物流業界にはさまざまなビジネス領域があります。まずは全体像を把握し、どのようなビジネスモデルや仕事があるのかを理解していきましょう。
リクナビ就職エージェントのキャリアアドバイザーとリクルーティングアドバイザー(※)が、物流業界のビジネス領域や関連企業、職種、仕事のやりがい、向いている人、将来性まで解説します。
物流業界の志望動機の書き方や例文も併せて紹介するので、業界研究や応募書類の作成に役立てていきましょう。
※キャリアアドバイザーは求職者のサポートを行い、リクルーティングアドバイザーは求人を出す企業の採用サポートを行う。
目次
物流業界とは?ビジネスモデルを解説
物流業界は、商品・資材などの荷物・貨物を消費者・企業に届けるための輸送・配送や、一時保管する倉庫の管理・貸し出しなどを担っている業界です。
大まかなビジネスモデルとしては、生産者やメーカー、商社・卸売会社などから依頼を受け、仲介手数料や輸送料・配送料などで収益を出しています。
輸送・配送には、陸運・海運・空運・鉄道などの手法があり、幅広く手がける企業もあれば、特化する企業もあります。
また、コストや手法なども含めて輸送・配送方法の最適化などのコンサルティングを担う企業や、物流に必要な倉庫の貸し出しを専門とする企業もあります。
物流業界の5つのビジネス領域や関連企業を解説
物流業界には陸運・海運・空運・鉄道・倉庫といった5つのビジネス領域があります。これらのビジネス領域の特徴を解説していきます。
陸運
陸運では、一般道路や高速道路などの陸路によって荷物を運びます。トラックやクレーン、トレーラーなどの車両を使い、荷物(少量でかさが大きくない物)・貨物(かさが大きな物、重い物、特殊な輸送手法が必要な物)の輸送・配送を行います。
小口配送や時間帯指定配送などの細かいニーズにも対応できる特徴がありますが、車両の最大積載量や道路の重量制限などの規制によって、大量の荷物を輸送しにくい面もあります。
また、陸運には、ガソリンなどの燃料費用やドライバーの人件費などのコストもかかるため、主に中短距離の物流に活用されています。
海運
海運では、全国各地から運ばれてくる貨物を港に集め、船舶を利用して目的地まで輸送します。国際間輸送の外航海運と、国内輸送の内航海運に分かれており、貨物だけでなく、旅客を運ぶ「旅客船」もあります。
外航海運によって海外から日本に届けられた貨物は、港に降ろされ、そこから全国各地に輸送されます。空輸よりも輸送に時間がかかりますが、重量物や大きなもの、大量輸送などにも対応できる点が特徴です。
海運には、コンテナ船などで梱包できる荷物を運ぶケースもあれば、鉄鉱石・穀物・石炭・石油などの特殊な運搬が必要な物を、ばら積み貨物船・タンカー・専用船などで運ぶケースもあります。
また、決められた航路で定期輸送を行う「定期船」、顧客の要望に応じた航路・スケジュールで荷物を運ぶ「不定期船」があります。
空運
空運では、飛行機を利用して荷物の輸送・配送を行います。国内・海外において「ハブ空港」となる空港を中継地点とし、陸路などの輸送方法で貨物を集めてから、飛行機で空輸を行います。
長距離を短時間で輸送できるため、主に長距離輸送に利用されていますが、輸送コストが高く、重量制限などもあるため、大量輸送などには向いていないでしょう。
自社航空機を保有して輸送を行う航空会社などの事業者は「キャリア(定期運送事業者)」と呼ばれ、航空機を保有せず、輸送便の手配、混載化、保税倉庫での保管や梱包などの業務のみを代行する事業者は「フォワーダー(利用航空運送事業者)」と呼ばれます。
また、国際航空貨物の分野では、どちらの機能も併せ持つ「インテグレーター(巨大物流事業者)」と呼ばれる事業者もあります。
鉄道
鉄道では、荷物・貨物をコンテナに積み、貨物列車で輸送します。鉄道を保有している鉄道会社だけでなく、陸運・空運などと合わせて荷物・貨物の収集や鉄道による輸送の手配を行う企業もあります。
日本の鉄道は定刻通りの運行が基本のため、予定通りに輸送できる特徴があります。また、長距離で大きな物や重量物などを輸送することも可能ですが、個別のニーズに対応しにくい面もあります。
