挫折経験がない。周りはすごい経験を持つ人ばかり…。面接やES、どうしたらいいですか?【就活なんでも相談室】Vol.8

就活のエントリーシート(以下、ES)や面接でよく質問される「挫折経験」や「失敗談」。「挫折」とは何かにチャレンジして失敗してしまったり、困難に感じた経験のことですが、中には「挫折体験がどうしても思い浮かばない」という人もいるのではないでしょうか。

そんな悩める就活生の相談を、仏のような慈愛の心で受け止め、女神のように温かく励ましながら、これからのことを一緒に考えてくれるキャリアアドバイザーがいます。この連載では、彼らの元を訪れる就活生とアドバイザーとのやりとりを公開します。同じ迷いや悩みを抱える就活生は、きっとヒントが見つかります。なお、記事の中で記事のポイントをまとめています。ぜひ参考にしてください。

<今回のご相談>

自分には挫折経験がありません。ESや面接ではどう答えれば、企業に評価されるのか教えてください。

都内の私立大学3年生のS男さん。6月には大学の就職ガイダンスに参加し、短期のインターンシップもいくつか体験してきました。悩みは、ESや面接向けに自分の「挫折経験」について考えてもまったく思い浮かばないこと。

大学の支援センターに相談したり、就活記事でも勉強しましたが「留学などのかっこいい経験もないし、真剣に努力して壁にぶつかったこともありません」。しかしインターンシップ先で出会った就活生は、思わず感心するようなエピソードを持つ人ばかり。「このままでは取り残されてしまう。どうしたらいいか、企業に何をどう伝えたら評価されるのか、一から教えてほしいです!」

※相談内容の掲載および本記事に掲載した内容については、ご本人の了承を得ています。

<答える人>

    リクナビ就職エージェント 渡辺真弓さんプロフィール画像プロフィール 渡辺真弓リクナビ就職エージェントのキャリアアドバイザー。主に理系学生を担当。企業の採用支援を行うリクルーティングアドバイザー、学生の就業支援を行うキャリアアドバイザーを歴任。学生が自分でも気がつかないような「その人自身の良さや適性」を見つけるのが得意。情報は多いが正解がない就職活動において、少しでも前向きに社会に出てもらえるよう、学生の悩みと日々向き合い、その人の希望や適性に合う求人情報を紹介しながら、数多くの学生の就活を支援している。休日は子どもと映画を見たり、サイクリングをしたりして過ごす。
→リクナビ就職エージェント公式サイト

挫折経験の解釈は人それぞれ。まず「正解」を求めない

キャリアアドバイザー渡辺とS男さんの面談風景
▲手前(右):キャリアアドバイザー渡辺 奥(左):S男さん

キャリアアドバイザー渡辺(以下、CA渡辺) ご相談内容で少し気になったのは、S男さんがとても「正解」を求めているように見えることなんですね。

S男さん(以下、S男) はい、挫折経験と言われても、今まで大した努力をしてこなかった自分は本当に何も思い浮かばなくて…。企業の求める回答がどんなものなのかを知りたいんです。

CA渡辺 ではまず正解を求めるのをやめましょう(キッパリ)。人によって挫折というものの捉え方や基準はいろいろですし、何に対して落ち込むのかも全然違います。それに対する企業側の受け取り方も千差万別です。ですから「挫折経験は?」と聞かれたとき、そこに正解があるわけではないのです。

S男さんとキャリアアドバイザー渡辺面談風景
▲ものすごくキッパリと言い切る渡辺。

S男 でも、インターンシップで出会った人の体験談はかっこよくてアピール力がある話ばかりだったので、すごく焦っているんです。

CA渡辺 繰り返しになりますが、人それぞれで挫折と感じる基準も違いますから、ほかの人と比べる必要もありません。正解を求めることなく、あくまでも自分なりに、「その時どう感じたか」「何がつらかったか」を表現すれば、それでいいと思いますよ。

S男 そうなんですね…。わかりました。では僕の「自分なり」を見つけるにはどうしたらいいかヒントを教えてください!

ポイントまとめ

  • 挫折経験や失敗談も含め、就活に正解はない
  • 人によって挫折の基準は違う。あくまで「自分の場合は」でOK

企業が挫折経験を聞くのは「向き合う姿勢」を知りたいから

CA渡辺 最初に、企業の採用担当者がなぜESや面接で挫折経験について聞くのかを知っておいた方がいいかもしれませんね。観点を挙げるならば、主に次の3つがあると思います。

1)ストレス耐性があるか

失敗や挫折があってもそれに負けずに頑張れるか、精神的な回復力があるかを知りたい。

2)高い目標を設定できるか

失敗や挫折は「挑戦したこと」の表れ。高い目標を持ってチャレンジした経験や、その意志があるかどうかを知りたい。

3)挫折から学び、次に生かせるか

挫折経験がその人にとってどんな学びになったか、それを今後どう生かしてゆくのかを知りたい。

 

S男 もしかして、留学で語学が全然通じなかったとか、何かのプロジェクトで失敗したとか、そういう話の内容はあまり関係ないってことですか?

