就活で聞かれる「学生時代に最も打ち込んだこと」って、何をどう答えれば良い?

エントリーシート(ES)や面接で聞かれることが多い「学生時代に最も打ち込んだこと」。以前に内定者500人に実施したアンケートでは、8割を超える先輩たちが「就活中に聞かれたことがある」と答えています。(【内定者500人に聞いた】ES・面接のガクチカ、どんなエピソードを、どう伝えた?)では実際に「学生時代に最も打ち込んだこと」を問われた場合、何をどう答えたら良いのでしょうか?キャリアアドバイザーの瀬戸さんに聞きました。

瀬戸良祐プロフィール写真プロフィール瀬戸良祐リクナビ就職エージェントのキャリアアドバイザー。主に理系学生を担当。学生が自分らしさを理解し、納得感のある就職活動を実現するためにリクルートキャリアに入社。趣味はサッカー・サウナ。好きな食べ物は焼肉。
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企業は何のために「学生時代に最も打ち込んだこと」を聞く?自分の何を伝えるべき?

企業は「学生時代に最も打ち込んだこと」の内容よりも、
背景にある「思い」が知りたい

まず、企業が学生に「学生時代に最も打ち込んだこと」を聞く意図とは何なのでしょうか?
瀬戸さんは「力を入れて行動したことの背景にある『思い』や『原動力』から、その学生の人間性を理解するためだと考えています」と解説します。

そもそも企業が面接をするのは、応募者が自社の社風にマッチして、十分に力を発揮できるかどうかを見極めるため。「学生時代に最も打ち込んだこと」に込めた思いや、原動力になったものから見える人柄で「この人は我が社に合っている」「長く活躍してくれそうだ」と企業は判断するのです。

「ですから、バイトでもサークルでも趣味でも、自分が学生時代にいちばん『思い』を強く持って取り組んで来たことが『学生時代に最も打ち込んだこと』にふさわしいテーマになります。たとえば感謝の気持ちだったり、物への愛情だったり、向上心だったりとさまざまですが、そうした思いが強い行動には、人柄が良く表れるんです」と瀬戸さんは言います。

その中で課題を克服するために、何を原動力としてどんな行動をしてきたのかが、仕事で活かせる「強み」となり、企業へのアピールになるとのこと。

講義を受ける学生

エピソード自体は普通でもOK。
自分を動かした「源泉」への掘り下げが肝心!

「ところで『学生時代に最も打ち込んだこと』では、めざましい実績や凄いエピソードが求められていると思っている学生も多いようですが、そうしたことは全く必要ありません」と瀬戸さん。

もちろん、大会で優勝するなどの成果に繋がった「学生時代に最も打ち込んだこと」が高く評価されることもありますが、それは実績に対してではなく、そのために起こした行動や思いなど、あくまでもプロセスに対する評価です。

「たとえば、アルバイトでリーダーを務めた経験がなければ『学生時代に最も打ち込んだこと』にならない訳ではありません。組織の中でのリーダー的役割には、人を引っ張るだけでなく、下から支えたり、人を繋ぐハブとなったり、環境を整えるなどいろいろなものがあります。自分が何を考え、どんな行動をしていたかを掘り下げていけば、企業に対してもしっかりアピールできると思います」(瀬戸さん)。

「また、学生時代に最も打ち込んだことのエピソードは他人と類似していても気にすることはありません」と瀬戸さん。

たとえば、塾の講師を頑張って生徒の成績を上げたエピソードの場合、ある人にとっては「数値目標の達成」がやりがいだったとしても、別の人にとっては「生徒の喜ぶ顔を見ること」が原動力だったかもしれません。「たとえ同じ行動でも、その背景には1人ひとりの価値観があり、そこが人とかぶることはないはずです。その原動力となったことこそが企業の最も知りたい部分ですから、『なぜそうしたのか』を自分の過去の経験まで遡って、行動の源となった源泉を掘り下げておくことが大事ですね」と瀬戸さんは言います。

それでも「学生時代に最も打ち込んだこと」が見つからない。どうやって見つける?

「自分が一番時間を使ったこと」を糸口にしてみよう

それでも自分には「学生時代に最も打ち込んだこと」が全然見つからない場合はどうしたらよいのでしょうか?瀬戸さんのアドバイスは、「今まで一番時間を使ってきたこと」を糸口にして考えてみること。それはマンガを読むことでも、友達と遊ぶことでも、旅行に行くことでもかまわないそうです。

「たとえばマンガを毎日10冊読んでいるとある学生は、それを何年も継続した結果、マンガを通じてものすごく豊富な知識を蓄えていました。また、読み終えた小説の続きをいつも考えている学生もいましたが、話をよく聞くと、発想力がとても研ぎ澄まされていることが分かりました」(瀬戸さん)。

このように、好きなことに多くの時間をかけて打ち込めるタイプの人の場合、自分にとっては「好きだから当たり前」だと思っていた普段の行動が、実は他人から見ると良い意味で「すごいこと」である場合も多いのです。

一見ネガティブな行動も、深掘りすれば「強み」に変わる

「企業に好意的に評価されそうな行動をしてきた自信がない」という人も、物事には必ず表と裏があるもの。深掘りしていけばポジティブな側面がきっと見つかるはずです。

「たとえば『自分は団体行動が苦手で、独りでいることが多かった』という人も、ポジティブな側面が見いだせるはずです。もし独りで図書館にこもって本を読む時間が長かったのだとしたら、知的好奇心が人並み以上に旺盛なのかもしれません。また『アルバイトを次々と変えた』人は、仕事を覚えるのが早いとか、チャレンジ精神が非常に旺盛だと言い換えることもできます」(瀬戸さん)。

こうした自分の隠れた強みは、他人から指摘されない限りなかなか気づけないものです。「学生時代に最も打ち込んだこと」が見つからないと悩んでいる人には「他己分析」が効果的。「友達や親などの身近な人は、自分とは違うあなたの良さを指摘してくれるでしょう。就活エージェントのキャリアアドバイザーは相談に乗ってくれますし、大学のキャリアセンターでも、ESの相談にのってくれるところもあります。ひとりで悩まずにぜひ話してみて欲しいと思います」(瀬戸さん)

「学生時代に最も打ち込んだこと」を通じて企業にアピールするためのコツは?