倉庫
荷物・貨物を運ぶためには、一時的な収集・保管の拠点となる倉庫が必要不可欠です。陸運に限らず、「陸運から海運」「空運から陸運」など、輸送手段を切り替える拠点として、荷物・貨物を保管する業務や次の目的地に運ぶための管理業務なども担っています。
また、荷物・貨物の内容物や顧客ニーズが多様化しているため、倉庫の管理技術や提供するサービスも多角化しています。例えば、温度管理で生鮮・冷凍食品の品質を保ったり、個別の梱包や値付けなどの加工を行ったりするなどで、付加価値を高めています。
「低温物流」「国際物流」などを専門とする企業もある
物流業界には、より細分化された専門領域に特化する企業もあります。低温物流では、生鮮食品や冷凍食品などを取り扱い、所定の温度(低温、冷蔵、冷凍)を保った状態で管理・輸送します。
国際物流では、「海外から国内」「国内から海外」など、国をまたいだ物流を手がけます。また、危険物物流では、発火性または引火性物品、爆発性のある火薬、放射性物質、高圧ガス、毒物および劇薬などの管理・輸送を行います。
そのほか物流業界のビジネスを手がける関連企業
物流業界のビジネスを手がける関連企業を紹介します。
物流システム・機器メーカー
生産・物流の現場では、製品や荷物・貨物を効率的に「保管」「搬送」「仕分け・ピッキング」することが必要です。物流システム・機器メーカーは、従来、人力で行われていたこれらの作業を、自動化・効率化するためのシステムや機器の開発・製造・販売を行います。
具体的には、運搬を行う搬送ロボットや、自動仕分けの機器・システム、入出庫、保管場所などの情報を一元管理するシステム、入出庫を自動で行う自動倉庫の機器・システムなどがあります。
物流不動産会社
物流不動産会社は、倉庫や物流センターなど、物流業務に利用する物件を専門に取り扱う不動産会社のことです。輸送・保管量に応じた料金を受け取る従来型の倉庫業とは違い、賃貸面積に応じた賃料を受け取るビジネスを手がけています。
また、倉庫施設の物件開発を手がける企業もあり、近年は、搬送効率を高める構造、免震・制震構造、太陽光発電などの機能拡充に注力した物件や、倉庫業務を担う従業員の働きやすさに配慮してカフェテリアや託児所などを設置した物件なども増加しています。
物流コンサルティング会社
物流コンサルティング会社は、物流に関するさまざまな課題を持つ顧客に向けて、解決のための提案を行い、実行の手助けを行います。業務効率の改善やコスト削減に役立つ輸送の仕組みや、荷物・貨物の内容に合わせた輸送方法を提案するだけでなく、ロジスティクス(※)の提案で経営課題を解決する方法なども提案します。
※物流における物の流れを最適化し、さまざまな工程を一元管理する仕組み。
物流業界の主な業務の流れ
ここでは、物流業界の主な業務の流れを解説します。
輸送
荷物・貨物の内容や目的地などに合わせた輸送計画を立て、トラックやトレーラーなどの車両、飛行機、船舶、貨物列車、一時保管に利用する倉庫などを手配し、輸送を行います。
遠距離の場合は飛行機・船舶を利用し、中距離・短距離の場合は貨物列車やトラックを使う傾向があります。
荷役・検品
荷役(にやく)とは、輸送の際の荷物の積み込み・積み降ろし、倉庫に一時保管するための入出庫などの業務を指します。国際物流を手がける場合には、輸出入時の通関手続きまで代行することもあります。
預かった荷物・貨物を倉庫に入庫するときは、発注書や納品書などに記載されている通りの規格・数量で納品されているか、異常がないかを調べる入荷検品を行います。
出庫するときは、荷物を集めるピッキング、出荷先ごとに荷物をそろえて内容・数量・品質などの検品を行う荷ぞろえなどの業務も行います。
保管
預かった荷物・貨物は、目的地に出荷するまでの間、倉庫で保管します。「常温」「冷暗所」「冷蔵」「冷凍」など、荷物・貨物の内容に合わせた最適な保管方法で品質を保ちます。
倉庫を保有している場合は自社倉庫にて、保有していない場合は提携している倉庫事業者の倉庫にて保管します。
