【プロが解説】企業研究のやり方・効率的な進め方は?

就活を進める上で、必須とも言えるのが企業研究です。「企業研究の重要性はわかっているけれど、どのようにすればいいのかわからない」「効率良く企業研究を行う方法を知りたい」と考えている就活生に、就活塾を主宰する我究館の立川雄太さんがアドバイスします。

我究館の立川さんプロフィール 我究館 就活コーチ 立川雄太(たちかわ・ゆうた)さんオーストラリアへの留学・学習塾講師やアパレル販売店員など9つのアルバイトを掛け持ちした後「人生の転機にポジティブな影響を与えられる存在になりたい」と決意。
2019年にエン・ジャパン(株)へ新卒入社。人材紹介事業部の営業担当として関西の大手から中小まで300社の担当企業の採用支援に携わる。落ち込んだIT領域の立て直しや積極的な面接対策等の求職者対応を通じて確固たる地位を築く。3年の勤務を通じ、目の前の人の「やりたい」を実現できる仕事に就きたいと考えて上京。2022年、我究館コーチに就任し、300名以上の就活生の支援を実施。
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就活で企業研究が重要なのはなぜ?

企業研究を行う主な理由は2つあります。

1つは、志望動機の説得力を高めるためです。企業研究が不完全だと志望動機の説得力が上がらず、選考での評価につながらない可能性が高まってしまいます。

もう1つは、入社先とのミスマッチを防ぎ、入社後に自分が活躍できる場所を見つけるためです。入社した企業で充実感を持って働いていくためにも、企業研究は怠らないようにしましょう。

企業研究と業界研究の違いは?

企業研究をする上で、知っておきたいのが業界研究との違いです。

大きな違いは、その目的にあります。前述の通り、企業研究は志望動機の説得力を高め、入社後に自分が活躍できる場所を探すためのもの。一方の業界研究は、自分に合う企業を効率的に見つけるためのものです。

日本には360万を超える数の企業が存在し、その中から志望先を1社ずつ選んでいくには、膨大な時間がかかります。そこで、数ある日本の企業を分類するために設定されている“業界”に注目してみましょう。同じ業界では、ビジネスモデルや取り扱う商材、顧客、営業の仕方、社風、活躍する人材の特徴、退職理由の特徴などに類似点が見られます。

業界に注目することで、企業探しを効率的に行うことができます。具体的には、まず業界研究を行い、ある程度自分が志望する方向性を明らかにする。そして、興味を持った業界に所属する企業を調べていく、というのが効率的な企業研究の仕方です。

要は、絞り込みをかけるのです。もちろん、同じ業界でも企業ごとに違いはあります。そのことを認識した上で、企業研究に業界研究を活用しましょう。

関連記事:業界研究のやり方・ポイントを徹底解説!

企業研究の仕方とポイント

具体的には、次の3つのステップで企業研究を進めていきましょう。

【ステップ1】自己分析を利用して、就活の軸を定める
【ステップ2】自分の就活の軸に当てはまりそうな情報(根拠の仮説)を、志望企業のHPから探す
【ステップ3】ステップ2で立てた仮説を、社会人訪問や会社説明会、面接最後の質問タイムで確認する

この進め方には2つのメリットがあります。

1つは、志望動機につながることです。志望動機として自分の就活の軸がその企業で実現できると考えた根拠を明確に伝えることができれば、企業にも納得してもらいやすくなるでしょう。言ってみれば、企業研究は志望動機を見つけるためのフローなのです。

そして、志望動機には説得力が必要です。企業ホームページに書いてある情報ばかりを伝えても、担当者の心には響きません。説得力のある志望動機にするには、ステップ2とステップ3を実践し、自分の就活の軸に合う根拠をどのように実現できるのかを、その企業で働く人の声を聞いて確かめることが重要です。

