就活中の恋愛事情に悩む皆さんへのアドバイス

就活と恋愛を両立しようと思っても、そこに難しさを感じる学生は少なくないようです。忙しくて二人の時間がつくれなかったり、相手の就活が気になってしまったり、つらい気持ちをわかってもらえなかったり…。

「どうすれば乗り越えられるの?」「やっぱり、どちらかを優先しなくちゃダメなの?」

そんなお悩み相談を日ごろからよく受けているという、就活塾を主宰する我究館の立川雄太さんに、お悩みケースに合わせた対処法を教えてもらいました。

我究館の立川さんプロフィール 我究館 就活コーチ 立川雄太(たちかわ・ゆうた)さんオーストラリアへの留学・学習塾講師やアパレル販売店員など9つのアルバイトを掛け持ちした後「人生の転機にポジティブな影響を与えられる存在になりたい」と決意。
2019年にエン・ジャパン(株)へ新卒入社。人材紹介事業部の営業担当として関西の大手から中小まで300社の担当企業の採用支援に携わる。落ち込んだIT領域の立て直しや積極的な面接対策等の求職者対応を通じて確固たる地位を築く。3年の勤務を通じ、目の前の人の「やりたい」を実現できる仕事に就きたいと考えて上京。2022年、我究館コーチに就任し、300名以上の就活生の支援を実施。
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就活中の恋愛は工夫次第で両立可能!

――まずはズバリ核心の部分をうかがいますが、「就活と恋愛の両立」は可能でしょうか?

立川さん:僕の個人的な見解では、可能だと思います。これまで指導してきた学生たちも、工夫して就活と恋愛を両立しているケースが多いですね。就活を頑張って、デートもして、さらにアルバイトまで辞めずに続けている学生もいますよ。

――自分自身の工夫次第ということですね。就活と恋愛を両立するための秘訣(ひけつ)はあるんでしょうか?

立川さん:両立に悩んでしまう学生は、まず「タスク管理」ができていない可能性があります。

例えば、忙しくて会う時間がない場合でも、毎日24時間、休みの日まで就活に時間を使っているわけではないですよね。

「エントリーシートはこの時間帯に作成する」「自己分析はこのツールを使っていつまでにやる」「面接練習は友達と約束してこの日にやる」など、きちんとタスク管理をして計画的にスケジュールを立てておけば、それ以外の時間はほかのことに使うことができるはずです。相手に会う時間もつくれるでしょう。

――なるほど。タスク管理ができていない場合は、「就活が進まないこんな状態の中で、相手と会ってしまっていいんだろうか」と、モヤモヤしてしまうものですよね。そうなると、どちらにも身が入らず、時間だけが過ぎていってしまうわけですね!

立川さん:もう一つ、大事なことは「ルール決め」をきちんとしておくことですね。相手と一緒に「週末のうち1日は会う」「SNSでのやりとりの頻度を決めておく」など、先にルールを決めておく。そうすれば、相手の反応に一喜一憂してモヤモヤすることもなくなり、就活に集中しやすくなると思います。

――「就活を大事にするために別れた方がいいのか」と考える学生もいますが、これはどうでしょうか?

立川さん:これも個人的な見解ですが、就活で忙しいことだけを理由に別れる必要はないと思います。基本的に就活の期間は普段より忙しいものですが、それでも「最低限、これくらいならできる」というポイントを見つけることはできます。

例えば「2週間に1度は会う」「1日に1度はSNSメッセージを送る」などはできるはずです。就活と恋愛を両立するためには、無理なく関係性を続ける方法を考えた上で、相手の同意を得ることが第一です。

――互いに同意できる「ルール決め」をする。就活中の恋愛にはそれが大きな鍵となるんですね。

以降は、よくある就活中の恋愛のお悩みケースに対し、立川さんからのアドバイスを紹介していきます。

お悩みケースその1:就活で忙し過ぎて二人の時間が取れない

立川さん:先にもお話しした通り、まず自分で就活のタスク管理とスケジュール管理をすることが大事です。その上で、「週に1回、会えたら会う」「会えない場合は電話する」などのルールを決めるといいでしょう。

会う日程や連絡を取るタイミングは、お互いに都合を付けやすい曜日や時間を予想して決めることをお勧めします。

基本的に、平日の夜の19時以降や土日などの週末には、会社説明会や面接選考などが入ることはないはずです。アルバイトなど、そのほかの予定も含めて、無理のない日程を考えることが大事です。

とはいえ、エントリーシートの締め切りが重なる時期や、面接選考が重なって疲れてしまう時期などもあるので、時期に合わせてルールを変更していくことも必要ですね。

また、「SNSのメッセージをすぐに返さないこと」がきっかけでケンカに発展してしまうケースもあります。忙しくなる時期には返信が遅くなることもあるので、「メッセージには必ずその日のうちに返信する」などのルールを決めておくこともお勧めです。

どんなに忙しくても電車移動の時間などを使えば返信することくらいはできるもの。返信を忘れてしまいがちな場合は「このタイミングで返信する」などの自分ルールを決めるといいでしょう。

就活はいつが一番忙しいの?