流通加工・包装
流通の過程では、商品の価値を高める加工のサービスを提供するケースもあります。具体的には、生鮮食品や繊維品などを二次加工したり、段ボールに詰めたり、小分け包装や梱包材による保護を行ったり、値札付けを行ったりする例が挙げられます。
また、検品による不良品の除外、説明書・カタログ・カードなどの印刷物の封入、器具・家具の組み立てや電子機器の初期設定をすることなども流通加工の一部とされています。
物流管理
受注したそれぞれの案件について、荷物・貨物の預かりから最終目的地に届くまでの物流業務全般を管理・コントロールします。
保管時の品質管理、使用する資材・機器・倉庫、輸送・配送の手段や利用する物流拠点、必要な人員、スケジュールなど、さまざまな情報を管理し、現場の業務効率化や生産性の向上に加え、品質担保や顧客満足度の向上などにつなげます。
物流業界の主な職種と仕事内容
物流業界の主な職種・仕事内容を紹介します。
法人営業
法人(企業)の顧客を担当し、物流に関する課題・要望を引き出し、ニーズに合わせた物流サービスを提案します。物流コストの削減や業務改善、運ぶ荷物の内容・目的に合わせた輸送方法など、最適な提案を行って案件を受注し、アフターフォローも手がけます。
物流管理
荷物の入荷や保管、出荷など、物流における一連の業務を管理します。輸送・配送のスケジュール管理、協力会社とのスケジュール調整やコストの交渉、配送ルートの手配、人員配置なども行います。
物流コンサルタント
物流に関連するさまざまなデータを定量的に分析し、顧客が抱えている課題を解決するための提案・支援を行います。物流コストの削減、倉庫内オペレーションや配送管理の改善、物流不動産の確保や開発など、その内容は多岐にわたります。
システム開発
大手物流企業などの場合は、物流システムを自社開発しているケースもあります。システム開発は、顧客のニーズに応えて物流システムの構築・開発を担当します。また、導入後も、運用・保守、監視、障害対応などを行うケースがあります。
ドライバー
陸路の輸送において、トラックなどを運転し、目的地まで荷物を運びます。荷物の積み込み・積み降ろしなども担当します。
物流業界の仕事のやりがいと魅力
物流業界の仕事のやりがいと魅力を紹介します。
課題解決の面白さがある
物流業界の仕事は、ただ物を運ぶだけではありません。顧客の課題を解決するために、さまざまな手段やリソースをパズルのように組み合わせ、最適な物流方法を構築・実現していく面白さがあります。
データ活用やICT(※)活用などに取り組む物流企業も増えているため、最先端の手法も取り入れながら課題解決をするやりがいを感じられるでしょう。
※「Information and Communication Technology」の略。情報通信技術のこと。
成果が目に見えるやりがいがある
効率的な物流を実現するためには、現場の業務改善を行うことが必要であり、状態監視によって装置の異常を検知する予知・予防保全のための改善活動も重要です。そのため、物流業界には、自ら改善を提案し、実行していく文化が根付いています。
さまざまなデータを分析し、何をどう改善すべきかを考え、実行していく面白さがあり、かつ、取り組んだ改善施策の成果が数字として目に見えるやりがいもあります。
日本のビジネスと消費者を支える
物流業界は、物を運ぶエキスパートとして、ものづくりを手がけるメーカー・生産者と消費者をつなぐ役割を担っています。
社会に必要不可欠なインフラとも言えるため、縁の下の力持ちとして、日本のビジネスと消費者を支えるやりがいを感じることができます。
物流業界の企業ランキングや年収を調べる方法
物流業界の企業の事業収益や年収などは、『会社四季報』(東洋経済新報社刊行)に掲載されています。
また、各社のホームページなどに掲載されているケースも多いでしょう。業界ランキングは、業界地図として、各業界の動向を詳細に解説している本で確認しましょう。
物流業界に向いている人、求められる人材像とは?
