就活における仕事選びの基準を5つ解説。自分に合った仕事の探し方と、どの基準を重視すると良いのかを具体例と共に紹介します。さらに「企業選びの基準」と「仕事選びの基準」の違いや、後悔しないための注意点についてリクナビ就職エージェントのキャリアアドバイザーがプロの立場からお答えします。
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目次
「企業選びの基準」と「仕事選びの基準」の違い
「企業選び」は、例えるのであれば、どのような畑で働きたいかを選ぶ作業です。そのため、選ぶ際の基準は、自身がどんな環境に身を置きたいかを考えるための指標が中心になるでしょう。具体的には、「業界」「事業内容」「労働環境」「社風」「待遇」などです。
対して、「仕事選び」は、選んだ畑の中でどんなことをしたいのかを選ぶ作業と言えるでしょう。どんなことをすると「やりがいや充足感を感じて、自分らしくいられるのか」を考えることが大切になります。
仕事を選ぶときの代表的な基準例:5つ
まずは、仕事を選ぶときの基準例として、代表的な5つを紹介します。
<仕事選びの5つの基準>
- 興味を持って取り組めること
- 得意であること、無理なくできること
- 仕事を経てやりがいを感じられること
- 社会のため、他者のため、自己のために役立っていると実感できること
- 家族や身近な人に自信を持って誇れること
仕事選びの基準1. 興味を持って取り組めること
興味がほとんどないことに取り組むことほど苦痛を感じることはありません。例えば、まったく興味がない商材を、他者に対して販売営業をするのは難しいものです。仕事内容の中で、なるべく興味を持って取り組めることを探すようにしてみましょう。
仕事選びの基準2. 得意であること、無理なくできること
過去の経験を基に、自身の中で得意だな、好きだなと感じることを探してみましょう。例えばアルバイトでお客さまとの会話を楽しんでいるような人は、対人折衝の仕事が得意かもしれません。また、研究活動の中で予測を立て、実際に手を動かし、目的の化合物を生成することにやりがいを感じている人は、世の中にまだない新しい価値を生み出すための苦労なら無理なくできるかもしれません。
仕事選びの基準3. 仕事を経てやりがいを感じられること
働く上では、目標数字を達成するなどの定量的な成果や、人から感謝されるなどの定性的な成果を出せると、幸福感を得やすいと言われています。逆に言うと、なんのために仕事をするのか、目の前の業務が何につながっているのかが見えないとモチベーションが下がりやすくなります。
実際に仕事をしてきた先輩社員のインタビュー記事などを読んで、「自分が同じような経験をしたときにやりがいを感じられそうか」をイメージしてみると良いでしょう。チャンスがあれば、インターンシップ等のキャリア形成支援プログラムに参加して、実際の仕事を体験してみるのもオススメです。
仕事選びの基準4. 社会のため、他者のため、自己のために役立っていると実感できること
「誰のために仕事をするのか」も、仕事選びにおいては重要な要素です。特定の課題を抱えている個人のためでも、社会の大多数の人のためでも、自身のためでも、家族のためでも、その対象は誰でも大丈夫です。その仕事が「〇〇の役に立ちたい」というニーズを満たせるかどうかを考えてみましょう。
仕事選びの基準5. 家族や身近な人に自信を持って誇れること
どんなに待遇が良くても、自分の仕事を誇れない場合や、家族や身近な人に否定され続けるような仕事の場合は、ストレスを感じやすくモチベーションを保つのが難しくなりがちです。すべての人に肯定される必要はありませんが、自分自身や親しい人に対して自信を持って誇れる仕事かどうかという観点も大切にすると良いでしょう。
「自分らしく働く」ためには、どの基準を重視すれば良いか
代表的な仕事選びの基準とポイントをいくつか紹介しましたが、すべての条件を満たせる自身にとって完璧な企業はそう多くはありません。また、人によっては、もっと複数の基準を持っていることもあるでしょう。ここでは、「数ある基準の中で何を重視すれば良いのか」迷ったときの参考用に、2つの考え方を紹介します。
考え方1. 就活の軸を深めて考える
就活の軸をさらに深めて具体化し、そこにひも付く基準を優先するのも一つの方法です。
例えば、「社会人として成長したい」という軸を設定している場合には、「特にどのような経験をして、どのようなスキルを身につけていきたいのか」と、一段深めて具体的に考えてみましょう。
