先輩300人が選んだガクチカの2大エピソードは?企業にはどう伝えた?

エントリーシート(ES)や面接で聞かれることが多い「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」。学生がこれまでに経験したエピソードについて質問することで、学生への理解を深めてマッチングにつなげるのが企業の狙いです。

ただ、いくつかエピソードは浮かぶものの、どんなエピソードを選べば良いのかは、迷いどころ。そこで、伝え方も含めて、就活を経験した先輩たち(2023年3月に卒業予定)に聞いてみました。

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 76.3%の先輩がガクチカを面接で聞かれたことがある

■就活中のES・面接で「ガクチカ」を聞かれたことはありますか?(n=300、単一回答)

ガクチカ質問の有無回答パイチャート

就活を経験した先輩たちに、ESや面接で、ガクチカについて記入を求められたり聞かれたりしたかどうかを尋ねたところ、76.3%が「はい」と回答し、多数の学生がガクチカについて聞かれていることがわかりました。

先輩たちのガクチカ2大エピソードは「アルバイト」「学業」

■ガクチカでは、どんなエピソードを選びましたか?(n=229、複数回答)

ガクチカエピソード回答グラフ

次に、先輩たちに、ガクチカとしてどんなエピソードを選んだかを尋ねたところ、一番多かったのが「アルバイト」で49.8%、次いで「学業」が39.3%でした。過去の調査では「サークル」が上位に来ていましたが、今回は4番目に。コロナ禍を経たことにより、回答の傾向に変化が生じたことがうかがえます。

なぜそのエピソードを選んだの?先輩たちの声を紹介

下記では、「エピソードを選んだ理由」と「企業に伝えたかったポイント」を紹介します。

アルバイト

選んだ理由:アルバイトは、社会に近い環境なので、自分の実際の仕事ぶりを一番伝えられると思ったから
企業に伝えたかったポイント:お客さまを満足させるサービスを提供するためにいろいろな工夫をしたこと
選んだ理由:大学生活の中で一番、活発に取り組んだのがアルバイトだったので
企業に伝えたかったポイント:忍耐力とリーダーシップを養った点
選んだ理由:当時、アルバイト先で責任者をしており、その立場から学んだことが多かったため
企業に伝えたかったポイント:幅広い立場や年齢層の人に対応できるようになったこと
選んだ理由:2年生の時から継続していて、業界選びや企業選びにも影響を与えたから
企業に伝えたかったポイント:継続することの重要さ、コミュニケーションの大切さ、チームワークの必要性を学んだこと
選んだ理由:企業が求めている人材と照らし合わせた時に、アルバイトの経験が一番アピールにつながるのではないかと思ったので
企業に伝えたかったポイント:アルバイト先に入ってきた新人にわかりやすく業務を教えるのが得意であること
カフェでアルバイトをする女子学生

学業

選んだ理由:大学院で一番力を入れていたのが研究室での実験だったので
企業に伝えたかったポイント:根気よく実験に取り組んだ姿勢
選んだ理由:学生の本分は勉強だから
企業に伝えたかったポイント:成績優秀者に選ばれたこと
選んだ理由:志望理由につなげやすかったから
企業に伝えたかったポイント:幅広い分野に関心を持って取り組む姿勢
選んだ理由:専攻が、志望業界と関連していたので
企業に伝えたかったポイント:しっかりと学業に取り組み続けてきた持続力と、そこで培ったスキル

部活

選んだ理由:部活こそが、実際に一番力を入れていた活動であり、エピソードを話しやすかったから
企業に伝えたかったポイント:部長を務めたことにより、臨機応変に対応することや、事前にシミュレーションする力が身についたこと
選んだ理由:大学時代、部活しかやらなかったというくらい力を入れていたため
企業に伝えたかったポイント:大学から新たに始めた競技で着実に成果を上げるなど、自分にはチャレンジ精神と課題達成力があること
選んだ理由:エピソードが多くて書きやすかったから
企業に伝えたかったポイント:あきらめずに試行錯誤し、目的を達成しようとする姿勢を培ったこと
選んだ理由:寮生活を送りながら強豪野球部で最後まで頑張ったので
企業に伝えたかったポイント:やり抜く力や我慢強さ

サークル

選んだ理由:学業よりもサークル活動に力を入れていた学生生活だったから
企業に伝えたかったポイント:イベント企画サークルで企画力と実行力が身についたことや、自分が表に出るよりも裏方として活動することに楽しさを感じられるタイプであること
選んだ理由:サークルが、自分が一番結果を出せた場だったので
企業に伝えたかったポイント:リーダーシップを発揮したこと
選んだ理由:サークルの活動内容と関連した事業内容の企業だったので
企業に伝えたかったポイント:ほかの学生よりもその企業の事業に貢献できること
選んだ理由:文字通り、サークル活動が学生時代に最も力を入れたことだから
企業に伝えたかったポイント:サークルが抱える課題を発見したことや、その改善のために取り組んだ内容やその成果
選んだ理由:サークルでのエピソードに、一番自分らしさが出ていると考えたから
企業に伝えたかったポイント:広い視野と粘り強さを獲得したこと