物流業界に向いている人の特徴や、求められる人材像について解説します。
物流業界に向いている人の特徴
物流業界は、目に見えないところで人々の暮らしを支える仕事を手がけています。人々や社会を支えていくことにやりがいを感じる人には向いているでしょう。また、課題解決に取り組むことに喜びを感じる人にも向いています。
物流業界の仕事では、多様なバックグラウンドを持つ人々とかかわる場面が多くあります。物流業界の顧客は幅広く、さまざまな業界のお客さまの要望に対応しながら信頼関係を築くことが求められますし、アルバイトやパートとして働く学生・主婦(夫)など、さまざまなバックグラウンドをもつ人々と連携を図ることが求められるケースもあります。
多様な人々と積極的にコミュニケーションしていける人は活躍できるでしょう。
物流業界で求められる人材像
物流は社会インフラでもあるため、生活の中で物流が果たす役割をイメージできること、それに取り組む使命感を持てることが大事でしょう。
また、物流業界では「新卒入社後の数年間は、現場の業務を理解するために物流拠点で働く」という企業が多くあり、定められた業務手順を厳守する力が求められます。しかし、その後は、配属部署や職種によって求められる力がそれぞれ違ってきます。
例えば、物流管理では、現場での課題発見力や改善施策を提案する力が求められますし、法人営業では、顧客への提案力や、関係者を巻き込みながら案件を前に進めていくコミュニケーション力が求められます。さらに、国際物流を手がける場合には、英語力が必要とされる可能性もあります。
興味を持った企業・職種の仕事内容やキャリアステップを確認し、自分が活躍したい分野でどのような力が求められるのかを考えてみましょう。
物流業界の現状と課題
ここでは、物流業界の現状と課題について解説します。
物流業界の現状
近年のコロナ禍の影響によって、物流業界ではBtoB(※)の貨物輸送量が大幅に減少しましたが、一般消費者の通販需要が急増したことで、宅配便の市場規模が拡大しています。
物流業界は、国際情勢の影響も受ける業界と言えますが、事業内容の多角化によって、リスクヘッジできている企業もあるようです。
一方、物流業界にはトラックドライバーなどの労働力が不足しており、担い手の減少が急速に進むことも懸念されていますが、物流企業同士での業務提携や、業務を効率化するICT活用などで対応を進める傾向もあります。
※「Business to Business」 の略。企業が企業に対して物やサービスを提供するビジネスモデルのこと。
物流業界の課題
物流業界が抱えている課題について解説します。
2024年問題(トラックドライバーの時間外労働上限規制)
2024年度からトラックドライバーに対し、国が定めた「時間外労働の上限規制」が適用されるため、労働力不足がさらに進むことが予測されています。
また、トラックドライバーなどの労働条件向上を図るために、労働時間、拘束時間、休息時間などの基準を定める「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(※)」も改正に向けた検討が行われている状況です。
現時点でも、長距離運送における輸送手段確保が難しい状況がありますが、受注から配送完了までの所要期間(リードタイム)を延長してドライバーの手配に猶予を持たせたり、 中継拠点でスイッチ輸送する中継型の輸送方法に切り替えたりするなどで対応している企業もあります。
※参考サイト:「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(厚生労働省)
カーボンニュートラルへの対応
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量・除去量を合わせることで、脱炭素社会を目指すことを意味します。国は、交通・物流などの運輸部門に対し、2030年度には二酸化炭素排出量を35パーセント(対2013年度比)まで削減することを目標に掲げているため、物流業界にも脱炭素の取り組みを推進することが求められています。
現在、配送にEV車(電気自動車)や自転車を活用する企業が登場しており、また、水素やバイオディーゼルなどを燃料とする配送トラックの開発なども進められています。
さらに、ICT活用によって、配送車両のコンディションや道路の混雑状況などを把握して配送効率を高めるシステムなども開発されています。