このようにして得た情報は、自分独自の情報となります。そして、自分独自の情報で肉付けした志望動機には説得力が生まれるのです。

2つ目のメリットは、自分の志望度を適切に測れることです。自分にとって第一志望となる可能性が高いのは、「就活の軸に合う根拠の仮説を立て、志望企業のHPをチェックする → 実際に話を聞く」というステップを踏んで志望度が上がった企業です。

自分にとって譲れない基準を定め、その基準に合う根拠を探すことに集中すれば、本質的に自分に合った企業を見つけることができるでしょう。

関連記事:マインドマップで自己分析をする方法|書き方例、企業探し・ES準備への活用法も紹介

企業研究の内容はどうまとめればいい?整理術を紹介!

企業研究の内容は、表計算ソフトなどを利用して整理するのが効率的です。次の参考例のように、横軸に自分の就活の軸を、縦軸に志望企業を入力しておくと、興味度順に並び替えたり、魅力を感じたポイントなどを比較するのに便利です。

企業研究のやり方整理術の参考例

自分の軸を中心に企業研究を行うことは、選考準備やミスマッチ防止にもつながります。実のところ、自分の就活の軸に合っているかどうかの情報以外は、それほど重要でないものが多いです。

効率良く企業研究を進めるためにも、自分の就活の軸を中心に情報収集・整理を行いましょう。

【各項目のポイント】

[自分の興味度]項目:
ここは感覚的な採点を記入します。情報収集後の更新も可能です。必要に応じて、フィルターを使って興味度順に並び替えましょう。

[自分の就活の軸] 項目(※参考例では軸1~軸3):
就活の軸の数だけ列を作成し、各項目に点数、+(プラス)ポイント、-(マイナス)ポイントを記入します。わからないところは空欄で構いません。

[メモ] 項目:
就活の軸以外に何か記入しておきたいことがあれば、メモに記載します。
例)就活の軸以外で良いと思った点や嫌だと思った点など

会社説明会・合同企業説明会に参加することもおすすめ

都会のビル群見上げ
Photo by PIXTA

企業研究についてはさまざまな見解がありますが、個人的には、企業のHPを隅々まで暗記したり、IRを見たりすることは効率的ではないと考えています。

HPに書かれている情報というものは、どうしても企業側が伝えたいことが中心になっています。必ずしも自分の欲しい情報が掲載されているとは限らず、それだけでその企業で働くイメージを持つことは難しい、と言わざるを得ません。

HPやIRは、自分の就活の軸に合う情報を探すツールの1つと考えて利用しましょう。

その上で、企業研究の一環としておすすめしたいのは、会社説明会(オンライン形式含む)や合同企業説明会に参加することです。

先ほど述べたように、企業研究は志望動機を見つけるためのフローとも言えます。しかし、企業ホームページなどでどんなに企業をリサーチしても、それだけで志望度を上げるには限界があります。

そこで、実際に話を聞きに行くことで、効率的に企業研究を深めるのです。

企業説明会では、次のような手順で気になる企業を見つけ、研究材料にしましょう。気になった企業を自分なりに採点し、良かったポイントや悪かったポイントを比較することで、研究材料の質も上がっていくと思います。

【1】まずはフラットな気持ちで、目についた企業の説明に参加してみる
【2】聞き終わったら、その企業について100点満点で何点かスコアを付ける
(スコアは基準を考えずに感覚的な採点でOK)
【3】説明を聞いた企業について、良かったポイントと悪かったポイントをメモする
【4】最低5社について、【1】~【3】の作業を繰り返す
【5】良かったポイントと悪かったポイントの共通点を洗い出す

ここで行ってほしいのが、以上のような手順で集めた情報を自分で分析するだけでなく、身近な大人(保護者やキャリアセンターの職員、就職した先輩など)に見てもらうことです。

フィードバックを得たり、その特徴を持つ業界や企業などのアドバイスをもらったりすれば、企業研究はより深まっていくでしょう。


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取材・文/笠井貞子

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