【就活ストレスを解消】精神科医Tomy先生に聞く!落ち込まない前向きメンタルを保つコツ

周りの友人と比較して自信を失い、選考に落ちるたびに「どこからも内定が取れなかったらどうしよう」と不安が募っていく…。就活では感情を揺さぶられることが多く、誰でも焦ったり不安を覚えたりと精神的に落ち込むものです。

では、就活で心身を健やかに保ちつつ、前向きに活動するにはどうすればいいのか。精神科医のTomy先生に話をうかがいました。

プロフィールTomy(トミー)
ゲイで精神科医でコラムニスト。1978年生まれ。某国立大学医学部卒業後、医師免許取得。研修医修了後は精神科医局に入局。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医。精神科病院勤務などを経て、現在は「こころのクリニック」に勤務。ゲイとしてのアイデンティティーに悩み、乗り越えた自らの経験を生かし、オネエ口調でアドバイスをするツイッターが話題となっている。2020年2月に著書『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)を発売。
Twitter:@PdoctorTomy


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就活生はどんな場面でストレスを感じている?

就活は誰にとっても初めての経験で正解がないから、不安に思うのは当然なの。

その前提の上で、就活のどんな場面やプロセスがストレスになるのか、そしてそのストレスをどう捉えるとラクになるのか、一緒に考えてみましょう。

自己分析のストレス「自分には、アピールできる成果や取りえがない!」

就活では、まず自己分析をすることになると思うんだけど、この「自己分析」もストレスの原因になるのよね。

自分の性格や特性を理解して、それを人に伝える力は、社会人になってもとても役に立つわ。学生のうちにぜひやるべきだと思う。だけど、自己分析をすればするほど、周りの友人が“すごい人”に見えてきて落ち込んじゃう学生もたくさんいることでしょう。

でもね、企業から見れば、自信を失っているあなたと、キラキラ輝いて見える友人との間に大した差はないのよ。差は社会人になってから出てくるんだから。

わかりやすい“成果”だけを比べて、「あの子は全国大会であんな成績を収めていてすごい」「私にはそんな実績がない」なんて落ち込むかもしれないけれど、大学の勉強や課外活動などやるべきことをコツコツやっているならそれだけでいい。

スタート地点は、みんな同じゼロベースなんです。

私からすれば、「周りはすごいな」と不安に思う学生さんは、人の良さをきちんと見ていて、素直に受け止められる人だなと思えて、とっても好印象よ。

就活が始まる前から、「私ってすごいんだぞ」と思い込んでいたら、その時点でプライドが高そうじゃない?社会に出ればすごい人なんていくらでもいるんだから、「みんなすごいな。でも私も頑張ろう」と前向きに取り組もうとする姿勢があれば十分。へこむ必要なんて全然ありません。

企業研究・企業選択のストレス「志望企業が選べない!決断できない自分が嫌」

就活を始めると、膨大な情報量におぼれて「どの企業を選んでいいのかわからない」と迷子になってしまうわよね。

そうすると、志望業界や企業をきちっと決めている友人は立派だな、と、またも落ち込んでしまう…。「決断できない、主体性のない自分が嫌」と考えてしまう学生もいるでしょう。

でも、そもそも志望先が決まっている人の方が珍しいものよ。

ちゃんと企業を選んで動いているように見える友人だって、よくよく聞いたらただの憧れや思い込みだったということもある。

早い段階で自分なりの軸がなくても、いいこともあると思うの。どう選んでいいかわからないからこそ、「悪くなさそうだから説明会に行ってみよう」と気軽な気持ちで動きやすいんじゃないかしら。

幅広い業界や企業の話を聞きに行って、社員の皆さんがどんな仕事をしていて、職場でどんな会話をしているのかなどを見ているうちに、「あの会社の雰囲気は好きだけど、この会社は少し窮屈に感じるな」なんて、自分なりの良し悪しの軸が見えてくる。そういう軸から選んでいけば、自分に合った風土の環境を見つけられるかもしれないわよ。

志望動機のストレス「やりたいことがない」

就活では「なぜうちの会社に応募したのか」と志望動機を問われることがあるわよね。でも「仕事を通じて実現したいこと」もよくわからないし、そもそも「やりたい仕事」があるわけでもない。何を志望動機で伝えるべきかと思い悩んでしまう学生も多いと思いんじゃないかしら?。

だいたい、「自分がやりたい仕事に就きたい」「夢をかなえたい」と思うこと自体が、仕事選びの大きな間違いだと私は思うの。

仕事とは「やらなければいけないこと」であり、働くとは「与えられたことをやってお金を頂くこと」。だから、企業選び、仕事選びでは「やらなくてはいけないことをやりやすい環境か」がとても大事だと思う。

その前提の上で、やりたかったことができれば理想ね。だけど、仕事=自分の憧れや夢でなければいけないと考えるのはやめた方がいいと私は思うの。だって、やりたいことや夢がなくちゃと負担を抱える必要なんてないんだから。

忘れてはいけないのは、仕事とは日常だということ。その“日常”を、継続して送れるかどうかがとても大切よ。

例えば、好きな人と一緒に暮らすことを考えてみたらいいと思う。すごく顔が好みで条件が良くても、一緒に生活する上で苦痛なポイントがあれば、関係を続けられないでしょう。

