“文具王”に聞いてみた!履歴書のためのボールペン選び&オススメ5選

就活で履歴書やES(エントリーシート)を書くときに、なくてはならないボールペン。ちょっぴり字に自信がなくても、スラスラと書けて筆跡をきれいに見せてくれる、相性のいいボールペンがあれば気分が上がるものですよね!
そこで“文具王”としてメディアやイベントで活躍中の文具評論家・高畑正幸さんに、履歴書のボールペンを選ぶコツと使いこなしテクニック、さらに就活にオススメのボールペンを教えていただきました。税別200円以下で買えるお気に入りペンをぜひ見つけましょう!

高畑正幸さんプロフィー画像プロフィール高畑 正幸(たかばたけ・まさゆき)1974年、香川県丸亀市生まれ。図画工作と理科が得意な小学生をやめられず今に至る。
テレビ東京の人気番組『TVチャンピオン』全国文房具通選手権に出場。1999年、2001年、2005年に行われた文房具通選手権に3連続で優勝し「文具王」と呼ばれる。文具メーカー・サンスター文具にて13年の商品企画・マーケターを経て退職後、同社とプロ契約。
文房具の情報サイト「文具のとびら」の編集長を務め、個人でもYouTuberとして文具情報を日々発信している。2007年より、きだてたく、他故壁氏と共に、文房具のトークユニット「ブング・ジャム」を結成。各種文具イベントを行う。

【選び方初級編】ゲルインク・0.5ミリ〜0.7ミリを基準に!

履歴書では「書いた文字が読みやすいか」が大事

ひと口にボールペンといっても多くの種類があり、それぞれに違いがあります。インクの種類、線の濃さや太さ、滑りの良さ、乾きやすさ、その人の書き方のクセや筆圧・紙との相性も千差万別。ですから、それぞれの要素に詳しくなる必要はなく、やはりお店で実際に書いてみることが商品選びの一番の近道です。

ただ、普段使いのボールペン選びと決定的に違うのは、履歴書には読む相手がいるという点です。企業は時には何千枚という履歴書に目を通すのですから、相手のことを考えると読みやすさが一番大事だと思います。

従って、ボールペンを選ぶ基準も単に自分の書きやすさではなく、書いた文字が読みやすいか、筆跡がより美しく見えるかがポイントです。

幅広くオススメできるゲルインクのボールペン

とはいえ文具売り場にはたくさんのボールペンがあるので、まずはインクの種類に注目を。ボールペンのインクは大きく3つに分けられ、一般的に次のような特徴があります。

  1. 油性インク… 書き味が重め・細めに書ける・にじみにくい・耐水性あり
  2. 水性インク… 書き味が軽くかすれにくい・太く濃く書ける・にじみやすい
  3. ゲルインク… 書き味が軽くかすれにくい・濃く書ける・耐水性あり

この中で初めての履歴書用ボールペンを選ぶのなら、まずは3のゲルインクがオススメです。ゲルインクボールペンは油性と水性の長所を併せ持ち、スムーズに書けてくっきりと発色するので、多くの人が「読みやすい文字」を書くことができるのです。

ただし一部の人には、ゲルインクよりも油性や水性のもので書いた方が文字が美しく見えて、履歴書における武器になる場合もあります。ですから、まずはゲルインクの書き味や文字の見え方を基準として、ほかのボールペンを比較検討してみてはいかがでしょうか。

本番と同じ文字を書いて、太さとバランスを見よう

試し書きをするときに注意したいのは、店頭にある紙に書くのではなく、なるべく実際の履歴書に近い質感の紙を自分で用意すること。ボールペンは紙との相性で字がにじみやすくなったり、ペン先が滑って字が止めにくくなったりする場合があるので、できるだけ本番に近い紙で試すのがいいでしょう。

そして、ただぐるぐると図形などを書くのではなく、名前や住所、最終学歴など、実際に履歴書に書く文字を、できるだけ本番と同じ大きさで書いてみましょう

当然ながら、本当の書き味や字の読みやすさは文字を書かないと確認できません。また履歴書の名前欄はノートの3行分、住所欄は2行分くらいの幅があり、日常的に書く文字よりかなり大きくなります。一般的に大きな文字は太い線で書いた方が見映えがしますから、普段使いより太めの0.5ミリか0.7ミリ、必要なら0.9ミリや1.0ミリも試してみるといいでしょう。

