就活用の履歴書の多くに、「研究課題」という項目が設けられています。研究課題とは、卒業研究や修士論文のことですが、枠が小さすぎて書き切れない、どのようにポイントを絞って書けばいいのかわからない、などと悩む理系学生は少なくありません。そこでリクナビ就職エージェントのキャリアアドバイザー、田村梨香さんに、履歴書での研究課題の書き方について詳しくうかがいました。
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研究課題の履歴書への書き方
学校のキャリアセンターで配布されている履歴書の多くには「ゼミ・研究課題」など、研究課題について書く欄が設けられています。理系学生における研究課題とは「卒業研究」のこと。大学院生の場合は「修士論文」に当たります。ただ、スペースが小さいため、要点を絞ってまとめる必要があります。
基本的な書き方
「研究課題」欄の枠内に書ける文字数は、150~200文字程度と少なめです。次のポイントに絞りそれぞれ1行程度でまとめましょう。
- 研究テーマ
- 研究の目的
- 研究でわかったこと・学んだこと
- 研究のプロセス(こだわり・工夫など)
単に研究概要のみを書く人が多く見られますが、それだけでは意味がありません。企業は研究テーマそのものを知りたいわけではなく、何のためにその研究を行ったのか、研究を行った結果どんな学びを得たのかを理解し、そこから学生に身についている知識の範囲や人となりをつかみたいと考えています。特に「研究の目的」と「研究でわかったこと・学んだこと」は抜け漏れなく書き入れましょう。
企業によっては、別途「研究概要書」の提出を求めるケースもあります。その場合は、上記のポイントに沿って1枚程度に研究概要をまとめ、履歴書にはその要約を記すといいでしょう。
履歴書に「研究課題」欄がなかったら?
理系学生の研究課題は、応募先への重要な自己アピールになるため、できれば履歴書の段階で説明しておきたいところです。例えば自己PRや志望動機、学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)など、フリーで記入できる欄を使うといいでしょう。企業に確認した上で、履歴書と一緒に「研究概要書」を提出するのも一つの方法です。
企業が理系学生の研究課題を確認する理由とは?
企業が研究課題を確認する理由は、大きく2つあります。
どんな知識やスキルを持っているのか知りたい
特に専攻を生かせる企業や職種に応募する場合、学生時代に研究してきたことが知識やスキルとなり、仕事をする上での武器にもなります。例えば、化学メーカーの研究職の募集であれば、化学に関する基礎知識がどれだけあるかは知っておきたいところ。研究課題から、身についている知識の範囲、学んだことを具体的につかみたいと考えています。
研究におけるこだわりを知りたい
研究の進め方やこだわりからは、仕事に取り組む姿勢を測ることができます。何にこだわって真摯(しんし)に研究に向き合ってきたのか、どのように工夫を凝らしたのかなどを説明することで、仕事においても同様の姿勢で前向きに取り組んでくれそうだと印象付けることができます。
特に、専攻とは異なる企業や職種に応募する場合は、このポイントが重視されます。分野は違っても、研究に対するこだわりや姿勢は応用可能なので、自社でどのように活躍してくれるか、企業もイメージできるでしょう。
応募企業に合わせて、研究課題を効果的にアピールする方法
前述のように、研究テーマ、研究の目的、研究でわかったこと・学んだこと、研究のプロセス(こだわり・工夫など)に沿ってまとめることが重要ですが、「専攻を生かせる企業・職種に応募する場合」と「専攻とは異なる企業・職種に応募する場合」とでは、アピールした方がいいポイントが変わります。
専攻を生かせる企業・職種に応募する場合
研究で得た知識を、そのまま仕事でも生かせるケースが多いので、前述のポイントに沿ってまとめることで、知識レベルを十分に理解してもらえると思います。
ただ、まったく同じ文面をすべての応募先に使い回すのではなく、できれば応募先に合わせて書き換えることをお勧めします。自身の研究課題と、応募先企業との共通点を探し、その部分を強調すれば、さらに強く自身をアピールできます。
例えば、自動車工学を学んだ学生が自動車メーカーに応募する場合、その企業が業務効率化に取り組んでいるのであれば、研究の中で部品の効率化について取り組んだエピソードなどを選ぶことで、応募先の企業に、より具体的に活躍イメージを持ってもらえるようになるでしょう。自身の研究課題に近い課題意識を持った企業を探す、というのも一つの方法です。
専攻とは異なる企業・職種に応募する場合
研究内容そのものよりも、研究のプロセスや、こだわり・工夫したことなどを強調しましょう。研究のプロセスからは、その人の仕事の進め方がイメージできますし、こだわりや工夫したことからは、仕事に取り組む姿勢がつかめます。
なお、専攻とは異なる企業に応募する場合は、専門用語を使いすぎないように注意しましょう。企業の採用担当者が専攻に関する知識があるとは限りません。専門外の人が応募書類に目を通しても伝わるように、専門用語は使わない、誰でも理解できる言葉に言い換える、がポイントです。
履歴書での研究課題の書き方例文
ポイントを押さえた例文を「専攻を生かせる企業・職種に応募する場合」と「専攻とは異なる企業・職種に応募する場合」とに分けてご紹介します。
専攻を生かせる企業・職種に応募する場合
(研究の目的)コスト削減や開発工数の削減が主目的ですが、自動車以外で応用される可能性も視野に入れ研究に取り組んできました。
(研究でわかったこと・学んだこと)私は主に、駆動部品や電動部品において素材段階から共通化の可能性を模索。車種の特異性が低い△△部品の応用可能性が高いことがわかりました。
(研究のプロセス・こだわり・工夫など)今回の研究では、素材・機械メーカーへの研究開発部門へのヒアリングを強化。さまざまな意見を聞くことで△△分野での新たな気づきを得ることができました。
専攻とは異なる企業・職種に応募する場合
(研究の目的)遺伝子が人々の健康にどのようにかかわっているのかを知ることで、超高齢社会を支える食品やサプリメント開発につなげるのが目的です。
(研究でわかったこと・学んだこと)ヘルスケア企業と共同研究を行い、実際に試作品を開発。予算やスケジュールを考慮しながら開発するなど、「企業で働くこと」をいち早く経験できたのは大きな学びになりました。
(研究のプロセス・こだわり・工夫など)研究においては役割分担と情報共有を重視。チーム内でのナレッジ向上と無駄を省いた効率的な研究を実現しました。
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取材・文/伊藤理子