「営業」と聞くと、ノルマが厳しく体力的にも大変そう…というイメージを持つ人も少なくありません。そうしたイメージもあって「自分は絶対に営業には向いていない」と、思っている就活生も大勢います。ただ、ひと言で営業といっても、その仕事内容は営業する商品や相手によってさまざま。営業職の具体的な働き方やその面白さ、向いているタイプを、さまざまな職種への転職支援をしてきたキャリアアドバイザーに聞きました。
目次
「営業に向いていない」と思っている人は、こんなイメージを持っていませんか?
「営業」と聞くと、「ノルマがきつい」「数字に追われて上司に怒られる」「サービス残業が多い」とネガティブなイメージを抱いている就活生もいるのでは?また、「人見知りで初対面の人が苦手だから」「競争が苦手で打たれ弱いから」などの理由で、自分には営業は向いていないと考えてしまう人も多いのではないでしょうか。
実際のところ、ノルマの達成度によって給料に大きな差が出る歩合制の営業職もありますが、個人の売り上げ目標はなく、チームでプロジェクトを進めるスタイルもあります。毎日初対面の企業の担当者にアプローチする新規開拓営業もあるものの、何年もかけてお客さまと関係を築く既存顧客向けの営業もあります。
販売する商品・サービスが有形か無形か、有形であれば高単価の嗜好(しこう)品なのか低単価の日用品を扱うのか、販売先が個人か企業(法人)かなど、扱う商材や対象となるお客さまによって営業の働き方はまったく異なります。
業態によって仕事内容は千差万別なので、「どんなタイプの人にも向いている営業職はある」といえるくらい、営業の働き方は幅広いのです。
【自分に向いている営業はある?】営業職6つの仕事内容の特徴、違いを紹介
営業職は、営業対象先が「個人向けか、企業向けか」「新規のお客さまか、既存の得意先か」によって仕事内容が変わります。リクナビでは営業系の職種を以下の6つに分類しています。
1. 営業(個人向け・新規開拓中心)
2. 営業(個人向け・得意先中心)
3. 営業(企業向け・新規開拓中心)
4. 営業(企業向け・得意先中心)
5. MR(医療情報担当者)
6. 技術営業・システム営業
それぞれの営業職の特徴や働き方、どんな人が向いているかを紹介していきます。
1. 営業(個人向け・新規開拓中心)
生命保険などの金融商品、不動産、自動車など、高単価の商材を個人のお客さまに販売する営業職が当てはまります。教育教材や食品の定期購入販売の営業もここに含まれます。
特徴1 訪問営業からカウンター営業まで働き方はさまざま
個人宅へのポスティング、電話でのアポ取り、訪問など、動き回って新たなお客さまを開拓するほか、販売店、支店窓口に来られたお客さまに対応するカウンター営業もあります。
新規開拓先が人の紹介によって広がることも多く、人脈の広さがそのまま成果につながることもあります。
特徴2 お客さまの人生に深く入り込む
購入や契約の最終決定を下す決裁者が個人のお客さまであり、営業するものも高額で長期にわたって支払いが発生する商品(保険商品や家、定期購買商品など)が多いため、お客さまとの信頼関係の構築が、営業の肝になります。
一人ひとりの価値観や考え方、家族構成やライフデザインなど、お客さまの人生に深く入り込み、一人ひとりに合った商品の提案をしなくてはいけません。
お客さまの感情や機微をくみ取った上でのヒアリング力、提案力が求められ、理路整然と説明できれば売れる、というわけでもないのが難しいところ。「お客さまの人生に寄り添いたい」という方には最適です。
特徴3 インセンティブが多く、売れた分だけ返ってくる
企業にもよりますが、営業職の待遇は営業成績や売り上げに応じて給与が決まる「歩合制」を採っているところが多いようです。歩合制の場合、営業成績が良ければインセンティブ(報奨金)が付き、売れなければ給料が上がらないというシビアさがあります。生命保険の営業は最たるもので、給与水準の幅が大きいのが特徴です。
こんな人に向いている!
