企業の採用面接で「動画面接・動画選考」を導入する企業の狙いはどこにあるのでしょう?また、何か特別な準備は必要なのでしょうか?今回はWeb面接サービス運営会社に取材を行い、動画面接・動画選考の最新事情や準備法についてご紹介します。
プロフィール
野澤 比日樹(のざわ・ひびき)Web面接サービス「HARUTAKA(ハルタカ)」運営会社・株式会社ZENKIGEN代表取締役社長。1998年、総合人材サービス会社に新卒入社。1999年、大手IT系広告代理店に入社。2011年、ソフトバンクグループの社長室に入社。2017年10月、株式会社ZENKIGENを創業。
動画面接・動画選考とは?
動画面接・動画選考とは、Web上で動画を用いて行う採用面接の選考方法のことです。録画した自撮り動画を送信したり、オンラインでリアルタイムに面接を行ったりします。特定の時間・場所で実施する従来の面接に比べて時間・場所の制約が少なく、近年、広がりを見せています。
動画面接・動画選考のメリット&デメリットとは?
就活生側のメリットとデメリットをそれぞれ解説します。
メリット
●時間や場所にとらわれない
動画面接・動画選考には録画式とライブ式があります。録画式であれば時間に関係なく、ライブ式なら応募者の住んでいる場所に関係なく都合を付けやすいのが特徴です。
移動時間を節約でき、アルバイトや学業に忙しい中でも都合が付けやすい。ほとんどの学生がスマートフォンを持っていて自撮り慣れしているので、動画の面接に抵抗感が少ないことも追い風になっています。
●何度でも撮り直せるので安心
自宅で撮影でき、納得するまで何度でも撮り直し可能な録画式の動画面接・動画選考。ですから、対面の面接だと緊張してしまう学生でも、納得いくまで練習したり撮り直したりしたうえで面接に臨むことができます。
デメリット
●撮影の工夫が必要
就活生の中には撮影時の写りをまったく気にしない応募者がいます。映像が暗く、表情が見えづらい動画になると、採用企業側に残念な印象を与えてしまうので、写りには気をつけましょう。
録画式とライブ式の違いとは?
●録画式
スマートフォンなどで録画した動画データを企業に送信します。自己PR等を1分程度で収録する企業が多いようです。撮影は何度もやり直せるので、緊張しやすい人も本来の自分をアピールしやすくなります。
●ライブ式
学生と企業側で面接日時を事前に調整し、オンラインで動画面接・動画選考をリアルタイムに行う方式です。専用の動画面接ツールを使う場合もあれば、Skype(スカイプ)など一般的なインターネット電話サービスで行われる場合もあります。基本的には画面を通して行う以外、対面の面接とほとんど変わらないと思って良いでしょう。スマートフォンでライブ式の動画面接・動画選考を行う場合には途中で切れることがないよう、通信状況に気をつけましょう。
どんな業種・企業が動画面接・動画選考を導入している?
録画式とライブ式の使い分けは?
全体として会社の規模や業種にかかわらず、「新しい取り組みに対して積極的で先進性を求める企業」が多く採用する傾向にあります。
録画式とライブ式の使い分けはどうしている?
新卒採用の場合は録画式とライブ式の両方を併用する企業が多いです。中途採用の場合は面接にかける時間的・距離的なコストを効率化し、スキルマッチを重視した選考を行うためにライブ式の動画面接・動画選考のみを行うことが多いのに対し、新卒採用は人柄や社風とのマッチ度を重視する傾向が強いため、録画式動画を複数人でチェックするケースが多くなっています。
企業によっては、
- エントリーシート提出後、書類選考通過者に対して動画面接・動画選考を行う
- 最初からライブ式での動画面接・動画選考を行う
- 最初からエントリーシートと録画式動画を併用する
- エントリーシートはなく、録画式とライブ式だけで選考する
- 応募者の学生に録画式とライブ式を選ばせる
- 地方の応募者だけライブ式動画面接・動画選考を行う
などの方法を選び、狙いと目的、考え方によって使い分けています。例えば、「録画動画ではいい面が出せていたのにエントリーシートではいまいち」というような学生もいるので、両方を見てくまなく選考する企業もあります。
動画撮影時のポイントとは?
動画面接・動画選考の際に注意したいNGポイントには以下のものがあります。
- 映像が暗く見えない
- 周囲の音が大きく声が聞こえない
- 撮影に適していない場所での撮影(部屋が散らかっているなど)
撮影する時は「自分」ではなくカメラを見ること
特に盲点なのが「視線」です。スマートフォンで自撮りするときは、どうしても画面の中の自分を見て話してしまいがちです。するとカメラは通常上部に付いていますから、視線がうつむいているように見えてしまいます。伏し目になっていると、表情が暗い印象を与えてしまいます。撮影時は画面の中の自分を見ないでカメラを見て録画するように注意しましょう。
そのほかは、対面での面接と注意点は同じです。話のポイントを整理し、事前によく練習しておくと良いでしょう。
企業によってはフリップを使ったり、テロップを入れたりして視覚的にアピールするのも有効です。
取材協力:HARUTAKA https://harutaka.jp/
文:山岸裕一
撮影・編集:鈴木健介