就活では、ES(エントリーシート)や面接などで「自分の強み」を問われることが多いですが、自分の強みがわからず悩んでしまう人は少なくありません。どのように自分の強みを見つければいいのか、それをどのようにアピールすればいいのか、リクナビ就職エージェントのキャリアアドバイザーにうかがいました。強みの一覧や、先輩たちのエピソードもご紹介します。
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そもそも「強み」とは?就活でなぜ聞かれる?
強みという言葉を聞くと、人よりも何か秀でたものでないといけないと思うかもしれませんが、強みは他人と比較したときに優れている能力ではなく「自分の特徴や持ち味」のことです。
企業も学生の「ずば抜けた能力」が何かを知りたくて、質問しているわけではありません。「あなたの強みはなんですか?」という質問を通して、等身大の「あなたという人物」を知りたいと考えています。
したがって、ほかの人との優劣で決めるのではなく、自身が無理せずに「自然とできること」を強みとして伝えましょう。
就活でアピールできる「自分の強み」の見つけ方
これまでの経験の中から、自分ならではの強みを洗い出してみましょう。強みは、自分の意志で行動したことや、壁を乗り越えた経験の中から見つけやすいので、「誰かから何か指示されたわけではないけど、自分から前向きに取り組んだ経験」を振り返り、書き出してみるといいでしょう。
例えば、勉強やゼミ、アルバイトで自ら工夫し成果を出した経験、部活やサークルで困難に直面し乗り越えた経験など。どう考え、どう行動したのか、どんな努力や工夫をしたのかなどを振り返ってみると、自分が自然にできる「強み」に気づけると思います。
自分で洗い出す方法以外では、周りに何が強みか客観的に意見をもらう(他己分析)方法や、「リクナビ診断」などの診断テストを活用する方法、就職エージェントのキャリアアドバイザーに相談して一緒に自分の強みを整理するなどの方法もあります。
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先輩たちの「強み」一覧
考えてみたものの、どんな強みを選べばいいのかピンとこない場合は、実際に先輩たちが伝えた「強み」の一覧から考えてみるといいでしょう。
一人ひとりの強み・持ち味は多種多様ですが、わかりやすくするために大きく14種類でまとめています。この中から、自分のイメージに近いものを選んでみましょう。
なお、ひと口に「フットワーク良く動く力」といっても、瞬発力やスピード、立ち止まらず実行し続ける力など、さまざまな形の強みがあるので、それらを具体的に伝えるといいでしょう。
先輩たちが洗い出した「強みのエピソード」紹介
先輩たちが自己分析で洗い出した「自分の強みを示すエピソード」をご紹介します。これらのエピソードを基に自分ならではの「強み」を抽出し、就活でアピールしています。
これらの事例を、自分のエピソードから強みを抽出する際の参考にしてみてください。
「フットワーク良く動く力」を伝えた事例
→やることを即座に決め、やると決めたことを即行動に移すことができる力をアピール
→物事を大枠で捉え深く考え込まず、フットワーク良く行動する力をアピール
「前例のないことに挑戦する力」を伝えた事例
→日常の中で常に情報のアンテナを張りチャンスを逃さない力をアピール
→従来の手法にとらわれず新しい切り口から業務を見直す力をアピール
「多くの人と良い関係を築く力」を伝えた事例
→どんな人とでも壁をつくらず信頼関係を構築する力をアピール
→こまやかな対応を心がけ傾聴することで信頼関係を構築する力をアピール
「周囲と助け合って進める力」を伝えた事例
→聞き上手で周囲の面倒を見る力をアピール
→相手の良い部分を見つけ受け止め吸収する力をアピール
「変化に柔軟に対応する力」を伝えた事例
→失敗や指摘を真摯(しんし)に受け止め改善する力をアピール
→相手や場面に合わせて柔軟に対応する力をアピール
「プレッシャーの中でやり抜く力」を伝えた事例
→何事も前向きに捉え取り組む力をアピール
→困難に直面しても目標に向かい、あきらめることなく挑戦し続ける忍耐力をアピール
「計画的に物事を進めていく力」を伝えた事例
→常に問題意識を持ち改善する力をアピール
→事前の準備・計画を基に状況に合わせPDCA(Plan・Do・Check・Actionの4段階を繰り返して業務を継続的に改善する方法)を回しつつ計画的に業務を進めていく力をアピール
「指示を待たず自ら考え動く力」を伝えた事例
→目標に向かって自分で物事を判断し自律的に課題を進める力をアピール
→環境や状況に左右されず自身の意見を発信する力をアピール
「チームをまとめるリーダーシップ」を伝えた事例
→自ら率先して行動をすることで周囲に影響を与える力をアピール
→ゴールまでの効果的なシナリオを描き周囲を巻き込みながら引っ張る力をアピール
「利害の調整や交渉する力」を伝えた事例
→物事の核心を捉え課題設定をし業務を進めていく力をアピール
→論理的に物事を捉え自身の中で仮説を立てつつ、解決を図っていく力をアピール
「一つひとつ着実に取り組む力」を伝えた事例
→細かな作業の積み重ねを厭(いと)わず一つひとつ丁寧に物事を進める力をアピール
→言われたことをまずは真摯に取り組む力をアピール
「素早く決断し進めていく力」を伝えた事例
→目標達成を第一に置き必要な手段を考え実行する力をアピール
→目指すべきゴールを設定し取り組むべき課題を明確にする力をアピール
「事実や情報を基に判断する力」を伝えた事例
→過去の経験や実績から傾向を捉え解決への道筋を立てる力をアピール
→データや数値など客観的な事実や情報を基に判断をする力をアピール
「周りを気づかう力」を伝えた事例
→縁の下の力持ちとして相手や集団の状況を把握しサポートしていく力をアピール
→自身の成果だけでなくチームメンバーと助け合いゴールを目指す力をアピール
効果的な「強みの伝え方」のポイント
実際に面接で強みを伝える際には、以下のポイントを意識しましょう。
- 最初に「強み」をひと言で端的に伝える
- その強みを示す具体的なエピソードを伝える
- 強みを生かしたことによる「成果」があれば、併せてアピールする(数字で示せるものは数字で紹介)
- その強みで入社後にどのように貢献できると思うのかを伝える
例えば、上記の「周りを気づかう力」でご紹介したエピソードを実際に伝える際には、このように構成するといいでしょう。
「私の強みは、チームメンバーと助け合いながら、ゴールを目指す力があることです。大学時代、未経験ながらダンスサークルに入ったのですが、『最上級生になったらリーダーとして活躍したい』という目標を立て、経験者との技術的な差を埋めるために外部のプロのレッスンに行くなど努力し、着実に実力を身につけました。一方で、自分が新しく得た知識やスキルを後輩や周囲のメンバーにも伝えることも意識。自分がレベルアップするだけでなく、サークル全体のレベルアップに貢献できるよう行動しました。その結果、〇〇大会で初めて決勝に進むことができました。この強みは、チームでの成果を重視する貴社の営業部門でも大いに生かせると考えています」
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取材・文・編集/伊藤理子