・誰かの人生に深く寄り添いたい、人生ドラマに触れたいという思いが強い人
・個人プレーで動くのが好きな人。自分がしたことの成果が、数字や評価で明確に返ってくることに、やりがいを感じる人
2. 営業(個人向け・得意先中心)
基本的には、上記の新規開拓中心の営業と業態や特徴が重なります。一度お取引(購入)いただいたお客さまと継続的な関係を築き、周辺商材のご案内や、買い替え時期を見据えたフォローなどを行います。
3. 営業(企業向け・新規開拓中心)
新規開拓営業の比率が高いのは、広告などの無形商材を扱う企業。営業網を広げなければ売り上げが立たないビジネスモデルなので、新規開拓営業に多くの人員を配置します。ほかには、通信事業や社内管理・販促ツールなど、業界を問わず幅広い企業にアプローチできる商材を扱う企業も、ここに当てはまるでしょう。
特徴1 総合的なビジネススキルが身につく
新規開拓営業は、電話やメールでのアポ取りから始まります。最初のうちはまずは行動量を増やすしかありませんが、続けているとどんな企業にどんなタイミングでどうアプローチするといいのか、自分なりの勝ちパターンが見えてきます。仮説を立てて行動するPDCA(Plan-Do-Check-Action)の回数が多いため、ビジネススキルの基本を身につけられます。
相手の感情に寄り添い、理解する力が求められる個人向け営業とは違い、企業向け営業は経営上のメリットに特化したロジカルな視点が求められます。「御社にとってメリットがある」と説明できるプレゼンテーション力が鍛えられます。
特徴2 幅広いキャリアパスの土台になる
営業活動の中で、自社商品の理解や、お客さまの生の声を聞くことでさまざまな業界のビジネスモデルの理解を深めることができます。その後のキャリアで、マーケティングや販売促進、企画などに職種の幅を広げる土台にもなります。
特徴3 企画力、提案力がそのまま商品力になる
無形商材を扱う場合は、自分の企画力、提案力がそのまま商品の付加価値につながります。有形商材の場合、優秀な開発者やデザイナーによる「商品力」があれば、営業力がなくても自然と売れるかもしれません。一方、無形商材は商品の価値を自分が付けるため、営業力の差が見えやすい特徴があります。「自分の能力を試したい」「提案力を身につけたい」という方には最適だといえるでしょう。
こんな人に向いている!
・失敗を恐れず、まずやってみようと動く人、動いてから考えるタイプの人
・自分なりの勝ちパターン(仮説)を立て行動によって検証する、そのプロセスを楽しめる人
4. 営業(企業向け・得意先中心)
工業製品メーカーやアパレル、消費財メーカーなど、営業先が決まっている業界の企業は、得意先中心のルート営業が多くなります。お客さまと長期的な関係を築き、大きなお金を動かすことも少なくありません。チームワークがより求められます。
特徴1 チームの調整役としてプロジェクトをまとめる
企業向け・得意先営業の一つに機械製品メーカーのスペックイン営業(メーカーに部品を使ってもらうよう営業するもの)があります。導入が決まれば数億円もの売り上げになる大型案件であれば、社内でもチームを組み、営業担当はお客さま対応の窓口になることも。お客さま先を訪問する以外に、工場に足を運んで開発担当、技術者と打ち合わせをする時間が多く、プロジェクト全体のコーディネーターの役割が強くなります。業務上、お客さまやチームメンバーなどさまざまな立場を理解して動く調整能力が求められるでしょう。チームで動くことが好きな人に適しています。
特徴2 評価は営業個人よりも、チームで受ける
受注や継続契約などが決まった際は、営業一人の評価よりも、チーム全体が評価される傾向にあります。個人向け営業や新規開拓中心の営業のように、インセンティブによって個人の給与額に差が出ることは少なく、「出した成果が数字で返ってくる」醍醐味(だいごみ)は感じにくいかもしれません。一方で、「チームのために動いて報われた」ことがモチベーションになる方には非常に向いています。
特徴3 製品を世に送り出す最後のアンカーになる
営業担当は、商品の開発者やデザインの制作担当などからバトンを受け取り、それを世の中に出すアンカーのような役割です。企業向け・得意先中心の営業は、特にプロジェクト規模が大きくなるので、自分一人では出せない成果をチームで達成したと実感できるのが醍醐味です。また、受注の喜びを仲間と一緒に分かち合えるでしょう。
こんな人に向いている!
