「人生で一番辛かったこと」の答え方|注意したいポイントや「ない」場合の対処法も紹介【例文あり】

「人生で一番辛かったこと」は、面接で聞かれやすい質問の一つと言えますが、「どう答えればいいのかわからない」「一番辛かったことが思いつかない」と悩む人も少なくはないでしょう。

そこで、「人生で一番辛かったこと」の答え方や、効果的にアピールする方法、注意したいポイントについて、リクナビ就職エージェントのキャリアアドバイザーに聞きました。「人生で一番辛かったことがない」という場合の対処法や回答例文もご紹介します。

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「人生で一番辛かったこと」を面接・ESで質問する理由

まずは、企業が「人生で一番辛かったこと」について、面接やES(エントリーシート)で質問する理由について解説します。

「辛い経験をしても立ち直れるのか」を知りたい

企業は、辛い経験をしても立ち直れる精神力があるのかを見ています。仕事においては楽しいことだけでなく、辛いこともあるため、それを乗り越えていくことが必要とされます。そのため、辛いことから立ち直れるだけの強さを持っているのか、辛いことを克服しながら仕事に向き合い続ける忍耐力・精神力があるのかを知りたいと考えています。

「辛かった経験から学んだこと」を知りたい

辛かった経験をただ乗り越えるだけでなく、そこから何かを学び、自己成長につなげる力があるかも見ています。「辛かった経験によってどのようなことを学び、どのような点で成長できたのか」を知ることで、入社後、辛いことがあった場合にもそれを克服して成長していけるかどうかをイメージしやすくなります。入社後、任される仕事の範囲が広がっていく中では、さまざまな壁にぶつかるので、乗り越えて活躍・成長していける人材かどうかを判断する材料に活用することもあるでしょう。

「どのようなことを辛いと思うのか」を知りたい

企業は、辛かった経験を通じて、「どのようなことを辛いと思うのか」も知りたいと考えています。「これまでの人生の中で一番辛かったこと」のエピソードには、その人の価値観が反映されやすいため、どのような価値観を持っているのかを見ていると言えるでしょう。

また、入社後の仕事内容や職場環境に対する適性を判断する材料とするケースもあります。「辛い」と感じている部分に対し、自社において当てはまる要素がある場合は、そもそも仕事内容や企業文化などがマッチしていない可能性があるためです。これと同じく、適性を判断するために「人生で一番楽しかったこと」「これまでで最もうれしかったこと」などを併せて質問されるケースもあります。

「人生で一番辛かったこと」回答の構成と例文【部活動、アルバイト、受験勉強】

「人生で一番辛かったことはなんですか」という質問に対する回答の構成と例文をご紹介します。

回答の構成

回答の構成は、下記を参考にしましょう。

「人生で一番辛かったこと」の回答の構成

1:結論=「人生で一番辛かったこと」

2:辛かったことの具体的なエピソード

3:辛かったことをどう乗り越え、そこから何を学び、入社後にどう生かしていきたいか

面接でもESでも、冒頭では結論を端的に伝えることが大事です。そこから、辛かった経験の具体的なエピソードを伝え、どう乗り越えたのか、どうやって克服したのかまで伝えましょう。最後に、「辛かったこと」から学んだことや、成長できたと感じること、それらを入社後にどのように生かしていきたいかまで伝えると良いでしょう。

部活動のエピソードを伝える例文

バスケットボールの部活動で「チームみんなで、同じ目標に向かって頑張ること」がとても大変で辛かったです。

メンバー間のモチベーションに温度差があり、全員でコミュニケーションを取る機会もなく、試合にも勝てないまま、ギスギスしたムードが続いていました。やる以上は勝ちたい、みんなで団結して取り組みたいと思い、「チームで話す機会をつくろう」とキャプテンに提言しました。

早速ミーティングを実施し、チームとしての目標をみんなで話し合って決めることができました。率直に意見を出し合うために、お互いに、日ごろから思っていても言えなかったことまで吐き出してもらった結果、チーム内でのコミュニケーションも活発化し、試合に勝てるようになりました。

辛い状況を打開するためには、自分からアクションを起こす大切さを学びました。社会人になって仕事がうまく進まないときも、何をすればいいか自ら考え、積極的に動いていこうと思います。

アルバイトのエピソードを伝える例文

飲食店でアルバイトする中、コロナ禍の影響でスタッフ数を半減させるシフトが組まれましたが、規制緩和で客足が戻ってもスタッフ数は変わらず、通常の半分の人数で店を回さなくてはならなかったことが辛かったです。

私はホールのリーダーだったので、人員不足であることを店長に伝えながらも、通常の半数のスタッフで対応する方法を考えていきました。まず、優先順位を決めて動くようホールスタッフに伝え、自分は指示を出しながら調理を学び、キッチンのヘルプにも入れるようにしました。

