インフラ業界で働いて最も魅力的に感じた点を聞いてみると、「業界の安定感」が入社前と同じく第1位で、19.8%。たとえ社会がどう変化しても変わらぬ需要があり、安定して働き続けられることに魅力を感じている先輩たちが多いようです。次いで高かったのは、「待遇・福利厚生」「社会への貢献度」。福利厚生では例えば「自社路線は乗り放題」など、ほかの業界にはないものもあるようです。

「業界の魅力」についてのリアルボイス

【業界の安定感】

  • 景気にあまり左右されることがない(鉄道・道路3年目)
  • 地域に根ざしたインフラ企業のため、当分はつぶれることはないと思う(エネルギー関連4年目)
  • 電気事業者なので、需要が下がることはなく上がる一方で、安定しています(エネルギー関連4年目)
  • 行政との取引もあり、不可欠なものだから、仕事がなくなることはないと思う(その他インフラ5年目)

【待遇・福利厚生】

  • 年休を取りやすく、年消化100%。サービス残業がなく、社宅は借り上げアパートに安い家賃で住める(その他インフラ1年目)
  • 有給や手当などの福利厚生が手厚い。新人研修もしっかりして、その間の福利もちゃんと保証されていて安心でした(鉄道・道路3年目)
  • 給料的にはそこまででもないけれど、生活がすごく豊かになるような福利厚生がたくさんあるから(鉄道・道路1年目)
  • 産休と育休が取得しやすい。1年に1回昇級する(航空・空港4年目)

【社会への貢献度】

  • 建設業なので、造ったものがいろいろな人に日常的に使われて長い間残るから(その他インフラ2年目)
  • 社会を支えていることを身をもって感じている。異常時などにストップすると、多くの人に迷惑をかけていると思うから(鉄道・道路3年目)
  • 自分のした仕事が人々の安全を守ることで、世の中の役に立っているという実感が湧いてやりがいがある(その他インフラ4年目)

【働きやすさ、ワークスタイル】

  • 定時で帰れるし、休みは申請すれば仕事に支障のない範囲でいつでも取れる。ノルマはないし、働きやすい仕事内容だと思う(エネルギー関連5年目)
  • 規則は厳しいが、職場の仲間が明るいため働きやすい職場(鉄道・道路4年目)
  • フレックスのコアタイム廃止や、テレワークの推進が強化されている(航空・空港4年目)

【その他】

  • 業界への興味関心。再生エネルギーへの思いが強かったからです(エネルギー関連2年目)
  • 仕事の内容。よく「ありがとう」と言ってもらえるので、やりがいを感じやすい(航空・空港3年目)
  • 業界の知名度。日本社会のインフラを支える知名度の高い会社なので、それなりにやりやすいし、自慢もできる(鉄道・道路3年目)

インフラ業界イメージ画像

入社してからのギャップ度は?ギャップが大きかったのは「仕事内容」「働きやすさ」「将来性」

■実際に働いてみて、現在お勤めの業界は、入社前に想像していたものと比べて全体として、どの程度ギャップがありましたか? (n=212、単一回答)

「実際に働いてみて、現在お勤めの業界は、入社前に想像していたものと比べて全体として、どの程度ギャップがありましたか? 」についてのアンケート結果

一方、インフラ業界に入った先輩たちは、入社前の想像に対してどのくらいのギャップを感じたのでしょうか。実際に働いて感じたギャップの大きさを聞いてみると、「とても」ギャップがあったという人は13.7%、「やや」あったという人は38.2%。だいたい5割の人が、良くも悪くも何らかのギャップを感じていたことがわかりました。

■最もギャップが大きく「想定外」だと感じた点を1つ、教えてください。(n=202、単一回答)

「最もギャップが大きく「想定外」だと感じた点を1つ、教えてください。」についてのアンケート結果

特に大きなギャップを感じたのはどんな点でしょうか。アンケートの結果、「仕事の内容」と答えた先輩が最も多く24.8%。インフラは大勢の人がかかわる事業のため、想像通りの仕事に就けないことが多いかもしれません。次いで「働きやすさ、ワークスタイル」13.9%。さらに、「安定感」が大きな魅力の業界であるにもかかわらず、「将来性」にギャップを感じたという人も11.9%いました。

「入社後に感じたギャップ」についてのリアルボイス

【仕事の内容】

  • 志望業界に入ったが、業種は志望した内容ではなかった。仕事内容がわかってくるにつれて,本来やりたかったこととのギャップが大きくなっている(鉄道・道路2年目)
  • 想像以上に多くの人が絡み合い、バトンがつながれて成り立っている仕事だと感じた。ホウレンソウがとにかく大切(エネルギー関連1年目)
  • 予想以上にハードワークで体力も精神力もいる仕事だった(航空・空港5年目)
  • 仕事の割り振りによっては担当する貨物や顧客が限られているため、広い知識を身につけることができない(その他インフラ5年目)