高畑正幸さんインタビューカット

【履歴書シーン別】きれいに見せるボールペン使いこなし術

履歴書は、就活生が企業に最初に見せる顔のようなもの。見やすく、そして最後まで失敗なく書くコツは何でしょうか。ボールペンを上手に使いこなすためのテクニックを高畑さんに聞いてみました。

1.文字の大きさによって太さを使い分けよう

履歴書は欄によって書く文字の大きさが違います。名前はある程度太い文字でないと弱々しく見えてしまったり、自己PRには非常に細かい文字で書く必要があったりします。ですからボールペンは2、3種類の太さを用意して、文字の大きさで使い分けるのがオススメ。その際は線の濃さや色合いがバラバラにならないよう、なるべく同じ商品でそろえましょう

2.太文字やふりがなを使ってアピールしてみよう

もう一段上級のテクとしては、自己PRなどで自分が強調したい文言をほかの部分より太いペンで書いたり、極細のペンでふりがなを付けたりすること。人事担当者の目を引くだけでなく、「この1枚を集中して書きました」「自分の言葉で語っています」という良いアピールにもなると思います。

3.下書きをする場合は、道具をそろえて試してみよう

履歴書の下書きをする人も多いと思いますが、まずはやわらかめの鉛筆でごく軽く書くことが大事。強く書いて紙が凹むと、油性インクが乗らない、水性インクが弾かれるといった可能性もあります。また、後で消しゴムをかけたときにインクがビュッと伸びてしまったり、文字全体が薄くなったりすることもあり、注意が必要です。
これらは紙や鉛筆との相性もあるため、一概にボールペンに原因があるとは言えません。ですから本番を書く前には、すべての道具をそろえて一度試してみることをオススメします。

【文具王セレクト】税別200円以下で買えるオススメボールペン5選

履歴書を書く手元

それぞれが個性的。文字でアピールできるものを探そう

では、実際の商品にはどのような違いがあるのでしょうか。今回、高畑さんに税別200円以下で買えるボールペンから履歴書にオススメの5商品をセレクトしてもらい、編集部のメンバーが試し書きをしてみました。
うち2名の文字見本とメンバーのひと言コメント、さらに高畑さんからのオススメポイントをご紹介します。ぜひ参考にしてください!

★=コメント者のイチオシボールペン
※価格は、税別・参考価格です。

1.書きやすく読みやすい、オールマイティな「就活ペン」

エナージェルユーロ 170円(ぺんてる)

オススメボールペン「エナージェルユーロ」

  • ゲルインク
  • 太さ 0.35ミリ、0.5ミリ、0.7ミリ、1.0ミリ

エナージェルユーロの商品詳細

【編集部O】

編集部Oの「エナージェルユーロ」試し書き

【編集部N】

編集部Nの「エナージェルユーロ」試し書き

★履歴書にピッタリ!乾きも早い気がします。(編集部O)
・圧倒的な滑らかさ。するすると書きやすい。(編集部N)
★インクがよく出るけど、にじまない。(編集部S)

【文具王のコメント】
就活生なら一度は試したい別名「就活ペン」。抜群に発色が良く、最初から最後までクッキリ黒く、人に読ませる字が書けるペンとして高く評価できます。ゲルインクの中でも速乾性があり、紙が汚れにくいのも◎。まずこの書き味や筆跡を基準にして、ほかの商品を比較してもいいと思います。

【こんな人にオススメ】
とにかくキッチリ文字が書きたい人、丸文字やゴシック体的な筆跡の人。

2.極細でもしっかりした文字。自己PR欄もきれいに書ける

ジュースアップ 200円(パイロット)

オススメボールペン「ジュースアップ」

  • ゲルインク
  • 太さ 0.3ミリ、0.4ミリ、0.5ミリ

ジュースアップの商品詳細

【編集部O】

編集部Oの「ジュースアップ」試し書き

【編集部N】

編集部Nの「ジュースアップ」試し書き

・すごく書き味が良い。細い字がきれいに書けて気持ちいい。(編集部O)
★高級感がある。硬めだけど滑らか。丁寧に書けば一番きれい。(編集部N)
・見た目がかっこいい。書くときに少し力がいる。(編集部W)

【文具王のコメント】
太さ0.5ミリまでの細いペンですが、「シナジーチップ」という独自のペン先により、インクがしっかり出るのが特徴。細書きペンの中では抜群に黒く、強い線が書けます。またペン先が滑りすぎず、思い通りに止めることができる点でも細かい文字を書くのに向いています。

