【人事のホンネ】「学業以外で力を注いだこと」印象に残るのは学生のこんな回答!

エントリーシート(ES)や面接で時々質問されるのが「学業以外で力を注いだこと」。何をどう答えて、自己PRとどう差別化したらいいのか悩んでしまいますよね。企業が「学業以外で」と聞く意図とは?どんなエピソードならより人事に響く回答になる?さらに使ってはいけないNGワードはある?

次々と湧いてくる就活生の疑問に答えるため、株式会社朝日ネットで新卒採用を担当する加々美綾さんと、採用のプロ・曽和利光さんが登場。「学業以外で力を注いだこと」をテーマに、人事のホンネを語ってもらいました。

加々美綾さんプロフィール写真プロフィール
加々美 綾(かがみ・あや)
大手通信サービス事業者の株式会社朝日ネット 人材開発室リーダー。大学で教育学を学んでいたことから、教員という直接的なかかわりよりも広範囲で教育に影響を与えられる仕事に就きたいと思い、クラウド型教育支援サービス「manaba」を提供する現職に興味を持って入社。現在社会人7年目。5年目まで同社のインターネット接続サービス「ASAHIネット」の企画担当として、新規サービスの企画立ち上げ、既存サービスの運用構築や販促に従事。現在は人材開発室において人事業務全般、特に新卒の採用や育成、人材開発を担当している。
株式会社人材研究所 曽和利光さん写真プロフィール
曽和利光(そわ・としみつ)
株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年、京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャーなどを経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『悪人の作った会社はなぜ伸びるのか?人事のプロによる逆説のマネジメント』(星海社新書)など著書多数。最新刊『人事と採用のセオリー』(ソシム)も好評。

「学業以外で力を注いだこと」を聞く訳は自発性や多面性を見たいから

―「学生時代に頑張ったこと」「力を注いだこと」という質問はよくありますが、その中でも「学業以外に」と限定して質問をするのはなぜですか?

曽和:「学業」と「学業以外」の違いとは、学生にとって「義務」か「義務でない」かの違いです。最近の風潮として、特に大手企業は義務=学業での成績を重く見る傾向がありますが、その一方で「この人は自由を与えられたときに何をする人だろう?」という自発性も見ておきたいからです。

加々美:そうですね。学業については必ずESで尋ねますが、それだけではその人の一つの側面しか見えません。就活自体が一つのマッチング活動ですから、さまざまな場面での考え方や動き方のバリエーションを知るために「学業以外」のことも聞くのだと思います。

自由な活動だからこそ「なぜ」続けたかがすごく大事

―この質問をしたとき、人事は回答の何を重視しますか?

曽和:まずその人の趣味や志向、価値観です。どんな価値を大切にするのか、どんな目的に対して動くのかは、義務的な行動からよりも、自発的な行動からの方がよく見えますね。後は、自分が好きでやっていることはきっと頑張っているだろうと思うので、その努力のレベル感も見ておきたいです。

加々美:とりわけ、「なぜそれに取り組んだのか」というモチベーションの源泉、さらに、人とのかかわりの中でどんな役割をすることが多かったのかという点にも注目します。
また、それらをわかりやすく、説得力を持って説明できるかどうかに、論理的思考能力や表現力も表れてきますね。

曽和:そうそう、自発的なはずなのに理由が「なんとなく…」「漠然と…」ではまずい。特に「漠然と」はまあまあNGワードで(笑)、言語化能力がないのかと思われます。ゼミを選んだ理由なら「抽選で仕方なく」もありだと思いますが、課外活動には明確な理由が欲しい。

加々美:そうですね!さらに動機の説明を「きっかけ」だけで終わらせる学生も多いのですが、本当に知りたいのは「その後、3年半も続けた理由が必ずあるよね?」ということ。きっかけではなく、「続けた真の理由」を伝えていただきたいです。

加々美さんインタビューカット

結果よりも、継続したエピソードが印象に残る

―今までの面接で、特に印象に残った「学業以外で力を注いだこと」はありますか?

加々美:企業の人事は数えきれないほどの学生に会い、面白話をひと通り聞き尽くしています。ですから、学生の話す「派手な体験」や「すごい結果」はまったく珍しくなくて、それも表面的なお話だと「そうなんだね」で終わってしまいます(笑)。

曽和:インパクト勝負ではないですよね。普通のバイトでも、学業の延長で、ゼミでの何かしらの役割でもいい。むしろ地味でも自分なりに工夫しながら継続してきたことの方が、採用担当者側の興味という意味では印象に残ります。

加々美:小さなころからピアノなどの習い事やスポーツに、本人なりのこだわりを持って取り組んできたお話も、大きな結果が伴わなくても心に残りますね。
少し以前に社内で話題になったのが、小学校のころから日記を毎日書き続けてきたという学生です。「これによって自分が考えたことを分析しているんです」と、面接に実物の日記を持ってきて見せてくれました。その学生の自己分析による強みが「継続力」だったので、まさにそれを裏付けるものでした。

曽和:どんな業界であっても、地道な努力を継続することが求められる部分はありますからね。

加々美:当社も、決して派手さはなくてもコツコツと仕事に取り組み、やりがいを見いだせる学生を求めているので、面接では常に大きな結果よりもプロセスに注目しています。ですからこの日記のエピソードはとても印象的でした。

「体験談」「恋愛話」「就活話」は避けた方がいい

―逆に「ちょっとこれは違うぞ」という回答はありましたか?