2カ月後には「注文したものが出てくるのが遅い」というクレームもゼロになり、店長から「よく頑張っている」と褒めてもらえました。

この経験から「自分にできることを最大限に考え、どんどん行動することが大事だ」と思うようになりました。貴社に入社後も、自分にできることを限定せず、周りの方とも相談しながら何ができるかを最大限に考えて、お客さまの満足度向上に貢献していきたいと思います。

受験勉強のエピソードを伝える例文

大学受験の勉強をしていたころ、自分では頑張っているつもりなのに成績が伸びず、行きたい大学がずっとD判定のままで、周囲からも「志望校を変えた方がいい」と言われ続けたことが辛かったです。

このままでは駄目だと思い、模試の結果を見直したところ、苦手科目の点数が足を引っ張っていることに気づいたため、苦手科目の克服に重点的に取り組むことにしました。毎日、ToDoリストを作り、それを完了させることを必須目標とし、9月から2月の受験前日まで勉強を続けました。その結果、苦手科目の偏差値が大きくアップし、第一志望の大学に合格することができました。

自分には無理かもしれない目標でも、克服すべきことを分析し、コツコツ継続して取り組めば達成できることを実感しました。今後の仕事においても、目標達成のためにやるべき計画を自分で考え、コツコツ努力を続けながら、結果につなげていきたいと思います。

「人生で一番辛かったこと」の答え方のポイントを解説

「人生で一番辛かったこと」を聞かれた際の、答え方のポイントを解説します。

入社後の仕事に役立ちそうな内容を伝える

入社後にどう成長していけるのかをイメージしてもらうことが大事なので、仕事に役立ちそうな内容を伝えると良いでしょう。例えば、高い目標にチャレンジしたことや、チームワークや人間関係の壁にぶつかった経験、コツコツ継続性を持って取り組んだことなどが挙げられます。

部活動、サークル活動、アルバイト、ボランティア活動、学校の授業やゼミの研究などのエピソードを伝える際には、仕事に置き換えて相手がすると良いでしょう。仕事に置き換えたイメージが難しい場合は、身近な大人に聞いたり、キャリアアドバイザーに相談するのも良いでしょう。

辛い状況は、数字を交えて客観的に伝える

「辛い気持ち」だけを伝えても、本人の主観に左右されてしまうので、客観的に「どのような辛い状況だったのか」が伝わりにくいといえます。どのくらい困難な状況があったのかをイメージしてもらいやすいよう、客観的事実として数字などを交えて伝えることが大事です。

例えば、「接客のアルバイトをしていた時、混雑時に一人で対応しなくてはならず辛かった」という場合でも、どのくらいの混雑状況だったのか、一人で対応したのは何時間なのか、通常なら何人のスタッフで対応しているのかなど、できる限り具体的に伝えることで、より辛かった状況を理解してもらえるでしょう。

出来事だけでなく、自分の考えや行動も伝える

起きた出来事を伝えるだけでなく、それに対し、どう考え、どう行動したのかをきちんと伝えることも重要です。どのような意図や思いがあったのか、どんなチャレンジや創意工夫をしたのかなど、あきらめずに取り組んだ経緯を伝えることで、自分自身の人となりや価値観を伝えることができるでしょう。壁を乗り越えていける精神的な強さがあることも伝わるはずです。

何を学び、その後にどう行動が変化したのかを伝える

「こんなことが辛かった」「こうやって乗り越えた」で終わらせず、辛かった出来事から何を学んだのか、その後、どのように行動が変化したのかまで伝えましょう。辛いことから多くを学んで成長していける力があることをアピールすることが大事です。辛かったことを乗り越えられなかった場合でも、「その後、自分なりにどう改善していけばいいと考えたのか」を伝えると良いでしょう。

また、入社後にそうした学びや行動の変化をどう生かせるのかも伝えた方がよりアピールになるでしょう。どのような場面で、どのような行動ができるのかを具体的に伝えることがポイントです。

「人生で一番辛かったこと」の回答で注意したいポイント

「人生で一番辛かったこと」を回答する際に、注意したいことも把握しておきましょう。

辛かった自分の気持ちのみを伝えない

辛かった出来事に対して、自分自身が辛いと感じた気持ちのみを話し続けても、「辛いことも乗り越えて成長できる人材かどうか」を判断できないため、評価につながらないと言えるでしょう。客観的に見てどのような状況だったのか、それに対し、どう考え、どう乗り越えようとしたのかを話すことが大事です。質問の意図をきちんと理解した上で、何を伝えればいいのかを考えましょう。

解決策で自分らしさを伝えられないエピソードは避ける#本文

「人生で一番辛かったこと」では、壁にぶつかって苦しんだ経験や挫折を味わったことを聞かれています。そのため、「バイトに遅刻し、店長に叱られた」「出席率が足りずに単位を一つ落としてしまった」など、解決策が誰でもすぐに思いつき、実行できるようなエピソードや、「行きたかったイベントのチケットが取れなかった」といった、偶然に左右され努力ではどうにもならないことではなく、あなたらしい葛藤や乗り越え方を伝えられるエピソードを選びましょう。