・いろんな立場の人を思いやり、コミュニケーションが取れる人
・組織内のバランスを見ること、調整力に優れた人
・人との競争が苦手な人、チームで動く団体競技に向いている人
「個人・企業向け」「新規開拓・得意先相手」のカテゴリー以外にも、営業の仕事はたくさんあります。
5. MR(医療情報担当者)
その一つが「MR(医療情報担当者)」。病院やクリニックの医師(医療従事者)向けに、薬の営業をする専門職です。昨今は、国がジェネリック(後発)医薬品を推進していることから、新薬の開発数が少なく、MRの仕事自体も希少になりつつあります。
6. 技術営業・システム営業
「技術営業・システム営業」は、技術的な知識、テクノロジーのノウハウを活用し、お客さまの開発部門などに対し、さまざまな商品・システム導入を提案します。理系出身の方で、人とコミュニケーションを取るのが好きな人に向いています。
今後ニーズのある営業は?
最近、IT業界で増えているのが、受注後のフォローを行う「カスタマーサクセス」です。サービス導入後、継続利用することで売り上げを立てるサブスクリプション型(※1)のビジネスには欠かせません。お客さまがサービスをうまく活用し事業成功につながることが成果になるため、定期的なフォローが必要になるのです。「受注を取ってくる」という営業は苦手でも、お客さまの成果を上げるために伴走する営業ならやってみたい。そんな方も、今後は増えてくるのではないでしょうか。
(※1)ビジネスモデルの一種で、サービス利用者がモノを買い取るのではなく、モノの利用権を借りて利用した期間に応じて料金を支払う方式。
自分に向いている営業の種類を知るためにはどうしたらいい?
以上のように、ひと言で「営業」といっても、幅広い働き方があることがわかりました。
では、自分が興味を持っている企業の営業はどんな仕事のスタイルなのかを知るためには、何を見るといいのでしょうか。
「商材の特徴」と「売る相手」を見よう
調べるときに意識してほしいのは「扱っている商品・サービスの特徴」と「どんなお客さまに対して売っているのか」の2軸です。
例えば、扱っている商材が有形で、お客さま先がある程度決まっているのであれば「企業の得意先営業」が中心になります。また、無形商材で、幅広い業界を営業先の対象としていれば「企業の新規開拓営業」が多い傾向になるでしょう。
ただ、どんな企業にも「新規開拓の営業」と「得意先営業」があり、得意先営業で実績を重ねながら、新規開拓のミッションも与えられているという働き方も少なくありません。個人向け営業でも、新規開拓で自分のお客さまになった方は、その後「得意先」として継続的なフォローが必要になり、両方の要素が求められます。
自分はどの営業に合うタイプなのか、自己分析を進めるとともに、OB・OG訪問で仕事内容を聞き、営業のイメージをより具体的にしていきましょう。
営業に共通した醍醐味は、お客さまから明確に感謝されるということ。
「あなただったから、買いました」
「この商品に出合って、生活が豊かになりました」
「あなたのおかげで事業成長につながりました」
などの「ありがとう」の言葉は、ビジネスパーソンとしての自信につながります。
仕事内容を見る前から「営業職は向いていない…」と判断してはもったいない。「自分に合った営業はなんだろう」と探してみてはいかがでしょうか。
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