仮に「対人折衝スキルを身につけたい」のであれば、その仕事で扱う「商材」や「対峙(たいじ)する顧客」に注目すると良いでしょう。
無形商材を個人顧客へ提案するような仕事では、抽象度の高い状況・物事のイメージをわかりやすく具現化して説明するスキルが身につきやすいです。対して、有形商材を法人顧客へ提案するような仕事では、顧客の決裁者が納得するような商材知識と専門性、スピード感を持った対応スキルなどを身につけられるかもしれません。
考え方2. 「希望」と「スキル」を掛け合わせて考える
仕事選びでは、自分らしく働けるかどうかが大切です。しかし、「何が自分らしいのかわからない」という人も中にはいるでしょう。その場合は、まず「希望」と「スキル」を掛け合わせた以下の4パターンの中で自分は特に何を大切にしたいのかを考え、次にそれにひも付く基準を重視してみると良いでしょう。
<「希望」と「スキル」を掛け合わせた4パターン>
- やりたい×得意
- やりたくない×得意
- やりたい×苦手
- やりたくない×苦手
一見するとパターン1のように、やりたいことと得意なことがかみ合っていることを重視しなければならないように感じがちですが、これはどのパターンを選ぶのが正解ということはありません。
パターン2のように、自分が得意だと思うことをやり続けることにやりがいを感じる人もいれば、パターン3のように、やりたいことが満たされれば、苦手なことでもやりがいを感じるという人もいるでしょう。なるべくストレスなく働くために、パターン4のようにやりたくないこと、苦手なことを選択肢から外すことが自分にとっては大事だという人もいるでしょう。
学生時代の苦手なことが、働いていくうちにスキルが身につき得意なことに変わる可能性は十分あります。同様に、やりたくないと感じている仕事が、やってみたら楽しかったということもあるので、自分の中でどこに価値を置くのかを意識的に決めることが大切です。
自分らしく働ける仕事の探し方4ステップ
前提として、同じ仕事内容でも捉え方は人によってさまざまです。やりがいを感じる人もいれば、ストレスを感じる人もいるでしょう。ここでは、自分らしく働ける、自分に合った仕事を探す方法を、以下の4つのステップで紹介していきます。
<自分に合った仕事を探す4つのステップ>
- 自己分析
- 自己分析の結果を基に、やりがいが接続できる仕事(職種)を考える
- 設定した軸を基に仕事(求人)を探し、興味を持った企業について調べる
- 選考を進めながら優先順位をつけ、より選定基準を明確にする
ステップ1. 自己分析
まずは、「過去の経験・行動」を振り返り、そこで形成された価値観・やりがいを見つけましょう。頭で考えていることと、やってきたことには、大なり小なりのギャップが生まれるものですが、就活では「なぜそう思うのか?」「なぜこの職種を志望するのか?」という疑問に対して、説得力のある理由が求められます。
最初から行動をベースにして自己分析しておくと、深掘りしやすく、振り返った結果を裏付けエピソードとして使うこともできます。分析結果に自信も持ちやすくなるでしょう。
ステップ2. 自己分析の結果を基に、やりがいが接続できる仕事(職種)を考える
ステップ1の自己分析で見つけた価値観・やりがいを接続できる仕事内容を考えます。
例えば、カフェでのアルバイトに打ち込んでいたとしましょう。「なぜそのアルバイトに打ち込んだのか?」と考えた先に、レジや客席でお客さまとの会話をする時間が好きだったことを認識したら、「なぜその業務が好きだったのか?」とさらに深掘りします。その結果、顧客にオススメ商品の魅力を伝え、提案し、受け入れられることにやりがいを感じていたからだと気がついたのであれば、同じような体験を得られそうな業務の求人を探します。この場合は、「対人折衝の多い仕事ができる企業」「自身の介在価値を提供できる仕事ができる企業」という軸を設定してみるのも良いでしょう。
ステップ3. 設定した軸を基に仕事(求人)を探し、興味を持った企業について調べる
気になる求人を見つけたら、会社説明会に参加し、実際にその企業でどのような仕事をするのかを調べましょう。会社説明会では、仕事選びの軸の選定基準と照らし合わせ、「自分の希望を満たせそうか」をチェックしながら話を聞くのがオススメです。自分のどんな特性・スキルを生かしながら働けるかもチェックすると良いでしょう。
ステップ4. 選考を進めながら優先順位をつけ、選定基準をより明確にする