立川さん:人にもよりますが、4年制大学の場合は、大学3年生の春ころからインターンシップ応募などが始まります。3年生の後半から4年生の前半に掛けて、会社説明会への参加、エントリーシートの作成と企業への応募、面接選考などに進みます。

思うように就活が進まない場合は、新たな企業に応募するためにエントリーシートを作成することも必要です。4年生の夏ごろまでに内々定を得て就活を終了するケースが多いので、3年生の後半から4年生の前半までは忙しくなると考えた方がいいでしょう。

お悩みケースその2:お互いの就活状況が気になってギスギスしている

立川さん:これについては2つのケースがあります。就活がうまくいかずに相手がピリピリしているケースと、相手の就活がうまくいっていることに対し、焦りやねたみを感じたりしてしまうケースです。

相手がピリピリしている場合には、まず、「それでもこの人が好きなのか。別れたくないのか」を考えてみましょう。別れたくない場合は、正直にその気持ちを相手に伝えた上で、「お互いの就活の話はしない」などのルールを決めるといいでしょう。

相手の就活状況に焦りやねたみを感じてしまう場合も、自分の気持ちに向き合い、「自分が出遅れているように感じて悔しい」などの正直な気持ちを言葉にしてみましょう。その上で、開き直って相手にサポートしてもらうのもいいですし、ほかの人を頼って相手に追いつくために頑張るなどの方法もあります。

そもそも相手の就活状況を気にしない方がいいの?

立川さん:物事は気にしないようにすればするほど、気になるもの。ですから、「気にしている」ということを自ら認めてしまった方がいいと思います。

自分の気持ちを隠してモヤモヤしたままでいれば、いつまでもそこについて悩み続けてしまいます。「気にしている自分がいるから、これからどうするか考えよう」と、一度認めた上で次の行動を考えれば、きっといい方向性に向かうことができますよ。

お悩みケースその3:年下の相手が、のんきに遊んでいる姿が腹立たしい

立川さん:相手が年上・年下の場合は、自分と同じ就活生ではないため、これまでと変わらずに遊びに出かける姿などに腹を立ててしまうケースがあります。

例えば、同じサークルに所属している場合などは、サークルの仲間との飲み会写真がSNSにアップされているのを見て、「自分はこんなに大変なのに」と腹が立ってしまうということもあるようです。

こうした場合も、「相手のことが好きなのか。別れたくないのか」をまず考え、「別れたくない」という自分の気持ちと状況を伝えるといいでしょう。

また、「就活が忙しい今の時期だけ、SNSに遊びに出かけた写真をアップしないでほしい」など、どうしてほしいのかを考えて相手に伝えたり、「SNSを見ないようにする」などの自分の中でのルールを決めたりすることも大事です。

年上・年下の相手と関係性を悪くしないコツは?

立川さん:相手が就活生ではない場合は、就活中の忙しさや精神的なつらさを共有できないため、「わかってくれない」といういら立ちを感じることも少なくはないでしょう。

そのような場合は怒りをためるのではなく、その都度、「これから忙しくなるから、しばらく連絡を取れなくても許してほしい」「今はつらい時期だから、就活のことは聞かずに黙って甘えさせてほしい」など、自分の状況を伝えると同時に「相手にしてほしいこと」についてお願いすれば、関係性も悪化しにくいはずです。

お悩みケースその4:就活に集中したいのに、相手からのSNSメッセージが止まらない

立川さん:就活中のSNSでのやりとりは、たくさん送られる側も、送ってから返信を待つ側も、双方、ストレスになってしまいがちです。特に、就活生同士のカップルの場合、「エントリーシート作成中に、お互いのメッセージが気になって集中できない」などのケースがよくあります。

SNSの利用頻度については、二人でルール決めしておくことをお勧めします。ルール決めをすることを相手に嫌がられた場合でも、就活は自分自身の将来のためにするものなので、「お互いの将来のために就活を大事にしたい。だからルール決めをしよう」と伝えて理解してもらいましょう。

それでも理解を得られない場合は、やはり正直に自分の気持ちを伝えることが一番大事だと思います。相手のことを嫌いになりたくないのであれば、「嫌いになりたくないけれど、今のこの状態では嫌いになってしまいそう」など、自分の気持ちをきちんと話してみては?

言いにくいことだからと思い、うやむやにすれば、関係性が悪くなり、最悪の場合は別れてしまう可能性もあるので、ちゃんと伝える方が二人のためになると考えましょう。

相手も「嫌われたくない。この先も二人の関係性を続けていきたい」と思ったなら、ちゃんと向き合ってくれるはずです。しっかり話し合って理解を得てから、ルールを決めるといいでしょう。

相手がどうしても理解してくれない場合は?