【こんな人にオススメ】
大学指定など記入欄の細かい履歴書を使う人、自己PRなどをたくさん書く人、ふりがなを振りたい人。

3.大切な書類に最適。こすって汚す失敗のない速乾性

サラサドライ 150円(ゼブラ)

オススメボールペン「サラサドライ」

  • ゲルインク
  • 太さ 0.4ミリ、0.5ミリ、0.7ミリ

サラサドライの商品詳細

【編集部O】

編集部Oの「サラサドライ」試し書き

【編集部N】

編集部Nの「サラサドライ」試し書き

★インクの色が濃いけれど、速乾性があって良い。(編集部T)
・サラサラ書きやすく圧倒的な速乾。なめらか。(編集部N)
・乾きがいいが、筆圧が強めだと少しにじみやすい。(編集部S)

【文具王のコメント】
「サラサ」は、書き心地の良さと色の豊富さで学生に大人気のボールペン。中でもこれは乾くのがとても早いインクが最大の特徴です。インクが紙に早く浸透して表面に滞留しないので、書いている最中に紙に触れてしまっても汚しにくい。その意味で、こうした大切な書類を書くのに適しています。

【こんな人にオススメ】
書きながら紙をこすりやすい人、書いた後に消しゴムをかける人、左利きの人。

4.筆圧や持ち方で太さが変わり、メリハリのある字に

ユニボール エア 200円(三菱鉛筆)

オススメボールペン「ユニボールエア」

  • 水性インク
  • 太さ 0.5ミリ(描線幅0.3~0.5ミリ)、0.7ミリ(描線幅0.4~0.6ミリ)

ユニボール エアの商品詳細

【編集部O】

編集部Oの「ユニボールエア」試し書き

【編集部N】

編集部Nの「ユニボールエア」試し書き

字の緩急が付けやすい。(編集部S)
迫力のある字が書ける。細かい字が若干難しかった。(編集部W)
初めての書き味。クレヨンを滑らかにした感じ。(編集部N)

【文具王のコメント】
ペン先ギリギリまで樹脂製で、角度によって紙に触れる幅が変わるため、筆圧や傾け方で線の太さを変えられるのが特徴。トメ・ハネ・ハライに筆文字のような抑揚が付けられ、筆跡の美しさを表現できるボールペンです。水性のため、表面処理されていない紙ではにじみやすいことも。紙との相性を確かめましょう。

【こんな人にオススメ】
字を書くことに自信がある人、筆跡の美しさでアピールしたい人。

5.油性でも黒く滑らか。ペンの動きをきれいに表現できる

アクロボール 150円(パイロット)

オススメボールペン「アクロボール」

  • 油性インク
  • 太さ 0.5ミリ、0.7ミリ、1.0ミリ

アクロボールの商品詳細

【編集部O】

編集部Oの「アクロボール」試し書き

【編集部N】

編集部Nの「アクロボール」試し書き

紙の上を滑る感覚で、油性の安心感がある。(編集部T)
0.5ミリが好き。程よい硬さで、細くてきれいに書きやすい。(編集部N)
するすると書けるが、少しかすれそうになる。(編集部S)

【文具王のコメント】
油性ボールペンの中では抜群に黒く滑らかで、油性の特徴として、本来のボールペンらしい硬派な文字が書けます。強く書く方がきれいな線になるので筆圧が強い人向き。滑りが良い=コントロールが難しいということでもありますが、ゲルインクの文字がゴシック体っぽいのに対し、字が上手な人なら明朝体のようなイメージの文字が書けるペンです。

【こんな人にオススメ】
筆圧が強めでボールペンに慣れている人、比較的大人っぽい字を書く人。

高畑正幸さんインタビューカット

お気に入りの1本を見つけて、自分らしい履歴書を書こう

「今回選んだボールペンは、前半と後半で少し性格が違います」と高畑さん。「1、2、3はきっちり書けて読みやすく、人に伝わる。字に自信がない人もそつなく使えるボールペンです。一方、端正な字が書ける人は履歴書的にも売りになるので、4や5を試してはいかがでしょうか」と言います。
たかがボールペン、されどボールペン。同じ人の字でも印象を大きく変えることがわかります。あなたの個性に合わせて、履歴書を魅力的に見せる1本をぜひ見つけてください。

編集・取材・文/鈴木恵美子
撮影/鈴木慶子

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