「自分のペースでできる仕事」とは?あなたには、どんな仕事がオススメ?

自分のペースで働けたら…と憧れる人は多いでしょうが、新卒入社でもそんな仕事が見つかるのでしょうか?これまでさまざまな職種への転職支援をしてきたキャリアアドバイザーの伏見裕子さんに、そもそも「自分のペースで働く」ということはどういうことなのかと、それぞれの理想の働き方が実現できそうな職種について話を聞きました。

伏見裕子さんプロフィール写真プロフィール
伏見裕子(ふしみ・ゆうこ)
株式会社リクルートキャリア・中途採用エージェントサービス キャリアアドバイザー。これまでにエンジニア、総務、事務、公務員、教師、保育士など多種多様な職種での転職を支援。支援を通して、自信がなかった人や、自分で選択をしきれなかった人が変化し、成長していくことにやりがいを感じている。

「自分のペースでできる」って、分解するとどういうこと?

ひと口に「自分のペース」といっても、どんな要素に自分のペース(自由)を求めるかは、人によって異なります。まずは「自分は何に縛られたくないのか(何から自由になりたいのか)」を考え、自分のペースを維持するために重視する要素を明らかにしましょう。例えば、以下の7つの要素などが挙げられます。

1. 場所:働く場所に縛られたくない

「毎日出勤するのは面倒」「毎日オフィスに出勤して、同じ場所で働くのは退屈」など

2. 環境:周囲の環境にペースを乱されたくない

「周囲に振り回されずに、淡々と自分の仕事だけをしたい」など

3. 人間関係:人間関係の煩わしさから解放されたい

「人付き合いが苦手」「他人に気をつかわずに、一人で黙々と進めたい」など

4. ノルマ:ノルマを持たされたくない

「数字目標を持って働くのは、プレッシャーが大きい」など

5. プロセス:仕事のプロセスは自分の好きなように進めたい

「成果は出すので、自分のやり方で進めたい」「仕事のやり方にまで干渉されたくない」など

6. 時間:時間的な制約を受けたくない

「平日の朝から夕方まで、一律に働くのは苦痛」「プライベートの時間をしっかり確保したい」など

7. 納期・締め切り:納期や締め切りに追われたくない

「仕事のスピードについていけない」「1つの仕事にじっくり取り組みたい」など

カフェでパソコンを使い、仕事をしている女性

「理想とする自分のペース」別にオススメの職種は?

先に挙げた7つの要素に基づいて、自分のペースでできる仕事について考えてみましょう。重視する要素によって、自分のペースでできる仕事の内容は変わってきます。また、仮に同じ業界や職種でも、自由度の高い制度を導入している企業を選ぶことで、自分のペースで働ける可能性は広がります。

とはいえ、それぞれの要素をまったく気にせず自分のペースで仕事を完結させるのは、実際には難しいもの。ここでは、“比較的自分のペースでできる仕事”を紹介するので、参考にしてみてください。

1. 場所:働く場所に縛られたくない人にオススメ

コールセンターやIT製品などの操作方法や故障など技術的な問い合わせに答えるテクニカルサポートセンター、システム開発や運用を行うITエンジニアは在宅勤務可が増えつつあります。医師や薬剤師に医薬品の情報を提供するMR(医薬品メーカーの営業職)は、自宅からアポイント先に直接出勤し、そのまま帰宅することが多く、薬学、医療系の専攻以外の学生を募集している企業もあります。

また、サテライトオフィス(本社以外に設置するオフィス)やリモートワーク(社外からでも社内ネットワークやコンピュータを利用することができるワークスタイル)、ABW(アクティビティー・ベースド・ワーキング。時間と場所を自由に選択できる働き方)、ワーケーション(リゾートなどの環境で、休暇を兼ねてリモートワークを行う)を採用している企業など。フリーアドレス(自分専用のデスクがなく、オフィス内の好きな場所で仕事をする)を導入している企業なら、社内の自分にとって居心地のいい場所で仕事をすることができるかもしれません。

2. 環境:周囲の環境にペースを乱されたくない人にオススメ

自分の担当業務や持ち場が明確に決まっているIT系や製造業などでの仕事。工場の製造ラインだけでなく、保守メンテナンスは少人数で行うことから、自分の役割が決まっている可能性が高いです。データ入力なども、比較的シンプルな仕事内容といえます。

3. 人間関係:人間関係の煩わしさから解放されたい人にオススメ

一人で黙々と仕事をする時間が長いという点では、長距離ドライバー、自販機補充員、警備員、Webサイトやアプリなどの動作確認員や監視作業員などが考えられます。ほとんどの仕事は自分の担当範囲の前後で誰かとかかわるので、人間関係から完全に解放されるのは難しいですが、1人で1つの製品をコツコツと作り上げていく職人はそれに近いでしょう。

4. ノルマ:ノルマを持たされたくない人にオススメ

どんな仕事にも目標(ゴール)があります。ただし、目標が達成できなかったからといって、ペナルティーを課されることは少ないです。営業職などはノルマがある仕事としてイメージされやすいと思いますが、製造業であれば生産数、など数値目標がある環境は変わりません。「追いかける数値・対象が何か」を考えてほしいと思います。また、数値目標を課されることが少ない代表的な職種には、総務・事務などの事務職が挙げられます。
また、ホテルやキャビンアテンダントなどのサービス系接客業にも個人での売り上げ目標がありません。ちなみに、店舗での接客販売は、店舗ごとに目標を設定することが多いので、1人でノルマを持つのは嫌でも、仲間と一緒にノルマを追うのであればプレッシャーの感じ方を軽減できるかもしれません。