立川さん:相手との問題について一人で悶々(もんもん)と考え続ければ、その間、就活に集中することができなくなってしまいます。自分一人で抱え込まず、相手のことを知らない友達などに相談してみるといいでしょう。

すぐに解決策が見つからなくても、誰かに話すことで気持ちを整理できます。友達に相談する時間がすぐに取れなくても、約束を取り付けたり、話すタイミングを想定したりしておくことが大事です。

少しでも前に進む見通しが立てば、一時的にその問題を考えなくても済むようになり、就活にも集中しやすくなるでしょう。

お悩みケースその5:片思いの相手が気になって、就活に身が入らない

立川さん:片思いの相手のことが気になり、「SNSメッセージが既読にならない」「既読になったのに返信がない」など、一喜一憂してしまうケースです。

返信が送られてくるまでモヤモヤしながら、ずっと相手の気持ちを推測し続けることは、貴重な時間を無駄にしていると言えます。

SNSメッセージを気にすることに時間を費やすより、就活やそのほかのことを頑張り、自分に自信を持てる魅力的な人間になった方が、相手に振り向いてもらえる可能性は高まると思います。

とはいえ、返信の有無を気にしないようにしても気にはなるもの。例えば、エントリーシートの作成など、就活に取り組んでいる間は、スマホなどの端末を手元に置かないようにするなどの方法を取ってもいいでしょう。

自分の返信が遅くなることで、相手が気にかけてくれる可能性もあります。

就活中に付き合い始めてもいいの?

立川さん:就活中に恋が芽生え、両思いになるケースもありますが、自分が付き合いたいと思ったなら、そうしてもいいんじゃないかと僕は思います。

就活中に付き合うことが不安な場合も、「あなたのことが好きなんだけど、就活もあるからどうしようかと思っている」と、今の気持ちを率直に伝えてみるといいでしょう。

そうすれば、相手からも「自分はこうしたい」という答えが返ってくるので、そこから一緒にルール決めをしていくこともできると思います。

【まとめ】就活中の恋愛は「ルール決め」と「素直に気持ちを共有すること」が大事!

小指をつなぎ合う若者たち
Photo by PIXTA

立川さん:どのような悩みでも、就活と恋愛を両立するためには、きちんと行動ルールを決めることが大事だと思います。

相手と会ったり、SNSのメッセージをやりとりしたりする頻度はもちろん、お互いの就活に干渉しないのか、支え合うのかという考え方の面でも、一緒にルールを決めておけば、モヤモヤしたりイライラしたりすることもなくなるでしょう。

もちろん、片思いの場合も、自分の中でルールを決めておけば、そこに従って行動すればいいので気分的にスッキリして就活にも集中できるようになります。

また、相手がいる場合には、自分の気持ちを素直に共有することも非常に大事です。相手を責めるより、素直に思いを話した方が理解してもらいやすくなりますし、自分自身も不安や怒りをため込まないで済みますから。

お互いの気持ちを理解し合って、二人で一緒に解決方法を探すことにぜひつなげてほしいですね。

就活と恋愛は、実は似ている!両立して相互に役立てる方法もある

――最後に就活中の恋愛に悩む学生に向けて、メッセージをお願いします。

立川さん:実は、就活と恋愛って、似ている点がとても多いと思います。どちらも好きな相手のことをたくさん考え、自分のどんな部分をどうアピールし、どういう言動をしたら好きになってもらえるのかを考えることがとても大事です。

例えば、相手と同じサークルに所属しているだけで、自分を意識してもらえるようなアクションを取らない場合は、印象にも残らず、恋愛対象にならない。あるいは、二人で食事するなどのチャンスがあっても、相手のことを考えず、自分がアピールしたいことばかり一方的に話す人は好かれませんよね。

相手に自分を意識してもらい、わかってもらうために、どうアピールするのか。就活の面接もまったく同じだと思います。

また、「自分がどういう人間で、どうしたいのか」という考えや価値観をちゃんと持っている人の方が魅力的に映り、相手からも好かれるものだと思います。就活の志望動機を恋愛の告白に置き換えてみるとわかりやすいかもしれません。

例えば、「あなたの見た目が好き」「ほかの人より成績がいいから付き合いたいと思った」と言われても、付き合いたくはならないでしょう。

しかし、「あなたのこういうところが好き。自分はこんな経験をしてきて、こんな思いを大事にしている。だから、あなたのことがすごく好きだと思ったし、一緒にこんなふうに付き合っていきたい」と伝えれば、その人の人間性や自分を好きだと思ってくれるだけの背景が伝わるので、心に響きますよね。

このように、就活と恋愛をそれぞれ置き換えて考えてみれば、相互に役立てられることがとても多いはずです。どちらを優先すべきかと悩む人もいますが、僕自身はどちらも大事にしてもいいと思います。

そもそも恋愛関係を続けていくために最も大事なことは「お互いが魅力的であること」だと思いますし、片思いの場合にも、自分に魅力があれば振り向いてもらえる可能性があります。

そうした意味では、就活を頑張らない人より、自分の将来のことをしっかり考えて行動できる人の方が魅力的ですし、行動を重ねていくうちに、自分に自信が付いてさらに魅力的になれるはずです。

就活を頑張ること自体が「自分の魅力を磨くチャンス」になり、結果的に、恋愛にもいい影響をもたらしてくれると思います。


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取材・文/上野真理子

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