仕事や企業選びも同じ。そのために、「自分にとってこれは耐えられない!」という要素を明確にしておくことも大事だと思う。

「何事も細かく指示されるのが苦痛」という人もいれば、「細かい指示がないと不安になって苦痛」という人もいる。こんな働き方、こんな環境は絶対に嫌だ、というポイントを3つほど挙げておくと、「続けられる環境」を選びやすくなると思うわ。

選考に落ちるストレス「存在を否定されたよう…」「周りが優秀に見える」

選考が始まれば、誰もが経験する選考に落ちるストレス。理由もわからないまま落とされると、自分を否定された気持ちになるわよね。

でも、就活で落ちることは避けようがないものです。

少ない採用枠に数倍、数十倍、企業によっては数百倍以上もの学生が応募するんだもの。大半は落ちるし、複数社落ち続けるのも仕方がない。あらかじめ、「就活とは理由もなく何度も落ちるものだ」と想定しておくことで、少しでもメンタルを健やかに保つしかないわね。

先に内定を取った友人と比べて落ち込むこともあると思う。気持ちのコントロールが難しければ、周りの情報を耳に入れないようにする工夫も大事ね。

就活にストレスを感じたら…すぐにできる対処法

就活が始まると、感情の揺れ動きとともに、次から次へとやることに追われて、気持ちに余裕がなくなってくると思う。

だからこそ、自分なりの息抜きの方法をあらかじめ考えておくことが大切よ。

対処法1:終わったことはどんどん消去!今考えるべきことに集中する

オススメは、1日単位のTO DOリストを作ること。「これだけやれば、今日は終わり」というゴールを明確にすると、毎日をすっきり終えることができるわよ。

落ちてしまった企業のことをくよくよ考えても意味がないし、落ち込むだけ。その企業に関するメモや情報を目に入らないところにしまって、頭の中から消すことが大事。「考えるべきことが1つ減った!」と思うようにすればいいんじゃないかしら。

TO DOリストには、今集中して考えるべきことだけを記すこと。

「A社のエントリーシートを完成させる」「B社の企業研究で、先輩インタビュー記事を〇本読んで、求める人物像をノートにまとめる」など、具体的な内容を書いて、完了したらチェックを入れる。終わったから次!と刹那的に進められるといいと思うわ。

頭の中に、「あれもやって、これもやらなくちゃ…」と同時進行で行わなくてはいけないことがあるだけで、人はストレスに感じるものなの。明日考えるべきことは明日考えればいい、と捉えることが大切よ。

社会人になって「仕事ができる人」を見ていると、みんな、この情報処理能力がすごく高いわ。

仕事をたくさんこなせている人は、その場その場で考えるべきことを少なくしている。メモをしたり、人に仕事を任せたり、ITツールで自動化したり。膨大な量の仕事を、なるべく少なくシンプルにして効率的にできている人が、結果として成果を出しているのよね。

就活の進め方も、社会人になったときの情報処理の練習だと思って取り組んでみたらどうかしら。

対処法2:細かな時間割を作る

「50分やったら10分休憩」など、時間割を作っておくのもオススメ。

そのサイクルを3回繰り返したら、30分休憩して近くのコンビニでスイーツを買うとか、小さな楽しみをつくっておくと息抜きになる。「ここまで終わったら、これをしよう」と決めておくだけで、集中力も高まるの。

タイムマネジメント力、セルフコントロール力が鍛えられると思うわ。「計画性がある」という強みにもなるんじゃないかしら?

対処法3:自分の機嫌を取る方法をいくつか用意しておく

1日の中で、1時間でも30分でも就活から離れて、「好きなことしかしない」時間をつくることも大切よ。

私は「疲れたな」と感じたら、お風呂に好きな入浴剤を入れて30分ほどゆっくり湯船で読書するようにしているの。家で好きなときにできるし、自分にとっては気持ちが緩むいい方法だからね。

こんなふうに、「自分の機嫌を取る方法」をできるだけたくさん持っておくといいわね。

時間や場所を選ばずにリラックスできるバリエーションがあると、忙しい中でも気持ちに余裕が生まれると思うわ。

対処法4:周りに自分の活動を話して客観的なアドバイスをもらう

一人で抱え込まず、就活の進捗(しんちょく)を話したり相談できたりする相手をつくっておくといいわね。

「今こんなことに頑張っているんだ」と話すと、「もっとこの情報も見てみたら?」「時間を使い過ぎじゃないかな」など、自分では気づかなかった視点からアドバイスがもらえるかもしれない。立場や人生経験が違う人から見れば、考え方も違うだろうから、複数の人に同じことを話してみるのもいいかもしれないわ。

面接は評価される場でもプレゼン大会でもない!焦らずに取り組んでほしい

就活を始める前にわかっておいてほしいのは、面接は企業から評価される場でも、プレゼンテーションコンテストでもないということ。

何をどれだけキレイに話せたかを競っているわけじゃないのだから、上手に話せなくても落ち込む必要はない。誠実に一生懸命話す、その姿勢を企業は見ているの。

「自分には強みがない」と焦るあまり、就活のために資格取得を始めるなど飛び道具に頼る学生もいるけれど、特に目的があるわけでもなく、ただ強みを増やしたいがために、あれこれ始めようとしているならば、かえって自分を苦しめてしまうだけだと思うわ。

大切なのは、自分にできることをコツコツ続けながら、ちゃんと休む時間や空間を用意しておくこと。前向きな心を保ちながら就活を進めること自体が、社会人になってから、仕事を心地よく進めるためのいい練習になっているのよ。

取材・文/田中瑠子
編集/伊藤理子
プロフィールイラスト/カツヤマケイコ


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