自分に原因があるようなエピソードでも、仕事をする上で大事な価値観や要素への気づきにつながるものであれば問題ありません。こういった気づきがないエピソードを伝えると「自分自身を客観視することができず、仕事で活躍・成長できる素養がないのでは?」「就活準備をちゃんとしていないため、そもそも社会人となることに対しての意識が低いのでは?」などの懸念を抱かれる可能性があるでしょう。過去の経験をしっかり振り返り、人生において大事なことを学んだと思えるエピソードを探すことが大事です。

克服・改善していない経験を話すことは避ける

先にも述べたように、企業は「辛かった経験をどう乗り越え、どのように克服したのか」を知りたいと考えています。辛かったことを克服できていない場合は、失敗した経験や挫折感を引きずっているような印象を持たれる可能性があるので、自分なりに克服できたエピソードを話すことが大事です。

ただし、エピソードの中で問題解決や改善行動ができなかった場合でも、「その後、自分なりにこのように改善した方がいいと考えるようになった」「今後はこのように行動しようと思う」など、自分自身の中で克服し、改善策を見つけていれば評価につなげることができるでしょう。

「人生で一番辛かったこと」の回答にあたってよくある疑問

辛かったことはどこまで話していい?避けた方がいい内容は?

辛かったことについて「かなり重たい出来事があったけれど、それを話したら引かれるのでは?」と悩むケースもあります。例えば、人の生死に関連することや、思い出したくない出来事など、他人に伝えることが辛いと感じるようなデリケートな内容は、無理して話す必要はありません。

また、面接担当者が控えていることに自ら言及しても、評価につながらないばかりか、アピールできる時間を無駄に使うことになってしまうかもしれません。

「辛かったこと」を盛って話してもいい?

「人生で一番辛かったことが思いつかない」という場合、そこまで辛くはなかったことについて盛って話すケースもあるでしょう。しかし、面接では掘り下げて質問されるため、本心で話してないことに気づかれてしまう可能性があります。ESに書く内容についても、面接で掘り下げられるため、同様のことが言えるでしょう。

自己分析が足りず、「辛かったことを忘れているだけ」というケースもあるので、過去の経験をもう一度振り返り、辛いと感じた出来事を洗い出してみることが大事です。

また、「そこまで辛かったとは言えないエピソードしか思いつかない」と思った場合は、「人生で一番というほど、辛い経験ではないかもしれませんが」と前置きすることで、自分の思いを正直に話すことができるでしょう。

「大変だったこと」「苦労したこと」を聞かれた場合は同じ内容でいい?

「人生で一番大変だったこと」「最も苦労したこと」などを聞かれた場合は、「人生で一番辛かったこと」と同じ意図で質問されていると考えて良いでしょう。面接の時間には限りがあるため、一つの面接の中で同じような意図の質問を繰り返すことはほぼないため、これらの質問をされた場合は、同じ内容を回答しても問題はないでしょう。

辛かったことが「ない」場合の対処法

しっかりと自己分析しても「辛かったことは特にない」という人もいるでしょう。そうした場合の対処法をご紹介します。

「辛かったことは特にない」と回答するのはNG?

人間には感情があり、誰しもなんらかの「辛い」と思うような出来事を経験しているものでしょう。そのため、「辛かったことは特にない」と答えれば、「自己分析が足りない」「面接準備をきちんとしていない」などと判断される可能性があります。自分の過去を振り返り、しっかり自己分析することが大事です。

ポジティブ思考によって辛さを感じにくい場合は?

もともとポジティブ思考のために「辛い」と感じる出来事でも、自分自身で辛さを感じないように切り替える人もいるでしょう。こうした場合は、「大変だったこと」を洗い出し、「前向きなタイプで辛さを感じにくいので、人生で一番大変だったことをお話しします」と前置きすると良いでしょう。

「辛かったこと」を探す方法

過去の経験を振り返り、自分が挫折感を味わった経験や、壁を乗り越えたと感じることを探してみましょう。また、どうしても思いつかない場合は、周囲の人に「自分が辛そうに見えた時期はあるか?」を聞いてみるのも一つの方法です。客観的な意見を基に振り返ってみれば、自分では忘れていたエピソードを発見できるかもしれません。

就活のプロであるキャリアアドバイザーに相談する方法もあります。リクナビ就職エージェントではあなた専任のアドバイザーがサポートするので、自分の過去の経験を伝えることで「辛かったこと」を一緒に探すことができます。エピソード探しに困ったら、まずは相談してみることをお勧めします。


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プロフィール 川越 杏子(かわごえ・きょうこ)新卒領域のキャリアアドバイザー経験を経て、現在、同領域のマネジャー職に従事。より多くの学生さんが、就活経験を通じて自身の「らしさ」を知り、「働く」の解像度を上げた上で「意志」ある意思決定ができるよう、サービス向上に向き合っている。

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