就活を進めていくと、自然と同じ職種の求人でも企業ごとに優先度や志望度が変わります。「どうして同じような仕事内容なのにA社よりもB社でより働きたいと感じるのか」といった理由を洗い出し、選定基準をより明確化することが大切です。A社とB社の違いに注目しながら、企業研究と職種研究を絡ませていくと、より自分らしく働ける仕事選びの基準が明確になっていくはずです。
仕事選びをするときの注意点
ユーザー・消費者としての嗜好(しこう)だけで決めない
前述の通り「興味が持てるか」は、仕事選びの重要なポイントです。ただし、その興味はどこに由来するものなのかを、もう一段深堀りすることも大切。ユーザーや消費者として好きだからという観点だけで判断するのは避けましょう。
例えば、「文系だし食べることが好きだから食品会社の営業職を志望しよう」という考え方で仕事を選んでしまうと、実際の業務は食べることではなく、商品を売ることにフォーカスしているため、ミスマッチが起きかねません。売り場拡大のために、商材を社用車に積んで頻繁に販売店に通い交渉を重ねるなどの「仕事内容」にきちんと興味が持てるかどうかを大切にしましょう。
仕事選び・基準探しに迷ってしまった就活生へ、就活のプロからのアドバイス
最後に、本記事を監修したリクナビ就職エージェントのキャリアアドバイザー、八下田 護(やげた・まもる)さんに、仕事選びの判断基準に迷ってしまった就活生へアドバイスをもらいました。
仕事選びに自信を持てない、軸や判断基準を決め切れない場合のアドバイス
就活では、企業を選ぶ基準を1つに定める必要はありません。そして、最初から最後まで1つの基準だけを頼りに就活を進めなければいけないわけでもありません。「途中で変わってもいい」「今はまだ100パーセントしっくりこなくてもいい」と思いながら、最初は気楽な気持ちで探してみましょう。就活を進めるうちに見えてくるものがあるはずです。
就活を進めていても、自分なりの基準が何も見つからない場合のアドバイス
自分1人で考えていると、本当は気がついている、感じていることがあるのに、言語化できないというケースは少なくありません。こういったときは、誰かに話すことで気持ちや考えを整理してみましょう。
家族や友人、先輩などに相談するのが気恥ずかしい場合には、就活のサポートをする私たちのような就職エージェントを頼ってください。リクナビ就職エージェントは、単に企業を紹介しているだけではありません。それももちろん大切な一つのサポートではあるのですが、学生が頭の中で考えていることを一緒に整理し、頭の中ではまとまっているけれどまだ言語化できていないことを言語化するようなサポートもマンツーマンで行っています。そうして言語化した就活の軸や仕事探しの軸を基に、そこにひも付く仕事と企業を一緒に探し、優先順位をつけながら企業選定をして選考を進め、内定につなげていくためのサポートもしています。
そもそもやりたいことがない場合のアドバイス
初回の面談でお話をうかがうと、「やりたいことがないです」「どんな仕事でもいいです」という思考の学生は、実は少なくありません。その感情を否定するつもりはないですし、恥ずかしがる必要もないと思います。ただ、この後の人生で長い時間を費やす“働く”場面で、少しでも楽しい要素、やりがいを感じる要素がある方が幸せじゃないかな、と考えています。だからこそ、そんな方は早めに私たちのような就職エージェントのサポートを受けてもいいかもしれません。一緒に自分らしくいられる仕事・環境を探しましょう。
リクナビ就職エージェントへの相談は、就業意欲さえあれば大丈夫!その人に合っている仕事と企業を探して、内定までサポートするのはキャリアアドバイザーの仕事です。安心して気軽な気持ちで相談に来てみてください。
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『リクナビ就職エージェント』は就活を無料で支援するサービス。
会員登録後、専任のアドバイザーが個別に電話相談を行い、あなたの希望や適性に合う企業選びを一緒に考えます。
エージェントだからこそできる求人情報の紹介、面接アドバイスやOpenESの添削なども行っています。
プロフィール 八下田 護(やげた・まもる)
リクナビ就職エージェントのキャリアアドバイザー。新卒で入社した旅行代理店では、ハネムーンや退職旅行など、“人生の節目でのサポート”にやりがいを感じ、さらに多くの人々が直面する就職の場面でのサポートができればと、株式会社リクルートへ中途入社。現在は大学生・大学職員に向けたキャリア支援を行っている。