燃料価格の高騰
近年、国際情勢の影響によってガソリンなどの燃料価格が高騰しています。ガソリンはトラック輸送における主要コストであるため、物流企業の経営に与える影響は少なくありません。今後は、さまざまな面からコストを削減する工夫が求められると言えます。
物流業界の今後と最新の動向
物流業界は、今後もECサイトの市場拡大や国際物流の発展などで需要が拡大することが見込まれます。
海外からの輸入貨物が増加している今、グローバルでのサプライチェーン(※1)にデータ活用を取り入れるなどで、効率的により多くの物を運べる仕組みを構築する企業も増えています。
また、国境を越えて取引を行う越境ECにおいては、輸出入に必要な通関業務や各国の個人情報保護法などに対応することも必要であり、業務の効率化や課題解決に役立つソリューションを提案して付加価値を高めている企業もあります。
一方、国土交通省が発表した道路政策の中長期的ビジョン「2040年、道路の景色が変わる」(※2)では、2040年に向けて、幹線道路ネットワークの機能や港湾との連絡が強化された国際物流ネットワークの形成、物流関連ビッグデータの活用支援などを実現していく方針が示されています。自動運転トラック輸送の全国展開や、ロボット・ドローンによる最終配送なども可能となる未来図なども掲げられています。
これから先の数十年は、国の施策として、日本全体が前例のない道路政策のチャレンジに向かうタイミングであり、物流業界もそれに合わせた変革を遂げながら伸びていくことが予想されます。
※1 製品・サービスを提供するために必要な部品の調達から、製造や配送などを経て消費者の手元に届くまでの一連の流れ。
※2 参考サイト:「2040年、道路の景色が変わる」(国土交通省)
「3PLモデル」の普及
3PLとは「3rd Party Logistics(サードパーティー・ロジスティクス)」のことで、原材料の調達から販売に至るまでのサプライチェーンや、その管理プロセスを委託し、自社の経済資源を中核業務に集中させる企業戦略を意味します。
国土交通省によれば、「荷主に対して物流改革を提案した上で、物流業務全般を受託・遂行すること」を意味しており、国を挙げて3PL事業を推進する方向となっています。
荷主でもなく、単なる運送事業者でもない、第三者(サードパーティー)である3PL事業者が、物流業務を代行し、高度の物流サービスを提供することで、初期投資や維持・管理コストの抑制、人材不足解消、労働環境の改善、サプライチェーンの効率化・最適化などの実現を目指します。
3PL事業を手がける代表的な企業としては、大手物流企業が挙げられますが、自社で倉庫や輸送手段・物流拠点などを所有している「アセット型」と、顧客の要望に応じて提携先の物流・倉庫企業を紹介する「ノンアセット型」があります。
「モーダルシフト」で環境負荷を低減
「モーダルシフト」とは、トラックなどの自動車で行う貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用へと転換することを指します。
輸送における環境負荷の低減には、モーダルシフトや輸配送の共同化、輸送網の集約などの物流効率化が有効とされており、資本力のある大手物流企業ではすでにその取り組みを始めています。
国もモーダルシフトの推進に力を入れていく方針のため、今後はその取り組みが広がっていくことが予想されます。
「スマート物流」で、物流業界の課題解決へ
現在、ロジスティクスの品質保持・向上や業務の効率化のために、ビッグデータの分析などのICT活用が推進されており、すでに配車計画や在庫管理などの現場オペレーションに活用されています。
また、搬送ロボットの活用による人手不足解消、ドローン活用による過疎地輸送の効率化などの取り組みも行われています。このように、AI技術やIoT(※)技術を物流業務に取り入れ、作業効率を向上させた新たな物流形態を「スマート物流」(IT技術により効率化された物流のこと)と呼び、物流業界のさまざまな課題を解決することが期待されています。
※「Internet of Things」の略。「モノのインターネット化」とも呼ばれ、モノがインターネット経由で通信することを意味する。
物流業界の志望動機のポイントと例文
物流業界の志望動機で意識したいポイントと、志望動機の例文を紹介します。