曽和:海外旅行に力を入れたと言って「ガウディが…」「モン・サン・ミッシェルが…」とか体験を延々と語る人が時々います。でも聞きたいのはそれじゃない。面接というものは、どんな質問であれ「あなたはどんな人か」を聞くためのものだとわかっていないんですね。

加々美:あるいは就活のためにボランティアをして、そのことを正直に話してしまうとか。もちろんボランティアのきっかけは就活で構いませんが、単にエピソードをつくるために行きましたとなると「再現性」がないので、「今後は続かないかもなあ…」と思ってしまいますね。

曽和:あと、人事として言われるとつらいのは「恋愛」。本能だから力を注ぐのは当たり前だろうと(笑)。もう一つは「インターンシップ」。あれだけお膳立てされた中での頑張りをアピールされても困惑します。単なる体験談、恋愛話、就活話はやめておいた方がいいですね。

人事は能力より「変わらないスタンス」に注目する

―「学業以外で力を注いだこと」のエピソードを選ぶポイントはあるのでしょうか。

曽和:先ほど加々美さんがおっしゃったように「再現性」ですね。採用では学生の現時点の能力よりも、物事に対して取り組む姿勢やスタンスといった、変わらない「芯」の部分に注目します。その人の中でずっと継続しているもの、再現性のあるものが知りたいのです。

加々美:継続というとしんどいイメージですけど、「好きだから」何げなく習慣にして、その結果長く続いていることは結構あると思います。そこに人間性が表れますよね。

曽和:それも、必ずしも同じことである必要はなくて、対象が変わっても似た形で発揮されるものがあればいいと思います。例えば「50カ所でアルバイトした」という人は、何かしらの考えで新しい仕事への挑戦を継続しているわけです。それはそれですごい話ですよね。

曽和さんインタビューカット

面接での一問一答はNG。背景をしっかり伝えてアピールしよう

―「学業以外で力を注いだこと」はどう答えると相手に伝わりやすいですか?

曽和:まず、エピソードの前に舞台背景を話して!と声を大にして言いたいです。いきなり「クラブで…」と話が始まって、「ちょっと待って、どこの何のクラブ?」と聞き返すことは本当によくあります。

加々美:そう、人事は大学組織のことまでは知らないので、大枠から順を追って話していただかないと、なかなか伝わりませんね。

曽和:また、この質問に限りませんが、面接での「一問一答」はやめましょう。
アルバイトって?「某飲食店です」。某飲食店?「外資系コーヒーチェーンです」。どの?「スタ○バッ○スです」。どこの?「東京駅で、毎日1000人くらいお客さんが来て、バイト3人で回しています」。へえ、すごいね!…って、ここまでで4回も突っ込まないと、有名店を切り盛りしているイメージまで到達しない。これは学生にとって損ですよね。

加々美:今の学生はそういうタイプの方が多いですね。ちょっとずつヒントを出されて、その方のことをもっと知りたいのに、聞ききれずに時間切れになってしまう。

曽和:これじゃ会話のキャッチボールじゃなくて、会話のピンポンですよ(笑)。
しかし、そもそも面接は自己PRの場ですから、最初から面接担当者と会話でキャッチボールする必要はない。プレゼン方式で回答していいんです。質問に対しては自分からどんどんエピソードを出した方が、時間を有効に使えて伝わる面接になると思いますね。

「学業以外にありません」と答えても大丈夫

―「学業以外で力を注いだこと」がないと答えると不利になりますか?

加々美:「学業以外にありません」と答える学生も最近はいますね。

曽和:今はシラバス(授業計画)厳格化で、授業を3分の1以上休んだら単位は出ませんし、8割以上の学生が取った授業にきちんと出ている時代です。ですから、就活で「自分は学業だけ」と答えること自体は何も問題はないと考えています。

加々美:ただ、フィールドワークやプロジェクト形式の授業なら人とのかかわりが持てますが、ずっと1人で学問と向き合ってきたとなると、人事として少し不安になります。研究職ならOKかもしれませんが、そうでなければ友人関係やコミュニケーション体験について追加で質問することもありますね。

曽和:でも「何もない」と言う人は、実は「当たり前水準」が人より高いだけかもしれない。自分としては軽々と続けてきたことが、はたから見れば「すごいじゃん!」というケースは多いですし、優秀な人にはよくあることです。見つからない人は、一度友達や目上の人に大学生活について聞いてもらってはどうでしょうか。自分でも気づかずに力を注いできたことが見つかるかもしれません。

曽和さん加々美さんインタビューカット

ギャップによってアピールするのも一つの方法

「学業以外で力を注いだこと」について「大学生活を振り返り、ごく普通のことで構わないので、学業に向かう自分とはまた別の一面を出してください」と加々美さん。

一方、曽和さんは「自分を多面的に見てもらうために、人から誤解されやすい一面をエピソードに選ぶ手もありますね」と言います。「例えば、ちょっと見は軽いけど実はおばあちゃんっ子で、老人ホームでボランティアもしているとか。そんなギャップの大きい部分を埋めることで、より企業に全体像としての自分を理解してもらえるのではないでしょうか」と曽和さん。

二人のプロが語ったホンネを参考に、ぜひ「学業以外」でのあなたのアピールポイントを見つけてください!

取材・文/鈴木恵美子
撮影/鈴木慶子

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