5. プロセス:プロセスを自由に進めたい人にオススメ

自分の考えで目標達成までプロセスを設計できる営業、仕事のルーチンがある程度決まっている経理・総務・法務などの管理部門が考えられます。パフォーマンスですべてが評価されるデザイナー、ITエンジニア、コンサルタントなども当てはまるでしょう。ただし、業務を習得して自分でプロセスを組み立てられるようになるまでには、一定期間が必要になります。

6. 時間:時間的な制約を受けたくない人にオススメ

働く時間を比較的自由にコントロールできるという点では、Webデザイナー、グラフィックデザイナーやライターといったクリエーティブ系の仕事が考えられます。フリーランスという働き方も、受ける仕事の量やタイミングをコントロールすることで、時間的な自由を得やすいといえます。保険のセールスも自営業に近いので、自分で仕事や時間をコントロールしやすいでしょう。

また、フレックスタイム(始業や終業の時間を自分で決めることができる働き方)を導入している企業を探す方法もあります。ただし、フレックスタイムが導入されていても、取引先やお客さまの時間に合わせて働くことも考えられるので、注意が必要です。その他24時間受付のコールセンターやテクニカルサポートセンターはシフト制なので、自分に合った時間帯のシフトに入ることができるでしょう。

7. 納期・締め切り:納期や締め切りに追われたくない人にオススメ

納期や締め切りのない仕事などないといっていいでしょう。ただし、扱う商材の特性によって、自分に合ったペースで仕事を進められる可能性はあります。消費財などを扱うB to Cの仕事は、商品サイクルが速くスピード感が求められるのに比べて、B to Bの仕事は納品までのスパンが長く、受注に向けた商談や納品後のメンテナンスといった1つのプロジェクトにじっくり取り組める傾向があります。

納期までのスパンが長い仕事としては、例えば年1、2回行われる入札に向けて動くような官公庁からの受託業務、一度納品したらその後はメンテナンスで数十年継続する取引が成立するような船舶、鉄道車両、航空機など大型機械を扱うメーカー・商社などが考えられます。

伏見裕子さんインタビューカット

自分のペースで働きやすい企業の特徴ってある?

自分のペースで働きやすい企業かどうかは、それぞれの企業の制度や社風によるところが大きいといえます。制度であれば、サテライトオフィスやリモートワーク、フリーアドレスやフレックスタイムを導入しているかどうかが、「1. 場所」や「6. 時間」にかかわってきますし、若手にどんどん仕事を任せてチャレンジさせていく社風の企業なら、「5. プロセス」をクリアできている可能性が高いと考えられるからです。

日本企業と外資系企業の特徴にも着目

日本企業と外資系企業の特徴の違いにも着目してみましょう。総合職で採用することが多い日本企業は、人材育成の観点から、また、本人の適性を見極める意味合いも含めて、いろいろな職場や仕事を経験することになります。ですから、日本企業に就職していろいろな仕事を試しつつ、他人の目で自分の適性を見てもらい、「自分のペースでできる仕事」を見つけていくという方法もあるでしょう。

一方、外資系企業は1つの仕事でスキルアップし、エキスパートになっていく傾向があります。ですから、通用するスキルを磨いていけば、自分のペースでできる仕事を見つけるには近道といえるかもしれません。

「自分のペースでできる仕事」って、新卒入社からでもすぐに実現できる?

スキルの習得までにそれほど時間がかからない仕事、単調な作業を繰り返すような仕事であれば、新卒入社でも可能性はあるでしょう。例えば、運送業などのドライバーや倉庫の仕分け管理、ITエンジニアの中でも運用開始時の監視を目視してエラーを報告する業務など。ルーティンワークの要素が多いほど、短期間で自分のペースをつかめる傾向にあるからです。毎日決まった仕事を続けることに抵抗がなければ、こうした仕事から始めることは可能です。

ですが、冷静に考えてほしいのは、「その仕事を一生続けていたいかどうか」です。通常は、スキルを積むにつれ、仕事のレベルは上がっていきます。初期の段階では人とかかわらずに自分のペースで仕事をできたとしても、仕事のレベルが上がるにつれ人とかかわる時間が増えるなど、ずっと同じではいられなくなる可能性が高いのです。それを拒んで、例えば単調な作業を繰り返すような仕事を一生続けていくことができるかどうかです。

伏見裕子さんインタビューカット

社会に出る前の学生は、何を基準に「縛られたくないもの」を判断したらいい?

学生の皆さんの多くは、アルバイトなどでしか「仕事」を経験していないことでしょう。その中で、「何に縛られないことが、自分のペースで働くことなのか」を導き出すのは、まだ難しいかもしれません。その場合は、まず「自分にとって嫌ではない(苦ではない)仕事」を考えてみることです。「自分にとって、何が嫌なのか?(何はなしなのか?)」を考え、嫌だと思う理由についても考えてみましょう。

その理由が「以前経験したことがあって、つらかったから絶対に嫌」なのか、「まだやったことがなくて不安だから嫌」なのか。後者であれば、実際に仕事をしてスキルが身についたら、好きになる可能性があります。やってみたら案外得意だったりして、「これなら自分のペースで続けられる」と思えるかもしれません。とにかく、実際に仕事をしてみてから判断しても遅くはないと思います。

中には、自由に仕事をしている(ように見える)フリーランスに憧れを抱く人もいるでしょう。もちろん、いきなりフリーランスにチャレンジするのもありですが、まずは会社で仕事を学び、スキルを積みながら自分の仕事のペースを知り、収入とのバランスも考えながら実現させる方法を探っていく方が現実的です。

社会に出て、いきなり「自分のペースでできる仕事」に飛びつこうとする前に、「自分はなぜ就職し、社会で仕事をするのか」に、きちんと向き合ってみてくださいね。

取材・文/笠井貞子
撮影/刑部友康
編集/粟屋寛子

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