物流業界の志望動機で意識したいポイント
物流業界には、陸運・海運・空運・鉄道・倉庫業など、輸送関連の各種領域に強みを持つ企業もあれば、低温物流やエネルギー関連の危険物、巨大な建築資材など、特殊な物を取り扱う専門性や技術力を強みとする企業もあります。
また、国際物流に注力している企業もあるため、どのような点に強みを持っているのかを理解することが大事です。
一方、仕事そのものについても、顧客の要望に合わせて物流の仕組みを構築・改善したり、現場で働く人々をマネジメントしたりすることが多くあります。
目に見える商品を扱う仕事とは違うため、具体的に仕事内容をイメージすることが難しいと感じる学生もいるでしょう。
まずは企業研究・職種研究をしっかり行い、事業内容や仕事内容を正しく理解した上で、それぞれにひも付いた志望動機を考えることがポイントです。
物流営業の志望動機の例文【低温物流を強みとする企業を志望】
鮮度の高い食品を社会に届け、人々の生活を支えていきたいと考えて貴社(※面接など口頭の場合は「御社」)を志望いたしました。
食品スーパーでアルバイトをしていた経験から、多くのお客さまが鮮度の高い商品を求めていることを実感し、「ニーズを満たすためにも、食品ロスを出さないためにも、いかに鮮度の高い食品を消費者に届けるかが重要だ」と考えるようになりました。商品を受け取る際に物流業界の方と会話する機会もあり、高い技術や流通経路の確保が必要であることを知って、物流業界に興味を抱きました。低温物流に強みを持つ貴社なら、鮮度の高い食品で消費者を支えていける上、フードロスの社会問題にも貢献できると考えました。
アルバイト先のスーパーでは、バイトリーダーとして計画的かつ正確に業務を進める力を身につけたので、貴社に入社後は現場の視点を生かして、滞りなく商品を届けることに貢献していきたいです。
物流コンサルティングの志望動機の例文【海運コンサルティング企業を志望】
貴社を志望したのは、「国際的な仕事で活躍したい」「縁の下の力持ちとしてチームを支えたい」という2つの思いがあったためです。
学生時代に海外留学を1年間経験し、多様なバックグラウンドを持つ人の価値観に触れ、難しさと面白さを感じました。また、高校時代に野球部のマネージャーとしてチーム全体や個々のメンバーを支える喜びを味わった経験から、自分が前に出るよりも人を支える仕事の方が向いていると感じます。国際物流を強みとする貴社なら、多様な価値観を持つ人たちとかかわった経験を生かし、人を支えるやりがいを味わえると考えています。
貴社は業界内でもいち早くDX(※)化に取り組まれているので、新しい技術を取り入れながら、文化や商習慣の違う世界中の人々の要望により応えていく物流の提案をしていきたいと思います。
※「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略。「進化したデジタル技術を活用し、ビジネスだけでなく人々の生活をより良い状態へ変革する」という概念を表す。
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物流業界の企業が持っている強みはさまざまである上、目に見えないサービスや仕組みを扱うために仕事のイメージができず、「企業研究や職種研究が難しい」と感じている人もいるでしょう。
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佐藤光紘(さとう・みつひろ)
キャリアアドバイザー。2017年に株式会社リクルート(旧リクルートキャリア)に新卒入社。以来、一貫して新卒の学生向けのアドバイザー業務に従事。関西のキャリアアドバイザー組織の立ち上げにも携わり、現在は全国の学生の就活サポートに力を注いでいる。
川和田直哉(かわわだ・なおや)
リクナビ就職エージェントのリクルーティングアドバイザー。新卒で不動産営業を経験後、(株)リクルートへ入社。その後は人材紹介に携わり続け、様々な業界・企業の新卒採用の支援を行っている。最近の趣味はゴルフ。
長瀧彩(ながたき・あや)
人材サービス企業で中途採用領域のメディア営業・人材紹介営業を経て、2016年株式会社リクルートキャリア(現 株式会社リクルート)へ入社。新卒領域のメディア営業、リクルーティングアドバイザー経験を経て、現在、同領域のマネージャー職に従事。