CA渡辺 おっしゃる通りです!具体的な中身よりも、その人がどんな姿勢でその経験と向き合い、のちの人生で生かしていくかが企業の知りたいことなのです。だから特別なエピソードを用意しなければ、と焦る必要はないんですよ。

S男 なるほど!少し安心しました。でも僕自身が答えられそうな挫折経験は、まだ思い浮かびません…。

ポイントまとめ

  • 企業が知りたいのは主に「ストレス耐性」「チャレンジ精神」「今後への学び」の3つ
  • その人がどんな姿勢でその経験と向き合い、どう生かしていくかが企業の知りたいこと
  • 特別なエピソードを用意しなければ、と焦る必要はない

挫折経験を見つけるヒントは?実際に就活生はなんと答えている?

CA渡辺 確かに「挫折」という言葉は強いので、考え過ぎてしまいますよね。では、今までに落ち込んだこと、ショックだったこと、モチベーションが下がったことと考えればどうでしょう?小さな経験でもいいですし、幼少期や中学・高校での出来事でもいいんです。

S男 あるにはあります。ショックだったのは、高校受験に失敗して第1志望に行けなかったこと。無理だと思ったのは大学のサークル。軽音サークルに入りましたが、先輩たちのマナーの悪さに引いて、すぐに辞めてしまいました。モチベーションが下がったのは…恋愛ですかね…大学に入ってすぐ高校時代の彼女と別れてしまったこと。

CA渡辺 例えば、大学のサークルを辞めたことをS男さんが小さな挫折と感じているとしたら、ご自分の中で何か後悔があるのでは?と思うのです。なぜ「無理」と感じたのか、どんな行動を取ったのか、その結果どうなったのかをよく思い出してみてください。そして「あの時もっとこうしておけば良かった」という思いを、今後社会人としてこう生かしたい。そうつなげることができれば、これらは十分な挫折経験だと思いますよ。

S男 そうなんですね。ちなみに、受験や恋愛を挫折体験として話すのはありですか?

CA渡辺 ありです。もちろん「ショックでした」で終わるのではなく、そこから何を得たか、その教訓を今後の仕事においてどのように生かしたいかが重要になってきます。あくまでも今後かかわるかもしれない職場の人間関係や他者への思いやりなど、仕事や生き方に関する気づきにつながれば大丈夫です。

S男さんとキャリアアドバイザー渡辺の面談風景
▲挫折経験だけではなく、経験したことと感じたことを深掘りしていく渡辺。語り口に熱が入る。

S男 ぶっちゃけ、就活の先輩たちはどんな挫折経験を語っているんですか?

CA渡辺 詳細はお伝えできませんが、少し深刻なものだと、小中学校でいじめに遭った体験。あとは、大学時代にバイト先で「君にはこの仕事は向いてないね」などと駄目出しされた話もよく聞きます。また、親の敷いたレールを歩むばかりの人生で、「なんの挑戦もしてこなかったことが挫折」と話された人もいましたね。

S男 本当に人それぞれなんですね…。

ポイントまとめ

  • ショックだったこと、困難だったこと、モチベーションが下がったことを思い出してみる
  • 回答は人それぞれ。大切なのは、そこでどう感じ、どう行動し、その結果どうなったかを考えていくこと

今後に生かす意志があれば「挫折経験なし」と言う手も

S男さんとキャリアアドバイザー渡辺の面談風景

S男 挫折経験の見つけ方は参考になりました!でもまだ決定打がなくて…。もう少し考えてみたいと思います。

CA渡辺 もしどうしても答えが見つからない場合は、正直に「挫折経験はありません」と伝えるのも一つの手だと思いますよ。

S男 えっ、大丈夫なんですか?

CA渡辺 大丈夫!ただし、自分が挫折するほどの挑戦をしてこなかったことに対して「今後どうしていきたいか」を伝えることが条件です。「今の自分に危機感を持っているので、社会人になったらもっと挑戦したい」など、前向きな姿勢につなげられればOKだと思います。

S男 それで不採用になることはないんでしょうか。

CA渡辺 もちろん、企業によっては結果が変わることもあるでしょう。ただ、初めにお話ししたように挫折経験に正解はないし、企業側の価値判断もさまざまです。ですからまずは自分の思いを素直にぶつけて、後は企業に判断してもらいつつ、良い出会いを求めていきましょう。

S男 なるほど。挫折経験って今までの人生での後悔や反省を、自分なりの言葉で表現するだけでいいんですね。取りえのない僕にも見つけられる気がしてきました。

CA渡辺 S男さんは就活に当たって抱いた問題意識を、自分からここに相談しに来てくれました。その行動力だけでも、素晴らしいと思います。社会に出ても、悩みを口に出して人と相談していくことはとても大事ですから、自信を持ってもいいと思いますよ。企業への伝え方については、これから一緒に考えていきましょう!

S男さんとキャリアアドバイザー渡辺の面談風景

ポイントまとめ

  • 挫折経験が本当に見つからなければ「ない」とするのも一つの手
  • 挫折経験がないことをどう感じ、今後どうしていきたいかを説明することが大事

 

その後…

S男さんは、CA渡辺と一緒に作成した挫折体験の原稿で、数社のESと面接を突破。ある食品メーカーの営業職として無事、内定を得ました。

 

文/鈴木恵美子
撮影/刑部友康


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