【働きやすさ、ワークスタイル】

  • 変形労働時間制で勤務が不規則だった。夜遅くに終わり、次の日朝早くから仕事のときもある(鉄道・道路4年目)
  • 休みが多く、取りやすい(エネルギー関連2年目)
  • 大手なので時間外勤務が少ないかと思ったが、そうでもない人も多かった(エネルギー関連3年目)
  • スライド勤務等、さまざまな働き方を試行していること(航空・空港4年目)

【業界の将来性】

  • 人口減により利用者が減って利益が低下しているから(鉄道・道路3年目)
  • 子会社や関連会社のおかげで黒字になってはいるが、親元である私の会社だけでは赤字で先行きが良くないことを入ってから知った(鉄道・道路3年目)
  • 他社との競合で結構厳しい状況にあることが働き出してわかった(エネルギー関連1年目)

インフラ業界を目指す就活生へ贈る、先輩からのアドバイスは?

■これからも、今の業界で働いていきたいと考えていますか?(n=213、単一回答)

「これからも、今の業界で働いていきたいと考えていますか? 」についてのアンケート結果

■後輩に、同じ業界をおすすめしますか?(n=212、単一回答)

「後輩に、同じ業界をおすすめしますか?」についてのアンケート結果

先輩たちにこれからもインフラ業界で仕事を続けたいかを尋ねてみると、「働き続けたくない」と回答した人が2割に対して「働き続けたい」人は6割近く。多くの先輩が、今の仕事からある程度の充足感を得ているようです。また、後輩に同じ業界をおすすめしたいか聞くと「すすめたい」人が約4割で、「すすめたくない」人を13%ほど上回りました。「どちらとも言えない」という回答が35.4%と比較的多いのは、インフラ業界に多い変則的な勤務体系などが向く人ばかりではない点なども影響しているのかもしれません。

「すすめたい」先輩のリアルボイス

  • 学生の時に学んだことや取得した資格が生かされるし、重宝されるから(鉄道・道路5年目)
  • 残業は多いが、貿易や通関の専門的な知識を身につけたい人にとっては適職だと思います(その他インフラ5年目)
  • 福利厚生がしっかりしていて、業界が安定しているから(航空・空港4年目)

「すすめたくない」先輩のリアルボイス

  • 大手なら良いが、中小だと給料が少なく自分の時間もあまりつくれない。本当に交通インフラを支える使命や覚悟がないとやっていけない(鉄道・道路4年目)
  • 職種にもよるが、体力的につらいときが多い。またルールが厳しい(その他インフラ4年目)
  • 古い体質の会社なので、女性が働きやすい環境になっていない。また、部下を成長させるという上司がおらず、人材育成に欠けている(鉄道・道路3年目)

最後にインフラ業界を目指す就活生への、先輩たちからの応援エールをご紹介します。この業界を希望する人は、ぜひ先輩の言葉を励みに、就活を頑張ってください!

  • 社会の当たり前を担うという使命感を持てる人なら、どんな仕事もやりがいを持ってできると思います。自分らしく働けるところを見つけられるよう、ありのままの自分で頑張ってください(エネルギー関連1年目)
  • 土木は男性社会で古いしきたりが残っているから、古風に地道に頑張りたい人にとっては成果が得られると思う。技術を学べるので、転職では公務員も目指せる(その他インフラ2年目)
  • 業界は非常に人材不足のため、やる気がある人はすごくやりがいを感じられると思います(その他インフラ4年目)
  • 夢のある業界ですが、部署や会社によってまったく仕事が変わってきます。よーく会社を見極めてください(航空・空港3年目)
  • 社会貢献度は非常に高く、子どもの憧れの職業の一つでもあり、夢を与えることもできます。勤務体系も独特の世界なので戸惑うかもしれませんが、頑張ってください(鉄道・道路4年目)
  • この業界に入って良かったのは、地味かもしれませんが人々の生活に役立っていること。日々時間に追われますが、イレギュラーな対応力は身につきます。書類作成等も多く、ミスなく処理をする必要があり責任も大。ぜひチャレンジしてみてください(その他インフラ5年目)

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【調査概要】
調査期間:2018年12月6日~12月10日
調査サンプル:インフラ業界で働く入社1年目〜5年目の社員212人
調査協力:株式会社マクロミル

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