ESに書く時はひとつのエピソードに絞って具体的に書こう

具体的に「学生時代に最も打ち込んだこと」をESに書く時のステップは以下の通りです。目標達成のために何を考えたかという部分で、その理由として自分の思いや原動力になったものを加えると、読み手に伝わりやすくなります。一般的に求められる文字数は300〜400字くらいなので、エピソードはひとつに絞り、できるだけ具体的に書くようにしましょう。

(概要)私が学生時代に力を入れたのは〇〇です。
(課題)そこでの課題点は〇〇でした。
(目標)そこで〇〇しようと考えました。そう考えた理由は〇〇です。
(行動)実際に〇〇という行動を起こしました。
(結果)〇〇を達成し、社会人になっても活かせる〇〇を学びました。

また「学生時代に最も打ち込んだこと」に書くエピソードは、「自己PR」とは違うものにするのがベターです。
「なぜなら、企業が学生に求める資質はひとつではないため、矛盾しない範囲で多面的な自分を見せた方がアピールになるからです」と瀬戸さん。もし同じテーマを使う場合は、それぞれ違う強みにフォーカスするようにしましょう。

エピソードと「強み」を結びつけるアプローチをしよう

「学生時代に最も打ち込んだこと」を企業に伝える時は、単に「頑張りました」ではなく、その時自分が発揮した力=強みを具体的な言葉で表現できれば、より説得力のあるものになります。

強みをどんな言葉で表現していいか分からない時は、自己分析について書かれた本や企業の資料から、仕事に必要とされる能力をどんどん書き出してみましょう(下例)。

このリストから、自分のエピソードに当てはまる強みを見つけることで、より説得力のある表現が可能になります。逆に「自分の強みは〇〇だから、〇〇を発揮した時のエピソードを選ぼう」というアプローチもできます。

 

●「学生時代に最も打ち込んだこと」でアピールできる「強み」の一例
【人に対する力】 気配り・プレゼンテーション力・調整力・協調性・真面目さ……
【自分を管理する力】 粘り強さ・ストレス耐性・継続力・実行力……
【課題に向かう力】 企画力・提案力・課題設定力・論理的思考能力……

ただし、企業が求める人物像に「学生時代に最も打ち込んだこと」を無理に寄せるのは考えもの。「就活のゴールは内定をもらうことではなく、自分が活躍できる企業とマッチングすること。無理に企業に合わせて採用されても、ミスマッチが起きれば入社後に苦労することになります。面接ではありのままの自分で臨み、企業側に判断してもらうというスタンスがいいと思いますね」(瀬戸さん)。

「学生時代に最も打ち込んだこと」で言ってはいけないNGエピソードはある?

「仕事で活かせる力」に繋がれば、必ずしもNGではない

ところで、自分の中では「学生時代に最も打ち込んだこと」でも、就活に相応しい内容かどうか迷うケースがあります。たとえばギャンブルや恋愛、TVゲーム、アイドルの追っかけなどを頑張ったエピソードは、ESや面接で答えていいものでしょうか?

瀬戸さんは「あくまでもケースバイケースですが、受ける業界や企業が求める人物像に繋がるのであれば、それもありだと思います」と言います。

「過去に『自分はパチンコを頑張りました』とアピールする学生がいました。最初は驚きましたが、話をよく聞くと、目標を立て、友達を巻き込み、利益を上げるために戦略的にロジックを組んで、非常に高いレベルで取り組んでいました」と瀬戸さん。最終的に学生はそのエピソードで就活に臨み、志望企業に内定したといいます。

リスクを知った上で、受け入れてくれる企業を探すならOK

「たとえばIT業界ではギークな人材を歓迎する会社もあり、学生時代はTVゲームに熱中していたとアピールしても好意的に応対してくれるようです。一方で、恋愛は仕事に繋げるイメージがないので難しいのですが、強みとして活きるエピソードがあれば、出してみてもいいかもしれません」と瀬戸さん。

ただし、ある程度のリスクがあることは頭に入れておいて欲しいと言います。
「ギャンブルやゲーム、アイドルなども問題ないと思いますが、偏見を持っている人もいたりするのでリスクはあります。それでも無理に偽ったりするよりは、リスクをとってでも、自分らしく話せるテーマを選択したほうが良いかもしれません。」(瀬戸さん)。

まとめ

キャリアアドバイザーとして活躍する瀬戸さん自身も、就活時に「学生時代に最も打ち込んだこと」が見つからず悩んでいた時期がありました。「でも社会人の先輩に『自信のもてるエピソードがないなら今から作ればいい。今から山に登ればいいし、毎日走ればいいよ』と言われて吹っ切れました」と振り返ります。「何もない」と悩んでいる時間があるなら、今から何かを頑張るのもひとつの方法かもしれません。
ぜひ自分の思いが詰まった、自分らしい「学生時代に最も打ち込んだこと」を見つけてください!

文/鈴木恵美子
編集・撮影/鈴木健介

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