課外活動

選んだ理由:福祉業界を志望していたので、ボランティア活動に対して積極的だったことはプラスになると思ったから
企業に伝えたかったポイント:積極的に参加し、人見知りを克服して自分から人に話しかけられるようになったことや、誰とでもすぐ仲良くなれるようになったこと
選んだ理由:留学に絡めた活動は、自分が一番楽しんで取り組めるものだったので
企業に伝えたかったポイント:行動力があること
選んだ理由:小学生の時から続けていたため
企業に伝えたかったポイント:粘り強い継続力
選んだ理由:演劇活動の話が、一番効果的にアピールできると思ったから
企業に伝えたかったポイント:自主的にアイデアを出せることや、チームをまとめる力があること

その他

「学生団体での活動」

選んだ理由:自分が本気で取り組めたことだから
企業に伝えたかったポイント:企業や行政、ほかのNPOやメンバーを、持ち前の協調性で巻き込んでいった過程や、これからもその能力を生かせること

「学園祭実行委員」

選んだ理由:自分が学生時代一番力を入れて頑張ったことであり、評価されやすいと思ったから
企業に伝えたかったポイント:企画力やコミュニケーション能力があること

「オープンキャンパスでのイベント運営」

選んだ理由:大学のオープンキャンパスイベントの運営なら書きやすいと思ったから
企業に伝えたかったポイント:仲間と一緒にイベントを実行する協調性があること

プロに聞く、ガクチカを聞く企業の意図とは?

続いて、企業がガクチカを聞く意図などについて“採用のプロ”、曽和利光さんに教えてもらいました。

株式会社人材研究所 曽和利光さん写真1プロフィール曽和利光さん(そわ・としみつ)株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年、京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャーなどを経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『悪人の作った会社はなぜ伸びるのか?人事のプロによる逆説のマネジメント』(星海社新書)など著書多数。

企業はガクチカを通して、学生が持っている能力や考え方、行動特性を知りたい

-企業の面接担当者がガクチカを聞く意図は何ですか?

学生がESや面接で聞かれることは、「これまでにやってきたこと」と「今、思っていること」に大別され、ガクチカは「やってきたこと」の最たるものと言えますが、企業は、こうしたガクチカを通じて、学生が持っている能力や考え方、行動特性を知りたいと考えています。特に最近の面接では、「BEI(Behavioral Event Interview)」などといった考え方が主流となり、「これまでにやってきたこと」の比重が高まってきています。

-どのくらい過去にさかのぼって話せばいいですか?

中学・高校時代も含めて構いませんが、今の自分の能力や考え方が培われた環境や背景を説明する根拠として、中高時代の出来事をひも付けましょう。そうすることで、グンと信ぴょう性や説得力が高まります。

企業ごとにガクチカのエピソードを変える方が自分を効果的に伝えられる

-企業によってガクチカのエピソードは変える方がいいですか?

企業ごとに変えた方がいいでしょう。学生一人の能力や考え方、行動特性は、いろいろな要素の複合体ですから、自分がアピールしたい能力・考え方・行動特性に応じて、それがより効果的に伝わるエピソードを選ぶべき。どの要素をアピールするかは、企業が明らかにしている採用基準などを参考に、企業が求める人物像に照らして検討しましょう。

「学生時代に力を入れて取り組んだこと」を書くときのポイントや例文について詳しく知りたい人はこちら

ガクチカのエピソードは自分をより伝えられるものを選ぼう

自分の能力や考え方、行動特性を、過去のエピソードを根拠に、説得力を持って伝えられるガクチカ。中高時代も含めた自分のこれまでの人生を振り返りながら、先輩たちのエピソード選択の仕方や、プロのアドバイスを参考にして、より自分という人間を効果的に物語ってくれそうなエピソードを選びたいものですね。

関連記事:【例文あり】「コロナ禍でガクチカのネタがない」ときの考え方

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【調査概要1】
調査期間: 2022年9月13日~9月16日
調査サンプル:2023年3月に卒業予定の大学生、大学院生、短大生、専門学校生300人
調査協力:株式会社クロス・マーケティング

【調査概要2】
調査期間:2018年12月3日~12月5日
調査サンプル:大学1年生~大学院2年生、専門学校生、短大生の就職内定者500人
調査協力:株式会社クロス・マーケティング

※本記事で掲載する調査結果の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはならない場合があります。

文/日笠由紀


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記事作成日:2018年12月19日 記事更新日:2023年2月3日

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